君はヴァンガード   作:風寺ミドリ

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025 Merkur~黒輪を散らす黄金の花~

私、深見ヒカリはモルドレッドと一緒にユナイテッドサンクチュアリ…神聖国家の街の中を歩いていた。

 

目指すはオラクルシンクタンクの本社…途中までは馬での移動だったが、今は徒歩だ。

 

私はモルドレッドに街を案内してもらいながら歩く。

 

モルドレッドの刺々しい鎧が周囲の注意を引く…ちなみに私は一応ずっと学校の制服だ。

 

「ヒカリ…待て」

 

「え?…あ…」

 

私たちの前を木材を乗せた馬車が通った。

 

街のあちこちで工事が見られるのは、おそらく星輝兵との戦いの名残なのだろう。

 

街は“生きる力”で溢れていた。

 

 

「あ…あれ…何だろう」

 

「ん…?あれか」

 

私が見つけたのは遠くで光る物体…少しずつこちらに近づいてくる。

 

 

小さい生き物…?いや…妖精??

 

 

「ピカ!ピカピー!」

 

「うわ……何かこう…危ない鳴き声…」

 

世界で2番目に有名なネズミのような鳴き声だ。

 

「あれは…エレメンタルだな…こうして実体を持っているのは珍しいが」

 

「エレメンタル?」

 

モルドレッドの説明に知らない言葉が出てくる。

 

エレメンタル…その姿は丸いほっぺ、黄色のシャツ…そんな言葉を思い出す。

 

頭から伸びる長い耳のようなものが揺れている。

 

「うわ…可愛い」

 

私は思わずそれを抱っこしてしまう。

 

「ピカ一!ピカッ?チュー」

 

ぺちぺちと叩いてくる…全然痛くない…可愛い…。

 

「ピッ!」

 

「うわっ!」

突然輝いたかと思うとその生き物(?)は消えてしまっていた。

 

「え…?」

「エレメンタルは実体を維持するのが苦手だからな」

 

「………そうなんだ……」

 

「そう落ち込むな……それにもうすぐオラクルシンクタンク本社だぞ」

 

目の前には巨大なビルが立ちはだかっていた。

 

「ここが………」

 

神聖国家で最大の規模を持つ企業…いや他の企業を知らないんだけれども。

 

「行くぞ…俺達が会いに行くのは…“メイガス”の連中だ」

 

「う…うん」

 

私たちは建物の敷地内に入っていく。

 

私は周りを見渡す。

 

二人の女性が話し込んでいた。

 

一人はスーツ姿…オラクルシンクタンクの社員かな?

 

「…でどうですか!?タンクマンは!?」

 

そう聞くのはハチマキを巻いた女性。

 

「…そうですね…性能…能力も…我々の理想に近いものを持っていますね…正式採用…量産の検討をさせていただきます」

 

「ありがとうございます!!」

 

スーツ姿の女性はビルの方に戻っていく。

 

もう一人の女性のそばには…巨大な乗り物?が置かれていた。

 

「…乗り物…いや…変形ロボット?」

 

「分かる!?」

いつの間にかその女性が私の耳元まで迫っていた。

 

「分かっちゃう!?私のロボット魂!…キュートな頭のサイレン…2モード変形を実現したギミック!…遠近両方で戦えるし、無限起動で迫力も抜群!!」

 

「えーと…あ…サイレン…可愛いですね」

 

「分かっちゃうかなー嬉しいなー!?」

 

うう…そんなキラキラした顔で見られても…返す言葉が無い…。

 

「ヒカリ…そろそろ行くぞ」

 

「あ…うん」

 

「ヒカリって言うんだ…私はエリカ!じゃあね!!」

 

「じゃ…じゃあね…?」

 

エリカさんが駆け出していく…元気だなぁ…。

 

「…ここはオラクルシンクタンク…ユナイテッドサンクチュアリの商業の中心だ…だから色んな奴が来る」

 

「へ…へー」

 

そう言ってモルドレッドは受付らしい場所に行ってしまった。

 

 

メイガスの連中…モルドレッドはそう言った……“メイガス”……私としてはあの神沢ラシンが使ってきたデッキとして印象に残っている。

 

(確か…占いとかが専門…なんだっけ)

 

他にも…暗殺者(?)集団やお天気お姉さん、警備ロボットに神様がいた気がする。

 

ヴァンガードのクランとしては最初期の部類に入るはずだ。

そんな風に考え事をしていると一人の女性が近づいてきた。

大きな帽子、ピンクの服にミニスカート…その女性の名前はスフィア・メイガス…オラクルシンクタンクのヒールトリガーさんだった。

 

「占術士長様との面会を予定されてる、ヒカリ様ですね!私の後に着いてきてください!」

 

そして私は彼女に手を引かれる。

 

