「スタンドアップ!ヴァンガード!!」
「メイクアップ!!ヴァンガード!!」
チアキとイヨ…二人がFVを公開し、VFGP4回戦…中堅戦が幕を開ける。
「……“メイクアップ”?」
「気にしなーい、気にしなーい、ふふふっあなたが先攻よね?」
「ええ……」
どことなくペースを崩されつつ、チアキはドローする。
(綺麗…いや、可愛い人だけど……どこか調子狂うわね…)
「……閃光の宝石騎士 イゾルデ(6000)にライドよ」
「あら…完全ガードかしら…」
「問題無いわよ」
「強がっちゃって……可愛いわね」
(何なのこの人……)
チアキはFVの青雲の宝石騎士 ヘロイーズ(5000)をイゾルデの後ろに置くと、ターンエンドを宣言した。
「スタンド……ドロー……マシニング・ブラックソルジャー(7000)にライド…マシニング・リトルビー(5000)は先駆のスキルで後ろに…ね?」
イヨはブラックソルジャーでヴァンガードを攻撃する、チアキはそれに対しノーガードで返す…ドライブチェックはグレード2のマシニング・レッドソルジャー、チアキのダメージにはグレード2、連携の宝石騎士 ティルダが落とされる。
「私のターン……スタンド、ドロー!友愛の宝石騎士 トレーシー(9000)にライド!連携の宝石騎士 ティルダ(9000)をコール!!」
立ち上がりは順調…チアキは無難にファイトを進めていく。
「ティルダでアタック!!(9000)」「マシニング・スコルピオでガード♪」
「ヘロイーズでブーストしたトレーシーでアタック!!(14000)」「ノーガード♪」
ドライブチェックでトリガーは無し、イヨのダメージはドロートリガーのレイダー・マンティス……彼女の手札が補充される。
これでダメージは1vs1になった。
「私のターンね……スタンド、ドロー…ライドよ、ラブリーデンシャラス!!マシニング・アーマービートル(9000)!!」
「……ラブリーデンシャラス?」
「スキル…リトルビーを取り込んで……あなたのティルダちゃんを…
「…
「あはっ…普通のスタンド封じよ…でも」
イヨはリアガードにマシニング・レッドソルジャー(9000)をコールする。
「女の子を縛ってるなんて…想像したら興奮しちゃうわ///」
「…変態っ!?」
「ええ!!虫だもの!!」
イヨによるレッドソルジャーのアタック、アーマービートルのアタックをチアキは全てノーガードで受けきった。
ダメージはイゾルデとタバサ…タバサはドロートリガーだったため、チアキは手札を増やすことができた。
チアキは頭の中で次のターンの動きを組み立てる。
(よし…ここからは私のター…)
「私、夢があるの」
「……はぁ」
ターンエンドの宣言もせず、イヨは唐突に語りだす。
「私は可愛い」「……」
自信満々に言い切るイヨをチアキは冷たい目で見つめる。
「でもそれだけじゃあ物足りないの…可愛い私は可愛い女の子に囲まれたい、ハーレムが作りたい」
「…………は?」
「できれば、触りたい、掴みたい、揉みまくって、それで肌をなm『撃退者 エアレイド・ドラゴンでガード!!』
何かに取り憑かれたように語るイヨの言葉は、途中から隣のヒカリの声で掻き消された。
(…何となく…聞かなくて良かったかもしれない)
「だから私はアイドルに、人気者になるのよ」
「……そう、わかったから早く…」
「…なのに!!あいつが!!」「……」
まだ続くらしい。
「あの葉月ユカリとかいうアイドルが活躍している限り、私が目立てない!!」
「いや…十分……」
「ファンの可愛い子や後輩の可愛い子と仲良くなって一夜を共に過ごしたい!!」
「もうファイトしません!?遅延でジャッジを…」
「“痴漢”!?…私だったら相手を傷つけるようなヘタな事はしないわ!!」「話をっ…!」「この大会の表彰式で葉月ユカリの隣に立つ!!そして皆はこの私に注目を」
「話を止めて!ここからは私のターンよっ!!!」
強制的に話を終わらせる。
(……こんな調子じゃ熱でも出して、ジュリアンに笑われるわね)
ユニットをスタンドさせドローを行うのだが、前のターンにスタンド封じ…イヨ風に言うのなら
相手の“スタンド”を封じ、動けなくする独特の戦い方……メガコロニーというクランの持つ最大の特徴である。
(リアガード1体くらい……どうということは無いわ!)
