セブン=フォートレス メビウス ジーンの軌跡   作:真戒

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遅くなってすいません。いろいろ仕事とかが忙しくて更新遅れました。

誤字脱字ございましたらご指摘お願いします。




二話:出会い

ジーンは、小さなリュックにフレイスからフォーラ地方までの地図。食料を入れ、手早く準備を済ませる。師匠からの教えで、旅に出るときは最低限の物のみ持って行くことを教えられたからだ。

 

それはこの世界には冥魔という脅威もあるが、原生しているクリーチャーも盗賊も脅威になる。いつ自分が襲われるか解らない故、動きやすくするために出来るだけ軽くしておく必要があるからだ。

          

「これだけ食料があれば大分持つことだろう。」

    

自分が入れたものを確認するとジーンは、リュックを背負い玄関へと向かった。

 

ふと玄関の棚に飾ってある絵が目に入る。木の板に『かおる さんへ』と歪な文字が木炭で書かれており、其の下には、にこやかに笑う師匠と自分が描かれている絵がある。大きくなるに連れて気にしなくなって見なかった絵であったが、今見てみると新鮮さと懐かしい気持ちが込み上げてくる。  

 

その絵を手に取るジーン。

 

「行ってきます。師匠。」

 

そう絵の中の師匠に告げ、ジーンは玄関の扉を開いた。天気は曇天。灰色の雲が一重にも二重にも重なった八雲は、征く末が辛く困難な旅であることを暗示しているようだった。

 

・・・・・・。

・・・・。   

・・・。 

 

フォーラ地方は森林地帯故に木の実などを好む野生の動物がたくさん生息している。上を見上げれば枝から枝へ飛び移るリスや囀る小鳥達が容易に観察できるほどだ。鹿や熊などの大型生物も森の中を歩いているとはち合わせることだってある。そんな緑豊かな森の中を歩いていた。

 

「金目の物だせよ。」

 

「・・・。」      

 

「おい、こいつ何もしゃべんないぜ。フィリップ、盗っちまおうぜ。」

 

道の真中に紅いバンダナをし、金色のツンツンヘアーの短髪の17歳の男と見るからに柄の悪い男に挟まれた黒いローブに身を包み深くフードを被ってドクロの仮面を付けた18歳?くらいの青年がいるのが見える。青年を挟んでいるのは盗賊のようだ。

 

「待て。」

 

ジーンは、ゆっくりと三人に近づく。ジーンに気付いた盗賊たちは、ジーンの方を向く。

 

「あぁん?んだてめえ、何ガンたれてんだ。」

 

「その人を解放してくれ。さもなくば、実力行使で介入させてもらう。」

 

ジーンは、盗賊たちに睨みを効かせながら、腰に差した刀に手を掛ける。

 

「おっと、その刀を抜けば…」

 

赤バンダナの盗賊がフードの青年を羽交い絞めにし、ナイフを首元に近づけ、もう一人の盗賊がジーンにじわりじわりと近づきながらナイフを抜き意を決して襲いかかる。

 

「死ね!!」

 

ジーンにナイフを突き立てようと突進する盗賊。そのナイフがジーンの身体に突き刺さったかと思われる瞬間。ジーンが右手で腰のベルトからダガーを瞬時に抜いて受け流す。ナイフとダガーが擦れ合い、火花を散らしながら盗賊のナイフは盗賊が向かうはずだった方向へ飛んでいく。ジーンはそのまま盗賊の背後に回りこみ、そのままエルボーを背中に向かって叩き込み、盗賊を吹き飛ばす。

 

「ぐあ!」

 

吹き飛ばされた盗賊が地面に倒れるのと同時に、放物線を描いて飛んでいったナイフが顔に刺さるスレスレの距離に落ちる。

 

「ひ、ひい!!」

 

「お、おい。大丈夫・・・か?」

 

その光景に動揺した赤バンダナの盗賊の隙を突いて持っていたダガーを盗賊の頬を刃が掠るギリギリを狙って投げる。投げられたダガーは横に回転運動を行いながら盗賊の頬を掠め、そのままピーンと木に刺さる。

 

「・・・へ?」

 

刃が掠ったところからタラリと血が垂れる。赤バンダナの盗賊は、きょとんとした顔で頬を触り、手についた血で自分の頬が出血していることを知る。

 

