正義の魔王 inハイスクールD×D   作:しらこつの

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第09話 合宿開始

Side 昴

 

あの後改めて一緒に居させてくれと頼まれ、ミッテルトさんが正式に僕達の家族となった。

僕達の事はちゃんと話した。

すごく驚かれた。

それでも一緒にいたいと言ってくれた。

 

腕の事も相談した。

僕の権能を使えば治す事も出来ると。

その治療にはかなりの痛みを伴う事も。

ミッテルトさんは悩んだ末、今のままでいいと決断した。

自分の行いが招いた結果だからと。

友達であるアルジェントさんを助けられなかった事への贖罪だと。

僕も彼女の考えを尊重した。

その為今も片腕で過ごしている。

 

彼女は腕と一緒に翼も無くしている。

その為かはわからないが、堕天使としての力も弱くなってしまった。

彼女は仕方がないと笑っていたが、その笑みはどこか悲しそうだった。

 

彼女はただ毎日を過ごしている事を嫌い、アンナさんの指導の下メイドとして働いてくれている。

アンナさんは後輩が出来たと喜んで、優しく指導している。

片腕で不自由ながらも一生懸命働いてくれて、僕達も助かっている。

・・・メイド服もよく似合っているなぁ。

 

 

 

ある日の夜。

残っていた仕事を馨さんに手伝ってもらいながら熟していた。

 

「珍しいね。

 昴君が仕事を残しているなんて。」

「・・・あまり人のせいにするのは嫌なんですけど。

 最近セラフォルーさんが来る事が多くて・・・。」

「あぁ、成程ね。」

「でも、ありがとうございます。

 馨さんがいなかったら、今日中に終わりませんでしたよ。」

「はは、どういたしまして。

 僕の仕事はもう終わっているから。

 最近はそんなに忙しくないしね。」

 

最近は仕事も軌道に乗り少し余裕が出て来ている。

エリカさんと馨さんが進めていた調査も終わり、後は僕の神殺しの勘によって最終決定していく段階だ。

その為僕の仕事が多くなっている。

そんな時期にセラフォルーさんが頻繁にやって来る。

話を聞くだけだから疲れる事はないのだが、時間が取られ仕事をする時間が減ってしまう。

・・・少し自重してほしい。

けど悪い事ばかりじゃない。

冥界の話や、前大戦の裏話を聞けたりと有意義な時間を過ごした事もある。

 

仕事をしている時僕の携帯が鳴った。

 

「こんな時間に誰だろう?」

 

気になり出てみると、

 

『こんばんは、昴さん。』

 

ソーナさんだった。

いつもなら学校が終わる頃にメールをくれるのに、今日はどうしたんだろう。

 

「こんばんは、ソーナさん。

 今日はどうしたんですか?」

『・・・・頼みたい事があるんです。』

 

少し言い辛そうだったけど話してくれた。

何でも幼馴染であり、この地を管理するリアス・グレモリーさんが結婚するらしい。

結婚自体は別にいいのだが、その相手が許せない。

「レーティングゲーム」という悪魔考案のゲームで最終的な決着をするらしい。

レーティングゲームは悪魔自らチェスの駒となり王を倒すゲームだそうだ。

しかしその結婚相手との力に差があるというので、グレモリー眷属を鍛えて欲しいと言われた。

 

「僕は別にかまいませんが、エリカさん達に聞いてみない事には。

 少し待ってもらえますか。」

『無理を頼んでいるのは私ですから。

 それにこの話はリアス達にまだしていません。

 せっかく昴さん達に来てもらっても断られる可能性もあります。

 でも私にはあなたに頼るしかリアスの力になる方法が無いんです。』

 

今にも泣きそうな声。

電話口で馨さんも聞いているので、そちらに目をやる。

 

「もう決めているんだろう。

 昴君が信じた様にやればいいよ。」

 

もう全てが分かっているかのように僕の考えを肯定してくれる。

エリカさんもだけどこう言う処は敵わないなぁ。

 

「わかりました。

 どこまで出来るかわかりませんが、全力を尽くします。」

『ッ!!

