IS~インフィニット・ストラトス~Resurrection   作:白姫彼方

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模擬戦後

意識を失ったままのオルコットを抱えた一夏がAピットに戻ると、担架を持った救護職員が居たので、オルコットを預けて、一夏はISを解くと同時に一夏の両腕に白と黒のオープンフィンガーグローブが装着されていた。

着け心地を確かめた後に、戦闘後の筋肉の膠着を解す為にクールダウンのストレッチを開始する。

暫らくすると、Aピット内に千冬と山田教諭が入ってくる。

 

「まずは初勝利おめでとうと言っておこうか、織斑」

「有り難う御座います。織斑先生」

「すごかったですよ! 織斑君! 初心者とは思えない機動でしたよ」

 

山田教諭の言葉に一夏は苦笑しながらも、シュミレーターでの訓練の成果ですよと答える。実際は、一夏が前の世界で経験したことの再現程度でしかなかったのだが、それを知るのは一夏と千冬のみだった。

山田教諭は一夏に電話帳と間違えるほどの厚みがある冊子を渡す。

 

「それでは、これで私は失礼しますね。あぁ、それと、クロニクルさんですが、織斑君の試合が終わると同時に会社の方に戻りましたので」

「解りました。態々有り難う御座います」

「いえいえ、あっ、織斑先生はどうしますか?」

「私は少し織斑と話があるから、先に戻っててください」

 

千冬の言葉を聞いた山田教諭は、了解の意を伝えるとAピットから出て行った。それを確認した千冬は、一夏にスポーツドリンクを投げ渡し、千冬自身は缶コーヒーのプルタブを開ける。

 

「それがこの前言ってた、一夏の専用機か」

「そうですがって、今はまだ授業中では? 織斑先生?」

「今この場ではいつも通りでいいさ」

 

千冬が苦笑しながら言うと、一夏も苦笑する。

 

「あぁそうかい……。それで、さっきの質問だけど、そうだよ千冬姉。

俺の相棒の『白い閃光(ホワイト・グリント)』、今この世界で現存するISの追随を決して許さない性能を誇る最上級過剰性能(ハイエンドオーバースペック)機だ」

 

一夏はそう言いながら、待機状態の『白い閃光(ホワイト・グリント)』を撫でる。

 

「白い閃光……か、見た感じでは正にその名の通りだな。一夏、一応性能を見せてくれないか? 無理にとは言わない」

「解った。ユキアネサ、美緒スペック(性能)データを出してくれ」

――――いいのかなぁ? 千冬お姉ちゃんかなり吃驚すると思うけど

――――美緒に同意です。我が主(マイ・マスター)

「そこを頼む、ユキアネサ、美緒」

――――解ったよ、それじゃ、まずは武装データだね

 

一夏の言葉に渋々従った美緒は、『白い閃光(オワイト・グリント)』に搭載されている武装の一覧を呼び出し、千冬に見れるように表示をする。

 

「ん……すまなぶふぅ!?」

「うわっ!? 汚ねぇ!?」

 

缶コーヒーを飲みながら、見た千冬は口の中に残っていたコーヒーを吹き、正面に居た一夏はその全てを被ってしまう。

 

「なんてことするんだ!! 千冬姉!!」

「ゴホッ! ケホッ! す、すまない……ではなくてだな! 何だこの滅茶苦茶な武装は!?」

「いや、別にそうでもないだろ? なぁ? ユキアネサ、美緒?」

――――えぇ、我が主(マイ・マスター)の言う通りだと思いますが?

――――寧ろ、もっと増やしたいよね~

 

美緒の言葉を聞いた千冬は、一夏の頭部をとりあえずぶん殴った。ちなみにだが、美緒とユキアネサの言葉を千冬にも聞こえる様に最初からしていた。余談だが、殴った時の音は決して人から聞けるはずのない音だったと伝えておこう。

 

「痛ってぇ!! 俺を殴るなよ!? 理不尽すぎる!」

「えぇい黙れ! この愚弟!! 荷電粒子砲や熱線砲なら解るがな! ビットですら荷電粒子砲装備とかアホか!! 極め付けに陽電子(ポジトロン)砲とかお前らは地球を放射能で汚染し尽くす気か!?」

「そんなにバカスカ撃たねぇよ!? 鬼札な武装だ!」

「それでも使うな馬鹿者!! 今すぐその武装をはずせぇ!!」

――――え~、やだ~

――――答えは否です。織斑千冬様

「ほほう……なら外すと言うまで説教(制裁)をしてやろうか!」

「ちょっ、やめぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

一夏の言葉を無視した千冬はいつまでも戻ってこない2人を迎えに来た山田教諭が止めに入るまで説教と言う名の制裁を続けたのだった。

 

 

                       ◆

 

 

一夏が悲惨な目にあった翌日、1年1組は盛り上がっていた。

 

「では、1年1組のクラス代表は、織斑一夏君に決定しました!」

 

自クラスの代表が一夏に決まった事に沸き上がり、それを見ていた一夏は溜息を漏らす。

 

「静かにしろ! それでは、代表になった織斑に決意表明を語ってもらおうか」

「はい……、クラス代表になった織斑一夏だ。代表となったからには死力を尽くして行くが、この世の中には絶対と言うことはない、それを踏まえて俺は皆の模範となる様にして行こうと思う。

この1年間宜しく頼む」

 

一夏の表明が終わると拍手があがる。そんな中、オルコットが手を上げる。

 

「どうしたオルコット、何かあるのか?」

「はい、発言しても宜しいでしょうか?」

「構わん、手短にな」

 

言われたオルコットは一度千冬にお辞儀をしてから教卓の前まで進み、頭を下げた。

 

