「……何なんや……あんた…」
ウェーブのかかった茶髪の少女が、少しずれた眼鏡の位置を修正しながら呟いた。
VFGP予選…この大阪から来た神奈川生まれの少女も一人のファイターとして大会に参加していた。
「…まるでデッキの中が見えてるみたいに……」
「……」
対戦相手は金髪のロリータファッションの少女…
「定めの解放者……アグロヴァルでアタック…」
「……ノーガードや」
蒼翔竜 トランスコア・ドラゴンが6点目のダメージとして置かれる。
「うちの……負けや」
試合の結果を互いに記録し、金髪の少女は立ち上がり、去ろうとする。
「待ち!!」
「…………」
「うちの名前は天海レイナ……あんたは?」
「……」
少しの沈黙は、金髪の少女が何かを躊躇っているように感じられた。
「“俺は”……“スクルド”だ…」
そう告げると、去っていってしまった。
「あいつ……」
レイナの周りにファイトを終えた仲間達が集まる。
「男やったんか……」
* * * * *
VFGPの予選は驚くような速さで終わった。
私たちチームシックザールの持ち点は21点、つまりチーム合計で9戦7勝…天乃原さんはこれだけあれば本線にはいけると言っていたけれど……どうなんだろう?
そして私は…どこか違和感を感じながらファイトをしていた。
「…ヒカリさん?」
「……あ…天乃原さん」
「どうかしたかしら?」
「うーん……私にもわからないんだよね…気分が乗らないというか……」
正確に言うならば、デッキを動かしていて楽しく無いのだ。
それに伴い、ファイトへの集中力も芳しくない。
「大丈夫?前日眠れなかったとか……」
「それはお嬢の方じゃないっすか」
舞原クンが呆れたように言う。
「……そうなの?」
「ち、ちょっとファイトの練習をし過ぎちゃっただけよ?……確かに2時間くらいしか寝てないけど」
「……無理して熱とか出さないでくださいよ、これからが本番なんすから」
舞原クンの言うとおり、本番はこれからだ。
今は午前11時55分、私たちは予選の結果が発表されるのを待っている。
『ではでは…お待ちかねのコーナーです!!』
ステージではゲストの葉月ユカリのトークイベントが終了し、ファイトイベントが始まろうとしていた。
『私と……ファイトしたい人ーー!!』
ウォォォォォォォォォォォ!!!
マイクを使った彼女の声よりも大きな歓声が上がる。
「あれがスーパーアイドル“葉月ユカリ”っすか」
「生で見るの初めてだわ」
葉月ユカリ……人懐っこい性格と、圧倒的な歌唱力、ダンスパフォーマンス、そして恐ろしいほどの行動力でデビュー直後から爆発的な人気のあるスーパーアイドルだ。
ファーストシングル“愛は隣に”は700万枚という驚異的な売上を見せ、音楽配信チャートでも6週連続1位という結果を残した。
何でも楽しめば、何でもできる…という彼女の代名詞通り、彼女は音楽番組、バラエティー、ドラマ、アニメと各方面で活躍中である。
そんなスーパーアイドル葉月ユカリはヴァンガードの腕も一流であった。
「煉獄竜 メナスレーザー・ドラゴンにライド!」
「ここで葉月さんはグレード2のメナスレーザーにライド!!既に会場の皆さんは気づいているかも知れませんが!ダメージゾーンに“煉獄竜 ドラゴニック・ネオフレイム”がいます!!」
ステージの上では既に挑戦者と葉月ユカリのファイトが始まっていた。
「……かげろう使いなのね、貸しデッキかしら」
「いや……シャッフルの時の手つきは完全に“その道”の人の物だったっすよ…」
天乃原さん達が興味深そうにファイトを見る。
「では、レッドパルス・ドラコキッドのスキルを使いますね」
「あ!このレッドパルス君、PRバージョンですね!触るとヤケドするぜってテキストにありますが後に再録されたカードだと、もふもふするなよーってセリフに変更されたんですよー!!」
「へぇーそうなんですね!!もふもふ…可愛いですね!……では、“煉獄皇竜 ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート”を手札に加えて……カラミティタワー・ワイバーンをコール!!スキルを使います!」
彼女のファイトに会場全体が盛り上がる。