 ありがとうございます!!』

「でも嬉しいです。

 僕の事を頼ってくれて。」

『・・・・//////

 リ、リアスにこの事を伝えるので、し、失礼します。

 詳しい事はまた後で連絡しますから!!』

 

そう言ってソーナさんは電話を切った。

 

「すみません馨さん。

 勝手な事をしちゃって。」

「まぁ、いつもの事だしね。

 それより明日から忙しくなるんだし、早く仕事を終わらしちゃおう。」

「はいっ!!」

 

・・・その後エリカさんに話したら呆れられた。

 

 

 

次の日の朝ソーナさんがやって来て、今回の事についてさらに詳しく教えてくれた。

レーティングゲームには役割がある。

それは駒の種類にも同じ事が言える。

「王」「女王」「騎士」「僧侶」「戦車」「兵士」。

王が一つ、兵士が八つ、後の駒が各二つずつ。

計十六個の駒がワンセットとして参加資格のある悪魔に配られる。

駒にはそれぞれ特徴がある。

騎士は早く、戦車は強く、僧侶は魔法が強くなる。

女王はその全てを兼ね備えている。

兵士は特殊で、相手の本拠地に入ればチェスのルールと同様に「プロモーション」が出来、一度だけどの駒にでも変更する事が出来る。

 

グレモリーさんの眷属は6名。

女王である「姫島 朱乃」。

騎士である「木場 祐斗」。

戦車である「搭城 小猫」。

僧侶である「アーシア・アルジェント」。

兵士である「兵藤 一誠」。

もう一人僧侶がいるみたいだけど、今回は都合により不参加。

 

ソーナさんに彼らの事を聞く。

彼女も全てを知っている訳では無いので知っている事だけである。

それらを聞いて、彼らの訓練メニューを作っていたら約束の時間になっていた。

ソーナさんの魔術によりグレモリーさんの合宿場所まで転移する。

 

 

 

転移を終えると周囲はどこかの森の中になっていた。

そして目の前にはグレモリー眷属の方々がジャージ姿で待っていた。

 

「遅くなりました。」

 

ソーナさんが彼女達の方へ近寄っていくので、僕達も付いていく。

 

「いいえ、私達も今来た所よ。

 ・・・それよりも・・彼らが。」

「ええ、紹介します。」

 

僕達の事を紹介しようとしたので、僕が代表して前に出る。

 

「彼が私の恩人で今回あなた達の事を頼んだ神藤 昴さんです。」

 

それに合わせて頭を下げ、自分でも挨拶。

 

「紹介にあずかりました。

 神藤 昴です。」

 

威圧しない様に優しくあいさつしたけど反応が返って来ない。

グレモリーさんは、はっと我に返り、

 

「私がリアス・グレモリーよ。

 今回はわざわざありがとう。」

「いえ、ソーナさんの頼みですから。

 事情は聞いています。

時間があまりありませんから早速修行に入りましょう。」

 

そして僕は上着を脱ぎエリカさんに渡し、シャツの腕をまくる。

 

「まずはあなた達の実力を教えてください。

 まずは木場 祐斗君から。」

 

当たり前のように始め様とするとグレモリーさんに止められる。

 

「ち、ちょっと待って。

 見た所あなた人間よね。

 本当に私達の相手をするっていうの。」

 

悪魔としては当たり前の反応だ。

善意で言ってくれているのはわかるけど・・・。

 

「心配には及びません。

 時間がもったいないので早くやりましょう。」

 

あっけらかんとしている僕に何を言っても無駄だと思ったのかグレモリーさんが指示を出す。

 

「・・・どうなっても知らないから。

 祐斗行きなさい。」

「・・・本当によろしいのですか?」

「・・・やりなさい。」

「・・・・・わかりました。」

 

最初は木場君だ。

彼は手に竹刀を持っている。

・・・どれほどの物か。

 

「いつでもいいよ。」

 

僕は特に構えもせずに彼を促す。

そんな僕を見て心配そうにちらちらグレモリーさんを見ている。

彼女は何も言わずただ黙って頷くだけ。

彼は意を決したのかやっと切りかかってきた。

 

遅い。

僕を人間だと思ってゆっくりしてくれているのだろうか?

