君はヴァンガード   作:風寺ミドリ

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021 邂逅

7月11日……朝の7時42分。

 

「おはよう、青葉クン」

 

私はそう言って校門の前で彼の肩を軽く叩く。

「ああ、おはよう……この間はうちの姉さんがお世話になったな」

 

4日ほど前だろうか、青葉クンのお姉さんが私の家に泊まりに来た…最初は一晩だけのはずだったが結局3日ほど彼女は泊まっていったのだった。

 

「いいよ、楽しかったし…お姉さんはまた仕事?」

 

「また都内のマンションに戻っていったよ……………あ、そうだ」

 

青葉クンがバッグから何かを取り出す。

 

「はいよ、ヒカリ…誕生日おめでとさん」

 

今日、7月11日は私の誕生日だった。

 

そう言って青葉クンが小さな袋を渡してくる。

 

「ありがと…青葉クン……今開けていい?」

 

「ああ」

 

私はその袋を開く…中に入っていたのはイルカのキーホルダーだった。

 

「うわぁ…可愛い…大切にするね?」

 

「大事にしてくれよ」

 

 

私はキーホルダーを眺めながら校舎の中に入るのだった。

 

 

 

 

 

その後ろではユウトがクラスメイトの一人につっかかられていた。

 

 

 

 

「……おいユウト…あれは何だ」

 

「…あれか?……誕生日プレゼントだけど…」

 

「誕生日ぃ?…………誰のだ」

 

「え…?……………ヒカリの…」

 

沈黙が世界を包む。

 

「あああああああああああああああっ!?」

 

「「何でお前が、だ…大天使様の誕生日を知ってるんだよ!!」」

 

(……人増えてきた…というか大天使って何故かランクアップしてるし……)

 

「「「何でだよ!何でなんだよ!!」」」

 

ユウトの周りの人間が息を合わせて地団駄を踏む。

 

 

 

「……何でって……昔馴染みだから?」

 

 

 

一瞬、まるで電源が切れたかのように周りが静かになる。

 

 

 

ひそひそひそひそひそ……

 

“…昔馴じm…?ぐぼぉっ!?”

“…げほっ!?げほっ!?”

“あ…私最近難聴ぎみで…”

“……………”

 

 

 

「…全員、整列っ!!……土下座!!!」

 

 

瞬間、委員長が全員を土下座させる。

 

 

「「今までの非礼を詫びよう!だから熾天使様の個人情報を我々に流してくださいこの野郎!!」」

 

 

「……いや…駄目だろ」

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

「青葉クン…大丈夫?」

 

「…まぁな」

 

放課後、私と青葉クンは生徒会室に向かう。

 

青葉クンはすごい疲れた表情をしていた。

 

(……本当に大丈夫かな…?)

 

そうして私たちは生徒会室の扉を開いた。

 

「……うわ」

 

「学校側に見つかったらどうするんだろうな」

 

そこでは天乃原さんと舞原クンが今まさに今日発売のブースターパック“竜剣双闘”の開封をしている最中だった。

 

机の上にはかなりの数の未開封の“BOX”が積み上げられている。

 

(一体…何BOX買ったんだろう…)

 

私たちに気付いた天乃原さん達が声をかけてきた。

 

「あ、ヒカリさん誕生日おめでと!!」

 

「おめでとっす!早速僕達からの誕生日プレゼントっすよ」

 

 

私は舞原クンから“そのカード”を貰う。

 

「これって……まさか!!」

 

そのカードの加工は私が初めて見るものだった。

 

「そのまさかっすよ…探索者 シングセイバー・ドラゴンとブラスター・ブレード・探索者の“レギオンレア”っす!!」

 

レギオンレア…低確率で入っているという特別な加工が施されたカード…。

 

「すごい…綺麗……ありがとう…!!」

 

私は私にできる最高の笑顔でお礼を言う。

 

 

「どういたしましてっす…」

 

「ええ、これからもよろしくね…」

 

 

照れくさいのか二人は少しそっぽを向いてしまう。

 

 

 

((そんないい笑顔で見つめられたら……思考停止するから!!))

 

 

そして私と青葉クンは二人の開封作業を手伝うのだった。

 

「お嬢!そっちに“ビックバンナックル”あるっすか!?」

 

「あるわよ!!代わりにヴェラとサウルあるだけこっちにちょうだい!!」

 

「レギオンコアとメイトの枚数揃わないんだけど!」

 

「次のBOX……行くっすよ!!」

 

 

(…まるで戦場だよね)

 

舞原クンと天乃原さんが血眼になって大量のカードの中からカードを探す。

 

私と青葉クンも一緒に探す。

 

 

 

あっという間に時間は経っていった。

 

「結局…ビックバンナックルが一枚足りないんすよ」

 

「私もサウルが集まって無いわ…」

 

 