「先日は申し訳御座いませんでした。(わたくし)の浅慮な発言で不快に思われた方に今この場を借りて謝罪しますわ。

国家代表候補生と言う肩書きを手に入れてから、(わたくし)は天狗になっておりました。その重みと意味を忘れ、自分は選ばれた人間だと浅はかながら思っておりました。

これからは、一代表候補生として心を入れ替えて、行きたいと思います。申し訳御座いませんでした」

 

オルコットはそう言って、もう一度頭を下げた。

 

「オルコット、確かにお前のあの発言は国際問題になる。だが、ここで心を入れ替えて再スタートをするのと、クラスメイト達が赦すなら、私は今回の件は不問とするとしよう」

 

千冬の言葉にクラスメイト達は赦すといって、オルコットは赦されてこの日の授業は順調に進んだ。

 

 

                       ◆

 

 

 

時間が流れその日の夜、黒色の長い髪をツインテールにした少女がIS学園内を彷徨っていた。

 

(本校舎一階総合事務受付って何処なのよ?)

 

正面ゲートから意気揚々と入った良いものの、地図もなく、適当に歩けば迷うことは必然であった。

 

(まぁ、適当に声を掛ければ良いか)

 

少女はそう思いながら、また適当に歩き始める。暫くすると人影が見えた。

 

(あっ、丁度良いから聞いてみよ――――)

「ビットを複数操作する時にはだな、並列思考(マルチ・タスク)でやると良い。まず、並列思考(マルチ・タスク)を覚えるには――――」

(えっ!)

 

聞き覚えのある声を聞いて、少女の身体がビクッ!と震えて足が止まる。それと同時に動悸が速くなる。

 

(私の事、お、覚えてるよね……?)

 

少女は不安になりながらも、その人影に近付く。

 

「いち――――」

「と言うわけで解ったか? オルコット」

「えぇ、勉強になりましたわ。それと、|私(わたくし)の事はセシリアと御呼び下さいませ」

「そうか、なら俺の事は一夏でいいぞセシリア」

 

親しそうに会話をする一夏とセシリアを見て、少女の足は再度止まり、それと同時に動悸も遅くなる。

 

(何よ、あれ)

 

衝動的に一夏に襲い掛かろうとしたが、一先ず堪える。そうこうしてるうちに目的地を見つけたので、事務手続きをするのだった。

場面は変わり、一夏は食堂に来ていた。

 

『織斑一夏クラス代表就任パーティー』

 

この為に一夏は食堂に呼ばれて来ていた。

 

「これでクラス対抗戦は1組の勝ちだよ~」

「うんうん! 織斑君すっごく強かったからね」

 

始まってからの盛り上がりが異常にすごく、ある意味では忘年会での盛り上がり以上であった。

 

「……一夏君、クラス代表おめでとう」

「あぁ、簪か、ありがとうな」

 

その盛り上がり具合に少し引いていた一夏の近くに簪がやってきて、正面に座る。ちなみに、左隣にはセシリア、右隣に箒が座っている。

 

「一夏さん。その方は?」

「一夏、その人は誰だ?」

「あぁ、彼女は更識簪さんだ。この前ここで偶然に隣の席に座ってな、その時からの友人だよ」

 

一夏の紹介を受けて簪は一度お辞儀をする。

 

「……4組クラス代表で日本代表候補生の更識簪……宜しく」

(わたくし)はイギリスの代表候補生を勤めておりますセシリア・オルコットですわ、宜しくお願いします」

「……篠ノ之箒だ」

「……うん。宜しく」

――――もてもてだね~? 一夏♪

(もてても仕方ないけどな……美緒)

 

一夏は美緒の言葉に苦笑しながら答え、4人で会話をしたりしていると、上級生が近寄ってくる。

 

「はいはーい! 新聞部でーす。話題の新入生織斑君にインタビューをしに来ました~」

 

新聞部が来たのを知ったクラスメイト(他クラスの生徒含む)は先程よりも盛り上がる。そのエネルギーは何処から来たんだと一夏は思いながら、新聞部の上級生の方に向く。

 

「こんばんわ、私は2年の(まゆずみ)薫子(かおるこ)です。新聞部の副部長をやってるよ」

「これはご丁寧に、1年の織斑一夏です。それで、インタビューでしたか、お受けしますよ。このパーティーの余興にもなりますからね」

 

一夏はそう言って微笑む。

 

「ありがとうね♪ まぁ、いくつか質問するだけだから、楽にしてね。それじゃあ、まずクラス代表になった、感想を答えてくれるかな?」

「そうですね……推薦してくれた人の為にも、俺は務めを果たすまでですよ」

「真面目な答えありがとう、じゃあ、次の質問ね。今現在、織斑君は好きな人はいますか?」

「はぁっ!? 何を聞いてくるんですか!?」

 

薫子のその質問内容に一夏は思いっきり動揺する。

 

――――居るって答えちゃえ♪ 一夏♪

――――私も美緒に同意です。我が主(マイ・マスター)

(美緒! この状況で楽しんでるだろ!! ユキアネサも乗っからないでくれ!)

「それでどうかな~? 織斑君?」

「……ノーコメントでお願いします」

「ちぇ~、まぁ仕方ないか、それじゃあ次はオルコットさんにも質問ね。いいかな?」

「えぇ、構いませんわ」

「クラス代表になった織斑君に何か一言、お願いできるかな?」

「はい、クラス代表になったからには全力で頑張って頂きたいですわ」

「うん♪ 有り難うね♪ これで良い記事がかけるわ~♪ じゃあ、私はこれで失礼するね」

 

薫子がお礼を言って去った後も、パーティーは続いたのだった。




如何でしたでしょうか?
また次回♪
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