国立アースガルド魔法学園 ~unknown solders~ 作:エア_
「帰りもやられるとは・・・・・・不覚でした」
「御疲れさん。ガレット」
「あぁ、陸がいつもより優しい」
その日の昼、始業式だった為、俺はガレットと帰り道を進んでいた。
ガレットは帰りも親衛隊に捕まって、片っ端からボロボロにされてしまった。
「まぁ、帰ったらさっさと服変えろよ? 案外情けない姿だからな」
その姿は、まるで密林で虎と戦ったように見える。朝は授業の為自嘲したんだろう。まぁ、帰りは自嘲されてなかったけども
「・・・陸は言った通りE組になってしまいました。私の学校生活の半分が泡となり消えました」
「お前は詩人か何かを目指すのか? そうなら言ってくれよ。ガレットにゃ無理だ」
「辛辣!?」
思った事をズバッというとガレットの顔が一瞬劇画タッチに見えた。見えたかと思うとため息をついてトボトボと歩く。
・・・はぁ、仕方ない。俺の性分じゃないんだけど
「ま、結局は学園内に居るんだ。会えない事はないだろ? だから調子戻せ」
俺は少しだけ頭を撫でた。ほんの少しだけ。チョンッ、サスリ、ってな具合である。
「・・・そこは落ち着くまで撫でてくれたって良いじゃないですか」
「なんか言ったか? ガレット」
「い、いいえ! ななな、何もアリマセンヨ?」
何故か片言に話すガレット・・・本当にどうしたんだろうか?
・・・まぁ、いいか
「それよりも今日はカードの訓練をするから、手伝ってくれよ?」
「(それよりって、本当に自信が無いです)はい、わかりました」
少し間があったように思えたが、別にいいやと自己完結させ大和邸・・・つまり自分の家に向かって歩いた。
「それにしても、武蔵さんまでもが、E組ですか、余程今回の試験は判定が厳しかったんですね」
「・・・いや、あいつは開始5分で寝やがった」
武蔵 志郎・・・あんな奴だが、成績は非常によくカードも得意・・・更には顔もいいという『天はあいつにだけ二物も三物も与えやがった』を体現した男である
「彼のカードはスタイルはアビリティー、フォルムは武器でタイプは土でしたね」
「・・・えっと、それなんだっけ?」
そう言うと、プルプルと身体を揺らすガレット
「・・・はぁ、まったく・・・・・・いいですか? これは一年生の最初の授業で習ったものでちゃんと覚えるよう言われたはずです。」
行き成り眼鏡をかけ、白衣を身に纏ったガレットはコホンと咳払いを一度し続けた。
「カードにはさまざまな種類があります。先ずは大きく分けて二つ。これを二天性(スタイル)といいます。それに該当するのが、
効果性(アビリティー)、それと、
援護性(サポーター)です。
生徒のほとんどは前者である効果性(アビリティー)を所持しています。もちろん、陸も私も武蔵さんも効果性(アビリティー)です。
続いて、三つに分けることが出来ます。これを型(フォルム)といいます。それに該当するのは、
文字(スペル)
武器(ギア)
従属(サーヴァント)の三つです。
武蔵さんの場合は武器に該当しますね。
最後には属性(タイプ)です。これはいろいろと種類がありますが。
基本は、火、水、風、土、雷、氷、光、闇、英雄、龍、獣、加護の十三種類です。
つまり、武蔵さんは二天性(スタイル)は効果性(アビリティー)、型(フォルム)は武器(ギア)、属性(タイプ)は土(アース)となります」
「おぉう、すげぇ説明口調だ。でも理解できた。サンキュ」
「いえいえ、私は陸の役に立てたのならそれでいいですよ」
と言って見るからに威張るガレット。その顔はとても得意気だった。
「あ、あとレベルと言うのは覚えてますか?」
「あぁ、それは覚えてる・・・あと俺が学園始まって以来の最低レベルだってことも」
レベルとは、その名の通り、カードの強さを表す。
レベルは1から10まで存在し、レベル0は一般人を表し、レベル11以上はありえない。そんななか、俺はレベル2・・・目茶苦茶に弱い。
まぁ、だからE組なんだけどな。
「大丈夫ですよ。レベルと言うのであるのならば、レベルアップは出来ます! 日々精進です!」
