Side 昴
あの後しばらくアザゼルさんとセラフォルーさんと談笑した。
そこで今まで知らなかった知識を知る事が出来た。
例えば四大魔王にも役割があり、セラフォルーさんの役割は外交である事。
だから二人は会う機会が多く、それ程いがみ合ってはいないらしい。
冥界にいる悪魔も堕天使も天界の天使も現在戦争をする気は一部を除いて無い。
前大戦以降どの陣営も戦争をする程の戦力は残っておらず戦争を推奨は極少数である事。
今回の会談も和平を結ぶ予定があるらしい・・・極秘らしいが教えてくれた。
アザゼルさんが言うには三大勢力よりも厄介な連中がいるらしく、そいつらと戦う為だとか・・・そこは詳しくは教えてくれなかった。
僕は感心しながらその話を聞いていた。
黒歌さんは『今にも戦争が起こるんじゃないか』的な事を言っていたからだ。
だが実際は和平を結び、共通の敵と戦う為に動いていたとは・・・。
話している間に日も暮れ始め、夕食の時間になったので二人も誘った。
2人共快く承諾。
ミッテルトさんが少々居心地悪そうだったが楽しい食事となった。
アザゼルさんが黒歌さんと対面した時アザゼルさんが驚いていた。
SSはぐれ悪魔がいるし、それを魔王が黙認しているのだから仕方ない。
その辺りの事情も説明したら、僕を見て「お人好しだなぁ」と呟かれた。
そして食事も終わった頃、僕はエリカさん達を呼んでこの後の事を相談していた。
アザゼルさん達は黒歌さんとアンナさんとミッテルトさんが相手をしている。
「少し予定とは違いますけど・・・。」
「別にいいんじゃないかしら??」
「そうだね、会談前にこちらの理解者が増えるかもしれないんだ。」
「何かあればカバーするわ。」
「2人共、よろしくお願いします。
それじゃあ、行きましょうか。」
部屋に戻るとアザゼルさんとセラフォルーさんが黒歌さん達とお酒を片手に談笑していた。
いい気分な所悪いと思ったが早速話に入らせてもらおう。
「遅くなりました。」
「何してたんだ昴・・・・・おいおい、このタイミングでか・・・。」
僕が声を掛けると、アザゼルさんはこちらの雰囲気の違いに気付いたようで一瞬顔を顰めたが、すぐにその表情を真剣な物へと変える。
セラフォルーさんもお酒を飲む手を止めた。
「まどろっこしいのは無しにしよう・・・用件は何だ。」
「話が早くて助かります・・・僕と契約しませんか??
あぁ、セラフォルーさんは立会人として此処に居てくれると助かります。」
そう言うとセラフォルーさんは頷いてくれた。
アザゼルさんは視線を逸らさず真剣な表情で僕を見つめている。
「・・・・・ほう・・・で、その内容は??」
「僕達の事を全てお話しします。
その代わり僕達に協力してください。」
「ほぅ・・・お前の秘密・・ねぇ。」
興味深そうに目を細めるアザゼルさん。
しかし僕の言葉に反応したのは彼だけでは無かった。
「い、いいの、昴さん!!」
「えぇ、構いません。」
セラフォルーさんが不安気に僕に聞いてくる。
動揺するセラフォルーさんを一瞥してアザゼルさんが一言。
「薄々そうだとは思っていたが・・・セラフォルーは昴の秘密とやらを全部知ってんのか??」
「彼女には全て話していますよ。」
僕がそう言うと彼は少し考え込んだ。
「セラフォルー以外でお前の事を知っている奴は??」
「ここにいるメンバー以外ではソーナさんだけです。」
「ソーナっつうとセラフォルーの妹の・・・。
少数にしか教えてない事を教えてくれるって事は信用されたと考えていいんだよな??」
「そう取って貰って構いません。
ですが・・・僕達の事を知ればアザゼルさんには必ず協力してもらう事になります。」
「つまりお前の話を聞けば、もう引き返せないって事か??」
「そう言う事ですね。」
「・・・秘密を聞く代わりにお前に協力するって言う契約だから仕方ねぇが・・・それにしてもこっちのリスクが高すぎる。」
そう言って僕を睨みつけてくる。
このままでは話が進まないと判断した僕はある提案をする事にした。
「・・・でしたらこうしましょう。
セラフォルーさんが契約の中で話せる内容を契約を決める判断材料として下さい。」
「わ、私!?」
「・・・わかった、それで行こう。」
突然話を振られ戸惑うセラフォルーさんを無視してアザゼルさんが質問を開始する。
「こいつの目的とやらは危険な事か??」
「・・・何ともいえないかな。」
「それは誰かと戦う事か??」