「え…あ…!…モルドレッドは!?」

 

モルドレッドは少し離れた場所でこちらを見ていた。

 

「俺はパスだ、あまりここの奴らと顔を合わせたくないのでな」

「ええぇ……」

「心配するな、帰ってくるまではここにいる」

 

「さあヒカリ様!行きましょう!!」

 

そうして私はオラクルシンクの社内へと引きずられていったのだった。

 

 

「あ、そうだ」

 

 

スフィア・メイガスさんが突然立ち止まる。

 

「……何ですか」

 

「一応今から向かう場所って神聖国家の重要機密事項の一つなんですよ」

 

「…はあ」

 

「だから…目隠しさせてもらいますね」

 

「え…え?」

あれよあれよと言う間に私の視界が塞がれる。

 

今の私はギャラティンさん状態だ。

 

「それじゃあ、行っきますよー!」

 

「あ…ちょっと待っ…きゃっ」

 

「れっつごー♪」

 

私はまるで囚人のようにずるずると引きずられていくのだった。

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

「あなたが…ヒカリさんですね」

 

「…と言われましても……見えませんが」

 

「…申し訳ありません…スフィア」

 

 

「はい!」

 

 

そうして私の目隠しが外される。

 

私は外の眩しさに目を開くことができない…ことは無かった。

 

 

幻想的な光が微かに灯る薄暗い空間…円形の広場の周りを水が流れていたり、よくわからない石板が並んでいる。

 

よく見るとこの空間はかなりの大きさがあった。

 

遠くの方では“見慣れた女神達”が働いている様子がうっすらと見える……不思議な場所だ。

 

 

「ようこそ…私が占術士長の補佐を務めるペンタゴナル・メイガス……あなたに“預言”をお伝えすることが私の仕事です…」

 

 

「……預言」

 

 

もう急な話の展開は覚悟してきた…でなければ、さっきだって大人しく引きずられているようなことはしていない。

 

(この世界における預言というのは占いというよりも未来予知に近いものだったっけ…)

 

 

「……『…赤く染まる星の下に、救世の光を拾い上げし異世界の者が現れる…そしてその光は蒼き地球の者と出会い、真の目覚めを迎えるだろう』」

 

 

前半の部分は聞いた覚えがある…そうだ、カロン君が言っていたんだ…昨日。

 

 

ーー今宵…赤く染まる星の下に…ーー

 

 

私は“あのカード”を取り出す。

 

 

「伝承によると“メサイア”はカードの形でこの世に降り立つとされていましたが…それが?」

 

ペンタゴナル・メイガスさんが私が取り出したカードに注目する。

 

「…たぶん……私が“こっち”に来たときに…いつの間にか手の中にあったから」

 

 

銀色のヴァンガードカードは私の手の中で今も輝いていた。

 

 

「…“私の星”も地球って言うけど…きっと違う地球のことだよね………なんて」

 

様々な平行世界が存在するかもしれない…私が昔読んだ雑誌にもそう書いてあった。

 

 

「……そうでしょうね…それに関してなんですが…」

 

「?」

 

「…預言には続きがあります」

 

「え…?」

 

「あなたを元の世界へと導くものでしょう…」

 

(…元の世界に……帰れる!!)

 

私は黙ってペンタゴナル・メイガスさんの次の言葉を待つ。

「…『スターゲートに一人で行くべし』」

 

「……」

 

「……」

 

「………明らかに前の預言と雰囲気が違いません?」

 

雰囲気だけじゃない…これは預言というより命令だ。

 

「…気のせいですね…これで私の仕事は終わりです…スフィア、例のメモをヒカリさんに」

 

「はーい!ヒカリ様…こちら、スターゲートまでの道順を書いたメモです!……あ、それとこれをお持ちください!これを港の第3ラインの窓口で見せて下さい!神聖国家とスターゲートを行き来できますよ!それじゃあ目隠ししますね!」

 

「え…ちょっと…待って!!……きゃっ!」

 

「あなたの行く先……きっと…メサイアの目覚めもそこで……」

 

「…それ!…どういうっ!?……待ってよ!!」

 

 

こうして再び私は抵抗する暇も無く…いや抵抗する気は無いのだが…連れてかれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その部屋の奥………薄いベールの向こうで話す影があった。

 

 

 

「協力感謝する…」

 

 

「いいえ…預言者としてできることをしたまで…」

 

 

一人は占術士長…“六角”と呼ばれるペンタゴナル・メイガス…そしてもう一人は……

 

「後は…“それぞれ”の問題を気にするべきだろう…我々はこの次元の歪みの修正…」

 

「私達は…クレイに迫る“驚異”への対策…」

 

半機械化した体をもった竜がペンタゴナル・メイガスに背を向ける。

 

「未来の可能性を潰さないために」

 