外はすっかり暗くなっており、私たちも学校を出なければならない時間になった。

 

カードを纏め、生徒会室を出る。

 

「この近くにカードショップとかあればいいんすけどね…」

 

「本当にそうよね…ヒカリさん、青葉君…また明日」

 

 

二人はそんな風に呟きながら校門を出る。

 

 

(……ちょっと待って……この近くのショップ…)

 

「…青葉クン」

 

「ああ、リーダー!ジュリアン!待ってくれ!!」

 

「何すか」 「何よ?」

 

二人は不機嫌そうに振り向く。

 

「この近くの俺の(兄貴の)家…カードショップだ」

 

「「!!??」」

 

そう、すっかり二人は忘れていたようだけど、青葉クンの(お兄さんの)家はカードショップ…今のこの時間ならまだ営業中なはずだ。

 

「「何故それを早く言わない!?」」

 

二人の声がぴったりと揃う。

 

「いや…前に言ったけどな…一応」

 

「とにかく行くっすよ!」

 

「急ぐわ!案内しなさい!!」

 

「……行こっか」

 

こうして私たち四人は青葉クンのお兄さんの営業するカードショップ“大樹”へと向かうのだった。

 

 

 

「そういえばヒカリ…ふろんてぃあでパフェ食べるんじゃ…」

 

「あのお店…最近は9時くらいまで営業中だから大丈夫だよ」

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

…カードショップ“大樹”、相変わらず店のマスコットはどことなく“ど○も君”に似ていた。

 

その店内には数人の客がおり、前に来た時よりは賑わっていた。

 

だがそれでも繁盛しているといった雰囲気は無く。

 

(新弾発売の日がこれで…大丈夫なのかな)

 

私はこのカードショップの行く末を案じながら店の奥へと進む。

「あ!!サウル!あったわよ!!」

 

「こっちもビックバンナックル確保っす!」

 

二人共目当てのカードは見つかったみたいだ。

青葉クンはかげろうのカードを眺めている。

「ヒカリちゃん!いらっしゃい」

 

「こんばんわ…」

 

カズトさんが声をかけてきた。

 

「あの二人はヒカリちゃんの友達かい?……常連になってくれるかなぁ…」

 

あの二人というのは間違いなく天乃原さんと舞原クンのことだろう。

 

「…はい…学校の、あ…ちゃんと青葉クンとも友達ですよ?」

 

「あ、ああ…やっぱただの友達だよな…」

 

どことなく残念そうにうつ向くカズトさん。

 

(…どうしたんだろ…?)

 

「お店の調子はいいんですか?」

 

ちょっと不躾な質問だったかなと思いつつ聞いてみることにした。

 

「そうだね…順風満帆とは言えない、でも少しずつ常連のお客さんができてるからね…嬉しいよ」

 

そう言うカズトさんの顔は満足そうだった。

 

カズトさんはフリーファイト用のスペースを見る。

 

そこでは二人の女性ファイターがファイトをしているところだった。

 

「私が言うことじゃ無いんですけど…ヴァンガードってやっぱり女性のファイター多いですよね」

 

「ああ…櫂とアイチきゅん様々って所だな」

 

(私…ソッチの趣味は無いんだけれどね…あ、でもその二人のキャラは好きかな…)

 

ゆっくりと私はフリーファイトスペースに近づく。

 

(私の周りでそういう人は…春風さんがそうだったっけ…)

 

「…私のターン…スタンド…ドロー……」

 

段々ファイトの声が聞こえてくる。

 

フリーファイトスペースではあったが、そのファイトは適度な緊張感に包まれていた。

 

そして私は感じる。

 

(…この人達…結構ガチな人達かも…)

 

テーブルの側を見ると、今回の段で収録されたクランのデッキが全て並べられていた。

 

「…シークメイト…レギオン!…アタックする…」

 

「……………私の負けだよ~残念」

 

少しのんびりとした雰囲気を持った女性のダメージゾーンに“スパイクブラザーズ”のブラッディ・オーグルが置かれる。

 

「……よし、もう一度…」

 

「待つっす!」

 

そう言おうとしたもう一人の女性の声を遮る声が聞こえる。

 

「そこの方!僕とファイトしましょうっす!」

「……舞原クン…」

 

「いいよ~」

 

 

(…相変わらず行動力があるというか…私も見習った方が良いのかな?)