「ひゃ、ひゃあああ!俺の頬が・・・!俺の頬が・・・!」

 

甲高い悲鳴をあげて、ナイフを落としてその場に頬を抑えて蹲る赤バンダナの盗賊。ゆっくりとローブの下から刀を抜いて、首筋に突き付ける。

 

「勝負ありだ。」

 

冷ややかな眼差しを盗賊に向けるジーン。

 

「やめてくれ・・・。」

 

命乞いをする赤バンダナの盗賊。その仲間の声を聴いてもう一人の盗賊は叫ぶ。

 

「俺たち、くいもん最近食ってねえんだ!畑も冥魔にやられてなくなって!金が無きゃ食いモノも買えねえ・・・!だから、金目のモン欲しくて・・・。それだけなんだ!だから、フィリップを殺さないでくれえ」

 

その懇願を尻目に見たジーンは、溜息を付いて刀を鞘に納め、リュックの中の干し肉を蹲る赤バンダナの盗賊に二枚差し出す。

 

「ふう・・・。ほら此れもっていけ。」

 

「・・・な?!」

 

頬から血を流す赤バンダナの盗賊が、驚愕の表情を浮かべ震える手で二枚の干し肉を受け取る。

 

「飢えて苦しかったんだろう。だが最低限、人としてやってはならないことは護れ。」

 

「・・・ありがてえ・・・!ありがてえ・・・!!」

 

赤バンダナの盗賊は頬から血が出ているのを忘れ、涙を流しながら何度も礼を言った。垂れた雫は干し肉をポタリポタリと濡らした。

 

「仲間連れてどっか行け。次はない。」

 

少しぶっきらぼうに首を振ってさっさと行け。とジェスチャーする。

 

「ああ・・・。行こうぜ。ジョレス。」

 

「フィリップ・・・。生きててよかったぜ。地獄に仏ってのは本当にあるんだな。・・・頬の傷掠った程度だったのに動揺し過ぎだぜ!」

 

「お、おめえだって同様して泣き叫んでたろ・・・!」

 

「それは、お互い様ってえの・・・!」

 

そんな会話をしながら二人は二枚の干し肉を分けあい、幸せそうに笑いあいながら去っていった。

 

「世話の焼ける奴らだった。・・・こんな世界だ。救いがあったっていいだろうよ。すまなかったな。襲われている君には悪いことをしたと思っている。許してくれ。」

 

ジーンは、木に刺さったダガーを抜いて手の中でくるくる回しながら弄び、鞘にストンと納めて仮面の青年に問い掛ける。

 

「・・・。」

 

仮面の青年は、無言だ。

 

「・・・次は気をつけろ。ココらへんは治安が悪いからな。」

 

そう言うと、ジーンはフレイスへ向かって歩いて行った。その背中を見つめる仮面の青年は、一定の距離を維持したまま付いていく。

 

カサッカサッカサッカサッ

 

暫く歩いていると、違和感に気付くジーン。一人分の足音しかしないはずなのに、自分から少し離れた真後ろの場所から足音が聴こえてくる。振り向くとそこには――

 

「どうしたんだ。一緒の方向か。」

 

「フレイスへ向かうのだろう?僕もフレイスへ用事があってな。」

 

仮面の青年は、そう淡々とした口調でジーンの問いに答える。

 

「ふむ・・・。何故其のことを知っているんだ?」

 

「そう見えたから。」

 

仮面の青年の答えに、納得するジーン。

 

「なるほど。まあ、フレイスまでの旅、よければ一緒に行くか?」

 

ジーンの誘いに仮面の青年は、先ほどと変わらぬ淡々とした口調で答える。

 

「道のりは短くない。共にさせてもらおう。・・・そこまでは。」

 

その答えに、ジーンは微笑み右手を差し出し握手を求める。

 

「ジーン・アバンチュール・ライゴルフだ。よろしく。」

 

その握手には応じずにジーンの隣を通り過ぎる仮面の青年。通り過ぎ際――

 

 

 

 

 

「レルウィー・リヴェンだ。」

 

 

 

 

 

黄昏に染まる森の中で背中合わせの二人。

春の爽やかな薫りを乗せてグリューナの風がジーンとレルウィーの出会いを祝福するように優しく二人の頬を撫でた。

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