君はヴァンガード   作:風寺ミドリ

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041 VFGP開幕!!勝利への誓い

早朝、ちょうど日が登り始めた頃の時間、私と青葉クン…天乃原さんに舞原クンの4人は天乃原家の執事さんの運転するリムジンに乗っていた。

 

「目指すは“三日月セントラルホール”…そこが今回のVFGPの会場よ」

 

「…東京ビッグサイトじゃないんだね」

 

「確かに去年まではビッグサイトだったんすけどね…最近“三日月グループ”がヴァンガードに関わるようになってきたみたいなんすよね」

 

「噂じゃカード開発は“三日月”で、ヴァンガードの会社の方は封入率の操作くらいしかしてないそうよ」

 

「乗っ取られるのも…時間の問題っすよね」

 

「…………話についていけないんだが…」

 

三日月本社ビルの隣に建築された、三日月セントラルホール……

 

私たちの住む、天台坂からその場所までは車で2時間と少しくらいかかるようだ。

 

道中、私たちは車の中で朝食をとったり、ヴァンガードに関する話をして過ごしていった。

 

 

「…ところでVFGPってどういう風に進行していくんだっけか」

 

青葉クンが疑問を口にする。そういう事は今のうちに把握しておいた方がいいだろう。

 

「そうっすね…お嬢…僕らのエントリーナンバーはいくつっすか?」

 

「“082”…ね」

 

082………ふっ…

 

 

「082……82組もエントリーしてるのか!」

 

「いやいや…そんな訳無いじゃないっすか」

 

やんわりと舞原クンが青葉クンの言葉を否定する。

 

「実際は…200組以上のチームがエントリーしてるはずっす…確か」

 

「……200って…一体何人……」

 

一チーム最低3人なのだから…総参加人数は……600人を越えるだろう。

 

「VFGPは簡単に分けて“午前の部”と“午後の部”があるっす」

 

舞原クンの説明が始まった。

 

「“午前の部”は予選っす……それぞれのチームの代表者3名が他のチームの代表と戦うっす、一人が勝てば3点、負けや時間切れは0点…チームでの勝敗はここではつけないっすよ」

 

舞原クンは三本の指を見せる。

 

「最終的に3つのチームとファイト…つまり計9試合分のファイトの合計得点を競うっす……そして、合計得点の多い上位64チームが本戦に出場できるっす」

 

1試合20分…移動の時間の10分を入れて午前の部は1時間30分くらいかな。

 

「補足を入れると、デッキの構築は同クラン内でのみ、午後の部の3戦目までは変更可能っす」

 

……変なルール…

 

「午前の部終了後、上位チームの発表を行ってから昼食用の休憩を挟んで“午後の部”が始まるっす…本戦はトーナメント制…代表者3名が相手チームの代表3名と戦って勝ち数の多いチームが次の試合に進めるっす」

 

つまりチーム内で二人が相手に勝てばいいのだ。

「このファイトはどれも1本勝負で…」「…ん、ちょっと待ってくれ」

 

青葉クンは何かに気づいたようだ。

 

「例えば…Aさんが勝ってBさんが負け…Cさんが引き分けた場合はどうなるんだ?」

 

確かにその場合は引き分けになってしまうけど…?

 

「…基本的にヴァンガードに引き分けは存在しないっすから、それは時間切れでってことっすよね」

 

「ああ」

「実はこの午後の部のチーム戦、ファイトの時間制限が取っ払われるんすよ」

 

「……そうなのか!?」

 

「その代わり、思考時間に時間制限がつくっす…長考する場合はテーブルに置かれた“対局時計”を使うんすよ……一人の持ち時間は10分っす」

 

「ああ……将棋とかで使うあれか」

 

「そうっすね」

 

一応……ファイト時間は無制限……か、やっぱりそれって…

 

 

「それって…長そう…だな」

 

「絶対に長いっすよ……」

 

 

集中力……持つかな?

 

でも、戦いの先にあるものは……とても価値のあるものだ……負けられない。

 

後日開かれる“ヴァンガード戦略発表会でのMFSの体験プレイ”……そんな素敵な景品を手に入れられるのだから。

 

 

「私もちなみに」

 

ずっと舞原クンの説明を黙って聞いていた天乃原さんが口を開く。

 

「先鋒はジュリアン…中堅が私、大将がヒカリさんで補欠が青葉……いい?」

 

「了解っす」「ああ」「……うん」

 

天乃原さんが窓の外を見つめる。

 

「もうすぐ…着くわよ」

 

その言葉を聞いて私は鞄にしまっていたカチューシャを取り出した。

 

赤と黒の…上品な出で立ちのそれを私は身につける。

 

これで…今日の私の勝負服は完成……

 

私は勝利を誓う、仲間に、デッキに、そしてこの…

 