 

見ると舞原クンとその女性はすでにファイトの準備に取りかかっていた。

 

「ちょうど“なるかみ”の“喧嘩屋”デッキを試してみたかったんす」

 

「そうなんだ~」

 

「あ!もし僕が勝ったら“ノルン”の情報を…」

 

「知らないよ~」

 

「あははっそうっすか!」

 

 

舞原クンはなるかみ…女性の方はスパイクブラザーズのデッキを使うようだ。

 

こうしてフリーファイトをするのもカードゲームの醍醐味なんだろうけれど、やはり知らない人に声をかけるのは勇気がいる…特に自分がアウェイな時は…。

 

 

 

 

その時、私の肩をもう一人の女性が叩く。

 

 

 

 

「?」

「…良かったら私とファイトしませんか?」

 

 

 

もう一人の…セミロングの女性が声をかけてきた。

 

その人の第一印象は“クール”や“ボーイッシュ”といった感じだった。

 

口調や見た目じゃない…溢れでるオーラがそれを感じさせる。

 

頼れる指揮官キャラ…そう言ってもいいのかもしれない。

 

そして何よりこの人は知らない人にフリーファイトを挑む“勇気”を持っている…私からしたらすごい人だ。

 

 

「…あ…私でよければよろしくお願いします」

 

「はは…こちらこそよろしく頼むよ」

 

 

早速私とその女性は席に座り、ファイトの準備を始める。

 

 

「えっと……ライド口上使ってもいいですか?」

「もちろん!…なら私も使わせて貰うよ?」

 

最初の印象よりもずっと話しやすそうな人だ。

 

 

「…では」

 

「……はい」

 

 

 

「「スタンドアップ!ヴァンガード!!」」

 

 

 

私のFVはクリーピングダーク・ゴート(4000)。

 

そして彼女は……

 

 

(…先陣の探索者 ファイル(5000)…新しいロイヤルパラディンのカード………)

ロイヤルパラディン…それは先程の私の彼女への印象にぴったりなクランだった。

 

「先行は私からだな…ドロー!そしてライド!誠実の探索者 シンリック(7000)!!…スキルでファイルをVの後ろにコールだ…ターンエンド」

 

私のターンが来る。

 

(…今更だけど私のデッキってライドしたいグレード1のユニットが少ない…な)

 

「…ドロー!撃退者 ダークボンド・トランペッター(6000)にライド!ゴートをスキルでV裏にコールして…ゴートのブースト!だったんでヴァンガードにアタック!!(10000)」

 

「ノーガードだな」

 

「ドライブチェック…氷結の撃退者!ドロートリガー!1枚ドローするよ!」

 

「ダメージチェックは…弩弓の探索者 ギルダス…トリガー無しだ」

 

ここまでは序章…ファイトが動きを見せるのはここから先のターンである。

 

「私のターンだ…ドロー…行くぞ…ライド!ブラスター・ブレード・探索者(9000)!!」

 

今弾のトライアルで追加された新しいブラスター・ブレード…ヒカリも今所持している純白の騎士が戦闘に参戦する。

 

「続けて爛漫の探索者 セルディック(9000)をコールする!」

 

グレード2が2体にFVが1枚…ヴァンガードの序盤の攻防でよく見られる陣形がそこにあった。

 

「ファイルのブースト…ブラスター・ブレード・探索者でアタック!!(14000)」

 

「ノーガード…かな」

 

「ふむ…ドライブチェック……探索者 ハロルドブレス・ドラゴン!…ゲット!クリティカルだ…クリティカルはVに…パワーはリアガードのセルディックに与える」

 

今、リアガードにいるセルディックはアタック時にVが“探索者”ならパワー+3000を得るというスキルを持っている。

 

私の使うマスカレードも同じ互換を持ったユニットなのだが、今のアタックでトリガーによるパワー+5000をされ、次のセルディックのアタック時のパワーが17000となったため、私がこの後ダメージトリガーを2連続で引いたとしても大概のグレード1のユニットではパワー17000を越えることができずに次の彼女の…いやセルディックの攻撃がヒット圏内に入ってしまう…これがこの陣形の利点と言えるのだろう。

 

「…ダメージチェック…first…幽幻の撃退者 モルドレッド・ファントム……second…督戦の撃退者 ドリン……トリガー無し…」

 

「セルディックでアタックだ(17000)」

 

「ノーガード…ダメージチェックは……!!暗黒医術の撃退者!…ヒールトリガー!!ダメージを回復してだったんにパワー+5000!」

 

「これでターンエンドだ」

 

ここまで私のダメージは2点…彼女は1点だった。

 

「スタンドandドロー…虚空の撃退者 マスカレード(9000)にライド!そして督戦の撃退者 ドリン(7000)をコール!」

 

Vの後列…FVであるゴートの隣にドリンがコールされる…督戦の撃退者 ドリンは同じ列に“ブラスター・ダーク・撃退者”がコールされた時にスキルを発動するユニット…それをわざわざ今コールしたのだから次は…

 

「ブラスター・ダーク・撃退者(9000)をコール!CB2でセルディックを退却!!…ドリンのスキルでCBを1枚分表に!!」

 

これで実質CB1で相手のユニットを1枚退却させたことになる。

 

「ふふっ…問題無いさ…双闘のコストにちょうどいいからね」

 