これはちょっと力を見せた方がいいな。

 

そう判断してすぐに行動に移す。

上から切りかかって来た所をすれ違うように避け、避ける間際に竹刀を持った彼の手を掴み彼の力を利用して優しく投げた。

ふわっと浮かんだ彼はすとんと背中から落ちる。

力は調整したから痛みはないはずだ。

何が起きたのかわかっていない彼に僕は告げる。

 

「これは実力を見る物だからね。

 本気で来てくれなきゃ困るよ。」

 

残っているグレモリー眷属は全員唖然としている。

ただの人間がいとも簡単に悪魔を投げ飛ばしたのだ。

目の前の光景が信じられなかった。

 

我に返った木場君はすぐに立ち上がり頭を下げる。

 

「すみませんでした。

 もう一本お願いします。」

 

黙って頷き、続きを促す。

すると木場は先程とは比べ物にならない速さで切り込んでくる。

まぁそれでも僕にとっては遅いけどね。

さっきみたいにすぐに投げる様な事はせず、丁寧に避けながら観察する。

そんな僕に木場君はさらに驚愕する。

恐らく全力であろう自慢の速さを余裕で避けられているんだ、仕方がない。

基礎は出来ているけどまだまだ粗い。

だから剣にきちんと力が乗らない。

もうわかったのでさっきと同じように投げて終わりにする。

 

「もういいよ、お疲れ様。

 後は君の神器を見せてくれるかな?」

 

さっきみたいに呆然としている彼に声を掛けるとやっと起き上がってくれた。

そして何もない所から一本の剣を作ってくれた。

これが彼の神器『魔剣創造(ソード・バース)』。

何でも様々な魔剣が作れる神器だそうだ。

でも・・・。

 

僕は作ってもらった剣の先を掴む。

少し力を入れると、

 

パキッ!!

 

折れてしまった。

 

「・・・えっ。」

 

またしても呆然としてしまう木場君。

うん、大方予想通りだね。

僕はエリカさんの方に目を向ける。

 

「じゃあ、後はよろしくお願いします。

 最初のメニューで大丈夫だと思います。

 足りないと思ったら、エリカさんの判断で自由にしてください。」

「わかったわ。」

 

僕は木場君に向き直る。

 

「木場祐斗君。

 君の事はエリカさんに頼んであります。

 彼女は僕の騎士です。

 まぁ、悪魔の騎士とは違いますけど・・・。

 それでも剣の腕は一流です。

 そして君にはとても才能がある。

 ・・・道を誤らないで。」

 

僕は彼の背中を押しエリカさんの方へやる。

 

「ほら行くわよ。」

 

さっさと歩きだすエリカさんに困惑しながら付いて行き森の中へ消えていく二人だった。

僕は次に移る。

 

「次はリアス・グレモリーさんと姫島 朱乃さん。」

 

彼女達の方を見ると未だ唖然としていた。

 

「リアス、呼ばれていますよ。」

「はっ!!

 ご、ごめんなさい。」

 

ソーナさんの呼びかけに我に返り、こちらに二人で寄ってくる。

 

「あ、あなた何者なの?」

「とても人間とは思えませんね。」

 

そばに来るなりそんな事を言われてしまった。

気にしない。

 

「あなた達二人はあの木に向かって何でもいいので魔法を放ってください。」

「・・・わかったわ。

 朱乃。」

「はい、まずは私から。」

 

前に進み出た姫島さんは手を前にやる。

するとそこから魔力が溢れ始め、それは次第に電気を帯びていく。

彼女は雷の魔法を得意としていると聞いた。

威力はまずまずだね。

結果を言うと木の一部が消し飛んで周囲を巻き込みながら倒れた。

 

「次はグレモリーさんね。」

「わかったわ。」

 

次はグレモリーさんが歩み出る。

彼女も同じく、手を前に出し魔力を込める。

姫島さんと違うのは魔力が禍々しく変化していっている所だ。

彼女の力はバアル家に代々伝わる「滅びの力」。

触れた対象を滅ぼすといわれる強力な力だ。

放たれたそれは同じく木に当たりその部分だけ消失して倒れた。

 

2人の魔法を見て満足した。

 

「アーシア・アルジェントさんも来てくれますか。」

「は、はい。」

 

様子を見守っていたアルジェントさんも呼び彼女達に声を掛ける。

 

「なかなかの威力です。

 ですがまだまだです。」

 

さすがにカチンと来たのか青筋を浮かべながら迫って来るグレモリーさん。

姫島さんも笑顔だけどどこか怖い。

アルジェントさんはおろおろしている。

・・・癒されるな。

 