……“いつも”あの人は私にとって太陽のような存在になってくれる…すごい人だよ。
「ね、青葉クン」
「ん?」
「…………あ」
その時、私の視界に知り合いの姿が入った。
「……ユズキだ」
私たちの座っているところから、少し離れたところにユズキとその仲間が立っていた……のだが、様子がおかしい。
「くっ、離しなさい!ユズキ!!今すぐあのステージに立って、皆の注目を浴びるのよ!!」
「馬鹿!その後警備員に追い出されるだろ!!」
「そうだぞ!!最悪私たちも大会出場停止に…」
「止まって、イヨちゃん!!」
……何か、掴み合いをしている。
「はっ、ユズキあれね!こうして私を止めるふりをして私の魅力的な体をまさぐろうと!!」
「するか、馬鹿!!(余計なことを言うな!!)」
……何だろう。
「……あの」
「誰だ!!…ってヒカリか」
「…………荒れてるね」
そこにいたのはユズキとその友達のナツミさん、ミカンさん……そして…?
見慣れない綺麗な女性だった。
でも…その衣服は特徴的で、例えるなら胸元が透けていない“PR♥ISM-S スコーティア”のような……
茶髪で頭にはピンク色の大きなリボン。
私が言うのもアレだけど…よくその格好で会場まで来れたなぁ……
「この人は……」
「ああ…こいつは」
「最高に可愛い私の名前は!!」
ユズキの言葉に女性が割り込む。
「ワールドワイドに活躍する(予定の)世界的美少女!!誰もが恋する究極無敵のアイドル(候補生になる予定)!!城戸イヨ(芸名検討中)ちゃんよ!!」
「……(中身が残念な人だ……)」
せっかく……綺麗な人なのになぁ。
「今なら!!握手してあげる!!!」
「……どうも」
この感じ……いつだったかの変態男に通じる所が…いや、それはこの人に失礼か。
「…………」
「と、言う訳でこいつがうちの4人目なんだ…」
「えっと……チーム名“
「“あの”…だ」
ということはこの人もヴァンガードファイターなのか…
私は少し離れた場所からステージに向かおうとする城戸さんを見つめる。
「ナツミカン!!私の邪魔しないで!!」
「「誰が夏ミカンだ!!」」
……賑やかだなぁ。
「えっと…じゃあ本戦で」
「あ、ああ……」
私はすみやかにその場を離れる。
まぁ…例え彼女がステージに乱入しても、“葉月ユカリ”なら問題なくイベントを進行できるだろうけど……ね。
「ヒカリー」「ヒカリさんー」
遠くで皆が呼んでいる……本戦出場者と、トーナメント表がもうすぐ発表されるみたいだね。
* * * * *
「082…082……あ、あったわ!!」
特設ステージの巨大モニターに公開されたトーナメント表の中にNo.082,チーム“シックザール”の名前はちゃんと刻まれていた。
本当にぴったり64チームなのか、疑問に思い数えてみると、実際にトーナメント表に名前が書かれていたチーム数は70を越えていた。
「同率得点で、64のチームから外れたチームはトーナメントに出場できる代わりに、より多く勝ち抜かなければならないようになってるっすよ」
「へぇ……」
どうやら私たちはそっちじゃないようだ。
「とにかくこれで……本戦出場だな」
「ええ、これからが本番よ」
私はトーナメント表に“
……もし戦えるとしたら、4戦目か……
「そういえば……神沢クンのチーム名…知らない」
「……そうっすね」
「そうだな」
「そうね」
でも……勝ち抜いていけば、どこかで会えるだろう。
私たちも、彼らも、優勝を目指しているのだから。
「いよいよ本戦よ……まさしくここからが本番っていうことね」
「ああ」
「狙うは優勝……そしてMFSの試遊権よ」
「もちろんっす」
「悔いの無いファイトを……しましょう」
「……うん」
悔い……か……
「チームシックザール……ファイトっ!!」
「「「おうっ!!!」」」
* * * * *
「では、午後のスタンドアップをお願いします!!」
「はい!じゃあ…今回はTHE無しのを……皆さん行きましょう!!せーの」
『『スタンドアップ!!ヴァンガード!!!』』
「……スタンドアップ・ザ・ヴァンガード」
「………スタンドアップ」
午後の部…本戦、第一試合の相手はチーム“隣の健ちゃん”……って誰?