「良き未来へと歩み行くために」

 

後の書物に決して語られることの無い秘密の邂逅がそこにあった。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

 

 

「で…どうだった?」

 

「………もう行きたくはないかな」

 

私はモルドレッドに率直な感想をぶつける。

 

とんだ扱いだった…とまでは言わないが、正直目隠しされて引きずられるといった経験は今後またしたいとは思わなかった。

 

「ははは…それでこの後はどうするんだ?」

 

「うん……スターゲートに一人で行かなきゃいけないみたい……」

 

私は渡されたメモを見ながら答える……本当…ここの文字が何となくでも読めて良かった。

 

「スターゲート…か…また遠いな……」

 

「うん……」

 

「ここからなら…西の街道の先にある港に行くのか」

 

「…そうみたい」

「…そうか」

 

どうやらスターゲートまでの道のりは確かに長いがその大部分は乗り物による移動がメインになるようだ。

 

実際ここからその港までも、割りと近いらしい。

 

私はモルドレッドと一緒に街道を進む。

 

まだ“こちら”に来て一日も経っていない…だけど、私にとって“こちら”で見たことはどれも強く印象に残るものばかりだった。

 

ガスト・ブラスター、ドラグルーラーとの対面。

 

ブラスター・ダーク達の戦う姿。

 

爆発するツヴァイシュペーア。

 

どつかれるルゴス。

 

だったんの料理。

 

だったんの胸。

 

モルドレッドの“勇気”と“覚悟”。

 

神聖国家の街並み。

 

今後、ヴァンガードをする時…カードを見つめる度にこのことを思い出すのか…それともすぐに忘れてしまうのか…。

 

 

「なあ……ヒカリ…」

 

「……何…?」

 

「いや…まだあの“カード”について聞いてなかったなってな」

 

モルドレッドが言っているのは間違いなく私のヴァンガードカードのことだ。

 

(…どう説明しよう……これは…………)

商品としてのヴァンガードではなく…私の思い…私にとってどういう存在なのかが、今は大事な気がした。

 

「…説明はできない…けど…これは…ここに描いてある人たちに私の思いを託すっていう…誓いの証…かな」

 

「……誓いの証」

 

「そう…先導者としての誓い」

 

しばらくの間沈黙が続く。

 

(…私……変なこと……言っちゃった…?)

 

モルドレッドがその口を開く。

 

「託す…というが…お前は我のことをどの程度しっているんだ?」

 

「……元々は神聖国家の守護竜としてこの国を見守っていた……だけど…この国で生きる人の悲しみや苦しみを吸収しすぎてしまった…それで」

 

「そこから知っていたか……その調子じゃあダーク達のことも知っていたのか?」

 

「うん……でも実際に会ってみると…やっぱり私の知っていることなんてほんの少しに過ぎないって…思ったよ……」

 

知らない誰かが自分の人生を知っている…それは気味の悪いことだろう、だから私はモルドレッドにより警戒されたと思った……でも違った。

 

「………お前から見て今のシャドウパラディンはどうだ?」

 

「今の……シャドウパラディン………?」

 

それはどういう意味なのだろうか。

 

 

「ああ…元々、今のシャドウパラディンは撃退者の部隊を中心に纏まっていた…だが撃退者の任務だった奴等との戦いは終わり…シャドウパラディンのメンバーはまたバラバラになろうとしている…」

 

「…解放戦争の頃見たいに?」

 

解放戦争…突如ブラスター・ブレード、ブラスター・ダーク、ドラゴニック・オーバーロード・ジエンドの3名が何者かに“封印”されてしまったことが切っ掛けに始まった戦争だ。

 

影の内乱の騒動を経て、新しい道を見つけるはずだったシャドウパラディンはリーダーと呼べる存在を失い空中分解してしまっていた。

 

「ああ…それが悪いことだとは言わない…だが元々、力や自分の信念に過剰な思いを持った連中が多い……そいつらが道を踏み外さないかが気になってな」

 

「…少なくともダーク達は大丈夫だと思うけど………それはあなたが一番わかっている…だよね」

 

「まあ…な」

 

ブラスター・ダークを始めとするシャドウパラディンの古参組…屈辱をはね除け、自身の罪を認め、許され、そして再び自分達の進む道を見つけてきた彼ら、そして彼女らが道を違えることはもうないだろう。

 

(少なくとも…彼らがいる限り)

 

剣をぶつけ、互いの意志をぶつけ合った純白の騎士達さえもがこの国を見捨てるようなことにならない限り。

 

「…ダークはまだ若い…あいつがシャドウパラディンを率いるのは……まだ負担が重すぎるか………?」

モルドレッドが一人ごとのように呟く。

 

「若いって…あなたに言われると……ってシャドウパラディンを率いる…?………それはあなたの仕事じゃ…ないの?」

 

