靖子が始業式で倒れてから3日ほど経った日、雪魅駅に仗助と縁の姿があった。
もうすでに午後の4時を回っている。
「けっこーかかったわね……。」
「まー……小さい町だからなー。」
そういいながら、駅前を見渡す。
交通の拠点である東区であるためか、人通りは多い。
二人は、バスターミナルへ向かう。
「一応、調べたい子の住所は分かってんだな。」
「でもさ、直接はいけないよね……。」
「まーなぁ……。」
「仗助のときとは、状況が違うもんね~……。」
そんな会話をしていると、丁度目的のバスがバス停の前に停車した。
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理科室の掃除を終え、靖子は教室に戻っていた。
今日は、理子が習い事のため一緒には帰れない。
先日、一人で下校してはいけないといわれたばかりだが、そこまで遠い場所じゃないしと、靖子は一人で帰ることにした。
勉強道具をしまうと、ランドセルを背負い、昇降口へ向かう。
そして、友人たちと別れて自宅への帰路に着いた。
「ただいまー…。」
家に着き、そう声を掛けるが返事が無い。
不思議に思い、靖子は台所へ向かう。
台所のテーブルの上に、母親からのメモが残されていた。
《ゆずちゃんの病院のついでに、お夕飯の買い物してきます。おやつは、冷蔵庫にカステラが入ってるので、手を洗ってから食べてね。 ママ》
ゆずとは、家で飼っている猫のことだ。
靖子が生まれる前から飼われているため、14歳にもなる老猫である。
近頃体調が優れないので、病院へよく行くようになっていた。
「ゆずちゃんの病院かぁ……。」
靖子はそう呟くと、ランドセルを部屋に置き、手洗いうがいを終えると、冷蔵庫からカステラの乗った皿を取り出した。
カステラを食べながら、保護者に渡すように言われたプリントのことを思い出した。
靖子はカステラを食べ終えると、皿を流しに置き、部屋に戻ってプリントを出そうとした。
しかし-…
「…あれ…?あれ?…わ、忘れてきちゃった…?」
ランドセルの中をひっくり返してプリントを探すが、そのプリントが出てこない。
どうやらランドセルに入れ忘れてしまったらしい。
時計に目をやると、そろそろ5時になる。
どうしようか悩んだが、「大切なお知らせなのでできるだけ今日中に渡してね」といわれたのを思い出し、靖子は立ち上がった。
母親がしたように、メモに《忘れ物、取りに行ってきます》と書き残し、台所のテーブルに載せておく。
靖子は車庫にしまってある自転車に跨ると、学校へ向かって漕ぎ出した。