私のFVはずっと変わらず“クリーピングダーク・ゴート(4000)”
私の対戦相手…細身の男性のFVは“進化転生 ミライオー(4000)”…この人、ノヴァグラップラー使いか。
ミライオーのスキルは私のゴートと同じ…CB1とソウル・インで山札の上5枚からグレード3のユニットを探して手札に加えるというものだ。
先行はノヴァグラップラーの人から……
「ドロー、カービングライザー(6000)にライド、ターンエンド」
FVのミライオーがVの後ろに置かれる。
“ライザー”……となると気を付けるべきは“アルティメットライザー”と“ネコ執事”……
「私のターン…ドロー…無常の撃退者 マスカレード(7000)にライド、先駆でゴートを後ろにコール、そして同じくマスカレードをVの隣に…コール」
攻めて……行くよ。
「リアガードのマスカレードでアタック(10000)」
相手は手でノーガードを表現する。
相手のダメージゾーンにフェニックスライザー・DWが置かれる。
「…ゴートのブースト、ヴァンガードのマスカレードでアタック……(11000)」
相手のリアクションは先程と変わらず…ノーガードのようだ。
「ドライブチェック……闘気の撃退者 マックアート……トリガー無しでダメージは1点です…」
相手の二点目のダメージはメテオライザー…クリティカルトリガーであった。
「……ターンエンド」「……スタンド、ドロー…」
これで…ダメージは0対2……か。
「アルティメットライザー・
男はミライオー、アルティメットライザー・DFをレストすると順番に指を差していく。
「…13、V」
パワー13000でVのマスカレードに…ということだ。
「……撃退者 エアレイド・ドラゴンでガード…トリガー1枚貫通です」
ドライブチェックが行われる…出てきたのは“ネコ執事”…双闘軸のライザーにおける凶悪なカードだ。
が、トリガーでは無いため、余計なダメージを防ぐことが出来……いや
…………間違えた、何で私、今1枚貫通で守った…?