「口に出ていたか…そうだな…我がいなくなった時…の話だ」

 

「いなくなる……ガスト・ブラスターと相討ちにでもなるつもりなの…?」

 

「………」

 

「あんなにダークに止められているのに…」

 

私は昨日の夜のモルドレッドとダークの口論を思い出していた。

 

私にも何となく感じていた…“あれ”とは一人で戦うのは危険すぎる…と。

 

「……我が一人で戦わなければならない相手だ」

 

「…………頑固」

 

「……ああ…頑固だ」

 

「………」

 

 

いつの間にか私たちは“港”についてしまった……漁港みたいなものを想像していたけど…この場所は“宇宙港”と私たちの世界で呼ばれるものだった。

 

 

いや…無いけどね…“宇宙港”なんて。

 

 

「そろそろお別れだな」

 

モルドレッドが告げる…そう、これでお別れなのだ。

 

「うん…さっきの…今のシャドウパラディンについて…ちゃんと答えられなくて…ごめん」

 

「いや…いいさ…俺もあの瞬間、お前を頼っていた…お前なら俺の不安の正体を教えてくれるんじゃないかってな」

 

不安…その理由なら決まっている。

 

「……モルドレッドは…一人で背負い込みすぎなんだよ…何かあったらすぐ自分のせいにして、自分一人で解決することばかり考えてる……だから不安がいつも付きまとう…」

 

「………」

 

「…仲間…もっと頼ってあげて…………きっと待ってるから」

「………………ありがとな」

 

私の言葉がちゃんと伝わったのかは分からない…でもこれが今、私が言いたかったことだ。

 

「………またね」

 

「…ああ」

 

 

 

 

私は彼の元を離れ、第3ラインと書かれた看板の立つ方向へ走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モルドレッドがその後ろ姿を見送る。

 

「仲間を信じる…か………だけどな」

 

モルドレッドは左手で右腕を押さえる。

 

その右腕は不安で震えていた。

 

「…またあいつらを我の罪に巻き込む訳には…な」

 

モルドレッドは震える右手を見つめる。

 

「今の我より…よっぽどダークの方が団長に相応しいか…」

 

「誰かを頼るのが…こんなに難しいなんてな…」

 

そうしてモルドレッドは港に背を向け歩き出すのだった。

 

 

 

 

 

「超速ですね!お客さま!!」

 

「へ!?」

 

「こちらです!!」

 

「ええ!?」

 

「いってらっしゃいませ!!!」

 

私が受付に例の紙を見せた瞬間、周りでどよめきが起こった…それを不審に思う間もなく私は変な乗り物に乗せられ…そのまま飛ばされてしまった。

 

「これ…自動操縦…だよね!?……不安…」

 

機体がガタガタと揺れる…中は人間一人分のスペースしかなかった…その分速いようだが。

 

「……超速ってことか…」

 

どうやら機体の正体はヴァンガードのユニットにも存在する“ファイティング・ソーサー”と同型のもののようだ。

 

私はバッグからだったんに貰ったアップルパイを取り出す。

 

「……帰れるのかなぁ……」

 

 

スターゲートに行ってからの予定が皆無なのだから、不安にもなる。

 

私はアップルパイを口にする。

 

 

「美味し……」

 

 

考えても仕方が無い…今はこの機体が無事にスターゲートに辿り着くことを静かに祈ろう。

 

 

「それ…美味しそうだな…」

 

「…うん……いる?」

 

「お、サンキュ」

 

「……………………………え」

 

私は後ろを振り替える…座席の後ろには小さく体育座りをした金髪の青年がいた。

 

「よっ!ヒカリちゃん、よろしく!俺はメスヘデだ」

 

「あ………えっと………ヒカリです…」

 

気まずい……私はずっと一人で乗っていると思っていた。

 

というかこの人…どうしてこんな所に隠れるようにして…いや隠れていたのか。

 

「…メスヘデ…さんはどうしてここに…?」

 

「…ん?……………お仕事さ」

 

「お仕事?」

 

「迷子の少女を家まで送るってな」

 

どう考えても“迷子の少女”というのは私のことだろう。そして“家”というのは………

 

「え!?…じゃあ…あなたは一体………?」

 

メスヘデさんはアップルパイを食べながら答えた。

 

「さっきも言ったろ…俺はメスヘデ…仕事は…まぁ次元パトロール…みたいな?」

 

「次元…じゃあ私のことも知って…」

 

「ああ、深見ヒカリちゃん、向こうの世界で言うところの7月11日生まれ、天台坂高校1年生で身長158㎝、スリーサイズは上から87-55-84……」

 

「もうストップっ!!」

 

「ちなみにアンダーは72で「ストップと言っているのが聞こえないのっ!?」

 

 