「それも目的の1つではあるね。」
戸惑っていたのは最初の内だけで、次第にこの家に居る時に見せた事の無い真剣な顔付きでアザゼルさんの質問に答えていく。
これが魔王としての彼女本来の顔付きなんだと改めて感心した。
「・・・契約内容の中にお前の戦闘は含まれているか??」
「それは無いね。」
「・・・・・。」
ここでアザゼルさんの質問が途切れ、沈黙が訪れる。
悩んでいるアザゼルさんにセラフォルーさんが伝える。
「アザゼルちゃんが昴さんと交わそうとしている内容は私達とちょっと違うよ。
後は・・そうだなぁ・・・これは教えてあげようかな。」
そう言った彼女を黙って見つめるアザゼルさん。
「もし悪魔側が昴さんと敵対する事を選んだとしたら・・・私は迷わず昴さん側に付く。
・・・それで例え裏切り者と罵られようともね。
もちろんシトリー家と眷属達は全員連れて行くよ、家族を見殺しには出来ないからね。」
魔王であるセラフォルーからのこの発言にアザゼルは唖然としている。
僕もびっくりだ。
・・・彼女がそんな事を考えていたなんて。
そんな僕達を余所にセラフォルーさんは続ける。
「まぁ、昴さんと戦うなんて事、私が全力で阻止するけどね。」
「おいおい、魔王であるお前がそんな事言ってもいいのかよ。」
セラフォルーさんの言葉は止まらない。
彼女は言葉を発する度にその表情に笑みを浮かべていく。
「アザゼルちゃんは昴さんの実力を知らないからそんな事言えるんだよ。」
「実力ならあの時・・・。」
「昴さん、あの時本気の半分も出してないよ。」
「はぁ??何言って・・・。」
「私は昴さんの実力の一端を目の当たりにした事があるから。
・・・暫く腰が抜けて体の震えが止まらなかったよ。」
「・・・・・。」
アザゼルさんが等々頭を抱え込んでしまった。
今彼の頭の中は混乱している事だろう。
セラフォルーさんもそんな彼にそれ以上何も言う事は無かった。
長く時間が流れやっとアザゼルさんが口を開いた。
「・・・1つ頼みがある。」
「何でしょう??」
「お前の本当の実力って奴を知りたい。」
魔王が腰を抜かす程の実力が本当なのか自分の目で確かめたいという事だろう。
今まで以上に真剣な視線を送ってくるアザゼルさん。
これ位の頼みなら引き受けるべきか・・・。
エリカさん達の意見を聞こうと視線を向けると、彼女達も頷いてくれた。
「わかりました。
ですが、移動するのも面倒なので此処でやろうと思います。
周りに迷惑を掛けたく無いので一瞬だけですが宜しいですか??」
「・・・かまわねぇ。」
アザゼルさんの回答と共に僕は一瞬抑えていた氣を全力で解放した。
その直前、セラフォルーさんの制止の声が聞こえたけど遅かった。
その力の奔流を感じたこの街で暮すリアス・グレモリーを始めとした悪魔達は体が押し潰されそうな感覚を味わっていた。
そしてこの街だけには止まらない。
世界各地の強者が、そして冥界・天界の上層部でもその力は感じ取っていた。
距離があった為リアス・グレモリー達程では無かったが、突然現れ消えた巨大な力にかなりの騒ぎになったそうだ。
そして・・・それを目の前で目の当たりにアザゼルはと言うと・・・。
彼は顔色を青くさせ全身にびっしょり汗を掻いていた。
僕はそんなアザゼルさんに問い掛ける。
「僕の力・・・わかって頂けましたか??」
「・・・あ、あぁ。」
僕の声に我に返ったアザゼルさん。
今セラフォルーさんの言葉が本当だった事を改めて認識した事だろう。
そして先程返事はしてくれたが、普通の状態に戻るのはもう少しかかりそうだ。
アザゼルさん復活まで待とうと思っていた時だった。
「・・・・・も・・もう、昴さん!!」
「せ、セラフォルーさん・・・。」
彼女の存在を忘れていた。
彼女もアザゼルさん同様、全身に汗を掻き顔色を悪くさせていた。
「何で此処で力を開放しちゃったの。
絶対ソーナちゃん達だけじゃなくて、冥界や天界の連中にも伝わっちゃったよ!!」
「えっ・・・いや・・・・。」
セラフォルーさんに問い詰められている時僕の電話が鳴り響いた。
僕は助かったと思って電話を開く。
しかしそこに表示されていたのはソーナ・シトリーの名前だった。
そして悟る。
この電話に出ると必ず今よりもひどい状況になると・・・。
電話の表示を見て止まったままの僕にセラフォルーさんが電話を取り上げて言う。
「その電話ソーナちゃんだったでしょう??