「…双闘…そうか…」

 

私は失念していたが、新能力“双闘”を使うには、互いのVがグレード3であることと自分のドロップゾーンに最低でも4枚のカードが無ければ発動することができないのだ…。

 

(…ということは)

 

「…ゴートのブースト…マスカレードでアタック!(13000)」

 

「めっせがる・探索者でガード(1枚貫通)」

 

「…ドロップを肥やすためのガード…かな」

 

「ああ、リミットブレイクが無い以上、多くダメージを受けるメリットが少ないからな」

 

(今後は序盤でガードされる展開が増えるのかな…)

 

「…ドライブチェック…暗黒の撃退者 マクリール…トリガー無しだね……ドリンのブーストでブラスター・ダーク・撃退者がアタック!!(16000)」

 

白と黒の剣士がぶつかる……が

 

「探索者 ハロルドブレス・ドラゴンでガードだ」

 

ダメージは動かず、彼女のドロップゾーンにはカードが少しずつ蓄積されていく。

「……ターンエンドだよ」

 

……次のターンではまだスキルを発動出来ないとはいえ、遂にレギオンのスキルを持ったユニットが登場することになる。

 

私は新システムに期待と不安を抱きながら彼女にターンを渡すのだった。

 

「さて…スタンド…ドロー!…私は知っている…君の中の勇気を!ライド!探索者 セイクリッド・ういんがる(11000)!!」

 

探索者 セイクリッド・ういんがる…ロイヤルパラディンの古参ユニットもとい犬である“ういんがる”の新たな…“過去”の姿であった。

 

なんでも過去の旅の中で守護竜の力を借り、解放した結果未来において子犬の姿になってしまったのだとか。

 

私はそんなユニット設定を思いだしながら、彼女の次の行動に目を向ける。

 

「そしてブラスター・ブレード・探索者をコール!」

 

再び現れる白の剣士…だがそれだけでは無かった。

 

「スキル…CB1!退却せよ、ブラスター・ダーク・撃退者!」

 

ブラスター・ブレードとブラスター・ダークの2度目の戦闘は、ダークが退却されるという結果になった

 

「ブラスター・ブレード・探索者の後ろにぐりんがる・探索者(6000)をコール!…ファイルのブーストでういんがるがVにアタック!!(18000)」

 

「…ノーガード」

 

「ツインドライブ…ファースト、セイクリッド・ういんがる…セカンドチェック…めっせがる・探索者…ゲット!ドロー…1枚引いてブラスター・ブレードにパワー+5000だ」

 

「…ダメージチェック…撃退者 エアレイド・ドラゴン…!クリティカルトリガー!パワーはVに!」

 

「ぐりんがるのブースト、ブラスター・ブレード・探索者でアタック!(20000)」

(このままアタックを通すと、ぐりんがる・探索者のスキルで手札交換とCB回復が発動してしまう…それに今ここで4点目はきつい…!!)

 

「厳格なる撃退者でガード!!」

 

「ターンエンド」

 

私はダメージを1受けて3…彼女は変わらず1…

 

(私としてはこのダメージ差は早く埋めたい…ね)

 

「私のターンだよ…スタンドandドロー!…世界の優しさと痛みを知る漆黒の騎士よ…我らを導く先導者となれ!!ライド!!幽幻の撃退者 モルドレッド・ファントム(11000)!!」

 

 

 

モルドレッドを手にしてからまだ1ヶ月半程度だろうか…まだ日は浅い…だがここまでの一日一日が私とこのデッキを少しずつ一つにしてくれる。

 

 

 

(だから…今できることをするんだ)

 

 

 

変態ジャスティス…そして神沢ラシン…クン…彼らと今後ファイトするためにも…!

 

 

 

(“双闘(レギオン)”…その力と戦う覚悟…決めるよ!)

 

 

「ゴートのスキル!CB1で自身をソウルへ…山札の上から5枚見て…撃退者 ドラグルーラー・ファントムを手札に!!」

 

私はゴートのスキルを成功させ、デッキをシャッフルする。

 

「そしてブラスター・ダーク・撃退者をドリンの前にコール!!ドリンのスキルでCBを1枚分回復するよ!」

 

私はモルドレッドに攻撃を託す。

 

思いを込めて…レストする。

 

「モルドレッド・ファントムでセイクリッド・ういんがるにアタック!(13000)」

 

「なら!ブラスター・ブレードでインターセプト!めっせがる・探索者でガード…2枚貫通だ!」

 

(相変わらずガードが硬い…)

「ドライブチェック…first…撃退者 エアレイド・ドラゴン!!…クリティカルトリガー!効果の全てをブラスター・ダークに!!…そしてsecond…詭計の撃退者 マナ…続けてドリンのブースト!ダークでVにアタック!!パワー21000でクリティカル2!」

 