「…Vにライザーがいるので3000パンプで12、Vに」
「………ノーガード」
私のダメージに、新しく入れてみた“怨獄の撃退者 クエーサル”…クインテットウォールのカードが置かれてしまった。
これでダメージは1対2…
「エンド…」「私のターン…スタンドandドロー」
もう少し攻めて……見るか。
「虚空の撃退者 マスカレードにライド(9000)…そして詭計の撃退者 マナ(8000)をコール、マナのスキルで…………無常の撃退者 マスカレード(7000)をスペリオルコールするよ…」
マナでスペリオルコールしたユニットはターン終了時にデッキの下へと戻ってしまう……けど、コストがかからない点で使いやすい…うん。
「G1のマスカレードでリアガートにアタック…5000要求です」
5000要求…つまりシールド値5000のユニットならば守れますよ…ということだ。
「ノーガード」
男はライザーを退却させる。
「ゴートのブースト…虚空の撃退者 マスカレードでヴァンガードにアタック…パワー13000…」
「……ライザークルーでガード(1枚貫通)」
…向こうも1枚貫通か……
「…ドライブチェック……闘気の撃退者 マックアート……トリガー無し、マスカレードのブーストしたマナでアタック……パワー15000」
「…………ノーガード」
彼のダメージゾーンにもう1枚のネコ執事が姿を見せた。
ネコ執事は現在、他の制限カードと合わせてデッキに2枚までしか投入できないとルールに定められている。
まぁ…ノヴァグラップラーには他の制限カードは無いのだけれど……ね。
「ターンエンド…」
私はマナがスペリオルコールしたマスカレードをデッキの下へと置いて、ターンエンドを宣言した。
……私は、やっぱり楽しめてない…どこかに違和感があるんだ……でも…何だろう。
「……スタンド、ドロー、ライド」
相手は恐らくこのデッキの主戦力であろう“アルティメットライザー・
「…フェニックスライザー・FWをコール」
先程退却させたフェニックスライザーだったが、再びコールされた……まさしく不死鳥…なんてね。
「アルティメットライザーでアタック…」
ミライオーのブースト込みでパワー15000…か。
アルティメットライザー・MFは中央列に他のライザーが存在する場合、双闘していなくても発動するスキルを持っているんだけど…FVがライザーじゃない弊害がここで出ている……かな。
「……ノーガード」
「ドライブチェック…レッド・ライトニング……クリティカルトリガー」
男はそう言うと、“クリティカル”“パワー”と順番にガードを指差して言った。
どうやらクリティカルはVに、パワーはフェニックスライザーに与えるらしい。
「セカンドチェック………もう一度…レッド・ライトニングだ」
「……ダブルクリティカル…」
男はもう一度同じ動作をする……クリティカルはVに、パワーは~ということだろう。
「……ダメージ……」
いくら許容範囲とはいえ1度に3点はきつい。
firstが“覇気の撃退者 コーマック”
secondもコーマック……そして
「third…暗黒医術の撃退者……ヒールトリガー発動します、パワーをVに与え、ダメージゾーンのクエーサルをドロップゾーンに」
運良くヒールトリガーが発動した、ダメージ3点ならまだ……
「……パワー30000…ヴァンガード」
カービングライザーのスキルで同じ列の他のライザーにパワー+2000を“永続”で与えられたフェニックスライザー……トリガーも乗り、自身の+3000も合わさり強力なパワーとなっていた。
現在パワー14000のマスカレードに対して20000要求という訳だ。
「……ここは……怨獄の撃退者 クエーサルを使います」
今のライザー相手に4点目は…いやもう既にライザーの攻撃によって即死になる圏内に入っている。
次のダメージは…受けたくない。
「CB1……クインテットウォール!!」
山札の上から5枚のカードを“ガーディアン”として呼び出す。
厳格なる撃退者…10000(シールド値…以下略)
ブラスター・ダーク・撃退者“Abyss”…5000
闘気の撃退者 マックアート…5000
暗黒医術の撃退者…10000
詭計の撃退者 マナ…5000
…………合計シールド35000、ガード成功。
「……ターンエンド」
同時にドロップゾーンを増やせるクインテットウォールは確かに双闘と相性はいい。
いいんだけど……ね。
とにかくこれでダメージは3対3……かあんまり余裕は無い…かな。
「私のターン…スタンドandドロー…邪悪を引き裂く闘気の騎士…ライド!覇気の撃退者 コーマック(11000)!!」
…………違う、これじゃない…なぁ。