本当はソーナちゃんから注意して欲しい所だけど・・・今は話し合いの途中だから私が代わりにソーナちゃんに話しといてあげる。
後、私はここで失礼するね。
多分今頃冥界でも騒ぎになってると思うから・・・。」
そう言うとセラフォルーさんは僕の電話に出ながら帰って行った。
彼女を見送りほっとしていると両肩に手が添えられた。
あぁ・・・僕の危機はまだ去っていなかった。
僕は恐る恐る後ろを振り向く。
そこにはとてもいい笑顔を僕に向けるエリカさんと馨さんがいた。
「あなたは何を考えているのかしら??」
「・・・だって・・・エリカさん達だってあの時頷いたじゃないですか。」
「確かに頷いたよ。
でもバカ正直に全力の魔力を魅せるとは思わなかったよ。」
「・・・アザゼルさんが本当の力を見せてくれって。」
「でもここがどういう世界か分かっているでしょう??
もしかすると此処に昴の魔力を感じた人達が攻めてくるかもしれないのよ!!」
「どうして君はこう言う所でいつも抜けているんだろうね??」
「あなたもいつも実感しているでしょう??
こうしたちょっとしたミスがどういう事態を引き起こしてきたか・・・。」
うぅ・・・二人の説教がいつも以上だ。
何とか宥め様とするけど全然止まらない。
僕は誰か助けてくれる人を探す為に周囲を見渡してみた。
黒歌さんはわざとらしく猫の姿になって丸まっている。
アンナさんとミッテルトさんはすでに洗い物を持ってキッチンに下がっている。
一縷の望みをかけてアザゼルさんに視線を向ける。
そこには何処か安心した表情のアザゼルさんがいた。
「・・・あんな化け物みたいな奴でも、俺みたいに説教されるんだなぁ。」
しかもそんな呟きが聞こえた。
そして僕と視線が合うとすぐに逸らされた。
ショックを受けている僕に救いは無かった。
「何余所見しているの!!」
「まだ話は終わってないよ!!」
「は、はい!!」
僕への説教はその後しばらく続いた。
「まだ話し合いも終わってないから今はここまでにしてあげるわ。」
憔悴しきった僕にはそれが天使の歌声の様に聞こえた。
だが・・・。
「もちろん契約し終わってから続きだからね。」
僕の救い打ち砕かれた。
そんな僕達の様子を黒歌さん達とお茶を飲みながら見ていたアザゼルさんが言う。
「何だ、やっと終わったのか。」
「やれやれ仕方のない奴だ」みたいに言うな!!
元はと言えばお前のせいだろうが!!
そしてこの恨みは忘れないぞ!!
僕が怒られている間楽しそうにお茶しやがって!!
だがそんな事を言えば説教の量が倍以上に増えるから何とか我慢する。
アザゼルさんを睨みつけていると隣からエリカさんが言う。
「お待たせしました。」
「いや、別に気にしてない。
と言うよりいい物が見えた。」
そう言うとアザゼルさんは笑顔を浮かべる。
「さてと・・・契約の続きと行こうか。」
「・・・はい。」
僕は何とか頭を切り替える。
本音を言えば今すぐ不貞寝したかったが・・・。
「まず・・・契約内容少し追加させてくれ。」
「・・・どういった物でしょう??」
「お前の秘密を全て聞き、その代わりお前の目的に協力する・・・そこまでは別にいい。
そこに俺からの依頼と言う形で、俺に協力してくれ。」
「・・・具体的には??」
「そうだな・・・昴が俺に協力させる内容と同じって言うのでどうだ??
