正義の魔王 inハイスクールD×D   作:しらこつの

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第16話 真実

Side ソーナ

 

最悪だ・・・昴さんに変な所を見られた。

 

「・・・・・・・・・・死にたい。」

 

一人だけ帰ってきてその場に座り込み落ち込んでいる私。

見た事の無い私に焦っている皆。

後を追いかけて戻ってきた椿姫。

バツの悪そうな匙。

全員が私を心配して話しかけてくる。

元気出してください!!とか、どうしたんですか?とか、すみませんでした!!とか。

 

あぁ、どうしてあんなところで私は・・・。

 

後悔が絶えない。

昴さんに変な子だと思われた、絶対にそうだ。

・・・もう私には見向きもしてくれないだろう。

 

そんな時私の電話が鳴った・・・恐らくリアスだろう。

出る気力が無かったので放置していたら、見兼ねた椿姫が私のポケットから勝手に取り出した。

暫く話し声が聞こえていると、突然私の耳に電話を当ててきた。

 

『元気を出しなさい、ソーナ。』

 

その声にピクッと反応した。

思わず電話を見る。

電話の相手はエリカさんだ。

 

『大丈夫よ、昴はあなたの事、変な子だなんて思っていないから。

 ちゃんと理由も教えておいたから、安心して。』

「・・・ほ、本当ですか?」

『本当よ。

 だからそんな情けない声出さないの。

 そこにはあなたの眷属の子達もいるのでしょう?

 あなたが主なのだからしっかりなさい。』

 

そう言われて顔を上げる。

そこには心配そうに私を見つめる可愛い下僕達。

あぁ、そうだ。

この子達にこんな顔させてはいけない。

 

「・・・すみませんエリカさん、もう大丈夫です。」

『そう、よかったわ。

 本当に昴は何とも思っていないから・・・また遊びに来なさい。

 あなたが来ない方が元気をなくすわよ。』

 

最後に1番元気の出る言葉を言ってくれた・・・本当にエリカさんはすごい人だ。

 

「ありがとうございます・・・では失礼します。」

『ええ、またね。』

 

それを最後に電話は切れた。

心配そうに私を見ていた下僕達に笑顔を向ける。

 

「ごめんなさい、心配をかけました。」

「・・・もう大丈夫なのですか、ソーナ様。」

 

もう心配をかけないよう立ち上がる。

そして・・・。

 

「匙!!」

「は、はい!!

 今日は申し訳ありませんでした!!」

 

名前を呼んだのは匙。

本人も有耶無耶にできるとは思っていなかったみたいだ。

すぐに土下座をしながら謝って来た。

そんな彼に近づき目を合わせる為私も膝をつく。

彼の目を見つめながら、

 

「あなたは自分が何をしでかしたか理解していますか?」

「・・・はい。

 ・・・・・で、ですがソーナ様。」

「わかっています。

あなたは優しい子ですから、兵藤君達の頼みを断れなかったのでしょう?」

「木場の話を聞いたら断るなんてできなくて・・・。」

「あなたの優しさはわかりますが・・・少し思慮が足りませんでしたね。」

「・・・すみません。」

「あなたの優しさは大切なあなたの長所です。

 ですがそれだけではいけない事は分かるでしょう?」

「・・・・・。」

「もっと頭を使いなさい。

あなたは私の認めた優秀な兵士なのですから、ただただ流されるだけの兵士なんかではありませんよね?」

「・・・は、はい!!」

 

最初は落ち込んでいましたが最後は元気な返事を聞けました。

これならもういいですね。

 

「では、今回の件はこれで終わりとします。」

「あ、ありがとうございます!!」

「これからもっと精進してください。」

 

話が終わったので立ち上がると後ろで残った全員が並んでいた。

その表情はなぜか気合に満ちていた。

 

「・・・み、皆どうしたの?」

 

本当にわからなくて問いかけると、

 

「ソーナ様、私ももっと頑張ります。」

「わ、私もソーナ様に恥じない眷属になります。」

「私ももっと足りない所を補えるように修行します。」

 

等々全員が宣言してくる・・・それも椿姫までも。

・・・いったい本当にどうしたのだろう。

 

 

 

そんな空気を払拭するかのように私の電話が鳴り響いた。

この時間にかけてくるのは限られている。

ある程度予想をつけて電話を取る。

 

「もしもし。」

『ごめんなさい、ソーナ・・・今いいかしら?』

 

電話の相手はリアス・・・だがその声は切迫している。

 