「G1のマスカレードを後列に下げて、その前に闘気の撃退者 マックアート(9000)をコール!そしてゴートのスキル!CB1とソウルに自身を入れて、グレード3をサーチ……成功!ファントムAbyssを手札に!!」
「………っ」
準備はできた……行こうかコーマックさん。
「悲しみばかりのどうしようもない世界で、巡りあった友と友……シークメイト!双闘!!」
私は山札に
「リアガードのマックアートのスキル発動!!山札から撃退者のグレード1以下のカード……マスカレードをレスト状態でコーマックの後ろにスペリオルコール」
バトルフェイズ……行くよ。
「コーマック、マックアートのアタック…レギオンスキル発動……リアガードのマナを退却してクリティカル+1…さらにコーマックのスキルでパワー+3000……パワー23000、
「……レッド・ライトニング2枚で…2枚貫通」
「なら…ツインドライブ……first……厳格なる撃退者、
当たれば…致命的な一撃だ。
「………クインテットウォール」
男はシールドライザーを使う。
シールドライザー…0
シールドライザー…0
アルティメットライザー・MF…0
ライザーガール ケイト…10000
ライザークルー……5000
合計シールド…15000…私の攻撃を防ぐには…後5000必要だ。
「……インターセプト」
「ターンエンドです…」
リアガードのフェニックスライザーが退却される。
相手の手札も残り少ない……が、油断は全くできない…少なくともあの“ネコ執事”が手札にあることがわかっている以上……ね。
「……スタンド、ドロー……ミライオーのスキル発動」
ミライオーのスキルは…グレード3の不確定なサーチだけど……
「……フェニックスライザー・
カービングライザーのいない側へコールされるドリルウイング。
「…
アルティメットライザー…
「カービングライザーの前にアルティメットライザー・DF(9000)をコール、ヴァンガードの後ろにネコ執事(5000)をコール」
相手の手札は尽きたが、厄介な陣形が出来上がってしまった。
ヴァンガードの“アルティメットライザー”はアタック時にユニットが4体レストしていればクリティカルが増え、ヒット時にはリアガードを1枚スタンドさせることができる……その上ヒットしなかった…ガードした場合はネコ執事を退却させるだけで“スタンド”することができる。
リアガードのDFもヴァンガードが双闘したターン中はヴァンガードのアタック時に一度だけスタンドすることができる…パワー+5000のオマケ付きで……だ。
……頑張って耐えるしか…無いよね。
「DWでマックアートにアタック(11000)」
「……ノーガード」
「DFでヴァンガードにアタック(11000)」
「……マックアートでガード」
正直、アルティメットライザーの2回目の攻撃は守れない……訳では…無いけど、今、アルティメットライザーをスタンドさせてしまうのは得策ではない。
「…ネコ執事のブーストしたアルティメットライザーでアタックする、レギオンスキル発動、レストしたユニットは5体…よってクリティカル+1……リアガードのDFのスキル……パワー+5000してスタンド」
そもそもリアガードのアルティメットライザー・DFはカービングライザーのスキルでパワー+2000を得ている……今のスキル発動でDFは単体16000……か。
「パワー25000
……今の私の手札は完全ガード1枚、トリガー2枚、ファントムAbyss1枚……いやぁ…守る、守らない、完全ガード、トリガー……どの選択肢をとってもどこかで“賭け”に出なければならない…か。
……だったら、やっぱり。
「……ノーガードで」
私は…こうするよ……まだダメージは2点だからね。
……そう決めたはものの、心に不安は残る。
相手は双闘でクリティカルトリガーを戻しているからね……
隣の二人が勝ってくれることに期待し……ちゃ駄目かな。
信頼していないとかじゃない……ただ、勝利って自分の力で手にしないと…意味、無いもんね。
ああ……モルドレッドのカードが…見たい。
モルドレッドは私がヴァンガードを再開しようとした切っ掛けの1つ…今の私のヴァンガードの象徴だった。
今の私のデッキにはモルドレッドもドラグルーラーも入っていない。
……私は。
「ツインドライブ…」
このファイトの勝敗を決めるドライブチェックが始まった。
「……アルティメットライザー・MF」
……大丈夫。
男の手がデッキトップへと伸ばされる。
これなら……
「…………キャノンライザー」
キャノンライザーは……グレード1の……無常の撃退者 マスカレードの互換……つまり……
「トリガー無し……」
…行けるよ。
「ダメージチェック……覇気の撃退者 コーマック」
ダメージゾーンに3枚目のコーマックが置かれる……あなたはそんなにそこが好きですか?
