二人がそちらを向くと、長い黒髪と褐色の肌、そして煌びやかな衣装と装飾品に身を包んだ人物がこちらを見ていた。
思わず身を硬くする二人だったが、その人物はにこりと微笑んで軽く首を傾げて二人に声を掛ける。
「ドウシマシタ?小サナオ嬢サン達?」
「え、えっと……。」
「…アァ。」
その人物は、二人の後ろの戸を見て何か納得したように頷く。
「…スミマセン、私ノ責任デスネ。」
「「???」」
相手の言葉に、靖子と真衣は顔を見合わせる。
そんな二人の様子に苦笑を浮かべ、その人物は言葉を続ける。
「私二憑イテイル者ノ仕業デショウ……。」
「憑いている……?」
不意に、視界の隅に何かが写る。
それは、ものすごい速さで二人の周りを回った後、天井に上って消えた。
「……これって。」
「やっぱり…スタンド……?」
■■■
ローランと名乗ったその男性は、中東のとある国から来たと言う。
実家の決まりで、花嫁を見つけるまでは世界中を旅して回らなければならないらしく、その関係で日本にはやってきたのだと。
そう、ローランが語っている間、ローランのスタンドと思しきそれは天井をうろうろと歩き回り、靖子と真衣を見ては唸り声のような声を漏らす。
「あ、あの……。」
「彼ノ事デスカ?」
ローランは顔を上に向ける。
それはしばらく唸っていたが、ローランの顔が自分に向けられるとがさがさと音を立てて動き、天井の柱の陰に隠れた。
「彼ハ、私ガ幼イ頃カラ側ニイマシタ……。」
「…そうなんですか……。」
「貴方タチモ、不思議ナ「チカラ」ガアルデショウ?」
琥珀色の瞳で、ローランは靖子と真衣を見つめる。
全てを見透かすようなその視線に、靖子と真衣は顔を見合わせ、ふるっと体を震わせる。
「恐ラク、貴方タチノソノ力ニ警戒シテ、彼モ力ヲ強メタンデショウ……。」
「彼ハ臆病デスカラ」という間に、部屋がさらに広がっていくのを感じ、二人はお互いの手をぎゅっと握り合う。
「大丈夫デスヨ、彼ハソコマデ気性ガ……ン?」
不穏な空気を感じる。
ローランだけでなく、靖子と真衣もその空気を感じ、さらに強く手を握り合った。
―ギギギギギ…ッ!
立て付けの悪い扉を、無理やり開くような音が聞こえる。
それが、ローランのスタンドから発せられている声だということに気づくのに、そう時間は掛からなかった。
「ヤメ……!」
ローランがそう言い掛けたのと同時に、それは靖子たちに向かって飛び掛ってきた。
「っ…!!」
靖子は咄嗟にナイトアウトを出現させ、それを弾いた。