「何かあったの?」

『緊急事態よ。

 コカビエルが宣戦布告してきたわ。』

「っ!!本当なの!!」

『・・・嘘ならどれだけよかったか。

 狙いは私とソーナ・・・あなたよ。』

「・・・狙いは戦争ですか?」

『おそらく・・ね。

 魔王の妹である私達を殺せばお兄様たちは確実に動く。』

 

確かに私達が殺されればサーゼクス様とあのお姉様は報復に出るだろう。

・・・そうなれば再び戦争だ。

それだけは何としても阻止しなくてはいけない。

 

「・・・どうするつもりですか?」

『数時間後に駒王学園に来るそうよ、そこで話をしましょう。』

「わかりました・・・私は生徒会室なので校門で落ち合いましょう。」

『すぐ行くわ。』

 

そしてリアスからの電話が切れた。

私は下僕達を見渡す。

ある程度会話が聞こえていたのだろう、全員表情がこわばっている。

本当なら少し不安を和らげてあげたい所だが時間が無い。

 

「話は聞いていましたね、行きましょう。」

 

有無を言わせず歩き出し校門へ向かう。

 

 

 

しばらく校門で待っているとリアス達がやって来た。

彼女達の表情も少しだが強張っている。

 

「遅かったわね。」

「ごめんなさい・・・祐斗と連絡を付けようとしたのだけれど繋がらなくて。」

「・・・彼はまだ?」

「ええ、けど仕方ないわ。

 今はここにいる私達だけで何とかしましょう。」

 

私達だけという言葉に朱乃が反応した。

 

「リアス、サーゼクス様に連絡をしないんですか?」

「そうです、セラフォルー様に応援を頼んだ方が・・・。」

 

それに椿姫も賛成する。

その提案にリアスは怪訝な顔をする。

 

「私の管轄で起こった事よ。

 ・・・お兄様の手を煩わせたくはないわ。」

「!!そんな事を言っている場合では!!」

 

女王としてリアスに進言する朱乃。

それでもリアスは首を縦には振らない。

リアスはダメだと判断したのか私に顔を向けてくる。

 

「わかりました。

 でしたらお姉様をお呼びします。」

「ソーナ!!」

「リアス・・・あなたの気持ちがわからない訳ではありません。

ですが今はそんな事を言っていられる状況ではないでしょう?」

 

悔しそうな顔のリアス。

私のお姉様に教えれば必ずサーゼクス様にも伝わってしまう。

自分達だけで解決できないのが悔しいのだろう。

 

「・・・わかったわ。」

「・・・では私が連絡をしておきます。

 後はお姉様が到着するまでの時間稼ぎですね。」

「それと周囲に被害が出ないように結界を張らなくちゃ。」

 

すでに気持ちを切り替えているリアスも提案する。

それが頼もしかった。

 

「では結界の方は私達がやりましょう、私達の方がそう言った事は得意ですし。」

「じゃあ時間稼ぎは私達ね。」

「厳しいと思いますがよろしく頼みます。

 後匙を連れて行って下さい、彼の神器が少しは役に立つはずです。」

 

突然呼ばれた匙は驚く。

 

「お、俺ですか?」

「匙、私の眷属の中であなただけ戦いに向かわせて申し訳ないと思っています。

 ですがあなたならリアス達の力になると思うからこそです。

 ・・・できますね?」

 

不安そうだった瞳に力が入る。

 

「わかりました!!

 やり遂げて見せます!!」

 

私は頷きリアスを見やる。

 

「じゃあそれで行きましょう。

 後の事は頼んだわよ、ソーナ。」

「ええ、リアスこそ無茶はしない様に。」

 

そう言って彼女達を送り出す。

彼女達を見送ってすぐグラウンドの方で爆発音が聞こえた。

 

「もう始まったみたいです、皆さん急いで準備を。」

「「「はい!!」」」

 

気合の籠った返事と共にそれぞれが動き出す。

そして私はお姉様に連絡を入れるべく電話を取る。

 

・・・・・・・・・・。

 

おかしい。

いつもならすぐに繋がるはずの電話が繋がらない。

もう一度かけてみる。

 

・・・・・・・・・・。

 

やはり繋がらない。

どういう事だ?

お姉様に限って何かあったという事はないはずだ。

ならば妨害されている?