「second……督戦の撃退者 ドリン…トリガー無し…」
「……アルティメットライザーのヒット時スキル…フェニックスライザー・DWをスタンド!…DWでヴァンガードにアタック!(11000)」
「厳格なる撃退者でガード」
「…っならカービングライザーのブーストで、アルティメットライザー・
「ノーガード…ダメージは暗黒の撃退者 マクリール」
これで……このターンは……
「エンドだ……」
今、私の手札にはファントム・ブラスター“Abyss”に完全ガード、ヒールトリガーが1枚ずつ……
相手の手札は……カービングライザーとアルティメットライザー・MF……か。
ダメージは私が5点……相手は3点……
相手のシールドは…カービングライザーとインターセプトのアルティメットライザー・DFで合わせて10000…
「私のターン……ドロー………」
……これなら…行ける。
「(見えたよ……ファイナルターン)」
この2枚で…暗闇に覆われた道を切り開く!!
「絶望のイメージにその身を焼かれ尚、世界を愛する奈落の竜!!…今ここに!!ライド・THE・ヴァンガード!!」
これが……
「撃退者 ファントム・ブラスター“Abyss”!!!」
撃退者 ファントム・ブラスター“Abyss”(11000)がヴァンガードとして私の戦場に舞い降りる…いや、彼だけじゃない。
「常闇の深淵で見た光…来たれ、シークメイトand双闘!!ブラスター・ダーク・撃退者“Abyss”!!」
私はドロップから
そしてもう一枚……
「ブラスター・ダーク・撃退者(9000)をコール、スキル発動!CB2!散れ!アルティメットライザー・DF!」
アルティメットライザー・DFを退却させる。
これで相手が出せるガード値は…5000!
「マスカレードのブースト、ブラスター・ダーク・撃退者でヴァンガードにアタック!(16000)」
「……ノーガード」
男のダメージにフェニックスライザー・DWが置かれる…これで、4点。
「マスカレードのブースト…Abyssでヴァンガードにアタック!パワー29000!」
「…ノーガード」
「ツインドライブ…first…督戦の撃退者 ドリン、second…………厳格なる撃退者!クリティカルトリガー!!効果は……全てヴァンガード!!」
クリティカルの乗った一撃が飛ぶ。
「……ダメージチェック…一枚目…メテオライザー、
5点目のダメージは入った……次…は……
「……ライザーガール ケイト……ヒールトリガー発動!!ダメージを回復し、パワーはヴァンガードに!」
ファントム・ブラスターの一撃をヒールで凌ぎ、パワーも21000まで上昇……した所でもうこの攻撃は止められない。
「ファントム・ブラスター“Abyss”のレギオンスキル発動!……CB2、ダークとマスカレード…合わせて3体のユニットを退却する」
これが……Abyssの力。
「Abyssは再び立ち上がる!!パワー27000
「…ノーガード」
私のツインドライブはどちらもファントム・ブラスター“Abyss”……
相手は最初のダメージで再びヒールトリガーを引くも、三枚連続ヒールとなることは無く、止めのシールドライザーが叩きつけられた。
「ありがとうございました…」「…ありがとうございました」
勝利……だ。
隣を見ると舞原クンが勝利のピースをしていた。
天乃原さんのファイトはまだ続いている。
現時点で…2勝……つまりチームシックザールの勝利が確定した。
これで…2回戦に……進めるんだ……
私はほっと一息ついた。
ああ……。
私はファイト中に考えていたことを思い出す。
私、モルドレッド分が不足…というより…えっと。
難しい話じゃない……な。
単純に…モルドレッドを使いたい。
自分の中で一つの答えが出た。