リプリケーション演繰者が異世界に来たようですよ   作:月球儀

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本格的に授業が始まってきました。


内容がハンパなくて泣きそうです。


第七話 白夜叉

「おんしらが望むのは、試練への“挑戦”か? それとも対等な“決闘”か?」

 

しばらくの間、驚きで動くことができなかった。

 

 

「はっ、参った。やられたよ。今回は黙って試されてやるよ」

 

「私も試されてあげてもいいわ」

 

「・・・以下同文」

 

「よかろう」

 

 

白夜叉は満足そうに微笑んだ。

 

 

「して、おんしはどうする?」

 

「・・・お前、なにもんだ? 俺と似たような感じがする・・・」

 

 

白夜叉は大きく目を見開いた

 

 

「ほう、やはりおんしもか。その問いの答えはこの挑戦を受けることだ」

 

「上等」

 

 

かつてないやる気に満ち溢れている悠に、みんな少し身震いをした。

 

 

「それでは、ゲームに移ろうか。おんしたちにはあれの相手をしてもらう」

 

 

山の向こうから鷲の翼と獅子の体を持つ獣、耀が歓喜の籠った声を上げる。

 

 

「あれは・・・グリフォン!」

 

「如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。“力”と“知恵”と“勇気”の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

 

すると、十六夜の手元に一枚の輝く羊皮紙が現れる。

 

 

 

 

『ギフトゲーム名 “鷲獅子の手綱”

 

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

 

 ・クリア条件

   グリフォンの背に跨またがり、湖畔を舞う。

 

 ・クリア方法

   “力”“知恵”“勇気”の何れかで

   グリフォンに認められる。

 

 ・敗北条件

   降参か、プレイヤーが上記の勝利条件

   を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホスト

    マスターの名の下、ギフトゲームを

    開催します。

         “サウザンドアイズ”印』

 

 

「さて、だれがやる?」

 

「私がやる」

 

耀が挙手した。

 

 

 

******

 

 

結論、耀の勝ち。

グリフォンのギフトを手に入れたそうだ。

 

「さて、次はおんしの番じゃ。 まずはおんしの問に答えよう」

 

白夜叉の手元のギフトカードが光る。

そして、影から禍々しい機械が出てきた。

悠は右目が、赤く染まって、口を三日月に曲げている。

 

「そうゆうことか・・・」

 

「そうゆうことじゃ。こいつは‟鋼”じゃ」

 

すると、悠の前に羊皮紙が出てきた。

 

 

『ギフトゲーム名 ‟白夜での鬼ごっこ”

 

・プレイヤー一覧 綾木 悠

 

・クリア方法

   プレイヤーが追い手、ホストが逃げ手

 

・クリア条件

   プレイヤーがホストに触れる。

 

・敗北条件

   降参か、プレイヤーが上記の勝利条件

  を満たせなくなった場合。

 

・宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホスト

    マスターの名の下、ギフトゲームを

    開催します。

         “サウザンドアイズ”印』

 

 

 

******

 

「では、始めるとするかの。合図はよろしく黒ウサギ」

 

「では、よーい・・・ドン」

 

黒ウサギが合図を出した瞬間、悠の影が伸びる

 

 

「暁、鋼を抑え込め! 機動力(シフト) (ゾルフ) 二倍(ダブル)

 

 

暁を覆い囲む赤いドーム。

機械とは思えないスピードで飛び込んでいき、鋼を抑え込んだ。

白夜叉が驚いた顔をした。

 

「ほう、それが、魔人の力か。」

 

「これは俺の能力だ。こいつには何もない!」

 

「なにもないわけあるか! 魔人には何かしらの能力が備わっている」

 

「何もない、先代もなにもなく死んでいった」

 

 

悠は説明しながら、白夜叉を追尾している。

もっとも白夜叉は、この間隔を一定している。

 

(まだ、余裕そうだな。クソ!)

 

だが、このまましてても、永遠に続くだけだ。

暁のほうは。

まだ、抑え込めてい・・・ !!