「ノーガード…ダメージはセルディック…そしてセイクリッド・ういんがるだな…トリガー無しだ」

 

 

「うん…ターンエンド」

 

ダメージは3vs3。

 

(…これで同点…ここからならドラグルーラーで…)

 

私はぴょこぴょこ頷く。

 

…いや、頷くつもりは無かったのだけど、ついついやってしまったのだ…。

 

 

彼女がそれを見て(…何だこの娘可愛いな…)等と考えているとは、この時の私は全く知らなかった。

 

「…よし…私のターンだ…スタンドアンドドロー…行くぞ!セイクリッド・ういんがるのスキル発動!君の呼ぶ声、友へと届け!シークメイト!!」

 

彼女はドロップゾーンから

 

ブラスター・ブレード・探索者を1枚

 

探索者 ハロルドブレス・ドラゴンを1枚

 

めっせがる・探索者を2枚…山札に戻した。

 

 

「共に行こう…希望を探す旅に!ブラスター・ブレード・探索者…“双闘(レギオン)”!!」

 

「…これが…双闘…」

 

 

それは私にとって、初めて相対する光景だった。

2体のユニットはヴァンガードサークルに並び立ち、その力を合わせていた。

 

「レギオンスキル!爛漫の探索者 セルディックをスペリオルコール!…ファイルのスキル!ソウルに自身を入れ、ブラスター・ブレード・探索者をスペリオルコール!!…そしてVの後ろにぐりんがる・探索者をコール!」

 

一気に場が展開されていく。

 

「セルディックでダークにアタック!(12000)」

 

「ノーガード…ダークは退却…」

 

「ぐりんがるのブースト、セイクリッド・ういんがるのレギオンアタックだ!(22000)」

 

「…ノーガードで」

 

「…ツインドライブ…ファースト…探索者 ラヴィング・ヒーラー…ゲット!ヒール…回復はしないがパワーはブラスター・ブレードに!セカンドチェック…」

 

彼女はドライブチェックで引いたカードをヒカリに見せる。

 

「……探索者 シングセイバー・ドラゴン…だね」

 

「…トリガー無しだ」

 

(…予想はしていたけど、やっぱり入ってた…そういえばこの…前のファイトでも使われてた…!!)

 

「…ダメージチェック…氷結の撃退者…ドロートリガー!!1枚ドローしてパワーはVに与えます…」

 

「なら!ぐりんがるのスキル発動!手札のセイクリッド・ういんがるをドロップして1枚ドロー…CB1回復!…そして、ぐりんがるのブーストでブラスター・ブレードがVにアタック!!(20000)」

 

 

(…守れないわけじゃない…でもここは…)

 

「…ノーガード…ダメージは……モルドレッド」

私はダメージに落ちたモルドレッドを見る。

 

 

(…大丈夫…もう道は“見え”てる…)

 

 

ダメージは5vs3と再び差が開いていた。

 

(そう言えば私…初めて舞原クンとファイトした時に言ったっけ…)

 

 

ーー…どんなに点差があっても、ドラグルーラーは私を勝利へと導いてくれる…私の…ヴァンガード…ーー

 

 

(…今回も…頼んだよ!)

 

 

「スタンドandドロー!誰よりも世界を愛し者よ…奈落の闇さえ光と変え、今、戦場に舞い戻る!!クロスブレイクライド!!撃退者 ドラグルーラー・ファントム(11000→13000)!!!」

 

 

奈落から蘇りし漆黒の竜が私のヴァンガードサークルに立つ。

 

 

(そう…私にとって…君はヴァンガードだ…)

 

 

「ほう…ドラグルーラー…か」

 

彼女は興味深そうに私のドラグルーラーを見つめる。

 

「ブレイクライドスキル!CB1!ドラグルーラーにパワー+10000…我が呼び声に答えよ!スペリオルコール!ブラスター・ダーク・撃退者!!」

 

ブレイクライドで呼び出されたブラスター・ダーク・撃退者にさらにパワーが+5000される。

 

「ドリンのスキルでCBを回復…続けて詭計の撃退者 マナをコール…スキルで撃退者 ダークボンド・トランペッターをスペリオルコール!さらにだったんのスキルで氷結の撃退者をレストでスペリオルコール!!」

 

これだけでは終わらない…むしろここからが本番である。

 

「皆の力を一つに!!ドラグルーラーのリミットブレイク!!」

 

私は宣言する。

 

「CB1!パワー+10000!氷結の撃退者とだったんを退却!そしてあなたに1ダメージ!!これがあらゆるものを貫く…ミラージュストライク!!」

 

彼女によってダメージチェックが行われる。

 

「…探索者 ラヴィング・ヒーラー…ゲット!ヒールだけど回復はできずパワーはVにだ」

 

