夜間飛行   作:おわる美砂

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夜間飛行~上条靖子・その2~

靖子が始業式で倒れてから3日ほど経った日、雪魅駅に仗助と縁の姿があった。

もうすでに午後の4時を回っている。

 

「けっこーかかったわね……。」

「まー……小さい町だからなー。」

 

そういいながら、駅前を見渡す。

交通の拠点である東区であるためか、人通りは多い。

二人は、バスターミナルへ向かう。

 

「一応、調べたい子の住所は分かってんだな。」

「でもさ、直接はいけないよね……。」

「まーなぁ……。」

「仗助のときとは、状況が違うもんね~……。」

 

そんな会話をしていると、丁度目的のバスがバス停の前に停車した。

 

■■■

 

理科室の掃除を終え、靖子は教室に戻っていた。

今日は、理子が習い事のため一緒には帰れない。

先日、一人で下校してはいけないといわれたばかりだが、そこまで遠い場所じゃないしと、靖子は一人で帰ることにした。

勉強道具をしまうと、ランドセルを背負い、昇降口へ向かう。

そして、友人たちと別れて自宅への帰路に着いた。

 

「ただいまー…。」

 

家に着き、そう声を掛けるが返事が無い。

不思議に思い、靖子は台所へ向かう。

台所のテーブルの上に、母親からのメモが残されていた。

 

《ゆずちゃんの病院のついでに、お夕飯の買い物してきます。おやつは、冷蔵庫にカステラが入ってるので、手を洗ってから食べてね。 ママ》

 

ゆずとは、家で飼っている猫のことだ。

靖子が生まれる前から飼われているため、14歳にもなる老猫である。

近頃体調が優れないので、病院へよく行くようになっていた。

 

「ゆずちゃんの病院かぁ……。」

 

靖子はそう呟くと、ランドセルを部屋に置き、手洗いうがいを終えると、冷蔵庫からカステラの乗った皿を取り出した。

カステラを食べながら、保護者に渡すように言われたプリントのことを思い出した。

靖子はカステラを食べ終えると、皿を流しに置き、部屋に戻ってプリントを出そうとした。

しかし-…

 

「…あれ…?あれ?…わ、忘れてきちゃった…?」

 

ランドセルの中をひっくり返してプリントを探すが、そのプリントが出てこない。

どうやらランドセルに入れ忘れてしまったらしい。

時計に目をやると、そろそろ5時になる。

どうしようか悩んだが、「大切なお知らせなのでできるだけ今日中に渡してね」といわれたのを思い出し、靖子は立ち上がった。

母親がしたように、メモに《忘れ物、取りに行ってきます》と書き残し、台所のテーブルに載せておく。

靖子は車庫にしまってある自転車に跨ると、学校へ向かって漕ぎ出した。

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