君はヴァンガード   作:風寺ミドリ

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002 雷、落ちる時

「………青葉クン、この…【LB:4】って何…」

 

 

深見ヒカリは“抹消者 エレクトリックシェイパー・ドラゴン”に指をさす。

 

 

 

「ああ!“リミットブレイク”だな!このスキルはここに書いてあるように…」

 

「あ………(それだ)、もう説明はいいよ。分かったから………」

 

 

ヒカリがユウトの説明を遮る。

 

 

「あ、うん…そうか」

 

 

 

(………このまま説明されたら、いつまでたってもパフェ食べられないもん………)

 

 

 

 

「じゃあ、続けるよ」

 

ユウトは自分の手札を見つめて唸る。

 

 

 

「う~ん、もう1枚の“抹消者 エレクトリックシェイパー・ドラゴン”をヴァンガードの右隣にコールする!そして行くぞ!“ナタ”のブーストで“エレクトリックシェイパー”が“ルゴス”にアタック!!パワー16000!」

 

 

ヴァンガード同士のぶつかり合い、ルゴスと違い“エレクトリックシェイパー”はグレード3であり、強力なスキルを持っている。

 

 

「…ノーガード」

 

 

「なら…“ツインドライブチェック”だ!!!」

 

 

“ツインドライブ”その名前の通りドライブチェックを2回行うという、全てのグレード3が持つ能力である。

 

 

「1枚目…ゲット!“抹消者 イエロージェム・カーバンクル”クリティカルトリガー!!クリティカルはV(ヴァンガード)に、パワー+5000はリアガードの“エレクトリックシェイパー”に!!、そして2枚目は………ガンバスさんだ」

 

 

「…え?」

 

 

「あぁごめん“抹消者 ガントレッドバスター・ドラゴン”でトリガー無しだ」

 

 

 

これでヒカリに2点のダメージが与えられる。

 

 

「ダメージチェック………ファースト…“厳格なる撃退者”、Getクリティカルトリガー…効果は全てヴァンガードの“ルゴス”に」

 

 

ヒカリは“厳格なる撃退者”をダメージゾーンへと置いた。

 

 

 

「セカンド……っ!“暗黒の撃退者 マクリール”…」

 

 

ヒカリの4点目のダメージとなったのは、防御の要である“守護者”のカードであった。

 

 

(………いや、ダメージに落ちたのがアタッカーじゃなくて良かったのかもしれない)

 

 

ユウトはこのターン最後の攻撃に入る。

 

 

「リアガードの“エレクトリックシェイパー”でVにアタック!!こちらもパワー16000!」

 

 

「………“ベリト”でガード」

 

ヒカリは手札からユニットを出して“ルゴス”を守った。

 

 

 

「ターンエンド!!」

 

 

 

ヒカリのダメージは4点、あと2点のダメージで敗北が決定してしまう。

 

 

「………さて、どうしたものかな、スタンドandドロー…“幽幻の撃退者 モルドレッド・ファントム”にライド…!」

 

 

 

ヒカリは今ドローした“マクリール”を見た。

 

 

(…アタッカーになるユニットが欲しかった…このまま“マクリール”や“モルドレッド”をコールしてアタックする………?…ううん、それは駄目………今は)

 

ヒカリは“抹消者 エレクトリックシェイパー・ドラゴン”を見つめた。

 

「…“テキスト”確認していい?」

 

「もちろん!」

 

 

 

 

“エレクトリックシェイパー”を手に取る。

 

一番気になるのはやはり“リミットブレイク”の内容である。

 

 

 

 

【LB:4】《なるかみ》がこのユニットにライドした時、あなたのヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワー+10000し、『【自】【(V)】:あなたのカードの効果で相手のリアガードがドロップゾーンに置かれた時、そのカードがあった(R)と同じ縦列の後列にいる相手のリアガードを1枚選び、退却させる』を与える。

 

 

 

 

 

 

(………………“コンボ”に向いたカード…リアガードを一列まるごと退却できる……ようにするってことだよね)

 

 

 

 

ヒカリは自身の“場”を見る。

 

ヴァンガードの“モルドレッド”が中心にいる。

 

その左側にはグレード1の“カロン”………それだけである。

 

(………やっぱり今、無理にコールしないほうがいいね………)

 

ユウトのダメージゾーンには“抹消者 ガントレッドバスター・ドラゴン”があった。

 

 

おそらくこのユニットにユウトはライドさせようと考えているだろう。

 

 

(“エレクトリックシェイパー”をコールしたということは、他の…本命のグレード3を手にしている………?他に展開してこなかったのは、私と同じでG1とG2がほとんど持っていない……でも“守護者”は持っているかもしれない………)

 

 

 

 

 

ヒカリはユウトに礼を言って“エレクトリックシェイパー”を返す。

 

 

 

(………昔なら…もう少し速く思考できたんだけどな)

 

 

 

 

 

「…行くよ、モルドレッド・ファントムでヴァンガードにアタック!!パワーは13000!」

 

 

 

 

 

元々の“モルドレッド”のパワー、11000に“モルドレッド”のスキルでパワー+2000されたアタックが飛ぶ。

 

 

「…大丈夫なはずだ!ノーガード!!」

 

相手のトリガーによっては致命傷になりかねないが、ユウトはこの攻撃を受けることにした。

 

 

 

 

「ドライブチェック!!…………ファースト…get!!クリティカルトリガー!!(厳格なる撃退者)クリティカルはヴァンガードに与え、パワーはカロンへ!!」

 

 

「くっ」

 