こうして私は元の世界へ帰るための協力者と出会ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

TATSUNAGI…その文字が私にこの場所の正体を教えてくれる。

 

立凪ビル…アニメ第3期の最後に、先導アイチと櫂トシキが戦った場所だ。

 

そんな場所に私たちはいる。

 

 

私、天乃原チアキ。

 

青葉ユウト。

 

ウルルさん。

 

舞原ジュリアン。

 

黒川ユズキさん。

 

そして、先導アイチ君、櫂トシキ君。

 

ーーって

 

「ちょっとジュリアンっ!!」

 

私はジュリアンのバカを呼ぶ。

 

「…何すか」

 

「何でアイチ君と櫂君の二人(あとユズキさんの三人)がいるのよ!!」

 

「何でって……成り行きっすよ」

 

「成り行きって…もしかしてファイトしたの!?」

 

「まあ…」

 

そう言ってジュリアンは黙ってしまった。

 

(何か…あったのかしら…)

「とにかく!今はこのビルを登るわよ!それで…」

 

ウルルさんが私の後に続けて言う。

 

「私がヒカリさんが戻ってくるための“道”を阻害している存在を排除します…チアキさん達はヒカリさんがこの場所に戻って来れるよう呼び掛けてください」

 

「…ということよ!!」

 

「……よくわからないけど解ったっす」

「……よくわからないが…私も行こう!」

 

私たちは立凪ビルの入り口に向かう。

 

玄関の扉は開いていた。

それを見ていたアイチ君と櫂君の二人も私たちに着いてくる。

 

「空に黒輪が浮かんでいる以上…俺達も見過ごす訳にはいかない」

 

確かにビルの上空にはとてもとても小さな黒輪が浮かんでいた。

 

「だから…僕達も一緒に行っていいかな?」

 

「え…ええ」

 

「では…行きましょう」

 

電気が通っておらず、薄暗いビルの中、私たちは階段を駆け登る。

 

(…ヒカリさん………)

 

あっという間だった。

 

私たちはビルの屋上に出る。

 

息も絶え絶えではあるが、休憩している暇は無い。

 

空にはドーナツ程度の大きさの黒輪が浮かんでいた。

 

『………邪魔者が来ましたね…』

 

そこにいたのは…あの時の醤油…人型を保ってはいるが、前に見た時よりも細く、弱々しかった。

 

「…櫂君…あそこにいるのって…」

 

「………立凪タクト…」

 

醤油色の針金の足元…力無く地に伏している少年がいた。

 

「アイチ君…櫂…トシキ…?」

 

弱々しく答えるタクト。

 

『動くな…あなたは力を消耗しすぎたのでしょう?』

 

「そう言う君こそ…もう力は残っていないだろう?」

 

『ぐっ…』

 

針金は呻く…確かに空に浮かぶ黒輪はとても小さく、今にも崩壊しそうだった。

 

「タクト君…」

 

「アイチ君…僕は…情けないな…」

 

その言葉を言うとタクトは拳を握りしめた。

 

「後悔は後でしろ、今は…」

 

「あなたを排除させてもらいます」

 

ウルルさんがデッキを取り出そうとした櫂君を手で諌めながら言い放つ。

 

『…ヴァンガードファイトをせずに私を止めると?』

 

「止めるのではありません、“排除”します」

『…貴様……一体……』

 

「…お願いします、エ」「ちょっと待ってもらおうか」

 

突如どこからか声がする。

 

(この声…どこかで…聞いたわね)

 

「一人のヴァンガードファイターとして…こいつは俺の手で倒させてもらう」

 

「…あの…ですからヴァンガードででは無く…」

 

「勝負だ…リンクジョーカーの成れの果てよ」

 

その人物は私たちの背後から現れた。

 

 

『貴様…何者だ…』

 

「俺か…俺は…」

 

金髪の少年はその髪を風に揺らしながら、私たちと針金の前に立つ。

 

「通りすがりの先導者(ヴァンガード)だ…覚えておけ」

 

「神沢…ラシン…」

 

いち早く口を開き、反応したのはジュリアンだった。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

 

「で、ファイトするのはいいんすけど」

 

 

『…グレンディオスでアタック!!』

 

「…解放者 ラッキー・チャーミーでガード」

 

『ツインドライブ…ちいっ…』

 

「俺のターンだ…スタンド、ドロー…誇り高き竜よ、その身に宿し青炎で邪を焼き付くせ!!ライド!!解放者 ブルーフレイム・ドラゴン!!」

 

 

 

「何でトライアルデッキ何すか!!!」

 

そう…彼、神沢ラシンがこのファイトで使っていたのはトライアルデッキ…聖裁の青き炎そのままであった。

 

ブルーフレイム・ドラゴンとはトライアルデッキ収録の…目立ったスキルを持たないユニットである。

 

