夜間飛行   作:おわる美砂

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夜間飛行~ダークメルヒェン・その4~

着地した仗助は、僅かにふらつきながら相手のほうへ向き直る。

相手に拳を叩き込んだのはいいものの、相手のヒレがその腕を切り付けていった。

押さえる手の間から、血がぽたぽたと零れ落ちる。

 

「ギィィ…。」

 

再び、それが手を高く掲げて狙いを定める。

仗助は、押さえる腕を放し、痛みに顔をしかめつつ相手と対峙した。

その時-…

 

「仗助…!?」

 

部屋の戸が開かれ、そこから縁が飛び出してきた。

先ほどのドアが壊れる音で目を覚ましたようだ。

 

「ばっ…来るな!縁!」

「で、でも…!!」

 

そのやり取りを見ていた、それは、顔を悲しげにぐしゃりと顰める。

そして-…

 

「ギィィィィ…!」

 

悲しげな響きを含んだ声を上げると、窓へ向かって猛スピードで動き、それを追いかけようとした仗助たちを振り切り、窓のガラスをすり抜けて、外へと消えていった。

 

「な…?」

「…逃げた、の…?」

「縁の能力を知らないから、不利だと思って逃げたのか…?」

「…あ!それより…腕…。」

「あぁ?これくらいへーきだっつの…とりあえず、戻ろうぜ…・」

 

■■■

 

次の日、敵スタンド思しきものに襲われたということを、仗助は承太郎に伝えた。

 

「…まだ目覚めたばかりなのかもしれないな…。」

「まだ、うまく扱えないってことっすか?」

「その可能性はあるだろうな…。」

 

仗助たちがそんな会話をしているころ、瑞希は自室で横たわっていた。

学校へ行く時間は当に過ぎている。

しかし、学校へ行く気力は皆無だった。

親には、体調が悪いから休むとだけ告げ、少しだけ朝食を食べて部屋に戻ってからは、一度も部屋から動けずにいた。

-昨日の夢は最悪だった。

あの男を…仗助を追い詰めたと思ったのに、寸でで出てきてしまった縁を見ると、どうしても体が動かなくなり、思わずその場を飛び出していた。

 

「あれは、現実…?」

 

実際、夢だとは思わなくなってきていた。

大体、仗助という男は名前と声は知っていても、姿は知らなかった。

なのに、夢の中ではその姿を見て、そしてそれが仗助だと認識していた。

 

「…いるの…?」

 

僅かに体を起こし、背後に目を向ける。

すると、壁際にあの黒い影のようなものがたたずんでいるのが分かった。

怖さは無い。

むしろ、安心した。

そして、理解した。

 

「あの子が言っていた力…『ダークメルヒェン』…それは…あなただったのね…。」

 

その呟きに答えるように、それは「ギィィ」と返事をした。

そして、瑞希は再び昨日の光景を思い出す。

もう少しで、勝てたかもしれない。

あのとき、縁さんが出てこなければ、勝機はあったかもしれない。

そう思うと、再び胸の中にどす黒い思いがこみ上げてくる。

それに呼応するように、ダークメルヒェンは黒く、そして大ききなっていく。

瑞希はゆらりと起き上がり、そっと部屋を出る。

父親は仕事だし、母親もパートに出ていて、家には瑞希しかいない。

それを確認すると、瑞希は家を出る。

その後ろを、ダークメルヒェンはゆっくりと付いていく…。

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