「…うん…あんまり、詳しいことはわかんなかったわ…。」
『ま、承太郎さんも調べてんだから大丈夫だろ。』
帰宅後、自分と羽月の調べたことを仗助に報告した縁。
しかし、縁も羽月が調べたようなことしか分からず、結局詳しいことは分からなかった。
「とりあえず、仗助はいくんでしょ?雪魅町に。」
『まーな…承太郎さんもそのうち来るらしいけどな。』
「そっか…んー、私も行きたいけどまだ時間取れないしなー…。」
『あ?なんで縁まで…。』
「仗助が心配だから?」
『あのな…。』
電話越しにそう会話をしていると、縁のところへ「メモリー」が戻ってきた。
「メモリー」は電話をしている縁を見ると、縁の背中を這い上がり、頭の上の定位置へ移動した。
「あー…メモリーが帰ってきたわ。」
『ん?…じゃあ、そろそろ寝るのか?』
「もしかしたら、何か持ってきたのかもしれないから…うん、そろそろ寝ようかな。」
『ま、とりあえず雪魅に行くときは連絡するわ。』
「わかった、おやすみー。」
『お休み。』
■■■
「!?」
夜中、縁は目を覚ました。
悪い夢を見たようで、汗が肌に纏わりつき、シーツもぬらしていた。
縁は起き上がると、ふらふらと浴室へと歩いていく。
頭の中には、今しがた見たばかりの夢の内容がぐるぐると回っていた。
-夢の中、縁は上空からそれを見つめていた。
見知らぬ少女…今朝見た少女とはまた違う、他の少女を見つめていた。
明るい金の髪をした少女…顔は見えないが、笑っている…そう感じた。
少女が、誰かの影を踏むと、その影は彼女によって奪われていく。
奪われた人間は、半狂乱で影を探すが、夕暮れ時が過ぎ、完全に夜が来ると、その人間は動かなくなった。
夢の中で、無邪気な笑い声が木霊していた-…
「…これも、何か関係があるの…?」
ぬるいシャワーを浴び、汗を洗い流した縁は小さく呟く。
先ほどの夢の中で聞いた笑い声を思い出し、縁は身震いをした。
体を拭いて寝室へ戻ると、ケータイのランプが点滅していた。
ベッドに腰掛け、ケータイを開く。
仗助からのメールが一通届いていた。
《今週中には雪魅に行くことになった》
短く、用件だけのメール。
いつもなら、仗助らしいと苦笑し、特に返信しない縁だが、そのときはすぐに返信した。
《私も行くわ》
すぐに返信が来る。
《起きてたのか?っていうか、大丈夫なのか?》
大丈夫かといえば、大丈夫ではないかもしれない。
しかし、縁はどうしても雪魅にいかなければならない気がしていた。
先ほどの夢が、縁をそうさせていた。
《大丈夫。どうしても、着いていきたいの》
今度は、少し返信が来るまでの間が開いた。
承太郎に、確認を取っているのかもしれない。
縁はそう思いながら、ケータイがメールを受信するのを待った。
15分ほどして、仗助からの返信が届く。
《分かった。詳しい日程は後で連絡する》
その返信に、縁は「ありがとう、お休み」とだけ返信すると、ベッドにもぐりこんだ。
興奮して眠れそうに無かったが、無理やり目を閉じる。
(…あれが本当に起こっている事なら、確かにスタンドが関係してる…。)
先ほどの光景が頭に浮かぶ。
背筋を這い上がるような悪寒に、縁はまた身震いした。
(…例え、調べてる子がジョースターとかDIOとかと関係なくても…スタンドで殺人が行われているなら…調べる必要があるよね…。)
頭の中でぐるぐる回る思いを考えているうちに、急激な眠気が襲ってきた。
縁はその眠気に身を任せ、眠りにつく。
その後、再び仗助からメールが来ているのにも気づかぬほどに、縁は深い眠りに落ちていった…。
―予感・完
次から雪魅に舞台が移ります。