それなら分かり易くていいだろう。
もちろん依頼に対しての報酬は払う。」
確かにそれなら僕達が頼む事以外何かをやらされる事は無いし、僕達に利益もある。
「わかりました。
でしたら・・・その条件で契約を結んでいただけますか??」
「あぁ、よろしくな。」
あっさりと堕天使総督アザゼルとの契約がなった。
「じゃあ、早速で悪いがお前に秘密とやらを教えてくれ。」
「少し長くなりますが構いませんか??」
「構わねぇよ。
もう夜も遅いから泊まって行くつもりだしな。」
「いつそんな話に!?」
「メイドのアンナちゃんに確認したら構わないって言ってくれたぜ。」
「ア、アンナさん!!」
勝手に了承したアンナさんの方を振り向く。
その彼女はゆったりお茶を飲みながら、
「夜の遅い時間、それにお酒も飲まれています。
そんな人を帰すのは忍びないと判断しました。」
普段からそう言う気遣いをする人だと忘れていた。
・・・せめて僕の了承は取ってから許可して欲しかった。
「・・・それでしたらお酒でも飲みながらゆっくりお話ししましょう。」
僕は話す。
僕が神殺しである事。
この世界の住人ではない事。
この世界に来た目的。
神から簒奪した権能がある事だけは伝えた。
僕の権能については詳しく話さなかった。
この世界に来てから僕達がしてきた事も伝えた。
黒歌さん・シトリー姉妹・ミッテルトさん・グレモリーさんとその眷属の方々・・・彼女達との繋がりも理解してもらえた。
「つまりお前が俺に頼みたい事っていうのは、この世界で動き易くしろって事か??」
「簡単に言うとそういう事ですね。」
「はぁ・・・そんな事ならセラフォルーだけでいいじゃねぇか。」
「そんな事ありませんよ。
僕達が契約しているのはセラフォルーさんとソーナさんだけです。
悪魔全体に僕達の理解がある訳ではありませんし、伝えるつもりもありません。」
そんなリスクの高い事、今の段階では出来ない。
「まぁ、神殺しやら異世界人何て普通信じないだろうしな。
それに神殺しだ何て触れ回ったら、天界や他の神話体系の連中は血眼になってお前の事を殺そうとするだろうしなぁ。」
「それをカバーする為に各方面に理解者を作って置きたいんですよ。
だから堕天使であるアザゼルさんを通して天界と繋がりを作れたらと思っています。」
アザゼルさんも聖書に出て来る堕天使の一人。
それに『神の子が見張る者(グリゴリ)』の総督でもあるのだ。
そんな彼の立場だからこそ判断したのだ。
「確かにそうだが・・・俺はすでに堕天した身だ。
大した力にはなれねぇかもしれねぇぞ。」
「別に天使全員に理解して欲しい訳ではありませんから。
誰か物分りのいい人に僕達の事を理解して貰えたら十分と考えています。」
「まぁ、すでに契約したんだ。
俺に出来る事なら幾らでも協力するさ。」
「頼りにしてます。」
僕の事は粗方話し終えた。
アザゼルさんも色々と納得してくれただろう。
目の前で満足そうにお酒を煽っている事からもわかる。
「僕達の事情はこんな所です。
・・・折角契約したんです。
アザゼルさんも何かやって欲しい事があれば聞きますよ??」
「う~ん・・・そうだな・・・。」
彼は暫く考えていると、思い付いたのか僕に視線を向ける。
「お前の権能って奴に呪いを解呪で来る物があるか??」
「呪いですか??ありますけど・・・。」
ある事にはあるんだけど・・・あの権能を使うには厄介な条件があるだよなぁ。
・・・まぁ、事情を聴いてからかな??
そう思ってアザゼルさんの方を向くと、彼はとても真剣な表情をしていた。
「事情を聴いても??」
「あぁ、俺の部下・・・バラキエルの女が厄介な呪いに掛かってるんだ。」
「女・・・奥さんですか??」
「・・・そうだ。
5年程前の事だ。
バラキエルの妻は人間で、しかも彼女の家計は代々悪魔祓いをしていた。」
「それは・・・色々あったでしょう。」
「お前の言う通りだ。
異端扱いされた彼女は追われる身となり、暫くは俺達が匿っていたんだ。
だがあいつ等に子供が出来ると「人として育てたい」って言ってな・・・。
その気持ちも理解出来たから強力な結界を張った場所でひっそり暮す事になったんだ。
数年はあいつら幸せそうに暮らしてたんだけどよ・・・。
けど・・・ある日結界が緩んだ隙に追っ手に侵入されてな・・・。
彼女は子供を庇って大怪我を負った。」
その話をしている間、アザゼルさんは悔しそうにしていた。
色々相談とかもされてバラキエル夫妻との関わりも深かったはずだ。
彼女を守れなかった事を悔やんでいるんだろう。
・・・本当に優しい人だ。
「その怪我が??」
「怪我自体は治ったんだが・・・怪我を負わされた武器がいけなかった。
あれは妖刀の類だ・・・しかも強力な呪い付きのな。」
「・・・その解呪を僕に??」
アザゼルさんは縋る様に僕を見つめる。
「色々手を尽くしたんだが一向に解呪の仕方が分からねぇ。
あの呪いは何年も掛けて体を蝕んでいく代物だ。
今迄は何とか俺達の力で呪いの進行を少しだが防いでいたんだ。
・・・だがそろそろ限界だ。」
そこまで言ってアザゼルさんは頭を下げる。
「契約に反している事は分かってる。
でも・・・もう時間が無いんだ!!