そして彼女のダメージゾーンに4点目のダメージが置かれる。

「…ドリンをコール!…もう一度リミットブレイク!CB1!ドリンとマナを退却…夢は終わらない…穿て!ミラージュストライク!!」

 

さらに彼女はダメージチェックを行うこととなった。

 

「ぐっ…これでダメージは5点という訳か」

 

彼女のダメージゾーンに探索者 シングセイバー・ドラゴンが落ちる。

 

今や私と彼女のダメージゾーンの枚数差は無くなっていた。

 

「虚空の撃退者 マスカレードをコール!…行くよドラグルーラー…パワー43000でセイクリッド・ういんがるにアタック!!」

 

「護法の探索者 シロンで完全ガード!」

 

彼女はコストとしてグレード1のシンリックをドロップする。

「ドライブチェック…first…暗黒の撃退者 マクリール!…second…暗黒医術の撃退者!ヒールトリガー!ダメージを回復してパワーはダークに!!……マスカレードでヴァンガードにアタック!(12000)」

 

私はここぞとばかりに猛攻を仕掛ける…がそう攻撃を通してくれるはずもなかった。

 

「セルディックでインターセプト!」

 

「ドリンのブースト!ブラスター・ダークが行く!!(21000)」

 

「探索者 ハロルドブレス・ドラゴンでガード!ブラスター・ブレード・探索者でインターセプト!!」

 

ブラスター・ブレードがブラスター・ダークの剣を退け、彼女へとターンを渡す。

 

 

「…ターンエンド」

 

 

 

「私のターンか…行くぞ!スタンド、ドロー!…穢れ無き純白の輝きで世界を照らせ!!ライド…!探索者 シングセイバー・ドラゴン(11000)!!!」

 

 

 

ドラグルーラーの前にかつての“自分自身”が立つ。

 

「シークメイト…希望に満ち溢れる世界で見つけた、絆で繋がる(メイト)よ!ブラスター・ブレード・探索者!“双闘(レギオン)”!!」

 

 

シークメイトで戻したカードは偶然だが前回と同じ4枚だった。

 

「そして爛漫の探索者 セルディックをコール…行くぞ…シングセイバー、ブラスター・ブレード…レギオンアタック!!(22000)」

 

(…想定済み!)

 

「暗黒の撃退者 マクリール!コストに氷結の撃退者を支払って完全ガード!!」

 

「ツインドライブ…ファースト、探索者ハロルドブレス・ドラゴン…ゲット!クリティカルだ…効果の全てをセルディックに与える…セカンドチェック…めっせがる・探索者…ゲット!ドロー!!1枚引いてパワーはセルディックに!」

 

(ダブルトリガー…これは結構…きついかな…しかもシングセイバーの攻撃はまだ…)

 

「シングセイバーの攻撃はまだ終わらない!!CB2、SB3、そして手札からシンリックとめっせがるをドロップ!!…守りたい世界がある…だから彼は再び立ち上がる!!スペリオルペルソナライド!…探索者 シングセイバー・ドラゴン!!そしてこれが…ソウルメイトレギオンだ!!…アタック!(22000)」

 

Vに向かって山札から飛んできたシングセイバー…その傍らにはソウルの中にいたはずのブラスター・ブレード・探索者が立っている。

 

(……これがシングセイバーのスキル……ソウルメイトレギオン……)

 

「もう一度マクリールの完全ガード!!コストは無常の撃退者 マスカレード!!」

 

「再びツインドライブ…ファースト、探索者シングセイバー・ドラゴン……セカンドチェック…護法の探索者 シロンだ……防がれたな…だが、これはどうだ…ぐりんがるのブーストでセルディックがVへとアタック!!パワーは28000のクリティカルが2!!」

 

「撃退者 エアレイド・ドラゴンと暗黒医術の撃退者でガード!!」

 

私は残り少ない手札を使って守る。

 

「ターンエンドだ」

 

ダメージは互いに5点。

 

私は自分のたった1枚の手札を見る。

 

(そう言えば彼も言ってたっけ…)

 

私が思い出すのは神沢ラシン…クンの言葉。

 

 

(“切り札ってのは後から出すものだ”…か…その通りだね…)

 

対戦相手である彼女の手札は5枚…その中は完全ガード、シングセイバー、トリガーである探索者 ハロルドブレス・ドラゴンが見えている。

 

 

(ファイトの状況はこの間の青葉クンと変態のファイトに近いのかも……だったら)

 

 

ヒカリはそのカードに思いを込める…

 

 

(私も……勝利を掴む!!…あなたに賭ける!)