「煌めく宝石に願いを込めて……ライド!!導きの宝石騎士 サロメ(10000)!!そしてティルダのスキル発動!カウンターブラスト1!(CB1)」
チアキはダメージゾーンのカードを1枚裏にする。
「山札から宝石騎士 さばるみーをスペリオルコールよ!!」
「さばるみー……?」
それはパワー7000のグレード1……だが、そのスキルは特別なものだ。
「限界は消えた!!オーバーリミッツ!!リミットブレイク……解除よ!!!」
このカードがリアガードに存在する限り、『LB4』はダメージゾーンのカードが3枚以下でも有効になる。
まさしく“限界を突破する”カードだ。
最も全てのクランに配られている訳ではなく、現在このスキルを持っているのはロイヤルパラディンの宝石騎士 さばるみーや、たちかぜの古代竜 ティラノブレイズといった“ブースターパック 煉獄焔舞”に収録されたクランのユニットのみである。
とにかくこれで、サロメはダメージ3にしてリミットブレイクを使うことができるのだ。
「シェリーをコール…アタックに入るわよ」
(一気に突破する!!)
「ヘロイーズのスキル、他のリアガードの宝石騎士3枚以上でパワー+3000!そしてサロメのリミットブレイク!!宝石騎士のリアガード4枚以上でパワー+2000、クリティカル+1!!」
パワーとクリティカルの上昇…チアキはここでイヨに致命的なダメージを与えたいと思っている。
「ヘロイーズとサロメでパワー20000、クリティカル2!!ヴァンガードにアタックよ!!」
「痛いのは…嫌ね、マシニング・シカーダでガード、レッドソルジャーでインターセプト(1枚貫通)」
(1枚貫通なら……突破できる!!)
「ドライブチェック……!!」
チアキの思いに応え、カードが捲れる。
「宝石騎士 ノーブル・スティンガー!!クリティカルトリガー!!効果は全てサロメに!!!そしてもう1枚……熱意の宝石騎士 ポリー!!ヒールトリガー!!パワーはシェリーに与えてダメージを回復!!」
「んっ///痛い…」「ふざけないでもらえるかしら」
頬を赤く染めるイヨにチアキは思わずキレそうになった。
イヨのダメージゾーンにマシニング・ローカスト、マシニング・ウォーシックル、マシニング・レッドソルジャーが落ちる。
「さばるみーのブーストしたシェリー!!(22000)」
「ノーガードよー」
新たにダメージに落ちたのはマシニング・ボンビックス……ヒールトリガーだった。
ダメージは回復したもののこれで点数は2vs4でチアキの優勢。
(このまま押し込む…)
チアキはターンエンドを宣言する。
「私のターンね……まぁもう私たちの勝ちは決まったようなものね」「…何ですって?」
イヨは2つ奥の席…ナツミとユウトの方を指差す。
「あの子が調子良かったみたいだから…ユズキが負けるとは思えないし、これで2勝ね」
「……」
うなだれる青葉ユウトの姿が視界に入る。
ファイトの結果は明らかだった。
「このラブリーな私に倒され、あなたも私の虜になるのよ…ふふっ」
「そんなの御免よ…勝って次に進む…私はそう決めてるんだから!!」
(だから……落ち込んでないで…仲間の勝利を信じなさいよ……青葉…ユウト!!!)
チアキの目に力が入る。
(私はヒカリさんが勝ってくれるって信じているから…私は今やれることを精一杯やるだけよ!!)