頼む・・・あいつら家族を助けてやってくれ!!」
ここまで言われて断る奴はいないよね。
「条件があります。」
「何だ、何でも聞くぞ!!」
「解呪に当たってその事を知らせるのは家族のみ。
これが守れるのなら引き受けましょう。」
「・・・それだけでいいのか??」
少し呆然としているアザゼルさん。
そんな彼に笑って言ってやる。
「今回が特別ですよ。」
そんな僕を見てアザゼルさんは嬉しそうに笑う。
「あぁ・・・ありがとう。」
「あ、1つ気になったんですけど・・・バラキエルご夫妻のお子さんはどうしてるんです??」
僕の言葉にアザゼルさんの嬉しそうだった表情は身を潜める。
えっ・・・僕何か悪い事聞いちゃったかなぁ。
「・・・あいつの子供は自分の所為で母親が怪我をしたってずっと攻め続けてるんだ。
しかも当時はその事から目を背ける為にバラキエルの奴にきつく当たってなぁ。
バラキエルの所を飛び出して、気付いたら・・・悪魔になってた。
・・・お前等も会った事がある。」
その言葉に僕達は首を傾げる。
思い当たる節が無い。
「その子は今リアス・グレモリーの所で女王をしている。」
「それって・・・。」
「そうだ、あいつ等の子供は姫島 朱乃だ。」
言われて思い当たる。
白音さんが仙術を披露した時の彼女の表情。
・・・自分も同じだったからか。
「そうか・・・だから彼女から感じた魔力は他の子達と違ったのか。」
呟いたのは馨さん。
確かに彼女の魔法を見た時違和感があった事を覚えている。
「怨んでいた父親の血を無くしたかったんだろう。
・・・皮肉な事に堕天使と悪魔の力が残っちまったけどなぁ。」
「彼女は母親の所には??」
「一度も帰って来てねぇ。
悪魔になっちまったって事も理由の1つだろうが、けどそれ以上に両親に合わせる顔が無いんだろう。」
「母親の状態は知っているんですか??」
「バラキエルの奴が定期的に手紙を送っているからな・・・返事が来た事は無いが。」
色々な事があって素直になれなくなってるんだろうなぁ。
「・・・呪いの解呪はいつ辺りに??」
「本当なら今すぐやって貰いたい所だが、今は俺もバラキエルも忙しすぎる。
せめて三大勢力会談が終わってから頼みたい。」
「わかりました。
こちらもそのつもりで予定を組んでおきます。」
彼女達の問題は時間が解決してくれるものではない。
今回の事で彼女達の関係が良くなる事を祈ろう。
「暗い話はこれ位にして、異世界の話ってのを聞いてみたいな!!」
重たくなった空気を変える為にアザゼルさんが声を明るく話題を振って来た。
もちろん僕もそれに乗ろうとした時・・・。
「昴・・・契約も終わった事だしO・HA・NA・SHIの続きよ。」
エリカさんと馨さんに肩を掴まれた。
・・・忘れてた。
何とか回避しようと悪足掻きを試みる。
「・・・ま、まだ、アザゼルさんとの話が・・・。」
それを打ち破ったのはあろう事かアザゼルさんだった。
「あぁ、お前は忙しそうだからこっちの嬢ちゃん達に聞く事にしたわ。」
「えっ!!」
アザゼルさんはアンナさんにお酌されながらいい笑顔で僕に告げる。
その言葉に僕は地獄に突き落とされた気分になった。
「あらそう・・・ゆっくり寛いでくださいね。」
「そうさせて貰うよ。」
「それじゃあ行こうか、昴君。」
そして僕は二人に引き摺られる様に連れて行かれる。
「えっ・・・い、いや・・・ま、待って・・・。」
「頑張れよ!!」
最後にアザゼルさんに笑顔で応援された。
その後日が昇るまで僕はエリカさん達に説教されたのだった。