IS~インフィニット・ストラトス~Resurrection 作:白姫彼方
簪との会話を終えた一夏は、自身の寮部屋の前にたどり着いた。
そして、一度深呼吸をした後にドアをノックすると、返事があったので中に入る。そこには幼馴染みの箒が居た、箒は驚いていたが、一夏は特に動揺も何もなかった。
「なっ、い、一夏!?」
「よう、今回、一時的にだがルームシェアすることになった。宜しく頼むな、箒」
「お前が、私の同居人だというのか?」
「どうもそうらしいな、全くお上さんも困ったもんだ」
「ど、どういうつもりだ! 男女七歳にして同衾せず、常識だ!」
「は? 俺は即日入寮の可能性は考えてはいたが、流石にルームシェアするとは思わなかったぞ」
一夏は呆れた様に言うものの、興奮気味の箒の耳には入ってないようだった。
「お前から、希望したのか? 私の部屋にしろと」
「いや、箒? 人の話を聞いてたか? 俺の方だってルームシェアは予想外だったと」
箒の言葉に一夏はそう答えた後に溜息をつき、とりあえずとして、入浴の順番等を決め、箒に夕食を摂るように進める。箒は一夏と一緒に行きたがっていたが、先に済ませたことを伝えると、しょんぼりとして食堂に向かった。
一夏は箒が部屋を離れた事を確認すると、この部屋に盗聴器と盗撮用のカメラがないことを確認して、携帯電話を取り出しとある番号に電話をかける。
「もすもす、
「お久し振りです。束さん」
一夏の電話の相手は
「おぉ! いっくんお久しぶり~♪ 元気だった?」
「えぇ、元気にしてましたよ。束さんもお変わりがない様で」
「もちのロンだよ! なんたって束さんだからね~♪」
束の言葉に一夏は小さく笑う、記憶にあったままの近所のお姉さん的な立場にあった束だ。
「それで、今回の電話の用件なのですが……」
「うんうん! 何かな?」
「束さんにとある一つの企業を創って頂きたい」
「ほうほう? 企業とな? 理由は?」
「此処最近活発になってきている亡霊……と言えば解りますよね?」
一夏の言葉に束は最初きょとんとするものの、直ぐに表情を戻す。
「
「それはまた何れ説明します。俺はその企業所属となり、各地にある
そうなる前に刈り取ります」
「それだったら、束さん一人でも十分だよ? いっくんがやる必要もないしね?」
「いいえ、あの亡霊達には俺とは浅からぬ因縁があるので、俺の手で始末します」
「ん~、解った。いっくんの頼み通り、企業を創ってあげる。企業名は決まってるの?」
「はい、企業名は『ラインアーク』で」
「了解♪ あ、そうそう。いっくんの専用機は今作ってる最中だから楽しみにしててね~♪」
「えぇ、楽しみにしてますよ。束さん、それでは失礼します」
「うん! 企業が出来上がったら連絡するね~♪ あぁ、それと、専用機が出来たらある子に届けさせるからね♪ じゃあ、まったね~♪」
束はそう言うと、電話を切った。一夏は携帯電話を仕舞うと、寝間着に着替え、そのまま眠りについた。
◆
束と電話をした日の翌日、1年1組は活気に溢れていた。その訳は、一夏に専用機が届くからだ。
「織斑先生、その専用機を作った企業名ってわかりますか?」
「あぁ、企業名は『ラインアーク』といったか、それがどうした?」
「いえ、ちょっと気になっただけなので」
まさか半日も経たずに企業を作ってしまうとは思わず、一夏は苦笑する。そして授業が再開する前に少し騒ぎがあったこと以外は、特に何もなく進んでいった。
そして、その後の休み時間にオルコットがやってくる。
「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど、まあ? 一応勝負は見えてますけど? 流石にフェアではありませんものね」
「下らないな、全くもって下らない。そんな事をいってる暇があるなら弱点を克服してきたらどうだ? その方が効率が良いだろうに……。それに、昨日のお前の失言、忘れてないだろうな?」
一夏はそう言って、オルコットを睨む。睨まれたオルコットは怯むが睨み返してその場を去った。
そして時間は少し過ぎ、お昼休み。一夏は自身のお昼を持ちながら、どこか座れる場所はないかと探していると、箒の隣が空いていたので、座る。
「……一夏、それでどうするんだ?」