「………セカンドチェック………“無常な撃退者 マスカレード”トリガー無しです」

 

 

 

「ダメージチェック………1枚目は“砂塵の抹消者 トコウ”………2枚目は“抹消者 サンダーブームドラゴン”………どちらもトリガー無しだ」

 

 

 

 

ユウトのダメージゾーンは5枚、あと1枚で負けになってしまう。

 

 

 

 

 

「パワー………13000の“カロン”でヴァンガードにアタック………!!」

 

 

「~っ!“蟲毒の抹消者 セイオウボ”でガード!!」

 

 

 

「ターンエンド…だよ」

 

 

 

 

 

「よしっ俺のターンだ!!」

 

ユウト自身、ダメージ5点と追い詰められていたが本人はこのターンでヒカリを倒そうと考えていた。

 

 

 

(…………ここからの流れは………たぶん私の予想通り…)

 

ヒカリはユウトのダメージゾーンにいる“ガントレッドバスター”を見ながら考えていた。

 

 

 

「スタンド&ドロー!!そして!」

 

「ブレイクライド!!抹消者…………ガントレッドバスター・ドラゴン!!」

 

 

 

 

(…………やっぱり、でもそれよりも)

 

 

「…………ブレイクって何?」

 

 

 

「あぁ!!それは“エレクトリックシェイパー”のスキルの名前だ!!」

 

「“モルドレッド”のスキルも……………その名前なの?」

 

「そうさ!!」

 

 

 

 

(“ブレイクライド”…………いいかも)

 

 

 

ヒカリは自分の中でテンションが上がってきたことにまだ気がついていない。

 

 

 

 

 

「ブレイクライドスキル発動!ヴァンガードにパワー+10000!そして“ガントレッドバスター”にスキルを付加する!!」

 

 

ユウトはずっとヴァンガードの後ろにいた“霊球の抹消者 ナタ”を手に取る。

 

 

「“ナタ”のスキル!“ナタ”をソウルに入れて“ガントレッドバスター”にさらにスキルを与える!!」

 

 

「そして、“ガントレッドバスター”のスキル!CB2!君はリアガードを1枚選んで退却させ、さらに“エレクトリックシェイパー”から貰ったスキルで“そのユニットの後列のユニット”も退却だ!!!」

 

 

 

 

「…………まぁ“カロン”しかいないんだけど」

 

 

 

「……………………あれ?」

 

 

ヒカリは“黒の賢者 カロン”をドロップゾーンに置いた。

 

(…サヨナラだね、カロン)

 

 

 

 

「1枚退却したから、“ガントレッドバスター”のリミットブレイク発動…パワー+6000とクリティカル1つ追加」

 

ユウトのテンションが下がる。

 

 

 

「………相手の場もちゃんと見ないとだめだよ」

 

(…………気がついていなかったのかな)

 

 

 

“ガントレッドバスター・ドラゴン”のスキルは相手のユニットを退却させるほどクリティカルやパワーが増えるというもの。

 

ユウトとしてはもちろん複数回の誘発を狙いたかったのだろう。

 

 

 

 

「気を取り直して、“ガントレッドバスター”の後ろに“砂塵の抹消者 トコウ”をコール!!“トコウ”のスキル!CBを2枚使って“トコウ”にパワー+2000!!」

 

「“エレクトリックシェイパー”の後ろに“抹消者 イエロージェム・カーバンクル”をコール!!」

 

 

(…………)

 

 

 

ユウトは“ガントレッドバスター”に手を添える。

 

 

 

「“トコウ”のブースト!!行くよ!!“ガントレッドバスター”がパワー36000、クリティカル2で“モルドレッド”にアタック!!」

 

 

 

 

このアタックを通すわけにはいかない。

 

 

 

「“暗黒の撃退者 マクリール”でガード…スキル発動、“厳格なる撃退者”をドロップして…これで完全ガードの完成」

 

 

「完全ガード…このアタックはヒットしない…か、でもコストにそのカードを使っちゃっていいのか?」

 

 

 

 

「全く…問題無いよ」

 

 

 

ヒカリがドロップしたのは“シールド値”10000のユニット。できれば、これらのユニットは普通にガードに使い、ドロップするのはグレード3等シールド値の無いユニットたちの方が適しているのだが…

 

(…今“余分な”グレード3は無いから…)

 

 

ヒカリが見据えるのは次のターン、この後のドライブチェックで、次にどう動くかが決まる。

 

 

(…………)

 

 

 

 

「じゃあ…ドライブチェック!1枚目は…ガンバスさん…2枚目は!!…………エ、エレクトリックシェイパー…………トリガー無しか………」

 

 

 

(…………見えた)

 

 

 

「“イエロージェム”のブースト、“エレクトリックシェイパー”でアタック!!パワー16000!!」

 

 

「ノーガード…ダメージチェックは…“撃退者 デスパレート・ドラゴン”」

 

 

 

 

「ターンエンドだな」

 

 

 

 

 

これでヒカリとユウトは互いにダメージは5点。

 

 

ファイトの終わりは近づいていた。

 

 

 

 

ヒカリは無言でユニットをスタンドさせ、ドローを行った。

 

 

 

「…ヒカリ?」

 

 

 

 

「懐かしい…この感覚、完璧…」

 

 

 

ヒカリの中で変なスイッチが入る。

 

 

 

「そう…これが“ファイナルターン”………私の……勝利への道は開かれたの」

 

 

 

 

ヒカリは普段見せないような、妖しく、美しい笑みを浮かべていた。

 

 

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