IS~インフィニット・ストラトス~Resurrection   作:白姫彼方

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長らくお待たせしました~♪
でわどうぞ♪


偽りの女神像、選択

ラウラの絶叫が聞こえなくなると同時に、砂煙が吹き飛ばされた。

 

「VTか……そこまでしてまで織斑千冬になりたかったのか? ラウラ・ボーデヴィッヒ?」

『………』

 

砂埃が晴れ、見えた姿は『シュヴァルツェア・レーゲン』を纏ったラウラではなく、全てを飲み込むような黒いナニカを纏っていた。

顔はなく、全身の形から女性型としかわからなかった。

 

「まぁいい、さっさと終わらせようか」

「いち――――」

 

シャルルが呼ぶ声が聞こえたと同時に、一夏とVTは瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使って『雪片』と『月光零式改』を打ち付け合い、上昇する。

一夏は短距離加速(クイック・ブースト)を用いて複雑な機動を描きながらVTに急接近し、『月光零式改』を振りかぶる。

VTはそれを察知した瞬間に『雪片』に青白い光を纏わせて一夏に合わせる様に振りるう。

『月光零式改』と青白い光を纏った『雪片』が打ち合った瞬間、『月光零式改』の刀身が掻き消え、一夏に青白い光を纏った『雪片』が直撃し、吹き飛ばされた。

 

「ガァッ!?」

「一夏!!」

 

吹き飛ばされた事によって、距離が空く。VTは瞬時加速(イグニッション・ブースト)を用いながら急速に接近するが、一夏は左腕に『グングニル』、右腕に『グレイズ』を展開してVTに放つが、VTは『雪片』で直撃する物を弾き、往なす。

一夏が『雪片』の射程距離内に入った瞬間に、また青白い光を『雪片』に纏わせ、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で更に接近し、横薙ぎに振り抜く。

一夏は左腕の『アイギスMkⅡ』で『雪片』を受け止め、右腕に『月光零式改』を展開しながらVTの左腕を切断する。

 

『キァァァァ!?!?』

 

左腕を斬り落とされた痛みがあるのか、VTは悲鳴を上げ、後退する。

 

――――一夏! VTが『雪片』に纏わせてるあの光! あれは『零落白夜』だよ!

(『零落白夜』……!? VTは動きだけをコピーしたんじゃなかったのか!?)

――――現在、詳細は不明ですが私達がこの世界に来たことにより変異したものと思われます。

    それに伴い、操縦者に掛かる負担が増大していると考えられ、早期解決を推奨します。

    わが主(マイ・マスター)一夏

(武神降臨を使えば早く解決できるんだろうが……まだ出すのは早いな)

 

一夏達はそう会話をしながら連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)を使って、瞬時にVTの懐に潜り込み『月光零式改』で残った右腕を切断しようと振りかぶるが、VTは『零落白夜』を纏わせた『雪片』で防ぎながら右脚で一夏を蹴ろうとしたがそれに気付いた一夏は短距離加速(クイック・ブースト)を後ろに吹かし、距離を取る。

一夏は『月光零式』を収納し、白式から受け継がれている『零落白夜』を展開する。その際に『白い閃光(ホワイト・グリント)』は金色のオーラを纏う。

それに合わせる様にVTも『零落白夜』を展開し、一夏とVTは互いの『零落白夜』を打ち付け合う。

その瞬間、辺り一面に強く眩い光が放たれた。

 

 

                     ◆

 

 

 

ラウラはとある映像を見ていた。

その映像は一人の30代の男が戦争に身を委ね、数多の戦艦、空母、戦闘機、駆逐艦、IS等の様々な兵器と老若男女を殺していく内容だった。

砲撃してくる戦艦、駆逐艦を荷電粒子砲で薙ぎ払い、ミサイルや機銃を放つ戦闘機はビット兵器で細切れにして爆散にし、命乞いをする老夫婦をエネルギーブレードで斬り殺し、家族を守ろうとする夫を殴り殺し、子を守ろうとする母諸共熱線砲で蒸発させ、逃げ惑う幼子を蹴り殺し、反撃するISを突き殺し、その男が通る道筋には様々な人だった物が転がり、周囲は血によって紅く、所によっては赤黒くなっていて地獄絵図と化していた。

それを見ていたラウラは夢の中にも拘らず吐いた。常人の神経と精神を持っているのならば、その光景を見た瞬間に嫌悪感を表し、ラウラと同じ反応をするか狂うかのどちらかだ。

だが、その男は無感動に、表情を変えずに突き進む。

そして場面は変わり、そこは今自身が通っているIS学園が写り、そこには教官に泥を塗った織斑一夏が居た。

そこでラウラは混乱した。今まで見た夢はなんだろうかと、あの男が経験したことだと仮定しても年齢がまず合わない。ではあの30代の男とあの(織斑一夏)との関係は?