どうやって・・・。

 

考えてもわからない。

しかもそうしている間にもリアス達は戦っている。

あ姉様に繋がらない以上他に案を考えなくては・・・。

・・・いや、本当はこの話が出た時点で思いついていた。

でもこの方法だけは使いたくなかった、彼に迷惑をかける事になるから。

 

私は決意を固める。

もうこれしか方法が思いつかない。

これで彼に迷惑をかける事になったら全力で助けよう・・・今までの恩返しも込めて。

 

私は椿姫にここを頼むように使い魔を飛ばし走り出した。

 

 

 

 

 

Side 昴

 

グレモリーさんと別れた後僕達は家路についた。

頼まれたりしない限り手を出さない事に決めたのだ。

 

そして夜になった。

夕食を食べている最中、大きな魔力を感じた。

場所的には駒王学園・・・これはグレモリーさん達だ。

この事をエリカさん達に伝えると皆様子を見に行こうと言ってくれた。

黒歌さんは白音さんがそこにいるのもあって付いて来たそうだ。

 

いざ行こうとした時、家の呼び鈴が鳴らされた。

それも何度も何度も。

急いでいる時だっていうのにと一瞬苛立ったが、感じられる魔力から知っている人物だとわかり急いでドアを開ける。

 

「ソーナさん!!」

 

ドアを開けるとそこには息を切らしたソーナさんの姿があった。

 

「す、昴さん・・・助けてください。」

 

僕に縋りついて訴えてくるソーナさん。

その様子は本当に切羽詰まっている様だった。

 

「何があったんですか?」

「コカビエルが・・・戦争を起こす為・・・・・攻めて来たんです。」

 

それを後ろで聞いていたミッテルトさんが驚愕する。

 

「コ、コカビエル様がですか。」

 

そしてもう一人・・・。

コカビエルの名前を聞いた瞬間に僕の横を駆け抜けた存在があった。

 

「待ちなさい、黒歌。」

 

エリカさんの制止も聞かずに飛び出す黒歌さん。

理由はわかる。

コカビエルという名前、聖書にも登場する大物だ。

恐らくこの世界でも上位に存在するのだろう。

妹の危機を察した黒歌さんはいてもたってもいられなくて飛び出したのだ。

 

僕達もじっとしている場合ではない。

すぐにエリカさん達に指示を出す。

 

「僕達も行きましょう。」

「ええ。」「ああ。」

 

すぐさま頷き返してくれた二人。

僕は疲れ切っているソーナさんを抱き上げる。

一瞬で顔を赤くしたが気にしている余裕はない。

 

「ソーナさん、飛ばしますから舌を噛まないように気を付けてください。」

 

それだけ告げて僕達も黒歌さんを追って駆け出した。

 

 

 

 

 

Side リアス

 

コカビエルとの戦いは熾烈を極めた。

始めは数匹のケルベロス・・・危ない所を祐斗が駆けつけてくれた。

そしてその祐斗・・・彼の復讐がやっと終わった。

苦しく辛かっただろう・・・だがそれを乗り越えてくれた。

新たなる力『禁手(バランスブレイク)』と共に。

後はコカビエルを倒すだけとなったが・・・。

 

「お前達の力はそんなものか。

 そんな事では俺に傷一つつける事は出来んぞっ!!」

 

たった今イッセーに倍加してもらった私の『滅びの力』をぶつけたが服が少し消えているだけで体には何の損傷も与えていない。

すでに私達は満身創痍・・・何とか魔王様が来るまでの時間を稼がないと。

 

そんな時コカビエルが同じく満身創痍のゼノヴィアに向かってあざ笑い言い放った。

 

「・・・よく主がいないのに信仰心を持ち続けられる。」

「何!!

 いったいどういう事だ!!」

「何・・・先の大戦で神はすでに死んでいるというのに・・・お前はいったい何を信仰しているのだと言っているんだ!!」

「う、嘘だ・・・。

 神が死んでいるなど・・・そんな訳が無い!!」

「そこにいる聖魔剣使いがその証拠だ。

 本来聖と魔が混じり合う事はあり得ない・・・神がいればそんな事は起きないんだよ。」

 

コカビエルの指摘に全員が祐斗の方を見る。

確かにそうだ・・・よく考えてみれば祐斗の禁手『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』は聖剣と魔剣を共に使う事が出来ていた・・・本来ならありえない事だ。

今思い返してみれば悪魔をも回復するアーシアの神器・・・あれも神がいないせいなのかも知れない。

コカビエルの言葉にアーシアとゼノヴィアが崩れ落ちた。

 

「そんな・・・なら神の愛はいったいどこに・・・。」

「私は・・・私は・・いったい何を信じていたんだ・・・。」

 

悪魔になってからも信仰を忘れなかったアーシアに教会出身のゼノヴィア。

神の不在は大きく彼女達の心を傷つけた。

 

「何度でも言ってやろう!!

 お前達の信じていた神何てただの偶像にすぎないのだ!!」

 

そしてさらに嫌らしい笑みを浮かべて私達を見る。

 

「もう一ついい事を教えてやろう。

 お前達の待っている魔王がここに来ることは絶対にありえない。」

 

気付かれていた!!