 

 

「私の…ファイナルターン!!スタンドandドロー!」

 

そう…ファイナルターン…言い方を変えるなら…このターンで勝負を決められなければ…私の負け…。

 

「へぇ…」

 

「出会い…別れて…そして再び巡り会うかつての友よ…!!ライド!!撃退者 レイジングフォーム・ドラゴン(11000)!!」

 

そのユニットを見て彼女が呟く。

 

「なるほど…スペリオルライドにはスペリオルライドを…ということか」

 

撃退者 レイジングフォーム・ドラゴンは“アタック終了時にスタンド状態で同名ユニットにスペリオルライドする”という点でシングセイバーと同種のスキルを持っていた。

だがシングセイバーのスキルが山札からのスペリオルライドであるのに対し、レイジングフォームは手札に同名ユニットが無ければライドすることができないというスキルだった。

 

そして今、私の手札にはレイジングフォームは存在しなかった。

 

(…だから…ドライブチェックで引くしかないんだ…山札の中の残りのレイジングフォームを…)

 

ここまで顔を見せたレイジングフォームは今私がライドした1枚のみ…山札の中には残り3枚のレイジングフォームが控えているはずだ。

 

それが今の私のデッキだった。

 

「Vの後ろに今ドローしたドリンをコール!」

 

これで私の手札は無くなる。

 

「…来るか」

 

「うん…行くよ!ドリンのブースト…ブラスター・ダーク・撃退者でシングセイバーにアタック!!(16000)」

 

「ハロルドブレスでガード!」

 

(あと…手札4枚…)

 

私は彼女の手札を数えながらアタックを宣言する。

 

「ドリンのブーストでレイジングフォーム…スキルでCB1…パワー+3000…私の願いよ届け!パワー21000でシングセイバーにアタック!!」

 

レイジングフォーム・ドラゴンはかつての友へとその拳を振るう。

 

「シングセイバーをドロップ…シロンを使って完全ガードだ!!」

 

(あと2枚……)

 

「…ドライブチェック…first…厳格なる撃退者!…クリティカルトリガー!!効果は全てマスカレードに…」

 

次の1枚…それがこのファイトの結果を左右する。

 

 

 

(…来て)

 

 

 

「…second…」

 

 

私はカードを捲る。

 

 

「……それは」

 

 

「…あ……レイジング…フォーム……」

 

私が手にしたのはもう1枚のレイジング…つまり…。

 

 

「撃退者 レイジングフォーム・ドラゴンのリミットブレイク!!」

 

私は…まだ戦える。

 

 

「ダーク!そして2体のドリンを退却!…何度生まれ変わっても…何度絶望しようとも…その友への怒り、悲しみ…そして友情は変わらない!スペリオルペルソナライド!…撃退者 レイジングフォーム・ドラゴン!!!」

 

 

スタンド状態で…Vにレイジングフォームは立っている。

 

「さらにパワー+10000…一緒に戦おう…探索者 シングセイバー・ドラゴンにレイジングフォームが…パワー21000でアタック!!」

 

「…シロンで完全ガード!!」

 

コストとして同じく完全ガードの護法の探索者 シロンが捨てられる。

 

(これで…手札は無くなった!!)

 

「ドライブチェック…first モルドレッド…secondマクリール…トリガーは無い…けど十分!最後のアタック!!パワー17000、クリティカル2の攻撃!!行くよマスカレード!!」

 

すでに彼女の1枚のインターセプトで防げるパワーを越えていた。

「ああ…ダメージチェック…最後のダメージはセイクリッド・ういんがる……いやぁ…負けたよ」

 

 

 

 

「こちらこそ…負けてたかも…」

 

 

結局は運命力だったのかもしれない…あの時レイジングフォームが出ていなければ……いや考えるのはよそう………ヴァンガードで“もしも”の話をすることほど終わりの見えない議論は無いだろう。

 

 

 

「はは…君が“双闘(レギオン)”を手にする時が待ち遠しいな…私ももっと練習しないと…」

 

 

 

彼女はそう言って私と私のデッキを見つめた。

 

「個人的にはドラグルーラーが印象に残ったな…これから役に立つことが増えるかもしれないだろう?」

 

「…そうか、序盤のダメージを防ぐことが多くなるから…!」

 

「そうして考えるともっと以前のカードも今一度調べてみたいものだな」

 

「だったら…ロイヤルパラディンのエクス…」

 

 

 

私はしばらく彼女と会話する。

 

 

 

最初はカードの話が中心だったがしだいに互いが持つ他の趣味や好きなことの話へとなっていった。

 

こんなに盛り上がる会話もいつ振りだろうか。

 

 

「…なんなら私が今オーバーマスターを歌うが」

 

「格好いいですよね…あ、infernoとか……って今歌うんですか!?」

 

「…いや…盛り上がるかなって」

 

「いやいや…なら…」

 

「ユズっち!!こんな所にいたのかよ!帰るぞ~!」

 

ファイトスペースにいかにも元気っ娘という感じの女の子がやって来る。

 

「…“ユズっち”?」

 

彼女は何かに気づいたように目を丸くする。

 