そう考えていると、複数人の声が聞こえた。

 

「美緒、ユキアネサ。ここまで見せてたのかよ?」

「まぁ大丈夫だよ♪ きっと」

「えぇ、大丈夫だと思います。我が主(マイ・マスター)一夏」

 

ラウラは声が聞こえた方向に向き、怒鳴ろうとしたが、一夏の姿を見て驚愕する。

そう、今の一夏の姿は15歳の姿ではなく最初に出てきた30代の男の姿だったからだ。

だが、ラウラはその男を一夏と認識して怒鳴る。

 

「織斑一夏! あの映像はなんだ!」

「あぁ、あれは俺が経験した事の一部だ。と言っても前の世界でだがな」

「……どういう事だ」

「その態度は気に入らないが……まぁいい、話してやるよ。前の世界でも俺は唯一のIS操縦者だった。

昔の俺は年相応の今よりも楽天家で能天気だったがな。

その時は俺は四苦八苦しながらも学園生活を謳歌していたよ。だが、そんな平和が崩れた。9月に世界に発信された宣戦布告によって、世界は戦乱の時代に突入する。

対象は日本、中国、フランス、イギリスだ。それによって、4国は同盟を組む事になった」

「おいまて、何故いきなり宣戦布告が起こるんだ。大義名分も何もないだろう?」

「いや、あったみたいだ。テログループを匿う不穏分子は排除する為だとさ、だが、その実、裏には亡霊共が繰っていた訳だ」

「亡霊……? そうか……『亡国企業(ファントム・タスク)』か」

「その通り、あの亡霊共が起こさせた訳だ。まぁ、それは本拠地を叩く事で終わらせたがな。

続けるぞ、その後20年程は平和だった。だがその後に俺に続く2人目の男性操縦者が現れてからまた世界が揺れ動いた」

「何!? 2人目だと!?」

「あぁ、そうだ。と言っても、想像が付くだろうが俺の2人の子供のうちの一人の息子だ。その水面下では俺の息子をモルモットにせんと『IS委員会(老害共)』が暗躍していた。それと同時に俺も動き、反動勢力『LIDR(エリデル)旅団』を秘密裏に結成、世界にいるIS操縦者の半数を味方に引き入れた」

「まさか……まさかとは思うが、あの映像は……」

「お前の予想通り、俺が前の世界で起こした『国家解体戦争』の一部だ。兵器に魅入られ、私服を肥やすばかりの奴等が統治する世界など要らない。中にはそういう奴じゃないのも居ただろうさ、だが関係ない。見てみぬ振りをしただけでもそいつ等は同類、同罪だ」

「織斑一夏……お前は狂ってる! お前が言う様にそういう奴等が統治してたとしても秩序は守られる! その秩序を自ら乱そうとしているのが解っているのか!」

 

ラウラの言葉に一夏は可笑しそうに嗤いながら、可哀想な物を見る目でラウラを見る。

 

「くくっ解ってるさ、そんなもんはよ。……っとそろそろ時間だな」

 

一夏がそう言うと、一夏の体が徐々に透けていく。

 

「あぁ、そうだラウラ・ボーデヴィッヒ」

「……なんだ」

「お前が『織斑千冬』と言う存在に成ろうとしても、お前は『ラウラ・ボーデヴィッヒ』と言う存在でしかない。

それは絶対不変の事実だ。その事だけは忘れるな」

 

そう言って、一夏の姿が消えた。

 

「貴女はどんな存在なのかな? 『道化のラウラ・ボーデヴィッヒ』なのかな? 『誇り高きドイツ軍のラウラ・ボーデヴィッヒ』なのかな? それとも『少女のラウラ・ボーデヴィッヒ』なのかな? まぁ、私にとってはどうでもいいけど、今変わるチャンスを逃さない様にね」

 

そう言うのは左目は金色、右目は銀色で白銀色の髪を膝まで伸ばしたハイロングストレートで、胸の中央が開いた蒼色の中華風ワンピースドレスを纏った少女だった。

その隣に居るのは処女雪の様な青白い着物を着た15前後の黒目の白髪少女が居た。

 