「怖い怖い…スタンド、ドロー……」
そして、イヨはにんまりと笑う。
「うふふ……苦しみ悶える姿が見たいの///…マシニング・タランチュラ mkII(11000)にプリティーライド!」
虫というよりは最早ロボットな見た目のユニットが登場する。
「ソウル…ブラストよ、もう一回ティルダちゃんを
ティルダが再び立ち上がる力を失う。
「そして……シークメイト、双闘!!マシニング・ホーネット mkII!!」
(やっぱり時代は……レギオンか…)
宝石騎士はなるかみの“抹消者”かげろうの“封竜”らと共に現在、名称付きのレギオンを貰っていないグループの一つであった。
(いや…まぁ貰ってる方が少ないか……でも宝石騎士の可愛いエルフのレギオンとか来ないかしら…ってそんなこと考えている場合じゃ…っというか可愛いとか言っていたら“この人”と同じ様に……?)
「それは嫌ね」「……よくわからないけど……照れ隠し?」「絶対違うわ」
イヨのメインフェイズは続く。
「ホーネットmkII(9000)を2体コール…シェリーちゃんと、ヘロイーズちゃんを
すっかり独特な言い回しに慣らされたチアキは、改めて自身の盤面を見つめる。
今のままでは次のターン、スタンドしアタックできるのはヴァンガードのサロメのみ。
「ブラックソルジャーをコール、ホーネットIIをブーストしてヴァンガードにアタックよ(16000)」
「…ノーブル・スティンガーでガード」
「レギオンでヴァンガードにアタックよ」
「ノーガードね」
ドライブチェックは…クリティカルトリガー……そして……
「セカンドチェック…マシニング・タランチュラmkIIよ……レギオンスキル発動」「え……」
CB1が支払われる。
「甘い吐息が心を壊す……サロメちゃんをきつ~く
これで次のターン…何もしなければ、アタックできるユニットはいない……
そしてチアキに2点のダメージが与えられる…ダメージトリガーは無し……
「ホーネットIIでアタック!!(14000)」
「ティルダでガード……」
チアキは敢えて
ティルダのスキルはライドフェイズに発動することが理由だ。
イヨのターンからチアキのターンへ…移っていく。
ダメージは4vs4…クリティカルの乗った攻撃を受けたものの、チアキにはまだ心の余裕はあった。
「私のターン…スタンド、ドロー…」
スタンド……と言ったものの今、スタンド状態にできるのはグレード1のさばるみーだけであった。
(……大丈夫…無理に手札を減らすことが一番危険よね…だから、ここは“あなた”で行くわ!!)
「色褪せた宝石…輝きは消え、思いは虚空に溶けていく……悲壮なる騎士の涙を見よ!ライド!!
赤く、黒い……黒輪を背負った女騎士が現れる。
「ティルダのスキルで、ティルダの後ろにシェリーをスペリオルコール!!そしてアシュレイЯのリミットブレイク!!」
コストとしてCB1が使われる。
「ヘロイーズを呪縛…ホーネットmkIIを退却して、
そしてチアキは
これで3つの列によるアタックがアシュレイЯの力で可能となった。
「シェリーでリアガードのホーネットmkIIにアタックよ!!(10000)」「ノーガードね」
「アシュレイЯでヴァンガードにアタック!(11000)」
「マシニング・スコルピオでガード(2枚貫通)」
アシュレイЯ自身にはパワーの上昇効果もクリティカルの増加のスキルも無いため、攻撃はとても簡単に止められてしまう。
「ドライブチェック…閃光の宝石騎士 イゾルデ…さして炎玉の宝石騎士 ラシェル…ゲット!クリティカルトリガー!!効果は全てトレーシーに…さばるみーのブーストしたシェリーでアタック!!(24000☆2)」
「……マシニング・レディバグ…クインテットウォールを使うわ」
(15000のシールドも出せない…?)