なんだ、あれは?手から漆黒の球が形成されている。

それを、暁の後ろに投げる。

 

 

「まずい、暁。逃げろ!!」

 

 

暁は無事に回避した。

悠は念のため機動力(シフト)を付けたことに安堵した。

驚きを隠せていない悠に白夜叉は笑う。

 

 

「だから、言ったじゃろ。『何かしらの能力がある』と」

 

 

万事窮す。か、仕方ない

 

 

(暁 合図したら 俺のとこに来い)

 

機動力(シフト) 三倍(トリプル)

 

「ほう、まだあがるのか」

 

 

悠は、無暗に追いかけるのを止めた。

フットワークを使い少しづつタイミングをずらす。

そして、悠が叫ぶ。

 

 

「暁!!」

 

 

暁が飛び込んできた。そして、暁の影に隠れたとき

白夜叉の後ろをとる。

 

 

(取った!!)

 

 

勝利を確信した瞬間、空間がさけた。

その狭間から腕が伸びる。

そして、悠が鋼に触れた瞬間。

 

 

 

―――――――プツン・・・

 

 

 

          ◆

 

 

 

 

 

「・・・ここは?」

 

 

悠が目を開けると、和室の天井、白夜叉の部屋のようだ。

周りにはみんながいる。

悠は、少しづつ起き上がる。

 

 

「ゆ、悠のばかぁぁ!! すっごく心配したんだからねぇ!」

 

「おれ、どうなったんだ?」

 

 

悠の胸で泣き叫ぶ暁を慰めつつ

その問いに黒ウサギは、答えた。

 

 

「悠さんが白夜叉様の魔人に触ったとき、倒れこんだのです。一体どうしたんですか? それに白夜叉様もなぜそんな魔人を持っていたのですか!」

 

「いや、おれは、さっぱり」

 

「ふむ、まあ、答えようか。おんしも、なんか滾ってからの。

あれは、東の森の奥深くに落ちてたったのじゃ。ボロボロじゃったからの

修理しようと持って帰ったのじゃ、調べたが全くわからなかった。わかったのは何かしらの能力を持っているということじゃ」

 

「んで? 勝負の続きは?」

 

「勝利条件を満たせなくなってしまったからの。おんしの負けじゃ」

 

「そうか・・・」

 

 

もともと負けず嫌いの悠だ。ショックは大きいだろう。

 

 

「それは、さておきおんしらには褒美をやらんとな」

 

 

白夜叉が柏手を打つ

悠たちの前に輝くカードが出現する。

 

 

 

 コバルトブルーのカードに逆廻十六夜

 ギフトネーム “正体不明(コード・アンノウン)

 

 ワインレッドのカードに久遠飛鳥

 ギフトネーム “威光(いこう)

 

 パールエメラルドのカードに春日部耀

 ギフトネーム “生命の目録(ゲノム・ツリー)

        “ノーフォーマー”

 

 ダークスレートグレイのカードに綾木悠

 ギフトネーム ‟機巧魔神(アスラ・マキーナ) 暁”

        ‟ギア”

        ‟リプリケーション”

 

 

黒ウサギが驚き、興奮したような顔で叫んだ。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「ギフトカードね・・・」

 

「ち、違います。皆さんいきぴったしすぎです。 悠さんがあっているので逆につっこにみくいです!このギフトカードは顕現しているギフトを収納可能で、それも好きな時に再顕現させることの出来る超高価なカードなのですよ!」

 

「つまり、素敵アイテムでってことでオーケーか?」

 

「あーもーそうです、 素敵アイテムなんです!」

 

 

投げやりになった黒ウサギ

 

 

「なんで、負けた俺まで?」

 

「なに、久々に楽しかったから、その礼じゃ」

 

「釣り合ってないと思うんだが・・・」

 

「わしがいいと言ったらいいのじゃ!」

 

可愛らしい声でさけんだ白夜叉

しかしすぐにコホンと咳払いをして説明した。

 

 