他にも彼のダメージゾーンには森閑の解放者 カードル等といった悪い意味でトライアルデッキにしか入っていないようなユニットが落ちていた。

 

「聖裁の青き炎って確かパーシヴァルってユニットが看板よね」

 

「そうっすね…デッキトップからのスペリオルコールが能力っすけど……何で…そのまま…」

 

 

「ちょうど馴らしておきたかったからな」

 

 

「馴らしって…」

 

「本物のリンクジョーカーと聞いて心踊ったのだが…大したことは無さそうだ…力が尽きそうなのか“本人”だと言うのにデッキの中は丸見えだ」

 

神沢ラシンはがっかりだと言うように目を伏せた。

 

『…舐めるなよ…人間風情がっ!!』

 

「安心しろ、すぐに倒してやる」

 

 

…私たちは見守るしかない。

 

「あの…」

 

ウルルさんが話しかけてくる。

 

「何かしら」

 

「これは…邪魔してはいけない…のでしょうか」

 

それに答えたのはあの櫂トシキだった。

 

「当然だ…一度始めたファイトは止められない」

 

「まぁそれはそうだけど…でもウルルさん、もしこのファイトで金髪の彼が負けそうになったら…その時はお願いします」

 

「…ルールがまだわからないので…その時は言ってください……はぁ……」

 

ウルルさんがため息をついた。

 

それもそうだ彼女は“ヒカリさんを助ける”ことと“障害(針金)を排除する”ことを目的でここにいるのだ、延々とカードゲームをされては困るだろう。

 

と言うか、私も困る。

 

「はぁ…」

 

(神沢ラシン…早く…勝ちなさいよ……)

 

 

「青き炎よ!!その輝きで更なる力を!シーク・my・メイト!!不撓の解放者 カレティクス!!双闘(レギオン)!!」

 

『そんなもの…私に通じるとでも思ったのですか?』

 

「誓いの解放者 アグロヴァルをコール…スキル発動、CB1でデッキトップ3枚から…カドヴァーンをスペリオルコール…ぼーどがる・解放者のブースト…ブルーフレイム!!カレティクス!!裁きを下せ!!(35000)」

 

『…そんなパワーの高いだけの攻撃…』

 

醤油色の針金は手札から三枚のカードを出した。

 

『ヴァイス・ゾルダート!テルル!!テルル!!!(2枚貫通)』

 

(…プロメチウム(完全ガード)もルビジウム(攻撃回避)も持ってないのね…)

 

「無駄だったな…ツインドライブ……大願の解放者 エーサス…クリティカルだ」

 

神沢ラシンは光輝くトリガーに特に驚く様子もなく処理を進めていく。

 

「効果は全てヴァンガードに」

 

『なん…だと…!?』

そう…神沢ラシンはデッキの中が見える…らしい、ジュリアンが聞いた話だと…“聴こえる”…だっけ?

 

「終いだ…セカンドチェック…大願の解放者……エーサスだ…クリティカルもパワーもブルーフレイム・ドラゴンに与える!!!」

 

針金のダメージは3点…そして今受けたダメージが3点…

 

『こんな…ことっ!…ダメージは!?』

 

針金側の自動ダメージチェックが行われていく。

 

1枚目、障壁の星輝兵 プロメチウム

 

2枚目、星輝兵 ルイン・マジシャン

 

そして……

 

「…障壁の星輝兵 プロメチウム……俺の勝ちだ」

 

『馬鹿な…嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

針金が壊れたように絶叫する。

 

「見苦しいぞ…これがヴァンガードファイター達の力だ…認めるんだ!!リンクジョーカー!!」

 

「タクト君…」

 

ずっと地に伏していたタクトが立ち上がる。

 

 

 

 

「…ウルルさん」

 

 

 

私はウルルさんに合図を出す。

 

 

 

「はい…お願いします、エルル」

 

 

「…ああ」

 

 

 

突然針金の背後に一人の女性が現れた。

 

 

 

『…!?貴s』

 

 

「消えろ」

 

 

女性は手にした巨大な剣で針金を叩き斬った。

 

 

『ぐぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

 

上空のドーナツも目の前の針金醤油男も…砂で作った城が崩れていく様にその形を消していった。

 

『これで…終わったと思わないことですね…破滅の星は……もう…そこまで迫っ』

 

「黙れ」

 

女性がその剣をもう一振りする…今度こそ…完全に消滅したようだ。

 

 

タクトもそれを見て満足したようだ。

「これで…終わったのか……」

 

何とか立っていたタクトが再び崩れて落ちそうになったが……それを支えるのは、先導アイチ君と櫂君の二人だった。

 

 

「お疲れ様です、エルル」

 

ウルルさんが巨大な剣を持った女性の方に駆け寄る。

 