クインテットウォールが発動する。
マシニング・レディバグ…0シールド
レイダー・マンティス…5000シールド
マシニング・タランチュラ…5000シールド
マシニング・ボンビックス…10000シールド
マシニング・ボンビックス…10000シールド
……合計シールド値30000だ。
アタックを終えた私は呪縛されていたヘロイーズを解呪する…“スタンド状態”で。
これなら相手のスタンド封じ…
「ターンエンド…」
(……ここでのクインテットウォールは再レギオンのためのもの…って可能性が一番かし)「…っ」
突然の目眩がチアキを襲う。
「なら私のターンね……スタンド、ドロー…マシニング・タランチュラ mkIIにプリティーライド!ソウルブラストでトレーシーちゃんを
山札にクインテットウォールで登場したヒールトリガーや、ソウルブラストで排出されたマシニング・タランチュラmkII、ホーネットmkIIが戻される。
「ブラックソルジャーの前にマシニング・タランチュラmkIIをコール!!そしてヴァンガードでヴァンガードにアタック!!(20000)」
「ポリー、タバサで2枚貫通!!」
イヨのドライブチェックで登場したのはクリティカルトリガーと、ドロートリガー…
その全てが乗せられたタランチュラmkIIの攻撃をチアキはトリガー2枚でガードする。
「ターンエンドね」
(リアガードをスキルで展開してくるからかしら…なかなか手札が減らないわね…)
「私のターン…スタンド、ドロー……リミットブレイク!
ミランダはヴァンガードに“アシュレイ”がいるのならば、自身のパワーが上昇し、ヒット時スキルが発動するようになる。
「ノーガード…ダメージはマシニング・シカーダ…スタンドトリガーね、ブラックソルジャーをスタンドしてパワーはヴァンガードに与えるわ」
「こちらもミランダのスキル発動よ、アシュレイЯにパワー+3000……ヘロイーズの8000ブーストでアシュレイЯがアタックする!!(22000)」
ここまででイヨのダメージは5点…チアキの手に力が入る……勝利は手の届く所にあるのだ。
「レイダー・マンティスとマシニング・スコルピオでガード!!(2枚貫通)」
ドライブチェックはさばるみーとドロートリガー…イヨにダメージを与えることはできず、トレーシーの解呪の宣言と共にチアキからターンエンドが告げられる。
チアキとイヨのダメージはそれぞれ4と5…いつ勝負が決まってもおかしくはなかった。
チアキは自身の手札を見つめる。
(…こっちの手札は向こうの倍はあるわ…これなら)
「……う」
若干だが、再び目眩を起こすチアキ。
(………まさか本当に体調崩すのは…洒落にならな)
「私のターンよ……ふふっ」
イヨがスタンド、ドローとファイトを進め、チアキは平衡感覚を失っていくのを感じながら目の前のファイトに集中する。
「そろそろ終局かしら…でーも、これからモットオイシク舐め回してア・ゲ・ル///プリティーライド!!マシニング・ウォーシックル(11000)!!!」
新たなグレード3が姿を見せる。
(大丈夫…手札は残っているし、相手のリアガードも手札もほとんど…)
「スキル発動…CB1…来な!!マシニング・タランチュラ mkII!!ソウルからスペリオルコール!」
「……っ!ソウルから……!!」
しかし、ソウルからスペリオルコールされたマシニング・タランチュラ mkIIはレスト状態だ。
「そして、マシニング・リトルビーをコール!ソウルに入れることによりタランチュラmkIIをスタンド!パワー+3000するわ!!」
「これで…21000のラインが…」
そう、パワー14000のタランチュラmkIIの後ろにはパワー7000のマシニング・ブラックソルジャーがいる…つまりこの2体でパワー11000のヴァンガードにシールド15000要求を行うことができるのだ。
(確実に手札を2枚奪うパワー…こんな所で……)
「そしてマシニング・レッドソルジャーをコール!もう逃げられないわ……レッドソルジャーでヴァンガードにアタック!!(12000)」「ノーガードっ!」