「あ…ふふっ…ここまで色々話しておいて自己紹介がまだだったとは…私は黒川ユズキ…16歳の女子高生さ」

 

「あ…私は深見ヒカリ…よろしくです」

 

黒川さんは嬉しそうに笑う。

 

「ああ!よろしく!!…さて…そろそろ私達は帰らないと…ナツミ!ミカン!」

 

「了解~」

 

どうやらさっきまで舞原クンとファイトしていた女の子がナツミさん…

 

「全く遅いぞ!」

そして今やって来た女の子がミカンというらしい。

 

この三人の関係は見てわかる。

 

「仲間…友達……なんですね」

 

「ああ…深見さんにもいるのでしょう?」

 

そう言って黒川さんが手で示す、その先には天乃原さん達が立っていた。

 

「…うん」

 

「深見さん…あなたと戦えて良かった…よければまた今度お相手してもらえるかな?」

黒川さんは笑顔でそう言う。…だから

「…うん!…喜んで!!」

 

私も笑顔で返すのだ。

 

 

 

「(…なんだこの人すごい可愛い)」

 

黒川さんが何かを言いかけるが、聞こえない。

 

そして私は黒川さん達を見送るのだった。

 

 

「ヒカリさん…」

 

「天乃原さん?」

 

気がつくと天乃原さんが私の隣にいた。

 

天乃原さんは黒川さんの後ろ姿を見つめている。

 

「彼女…黒川ユズキさんね」

 

「…知ってる人だったんですか?」

 

「他の二人はともかく、彼女はうちの高校の…1年A組の生徒よ?……」

 

「ええ!?」

 

(全然知らなかった…他のクラスに友達とかいないし…1年A組って私のクラスからも微妙に遠いから…あまりAの人とも会うこと無かったからな…)

 

「一応…チームに誘ったことがあったんだけど“もう仲間がいる”って断られちゃった」

 

「…ということは」

 

「ええ…彼女もVFGPに出るんでしょうね」

 

色んな人がVFGPを目指している…そう思うとワクワクする自分がいた。

 

これから、新たなカードの登場で“環境”は混乱していくだろう…私も惑わされず…ファイトの腕を磨いていかなくては…

 

 

でも今はとりあえず…

 

 

 

 

「…学校で見かけたら、声…かけてみようかな」

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

暗く静まり返った商店街…

 

 

「ジャースティーッスぅぅ!ジャースティーッ…」

 

夜道を一人(正確には二人)…叫びながら歩く姿があった。

 

 

「ふっふっふっ…公園で遊んでいた少年に頼んで“恐慌の撃退者 フリッツ”と“次元ロボ カイザーグレーダー”をトレードしてしまった…これを売って新しいワックスの費用の足しにせねば」

彼はそう言って逆立てた自分の髪を撫でる。

 

「やはり俺のジャスティスは小さい子に……ん?」

 

彼は“何か”の視線を感じる。

 

だが道には誰もいない。(正確には足元に弟がいる)

 

(…普段の視線とは違う…まさか……これは…)

 

 

「ファン(?)の気配だぁぁぁぁぁ!!行くぞぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

彼(彼ら)は路地裏を進む。

 

突然彼の視界は闇に覆われた。

 

よく見ると彼の回りを色の薄い醤油のようなオーラが渦巻いている。

 

 

しだいにそれは“輪”のような形になった。

 

 

『ハハハ……ニンゲン……』

 

 

色の薄い醤油のような色の“輪”から、無機質だがどこか苛立ちを含んだ声が聞こえる。

 

 

『…ニンゲン……』

 

 

「デンデンデーデンデンデー…デデッデデンデン」

 

 

『イマヨリも…ツヨイジブンに…ナリタクハナイカイ?』

 

 

「ジャッスティーッス♪ジャスティース♪」

 

 

『ウマレカワル…ソウ…アラタナジブンへと“リバース”スルノです…』

 

 

「俺はぁぁぁぁぁ!ジャースティーッス!!」

 

 

『サァ…ファーストリバースファイターに…』

 

 

「ん?すまん聞いてなかったぞぉぉ!」

 

 

『シッテタよ!!…クッ…モットチカラガアレば…コンナヤツ…アイテにせずにスンダトイウノに!!』

 

 

「……俺のファンよ…俺の歌…聴いてくか?」

 

 

 

『ダレガキクか!?ドウシテソウナッタ!?アト!ワタシハオマエノ“ファン”では…』

 

 

 

「デンデンデー…デー…」

 

 

 

『ウタウノカ!?…マタソレカ!…バンソウもジブンでウタウノですか!?というかそれはウタなのか!?何故この私がツッコミをシナクテハならないんだ!?』

 

 

「ジャースティーッスぅぅぅぅ!!!」

 

 

 

 

 

 

この不毛なやり取りが三日三晩続くことは…まだ誰も知らなかった…。

 

 

 

 

 


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