「……私より貴女の方が疲れている」

 

「そうですね、でももう少しです」

 

そうよね…まだ…

 

「まだ何も終わっていないだろう」

 

神沢ラシンはそう言う。

 

「深見ヒカリ…彼女が戻っていない」

 

「あなたも…覚えていたの!?」

 

私と青葉君は現場にいたから、ジュリアンは仲間力みたいなもので覚えているのだと思っていたんだけど…

 

「“俺は”忘れていた…だが覚えている奴がいたんでな」

 

彼は胸ポケットから1枚のカードを取り出す、それは…解放者 モナークサンクチュアリ・アルフレッド…

 

「“あのファイト”の時もこいつはここにいたからな…こいつに教えてもらったおかげで思い出すことができた…ライバルのことを」

 

彼はヒカリさんをライバルといった。そうだ…色んな人がヒカリさんの帰りを待っているんだ。

 

 

「では…術式を展開します」

 

ウルルさんはそう言うと手にした装置に何かを入力する。

 

ヴヴヴヴヴヴヴヴゥゥン

 

空に…ついさっきまでドーナツが浮かんでいた場所に不思議な金色の紋様が浮かぶ、それはウルルさんが私たちの前に現れた時の紋様によく似ていた。

 

 

「これで…俺たちはどうすればいいんだ?」

 

青葉君がウルルさんに尋ねた。

 

「叫んで下さい…あの向こうの…ヒカリさんに届くように…ひたすら…」

 

「叫ぶ…か…よし」

 

「ヒカリーー!!ヒカリーー!!」

 

早速叫び始めたのはヒカリさんのことを忘れているはずの黒川さんだった。

 

「黒川さん…あなた…」

 

「よくわからないけど…呼びたくなったのさ…その名前をな」

そして彼女は再び叫び始めた。

 

「「ヒカリーー!!ヒカリーー!!」」

 

私も…私も叫ぶ!!

 

「「「帰ってこい!!ヒカリーー!!」」」

 

(((この声…届けぇぇぇっ!!!)))

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ…流星のロックマンのBGMが似合いそうだな」

 

「…一ついいっすか」

 

「何だ?」

 

ジュリアンがラシンに聞く。

 

「君は…アルフレッドが好きなんすよね」

 

「ああ…俺の分身といってもいい」

 

「じゃあ…どうして今のデッキにモナークを入れなかったんすか!!…持っていたのに」

 

ラシンは少し考えるように空を見上げる。

 

「……別に一番好きだからって、使わなければならない訳ではないだろ」

 

「…え」

 

「二番目に好きなカードも三番目に好きなカードも使っていいじゃないか、そんなこと…自分で決めろ」

 

「そっか…そうっすよ…ね」

 

「現に俺にとってのモナークは最早お守りだぞ」

 

「ははは…そっか……」

 

ジュリアンはチアキ達の方を見る。

 

「いつの間にか…先導君たちも参加してるっすね」

 

「俺たちも…呼ぶぞ」

 

「言われるまでもないっすよ!」

 

 

 

 

黄金に輝く術式はその思いを別の次元へ届ける。

 

 

 

「「「「「ヒカリーーーー!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「行くぜ、ヒカリちゃん」

 

「え…ちょっと待って……本当にこの方法しか無いの??」

 

私、深見ヒカリとメスヘデさんは格納庫の中にいた。

 

 

 

話は数時間前に遡る。

 

 

メスヘデさんは私を元の世界に帰すために未来から来た…らしい。

 

突拍子もない話だったが、彼の話を聞く限り信じる他なかった…というか、もう黙れといった感じだ。

 

そしてメスヘデさんか“この作戦”を提案してきた。

 

私が帰るためにはスターゲート上空に出現する(予定)の術式に飛び込まなければならないらしい。

 

その周囲には建物はおろか、空気さえも無いとか。

 

「こっちだ…確かこっちに仲間の用意した機体があるはずだ…」

 

スターゲート…ノヴァグラップラーによって管理されている格納庫…結構警備が緩いというか…盗まれるなんて考えもしてないんだろうな…。

 

「さあ…進むぞ…ヒカリちゃんを元の世界へと導いてくれる機体がこの奥にあるはずだ」

 

さっきから機体、機体と言っているが…もちろんこの人が操縦してくれるか、自動操縦なんだよね??