「私としては、我が主(マイ・マスター)一夏に仇名す賊として今抹消したいのですが…」

「まて! お前等は何者だ!」

「さぁ? 誰だろうね?」

 

中華風ワンピースドレスを着た少女はクスクスと笑いながら消えていった。

 

「既にヒントは出ています。よく考えなさい」

 

着物を着た少女も先程の少女と同様に消えていき、残ったラウラは誰も居ない空間で考えにふけるのだった。

 

 

                     ◆

 

 

「まぁこれでラウラも大丈夫だろう。さぁ、贋物…決着をつけようか」

 

先程の空間から意識が現実世界に戻った一夏はそう言って、脚撃用大型ビームブレード『月光零式』を展開し、『雪片』の唾にあたる部分に『月光零式』のビームブレードを叩き込み、斬り裂いた時にVTが怯みその隙を逃さなかった一夏は左腕の『月光零式改』を瞬時に展開して頭頂部から股間まで斬り裂く。

斬り裂いた部分からラウラが倒れるような形で出てくるが、一夏は素早くラウラを抱き抱えてその場から離れるとVTはラウラに手を伸ばし苦しみもがきながら倒れISコアを残して消滅した。

 

「これで終わり……だな」

 

一夏はそう言ってラウラを見ると、安心しきった表情の寝顔が見えた。

 

「さてっと、こいつ(ラウラ)を保健室に連れて行かないとな」

「一夏っ!! 大丈夫!?」

 

大声で一夏とラウラに近付くのはシャルルだった。

 

「一夏! 怪我は無い!?」

「おう、この通り怪我なんてしていない。それよりも早くこいつ(ラウラ)を保健室に運ぶぞ」

 

一夏はそう言って歩き出すと、シャルルも一夏を追って小走りに走り出した。

暫くして、保健室のベッドにラウラを寝かせた一夏はシャルルに向き直る。

 

「悪いな、付き合わせて」

「ううん、この位なら大丈夫だよ。それよりも一夏は身体は平気なの?」

「あぁ、俺の方は平気だ。あの程度なら問題ないさ……さてと、シャルル、悪いが先に戻ってくれないか? 俺はもう少しここにいるよ」

「えっ、でも……」

 

一夏の言葉に、シャルルは戸惑いを隠せなかった。だが、一夏はシャルルを真直ぐに見つめていると、観念したのかシャルルは溜息をつきながら保健室から出て行った。

 

「さて、もう起きているんだろう? ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

一夏の声に答える様にむくりと上半身だけを起こす。

 

「気付いてたか……」

「伊達に何十年も戦場を歩き回ってないさ、まぁいい。何処までのことを覚えている?」

「……レーゲンが暴走し、その後の夢の中でお前に会い話した所までだ」

「そこまで覚えていれば上々だ。まぁ、訂正するのであればあれは夢ではなく現実だ」

「あの映像が現実だと……? 世界の地獄を圧縮したあの映像がか!?」

「あぁ、あれは現実だ。世界を変える為にな……世界を変える為には出血を強いる必要がある。

無血で世界を変えるなんてのは夢物語に過ぎない。現にあの“白騎士事件”も公表されてはいないが墜落した戦闘機の死者とかもいたぞ? 何かを変えるにはそれ相応の代償が必要なんだ」

「だが!!」

 

ラウラが何か言おうとしたが、その直後に映し出された2つの映像を見て目を見開く。

それに写っていたのは、まだ10代中頃の少女が30代から40代男性複数人に対して裸体を晒しているところで、それとはまた別の映像では、まだ幼子とも言える少年とその兄と思われる少年が30代後半の女性に先程と同じく裸体を晒しているところの映像だった。

 

「こ……れは……」

「とある代表候補生と代表候補生を目指している姉の兄弟が強要されているところだ。まぁ、見ての通りこんな下衆共が政治を握っているわけだ。これでもそいつらが政治をしているのを良しとすると? どうなんだ? ドイツ軍黒ウサギ隊(シュバルツェア・ハーゼ)隊長ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐?」

 

一夏がそう問いかけると、ラウラは真剣な眼差しで映像を見て思い悩む。

そして一夏は小さく口元で嗤い、映像を消す。

 

「まぁ、まだ今は悩め。今は出せずとも後でその答えを聞かせてくれ」

 