「そのギフトカードとは、正式名称を“ラプラスの紙片”──即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとは、おんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定は出来ずとも、それを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へえ? じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

「身に覚えのないものがある」

 

 

ん? と白夜叉が十六夜のギフトゲームを覗き込む。

 

 

「・・・・そんな馬鹿な」

 

 

パシッと白夜叉はギフトカードを奪い取る。

 

 

「‟正体不明”だと・・・いいやありえん。全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺はこの方がありがたいさ」

 

 

しかし白夜叉は未だ納得できていないのか、探るような視線を二人を向けていた。

 

(ギフトを無効化した……? いや、まさかな)

 

 

「して、おんしは?」

 

 

悠は、ギフトカードを見せる。

それにつられ十六夜たちも見る。

 

 

「はっ こりゃまたすっげーギフトだな」

 

「そうなんだよなあ、replication 訳して オリジナルでないコピー

でも、まったく、わからん」

 

「まさか・・・お、おんし!ちょっと。あれをだせ!」

 

「出すって何を?」

 

「機巧魔人じゃ 早く!」

 

「こんなところじゃ 潰れちまうぞ」

 

「あー、そうだったー」

 

 

裾からカードを取り出し、ゲーム盤へと向かった。

 

 

「暁」

 

「おんし、わしが鋼でやった。重力操作を、イメージしてやれ。」

 

「えーと、たしか・・・」

 

 

あの、勝負を思い出す。手のひらから漆黒の球が出てたやつだな。

悠と連動して暁が左手に集中させる。

すると、白夜叉とは色が違うが、重力玉が形成された。

 

 

「え? できた・・・なんで?」

 

「それは、この、機巧魔人の能力じゃな、でもただ使えるもんじゃなさそうじゃな」

 

「どうゆうこと?」

 

「つまり、優れた観察眼とその情報を支える脳が必要ってことじゃな」

 

 

まだ、納得できてないが、少しずつ理解していこう。

 

 

「って、もしかして、俺が倒れたのって・・・」

 

「そうじゃろな、鋼は物凄い量の情報があったのだろう。それで頭がショートしたのだろう」

 

「よかったー、な、暁」

 

 

暁は気まずそうに目をそらす。

やがて、ゲーム盤から元の世界に戻り、暖簾の下げられた店の前から出て、お礼を言った。

 

「今日はどうもありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

 

「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦する時は対等な条件で挑むのだもの」

 

「ああ。吐いた唾を呑み込むなんて、恰好付かねえからな。次は懇親の大舞台で挑むぜ」

 

「リベンジは果たしに来るぜ?」

 

「ふふ、よかろう。楽しみにしている。……ところで」

 

 白夜叉はスッと真剣な顔で悠達を見る。

 

「今更だが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは黒ウサギ達のコミュニティの現状を把握はあくしているのか?」

 

「あん? ああ、名前とか旗とかの話か? それなら聞いたぜ」

 

「ならそれを取り戻すために、“魔王”と戦わねばならんことも?」

 

「勿論だ。全てを承知した上で、俺達は黒ウサギ達に協力することにした」

 

「そうか。・・・ふむ、黒ウサギは良き同士と巡り会えたようだの」

 

 

白夜叉は優しげな笑みを黒ウサギに向けたが、一転して厳しい表情になる。

 

 

「じゃが、だからこそ言っておく。仮に今後、おんしらが魔王と一戦交える事があるとすれば・・・そこの娘二人は確実に死ぬぞ」

 

 

 咄嗟に言い返そうとする飛鳥と耀だったが、白夜叉の放つ有無を言わせない威圧感に押し黙る。

 

 

「・・・ご忠告ありがと。肝に命じておくわ」

 

 

 白夜叉はそれだけを伝えると、再び柔和な笑みに戻った。

 

 

「うむ、くれぐれも用心するようにな。私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来るといい」

 

 

そうして、サウザンドアイズを後にした。

 

 




またもや

寒くなってきた。

いい加減にしろ天気!!

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