私はスカートの裾を軽く握る。

 

「ゴスロリに…ね」

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

三日月セントラルホール…その閉ざされた扉の前には数えきれないほどの人間が並んでいた。

 

「これ全部が…カードファイター……かよ」

 

「うん……カードゲーム……舐めたものじゃないでしょ…?」

 

久々にゴスロリを着たからか、私、少しテンションが上がっている。

 

「少し……気持ち悪い光景に見えるな」

「そりゃ言っちゃいけないっすよ」

 

私たちは大会出場者用の列に並ぶ。

 

神沢クン達の姿は……見えない……というか人が多すぎる。

 

まぁ…それでも目立つ人は目立っているみたいだけどね。

 

「ジャァァァスティッス!!」「あんた、静かにしぃ!!」「……あらあら…困ったわね」

 

 

……私のゴスロリもかなり目立っているのかな。

 

そんな私の肩を天乃原さんが叩く。

 

「…天乃原さん?」

 

「見て…あの子」

 

天乃原さんが指差した先には…中学生くらいだろうか、真っ白でフリルの沢山付いた洋服を着た女の子が歩いていた。

 

「仲間ね」「……うん」

 

遠目で顔までは見えないが、その女の子は金色の髪をしていた。

 

「……まさか…ね」

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

9時になり、私たちはついに会場に入っていく。

 

並べられたテーブル、イス…ホール内は冷房が入っているのか涼しく、着込んで来てしまった私でも過ごしやすいくらいであった。

 

「いよいよ……か」

 

「そうだね……」

 

まだデッキの内容には不安が残っていた。

 

私たちは案内された椅子に座る。

 

青葉クンは初戦は試合に出ないため、近くの待機用の椅子に座っている。

「彼にも伝えてあるけど毎試合メンバーチェンジしながら戦うわ……いい?」

 

「うん」「順番は決めてるっすか?」

 

「………………ええ、もちろん」

 

天乃原さんが少し遅れて返事をする。

 

これは…考えてない……かな?

 

 

「とにかく!!チームシックザール……勝つわよ!」

 

天乃原さんが拳を高く掲げる。

 

待機場所を見ると青葉クンもその手を大きく掲げていた。

 

「……もちろん…勝つよ」

 

「当たり前っすね」

 

4人の手が天へと伸びる。

 

これは始まり…こんなところで負けている訳にはいかないよね。

 

「「「「目指すは…優勝!!」」」」

 

そして10時…人で会場は埋め尽くされ、私たちの前にもVFGPの優勝を目指すファイター達が並んでいた。

 

 

『Go to The V-ROAD~♪ 道なき道~創り世界へ~♪』

 

アニメヴァンガードの主題歌が流れ、ゲストや司会の方が登場する。

 

ウォォォォォォォォォォォ!!!!

「皆さんこんにちわ!!“カードファイト!ヴァンガード”でEDを歌わせて頂いております、葉月ユカリです!!今日は会場の皆さんとファイトが出来るそうですので、私、沢山練習してきました!!」

 

「葉月さんかなり強いので皆さん楽しみにしてくださいねー!!」

 

「いやいや(笑)そんなこと無いですよ、初心者さんから孤高のヴァンガードファイターさんまで遠慮なく挑戦して下さい!」

 

スーパーアイドル、葉月ユカリと司会が開会式を進めていく。

 

「…じゃあ葉月さん、そろそろ“あれ”行きましょう!!」

 

「“あれ”ですね!!」

 

「葉月さんと会場の皆さんで一緒に“スタンドアップ・ヴァンガード!!”を言いましょう!!」

 

「今回は……THE…つけないんですか?」

 

「じゃあ…THE…つけたい人!!」

 

会場の半数以上の人間が手を挙げる。

 

「じゃあ、“スタンドアップ・THE・ヴァンガード!!”で行きましょう!!」

 

「行きますよ!!せーの!!」

 

 

『スタンドアップ!THE!ヴァンガード!!』

 

 

ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!

 

 

 

一斉にファイトが始まる。

 

 

「必中の宝石騎士 シェリーにライド!!」

 

 

ファイター達は勝利を目指す。

 

「行くっすよ……伴星の星輝兵 フォトン!!その剣で立ちはだかる全てを斬り伏せろ!!星輝兵 ガーネットスター・ドラゴンにアタック!!!」

 

自身の力、そしてデッキへの誇りと信頼を胸に。

 

「ライド・THE・ヴァンガード…絶望のイメージにその身を焼かれ尚、世界を愛する奈落の竜!!撃退者 ファントム・ブラスター“Abyss”!!」

今、戦いの幕は開かれた。

 

 

「常闇の深淵で見た光は!!もう二度と消えない!!シークメイト!!!」

 

 

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