「だから訓練手伝ってくれって言ったんだが」
「そうでした。お供します」
「頼むぜっとぉ、ついたな。」
ガチャリ、とドアの鍵を開け取っ手を引く
「ただい「あにぃいいいいいいいいいいいいいい!!」へぶぅ!?」
腹部に衝撃が走った。
・・・・・・それはまるでマグナムで打たれた感じだ。
・・・・・・それはまるでボクシングチャンプにフェイントでボディにクリティカルブローを入れられた感覚だ。
その元凶はいまも俺の腹の上にある
「おかえんなさい♪ あにぃ♪」
淡い茶髪のロングヘアーの中学生、我が妹の大和 奈々がそこにいた。
◆□◆□
「あ、あぁ、ただいまだ。奈々」
「えへへ~、あにぃ遅いぞ? あ、ガレ姉もおかえんなさ~い」
今度はガレットに飛びつく茶髪のロングヘアーな妹の奈々
・・・この妹、十度の甘えん坊なのだ。
小さい頃、寂しいそうにしているのに気が付き、ガレットと共に愛情を注いだ。
・・・・・・よく考えたら注ぎすぎたかもしれないと思っている。
とある友人の男子生徒には妹がいるが、彼が言うには俺の家の妹が特異らしく、基本男兄弟には容赦ない辛辣な言葉で罵り、嘲嗤うのだという。まぁそんな事言われたって、分からない為いまだに疑問だが・・・
とにかく、うちの妹は重度の甘えん坊だ
「フフッ、はい、ただいま。奈々」
ガレットも最初は途惑っていたが、すぐに慣れてしまい、今ではこうやって普通に接している。
・・・まぁ、俺も小さい頃ならよかった。しかし残念ながら俺はもう高校生で、奈々は中学3年だ。さらにはこの妹もプロポーションがいい。最近の中学生は発育がおかしいと思う。
「あにぃ、今日はオムライスだって! 楽しみだね!」
「お、おう、楽しみだな」
家族では特に俺とガレットに懐いており、甘えてくる奈々は会話のときは決まって抱きついてくる。両親が言うには、そんな事をするのは俺とガレットの二人だけらしい。親父は羨ましいと叫びながら血涙ながしてた。
しかし、兄としては嬉しいのやら如何なのやら。
「ほら早く入ろう? ご飯が食べられちゃう」
グイグイと引っ張ってくる妹に苦笑しながら、俺たちは家の中に入った。
◆□◆□
昼食をとった後、俺は二人と共に、家の裏にある道場に入った。ちなみにオムライスは非常に美味しかった。
そこはただの道場ではなく、魔法戦を考慮された設計で作られた。【魔法戦用道場】なのである。
「では陸、カードを」
ガレットはそういうと、何も無いところからパッとカードを召喚した。
「カード・・・スタート!」
ガレットが叫ぶとカードが蒼白く輝き始める
『Ready』
それに答えるようにカードは音声を発声させた。
「星、体現せし我が
―――詠唱―――
魔法を行使する際に行なわれる口頭呪文で、一般的に生徒はこれを行いカードを行使する。
ここにも、レベルが関係しており、レベルが高ければ高いほど口答する文が長くなる。ガレットはレベル8なのだ。・・・十分すぎる高さだ
「万物照らす光と成れ! エクスカリバー!!」
『Excalliber reign』
光は強さを増す、元凶はその中心で魔力を発散させた。
そして、そのカードは、
「すっごーい」
「・・・・・・これが」
一振りの輝きを放つ剣に変わっていた。
「エクスカリバー、召喚確認」
『Get ready』
その剣は形こそ何処でもありそうだ、だがその剣の放つ光は紛れも無く特別であることを証明するシロモノであった。
「・・・陸、どうですか?」
「・・・・・・結論から言うぞ・・・・・・目茶苦茶に綺麗だ」
その立ち振る舞いは正しく騎士その黄金色に輝く剣の切っ先をこちらに向け構えた。
「では陸、貴方もお願いします。」
「・・・わかった」
胸に右手をかざし、
「カード・スタート!」
『Ready』
「照らせ、我が光よ! ソル!」
『Sowilo reign』
その右手にカードが現れ、淡い黄色の光を放つ。
『get ready』
「ソル、召喚確認」
「おー、あにぃもすんごいねぇ」
奈々も目を輝かせ、こちらを覗き込むように見つめてきた。
・・・とはいっても、ガレットのエクスかリバーの後じゃ迫力不足だろうに、この子は本当にいい子だよ。純粋過ぎて将来が心配だ。