「どういう事かしら?」

「それについても・・・馨さん。」

 

そんな彼女達を無視して馨さんを呼ぶ。

 

「彼女は沙耶宮馨さん。

 何でもできるオールラウンダーな人です。

 ですから魔力の使い方も達人級です。

 あなた達は彼女から教えてもらってください。

 あなた達が学ぶべき事は多いですよ。」

 

僕の言葉が気に食わないみたいだけど流す。

 

「後今日は馨さんとの特訓ですけど、グレモリーさんとアルジェントさんは明日から別メニューが入ります。」

「別メニューですか?」

 

アルジェントさんが首を傾けて聞いてくる。

・・・ホント癒されるな。

 

「はい。

 詳しい事は食事の時にでも話しますから、今日は馨さんの指示に従ってください。

 それではお願いします。」

「それじゃあ行こうか。」

 

しぶしぶ付いて行く二人と不安そうなアルジェントさん。

そんな二人を見送り残った二人に目を向ける。

 

「お待たせしました。

 兵藤 一誠君。

 次は君の番です。」

「は、はい、よろしくお願いします。」

 

元気がいいな。

好印象だ。

 

「まず兵藤君は自分の神器の特徴を理解していますか。」

「はい、自分の神器の能力は力の倍加です。」

「その通りです。

 力の倍加・・・・つまり元々持つ自分の力が倍になるんです。

 でも君の元々の力が低すぎる。」

 

僕のはっきりとした指摘にショックを隠せない兵藤君。

それを見かねた塔城さんが、

 

「・・・・・さすがにそこまで言わなくても。」

 

とフォローしてくる。

自分でもきつい事言っているのはわかっている。

それでも・・・。

 

「ですがそれが事実です。

 兵藤君、君が最近悪魔になった事は聞いています。

 そんな君だからこそ、今回の戦いでは君が鍵になると思っています。」

「・・・お、俺がですか。」

「そうです。

 弱い者ほどその成長スピードはけた外れです。

 後は君の努力次第です。」

「・・・ほ、本当ですか?

 ・・・こんな俺でも部長の力になれますか?」

「なれますよ。

 僕は出来ると信じています。」

「お、俺頑張ります。

 絶対に足手纏いにはなりたくありません。」

 

そんな彼の強い意志に頷きメニューを言い渡す。

 

「君の今日のメニューはとにかく走り回る事です。」

「「・・・は?」」

 

塔城さんにも言われてしまった。

 

「これにはちゃんと意味があります。

 ここは幸いにも山の中ですから、起伏の激しい場所です。

 そう言った所を走るのは全身を鍛えるのには持ってこいなんです。」

「・・・は、はぁ。」

「とりあえず今日は立ち止まらずに走り続けてください。

 立ち止まったら・・・。」

 

僕はそう言って指から小さな氣を出す。

これには権能の力を込めてある。

その氣からバチッと音がしたかと思うと先程の姫島さんと同じ位の電撃が放たれた。

その電撃が彼の近くに落ちた。

ゾッとしている彼が恐る恐る僕の方を見る。

 

「立ち止まったり、スピードが遅くなったりするとさっきの電撃が襲ってきますよ。

 今日の所はそこまで早い設定にはしていませんから、周りを確認しながら走ってください。

 ただし明日からはそんな余裕が無い位きつくするつもりです。

 それじゃあ始めましょうか。」

「ち、ちょっと待っ・・・。」

 

動揺している彼を横目に宣言する。

 

「スタート!!」

「ぎゃああぁぁぁぁ~~~。」

 

兵藤君は叫びながら走り去っていった。

そんな彼を見送りながら最後の一人に向き直る。

 

「さて最後になりましたが塔城 小猫さん。

 僕達も始めましょう。」

「・・・・・よろしくお願いします。」

 

彼女は小さく頭を下げてくる。

小さい体ながらも戦車という特性を併せ持つ彼女。

・・・彼女が。

 

「・・・始める前に一ついいですか?」

「・・・・・なんですか?」

 

不思議そうにこちらに目をやる塔城さん。

そんな彼女に僕は意を決して話す。

全てを台無しにするかもしれない事を。

 

「・・・お姉さんに・・・・・黒歌さんに会いたくはありませんか?

 塔城 小猫さん・・・・いや白音さん。」

 

その時彼女から表情が消えた。

 

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