チアキのダメージゾーンに5枚目のカード…アシュレイЯが落とされる。
「可愛がってあげるわ!!ウォーシックルでヴァンガードにアタック!!(11000)」
「そんな攻撃…熱意の宝石騎士 ポリーと宝石騎士 さばるみーでガードよ!!(完全ガード)」
イヨのドライブチェックが始まる。
「くっ……」
「いい顔ね…レディバグとスコルピオ、守護者とクリティカルよ」
クリティカルもパワーも全てタランチュラmkIIに注がれる。
「まだ…」「マシニング・ウォーシックルのスキル発動!!リミットブレイク!!このユニットの攻撃が……“ヒットしなかった時”!!」
「…っ!!」
イヨは嬉しそうに笑う。
性格はアレだが本人は本当に美少女なのが、社会の歪みを表しているのかもしれない…とチアキは思った。
「CB2で捕まえちゃうわ…ふふふっ……縛られたアシュレイちゃんは、もう戦う力も抜けちゃうんだから……
「……」
「動けないアシュレイちゃんにパワー26000クリティカル2…マシニング・タランチュラ mkIIでアタックよ♪」
「完全ガード…」
チアキはしばらく考えた後に手札から“グレード3”のサロメをドロップする。
「あら残念…ターンエンドね」
チアキは働かない頭で計算をしていた…今、自分のすべき最善のプレイを求めて。
「スタンド…ドロー……」
スタンドフェイズ…ただ一人立ち上がらないアシュレイ……
チアキはふと隣に目をやった。
「天乃原さん……」
「リーダー…」
(どうやらヒカリさんは勝利できたのね…そんな心配そうに見つめて……)
この大会でチアキが抱えているのは自身の夢だけじゃない……チームだから、チーム一人一人の夢をチアキは預かっているのだ。
(私は……)
そして、その夢をここで終わらせる訳にはいかないのだ。
(私は…リーダーなのよ!!)
「天の原で舞い踊る…智勇と光をその身に宿せ!!立ち上がれ…私の分身!!ライド!!
痛む頭を振り切って、チアキは勝利へと踏み出す。
「シェリーのブースト!ミランダでヴァンガードにアタック!!(16000)」
イヨのダメージは5点…つまり彼女はもう1点も受けられない。
「マシニング・スコルピオでガード!!」
「ヘロイーズのブーストしたジュリアでヴァンガードにアタックよ!!パワー21000!!」
「……クインテットウォール!!」
マシニング・ボンビックス…10000シールド
マシニング・アーマービートル…5000シールド
マシニング・ローカスト…5000シールド
レイダー・マンティス…10000シールド
マシニング・レディバグ…0シールド
…合計シールド値……30000……
「完全ガード…よ?」
「……ドライブチェック…共闘の宝石騎士 ミランダ、そして導きの宝石騎士 サロメ……ジュリアのリミットブレイク!!」
(これが全力…これが……全開!!)
「ブレイブイルミネーション!!!」
蒼き輝きは騎士を呼び起こす…リアガードに降り立つは黒輪背負いし乙女。
「さばるみーとトレーシーでヴァンガードに!!」
「……レッドソルジャーでインターセプト、マシニング・ローカストでガード!」
「ここで終わりにする!!
「それは…………」
その剣の一撃は……
* * * * *
チームシックザール、チーム誘惑の果実……
その全員が、城戸イヨさんの山札から登場するカードに注目していた。
「注目されるのは悪くない……けど」
城戸さんは捲ったカードを一人で見つめる。
「……無理な物は無理…よ……」
彼女がそのカードを見せる。
それは、マシニング・タランチュラ mkII……
6点目の……最後のダメージが…入る。
「負け……よ」
「……つまり」「俺達……」
「勝った……わ!」「っしゃぁ!!これで5回戦…準決勝進出っすよ!!!」
喜びがチームを包む中、私はユズキを見つめる。
勝者がいるのなら、敗者もいる…それが勝負。
「負けた…な」「うん、私たちは先に行く…」
私は…ユズキと握手を交わす。
「頑張れよ……ヒカリ」
チームシックザール…VFGP4回戦、突破。