 

 

メスヘデさんがずっと“その部分”について話をしないのが気になる……

 

 

「メスヘデさん…」

 

「この向こうだな!もう少しだ!!」

 

もう仕方無いのか…本当にこの人に着いていっていいのか…不安しかない。

 

(なるように…なるしかない…か)

 

私たちは通路を駆け抜けた、狭い通路を何度も抜け、その先に…その機体は格納されていた。

 

「あったぜ…」

 

綺麗な蒼いボディが格納庫の中でその存在を主張していた。

 

私はその機体…巨大ロボットの名前を知っている。

 

 

「よりにもよって……“メルクーア”……」

 

 

BK-03M2「メルクーア」…

 

ブラウクリューガーと呼ばれる機体のシリーズの一機だ…高性能だがそれゆえにパイロットを見つけるのに苦心したとか……。

 

 

「……」

 

「さぁヒカリちゃん!!これに乗って行くんだ!」

「…無理だよ!!!」

 

ロボットの操縦なんてしたことない上に、何故メルクーアなんだ!!

 

不可能…さすがに不可能。

 

私は目で訴える。

 

「…俺はもうマシンには乗らない…そう決めたんだ」

 

「だから何!?…というかメスヘデさんはどうやって帰るんですか」

 

「俺?俺はこのタイム・デバイスでぴゅいーっと」

 

 

「じゃあ私も!」

 

 

「無理だな…この装置は生身の体に大きな負担を掛ける…ヒカリちゃんを連れての時間遡行はできない…だから空のゲートを使うしかないんだ」

 

「………理解はした…」

 

 

私は取り合えずブラウのコクピットに向かうことにした。

 

メスヘデさんはこの機体を起動させる準備を始める。

 

メルクーアの腹部のハッチが開いた。

 

「せめて量産型のユーピターなら…いや無理か」

 

 

そう言いつつ私はコクピットに座り、置いてあったマニュアルを読んでみる。

 

「………」

 

全然解らない…

 

私は周りのレバーを握ってみる…よく見るとそのレバーは入念に磨かれ、私が触るまで誰かが触った後は無かった。

 

マニュアルもそうだ…ほとんど読まれた形跡が無い…

 

それはまだこの機体が自分を使いこなしてくれるパイロットに出会っていない証拠だった。

 

 

 

「ちょっと!あなた何しているのよ!!」

 

突然、女性の声が格納庫に響き渡る。

 

(メスヘデさん…見つかってるし…)

 

タッタッタッ

 

足音が聞こえる、こっちに来る。

 

その女性がハッチを除きこんだ。

「……エリカさん?」

 

「…ヒカリちゃん!?」

 

そこにいたのは、オラクルシンクタンクで出会った女性だった。

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

「…元の世界に…ねえ」

 

私たちは格納庫の中でエリカさんに事情を説明する。

 

「うーーん」

 

エリカさんは少し考えるように腕を組む。

 

「で、どうだヒカリちゃん、メルクーア動かせそうか?」

 

この人はまだそんなことを言っているよ。

 

「無理ですよ…まずマニュアル読んでも解らないですし…巻末のQ&Aの回答が全部“サポートセンターに電話してください”なんですよ…!どうにも…なりません」

 

「…私が教えてあげる」

 

「…エリカさん!?」

 

「もちろん教えたからって操縦できるような機体じゃあないんだけどね」

 

「…じゃあ……」

 

エリカさんは決心したように話す。

 

「私が、私の機体で付き添う」

 

「え…エリカさんパイロットだったんですか!」

 

てっきり整備士か何かかと思っていた。

 

「まあね……こんな時代だからさ、困ってる人は見過ごせないのさ!手伝わせてよ!!」

 

ずっと…誰かに助けられっぱなしだ。

「……ありがとう」

 

「うん!…作戦を話すよ……えっと…メスヘデさん…だっけ!?まずはB-11ブロックの機体のロックを解除して来てくれるかな?」

 

「おう!!」

 

 

こうして…私の帰還作戦が始まった。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

「深見ヒカリ…メルクーア!…行きます!!」

 

蒼い機体は閃光のように加速する。

 

「うっ…ぐぅぅつぅぅ……」

 

想像以上のGが体にのし掛かる。

 

完全に機体に遊ばれていた。

 

ー警告します、出撃は許可されていません…警告しー

 

(邪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

メルクーアが格納庫の壁を無理矢理突き破り、何とか空へと舞い上がる。

 

「来たね…パイロット権限クラスA…出撃承認!!…エリカ!…モーント、行くよ!!」

 

格納庫から出撃したモーント・ブラウクリューガーが私の乗るメルクーア・ブラウクリューガーの手を取る。

 

『接触回線で聞こえるよね!?ヒカリちゃん!ここからは私に任せて!!』

 

「あ…はい!…あの…向こうに見えるのは…?」

 

私は遠くに見える巨大な影が気になっていた。

 

「あ、あれ?…あれは武闘戦艦プロメテウス…今は動かないはずだよ」

 

「違う!その向こう!!」

 

「………あれは…」

 

少しずつ影が近づき、その姿がはっきりと見える…その巨大な影…その正体は……

 

 

 

究極次元ロボ グレードダイユーシャだった。

 

 

 

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