「いや、それしか出来ないんだけどさ、レベル2如きじゃ」
もっと出来たらいいんだけど、せめて火球即連射とか、劫火球とかさ、そんな感じのがあってもいいと思うんだけど。
「では、魔力練成からですね。体内に貯蔵されている魔力量を一時的に枯渇させます」
「その反動を利用するんだな」
「はい、その反動で貯蔵量を大きく出来ます。
次に火球を創っては壊しを続けます。そのときは同じ大きさでも少し魔力を少なくしていきます。威力も同等のものにしなければなりません」
たしかに、同じ強さじゃなきゃ創る意味がないな。
「これは前例がありますので安心しましょう」
「わかった」
「最後ですが、その火球を私に撃ってください。その時は逆に大きさを増幅させながら魔力量は同じ量です。その繰り返しですね」
という訳で、実際にやってみることになった。
「練成・・・開始」
『Start up』
右手に光が集まる。中央の光は淡い白色の球体にかわり、その周りを赤い光が包み少しずつ大きくなる。初めはソフトボールほどだったが、気がつけばミラーボールほどになった。
「はい、なかなかに大きくなりましたね」
「おう・・・・・・でもこれ、滅茶苦茶にきつい」
精神力を削ぐとはこのことをいうのだろう。
まず、火をイメージした状態から球体を作るイメージして、さらには放出するイメージ、そしてその球体維持のために必要な力加減・・・・・・まさに苦行である。
唯一の救いはこの擬似火の玉が自分に対してダメージを与えないことである。
「頑張ってください。何事も最初が肝心ですよ。『千キロの道も一歩から』ということわざ道理です」
何処の世界で千キロも歩かなくてはならないのだろうか。多分千里(多分4キロ)だと思うんだけど。
「がんばれー、あにぃ―♪」
そんな中、奈々は近くにあったベンチに座り此方に手を振っていた。
・・・・・・俄然やる気が出てきた。だからと言って俺はシスコンではない・・・はずだ。
◆□◆□
黒髪の少年、陸はそのあとも何個も創り上げた火の玉を壊してはつくりを繰り返し、質量を変えたり、見掛けの要領を上げてみせたりとし、少しずつだが体内貯蔵魔力量を底上げした。この工程をやり終えるころには終に疲れ果てて、その場で寝てしまうほどだ。
陸の妹、奈々もこくりこくりと舟をこぎはじめたため、ガレットは彼女を起こし、陸を負ぶって二人仲良く部屋へと戻った。流石にそのまま寝かせるわけには行かないので、ガレットは何とか陸を起こしシャワーを浴びたらと聞いたところ、ふらふらしながら浴室に入っていった。
まぁしかし、ガレットは眼を覚まして欲しいからという(本当は朝の仕返しの為)サプライズの為、
―――シャワーからは冷たい水しか出ない仕様にしてあった―――
『んぎゃぁああああああああああああああああああああ!?!?』
浴室方面から哀れな叫び声が聞こえた。その叫び声を聞いてガレットは噴出しそうになるが、我慢して陸を待った。
ドドドドドッと廊下をかける音が響いた。多分陸が何かいいたいのだろう
「ちょっとこれは如何いうことなんですかなぁ? ガレットさん」
額にシャープのように器用に血管を浮かばせている米神をひくつかせる陸の姿がそこにあった。
「はて、何のことプフッ」
「白々しっていうかお前さん隠す気ないだろ!! マジ心臓に悪いんだぞ? 俺を殺すきか!!」
「はっ、人間がそんなやわなつくりしていると思ってるんですか!!」
「逆切れ!? ねぇそれって所謂逆切れ!?」
「まったく、人間なめないでください!」
「いやいや、それは今問題じゃないんですけど!!」
「何を言うと思いきや、人間否定の後はなんです? 生命否定ですか?」
「スケールでけぇな! 俺はどこぞの否定家だよ!!」
「そんな面倒臭いことは政治家に任せて、陸もそろそろ寝ましょう」
私はもう眠たいです。と欠伸をするガレットを見てうつってしまった陸はそれもそうだな。といって自分の部屋に戻った
「・・・ふっ、私の勝ちだ」
少女は一人不敵に笑うと、仕返し終了と呟いて自分の部屋に戻るのであった。
この二人、なんやかんや言っても仲良しであった。