一夏はそう言って、ラウラが何か言う前に保健室から出て行った。

暫く歩いていると、美緒に呼ばれる。

 

――――一夏、シャルル・デュノアのデータを集め終わったよ。まぁ、予想通りだったけどね

(そうか、なら今夜実行するぞ)

――――了解♪ 一夏♪

(というわけだ。ユキアネサも頼む)

――――了解です。我が主(マイ・マスター)一夏

 

ユキアネサと美緒にそう伝えた一夏は、自室に戻ると待機状態である『白い閃光(ホワイト・グリント)』の片方をデスクの上に置き、脱衣室に入って気配を消す。

その際にシャワーを出す事を忘れない。入浴中だと偽装する為だ。

暫くすると、部屋のドアが開く音が聞こえる。一夏はナイフを一振り逆手に取り出し、ほんの少しドア開けて部屋の中を見る。

そこにはシャルルが待機状態の『白い閃光(ホワイト・グリント)』にコードを接続しようとしている所だった。出来るだけ気配を殺し、物音を立てない様に慎重に背後に近付き首筋にナイフの刃を当てる。

 

「ひっ!?」

「騒ぐな、『白い閃光(ホワイト・グリント)』に何をする気だ」

 

一夏は刃を当てながら『白い閃光(ホワイト・グリント)』を回収してシャルルをベッドに座らせ、一夏はその正面に座る。

 

「さて、シャルル・デュノアいや、『シャルロット・デュノア』お前の目的は『白い閃光(ホワイト・グリント)』のデータ奪取或いはそのものを奪取といったところか?」

 

一夏の言葉にシャルロットは一瞬固まる。

 

「図星の様だな。そして運が良ければ俺の生体データもっていうところだろう?」

「どうして……それを……?」

「簡単な話だ。俺は唯一の男性操縦者だ。何処の国でも俺の生体データが喉から手が出るほど欲しがっているし、更に俺の愛機『白い閃光(ホワイト・グリント)』の性能を見ればそれも知りたいだろうからな。

そして、お前のことだが調べれば直ぐに判ったぞ? 随分とお粗末な情報操作だったし、元々捨て駒としか考えてられてなかったのかもな」

「そっか……そうなんだ……」

「まぁ、愛人の子の扱いなんてそんなもんだろうよ。企業のお偉いさんの考えそうなことだ」

 

その言葉を聞いたシャルロットは一夏に掴みかかる。

 

「君に何が解るのさ! 僕がどれだけ苦しんだか! お母さんだって病気で死んじゃって! その後直ぐに社長に引き取られて適正が高いと知るとテストパイロットにされて「だから?」……なんだって?」

「お前の言葉通りなら、少なくともデュノア社社長は認知していなかったんだろうな。

認知していなければそれはある意味拉致、誘拐とほぼ同じだ。公的機関に駆け込むなりなんなりできただろ? もし認知されていたとしてもお前はそれを拒否出来たはずだ。

それしなかったのはお前の怠慢だ。ただ流されるまま生きてきただけの因果応報とも言える話だ」

「君には解らないだろうね! 親が生きててその愛情を受けて育ってきた君にはね!」

 

シャルロットの言葉を聞いた一夏は溜息をついた。

 

「お前、俺のプロフィール見てないのかよ? 俺と織斑教諭に親なんて居ないぞ」

 

一夏の言葉にシャルロットは絶句した。

 

「正確には居なくなった。だな、俺がまだ小学生に入る前ぐらいに居なくなった。

まぁんなことはどうでもいい、そんな哀れなヒロインシャルロットが出来る選択を三つ提示しようか」

 

一夏が言った言葉が理解出来なかったのか、シャルロットはぽかんとする。

 

「一つ目、このまま俺に通報されてフランスに強制送還される。

まぁ、これはシャルロット、これはお前の人生を文字通り終わらせる最悪な選択肢だな。

二つ目、日本若しくは別の国へ亡命する。

これが一番ベターであり、最善の選択だな。どうやって亡命するのかはお前自身が考えろ」

 

一夏はそう言って立ち上がる。

 

「そして三つ目だが……俺にデュノア社を壊滅させる事を依頼することだ」

 

一夏の提示した方法にシャルロットは目を見開いて絶句する。

 

「勿論、ただでとは言わないしそれなりの報酬を用意してもらうぞ……まぁ俺が戻ったら返事を聞かせてくれ」

 

一夏はそう言って、部屋を出て行ったのだった。




如何でしたでしょうか?
それではまた次回♪
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