だが今何と言った!?

 

「甘いな・・・俺が何の準備もせずにここに来たと思ったのか?」

「どういう事!!」

「ここに来てからこの街全体に少々細工をした・・・そしてそれを今日ここに来ると共に発動させた。」

 

にやっと笑い私達を更なる絶望へと突き落す。

 

「この街への転移、通信、これらすべてを使用不能にした。

 ・・・この意味が分かるか?」

「・・ま、まさか。」

「そうだ!!

 いくら魔王であろうとこの結界を越える事は出来ない!!

 お前達がいくら時間稼ぎをしようとも無駄だ!!」

 

・・・助けが来ない。

コカビエルの話が本当だとしたらもう私達に生き残る手立てはない。

・・・ここで終わりなの?

 

周囲を見渡せば私の下僕達も絶望に染まった表情をしている。

・・・いや・・・・・一人だけ・・・。

 

「・・・・・大丈夫です。」

 

全員が膝をついている中一人だけ立ってコカビエルを睨んでいる子がいた。

その小さい背中がとても大きく見えた。

 

「・・・小猫?」

「大丈夫です、部長。

 例え魔王様が来て下さらなくても、あの人が助けに来てくれる。」

 

ただ一人闘志を失っていない小猫。

いったいどうして?

 

「貴様は何を言っている!!

 俺とまともに戦う事が出来る悪魔は魔王位だ。

 お前の言っている事はただの戯言だ。」

 

それでも・・・なんと言われ様とも小猫の闘志は揺らがない。

次第にそれが気に食わなくなったのか・・・。

 

「もういい・・・最初は貴様だ。

 本当だったらもう少し痛めつけてから全員殺すつもりだったが・・・。」

 

そう言って今までとは比べ物にならない光の槍を作る。

そしてそれを小猫に向ける。

 

「っ!!

 小猫、逃げなさい!!」

 

それでも彼女は退かない。

大丈夫だという揺らぎ無い確信があるかのように。

 

「死ね。」

 

コカビエルはただ小さく一言つぶやくと光の槍を小猫へと投擲した。

 

「小猫っ!!」

「小猫ちゃん!!」

 

私達の叫び声は爆音と共にかき消された。

そして小猫がいた辺りが土埃に包まれる。

 

「ふんっ、他愛もない。」

 

もう興味はないのか次の標的を探そうとしているコカビエル。

しかし・・・。

 

「にゃ~~危ない所だったにゃ。」

「・・・遅いですお姉様。」

 

土埃の中から声がした、それは小猫ともう一人。

すぐに土埃が晴れる。

そこから現れたのは無傷の小猫と、着物の着崩し、黒髪に猫耳、そして二股の尻尾の生えた女の悪魔だった。

それを見た私は驚愕した。

 

「・・・そんな・・・どうしてSS級はぐれ悪魔の黒歌がここに。」

「貴様いったい何者だ!!」

 

私達ははぐれ悪魔の黒歌がここに居る事に、コカビエルは突然の乱入者に。

小猫の実の姉である黒歌がなぜここに・・・それにどうして小猫と仲が良さそうなの?

分からない事が多すぎる。

しかし小猫を助けた以上今は味方と考えていいのかもしれない。

だがそんな彼女を見てコカビエルは嘲笑う。

 

「・・・しかし何だ、それがお前の言っていた人物か?

 笑わせるな!!

 俺の一撃を防いだだけですでにその有様ではないか!!」

 

そう言われて彼女をよく見てみる。

確かに彼女の腕はコカビエルの攻撃を防いだことによりボロボロだ。

・・・あれではもうこの戦いでは使い物にならないだろう。

しかし黒歌はそんな事を気にする様子もなく言い放つ。

 

「お前こそ何を言っているにゃ?

 私はただ妹が心配で先に来ただけにゃ。

 本命はもうすぐ来るにゃ・・・・いや、もう来てるにゃ。」

 

そう言って後ろを振り向く。

それに釣られる様に全員が後ろを振り向く。

 

スーツを完璧に着こなし、その眼は闘志に燃えている。

雰囲気は一騎当千の猛者と表せばいいだろうか?

全く魔力を感じないのに、彼からは力が溢れているような錯覚さえも見える。

 

「・・・どうして。」

 

思わずこぼれてしまった言葉。

でも仕方ないだろう。

小猫と黒歌以外全員が唖然としている。

 

「遅いにゃ・・・昴。」

 

そう・・・神藤 昴が悠然と歩いて来ていた。

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