「ん?どうするって……あぁ、オルコットとの試合か」
「あぁ、そうだ。訓練機は間に合わないだろう? 試合までどうするつもりだ?」
「イメトレを中心にISの座学と日頃の鍛錬をするぐらいかねぇ、と言うかそれしかすることがない」
「な、ならば剣道はどうだ!? 久し振りにどうだ」
「あ~、すまない。俺はもう剣道やってないんだ」
一夏の言葉に箒はバンッ! とテーブルを叩き立ち上がった。
「な、何故だ!何故剣道を辞めた!」
「当たり前だろう、俺の立場からすれば竹刀を持った状態が前提の剣道より
「鍛え直す! IS以前の問題だ! いいな!?」
箒の言葉に一夏は溜息をつく。
「悪いが断る。剣道みたいなスポーツより、より実戦的な格闘術とかを学んだ方が良いからな」
一夏はそう言うと、席を立ち箒から離れた。その後ろで箒は何か喚いているが、一夏はそれを無視し、再度席を探すと、簪の姿が見えたので、また声を掛ける。
「よっ、簪、隣良いか?」
「えっ!? あ、うんいいよ……」
簪は驚いたものの、返事をした。それにお礼を言った一夏は、簪の隣に座る。
「さっきの会話……聞こえてたよ?」
「あ~、あれだけ大きな声で言ってれば当然か」
「うん……一夏君も大変なんだね……」
「まぁ、あれは仕方ないさそういえば、簪は代表候補生だったりするのか?」
「うん……日本代表候補生……」
「おぉ! それじゃあ、専用機は!?」
「あるけど……まだ建造中……」
一夏は簪の専用機が気になるようだったので、簪は少しだけ話そうかと思い、口を開く。
「専用機名は『打鉄弐式』、第二世代の量産機『打鉄』をベースとした高機動型で……」
「あ、そこまでで良いぞ? あまり無闇矢鱈に話す内容じゃないしな。それに、何時か試合する時の楽しみにしたいしな」
「わかったよ……それじゃあ、私は行くね」
簪はそう言って、席を立つ。
「クラス代表戦……頑張ってね」
「あぁ、無様な試合にはしないよ」
一夏の言葉を聞いた簪は手を振って、食器を返しに行った。残った一夏は自身の昼食を食べ終えると、食器を返し、教室に戻るのだった。
◆
そして時は過ぎ、クラス代表選抜戦当日、一夏は第三アリーナのAピットに来ていた。
あの昼食後、一夏はしつこいと言う位に剣道の稽古に誘われたが、断り続けた。その度に箒は烈火の如く怒り狂っていたが、悉く無視を決め込んでいた。
今、この場に箒はいない、何故か幼馴染みだからと着いて来ようとする箒を、一夏が千冬に頼み込んで締め出したからだ。
そして試合開始数分前に千冬と山田教諭がピット内に入ってくる。
「お、織斑君! 到着しましたよ!」
「漸く……か」
山田教諭の後から、一夏と同じ同年代ぐらいの少女が入ってくる。その少女は瞼を閉じているので、瞳の色は不明だが、髪の色は銀で何処となく雰囲気は一夏の初恋の女の子に似ていた。
「初めまして、織斑一夏様。『ラインアーク』から来ましたクロエ・クロニクルです。クロエと御呼びください、以後お見知りおきを」
クロエと名乗った少女はお辞儀をする。
「あぁ、俺を知っているみたいですが、名乗らせてもらいます。今回所属することになった織斑一夏です。宜しくお願いします」
「此方こそ、宜しくお願いします。さて、時間もないようですし、まずは織斑様が乗られる専用機はこちらです」
クロエが示す方にコンテナがあり、コンテナが開くと西洋甲冑に似たISが1機あった。
「この度、織斑様が乗られるISは、第3.5世代近接格闘特化型IS『
「白式……なるほど」
一夏が『白式』に触れるとキィン!と甲高い音を立てて自動的に装着される。
――――認識……認識……認識……認識……該当装着者とのコンタクト完了。移行作業を開始します。
「織斑、気持ち悪いとかはないか?」
「問題ありません。この装着した感じ……心地が良い位です」
「そうか、
「勿論です。織斑先生」
「織斑様、今回の模擬戦は我が社のISを使った初の試合です。御武運を」
千冬とクロエの言葉を返した一夏はレールカタパルトに『白式』の脚部を載せる。
「発進シークエンス完了、発進タイミングを操縦者に委ねます」
「織斑一夏、『白式』出るぞ!」
一夏の言葉が終わった直後にレールカタパルトが動き、一夏と『白式』はアリーナへ躍り出たのだった。
如何でしたでしょうか?
それではまた次回♪