君はヴァンガード   作:風寺ミドリ

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006 少女は今、前に踏み出す

元々、青葉カズトは深見ヒカリが今使っているデッキを“デスパレート”4枚、“モルドレッド”4枚を中心に作る予定であった。

 

しかし、弟であるユウトに渡す段階になって突然“撃退者 デスパレート・ドラゴン”が1枚行方不明に、どれだけ探しても見つからず、残りのデスパレート・ドラゴンも全て買われていってしまった。

 

そのため、カズトはしかたなく若干デスパレート・ドラゴンとスキルの似ていた“呪槍の撃退者 ダーマッド”をデッキに1枚入れることにしたのだった。

 

 

 

(しかしまぁ、ここでダーマッドを出してくるとはな)

 

 

 

「モルドレッドのブレイクライドスキル発動!CB1を払ってヴァンガードにパワー+10000!“冒涜の撃退者 ベリト”をスぺリオルコール!」

 

 

呪縛されている“黒衣の撃退者 タルトゥ”の後方にベリトがコールされ、元々その場所にいた“黒の賢者 カロン”が退却される。

 

 

「そして…!ダーマッドでシュヴァルツシルトにとどめを打つ…………!“リミットブレイク”!!」

 

 

ヒカリはダーマッドをレストし、アタックを宣言すると同時にスキルの発動させる。

 

 

「“冒涜の撃退者 ベリト”を退却!ダーマッドにさらにパワー+5000、そしてクリティカル+1…!」

 

 

役目を終えたベリトがヒカリによって優しくドロップゾーンへ置かれる。

 

 

(そうだ、ダーマッドは低コストで高い攻撃力が出せる良いユニットだ…だが自身のパワー10000という数字が今の他のカードと比べてもろく感じてしまう)

 

 

「……さらに!ダーマッドのスキルでパワー+3000!…合計28000、クリティカル2でアタック!!」

 

 

(…………確かに…このダーマッドっていうユニットのパワー10000という数字は…今では弱いと言われるのかな…………でも……このターンで勝負を決めるのならば…………関係無い!!)

 

 

 

「………ふっ…ノーガードだ」

 

 

 

カズトは考えるまでも無かった、すでにカズトの手札やインターセプトでは守りきれない数字だった。

 

 

 

「…………ドライブチェック…first…“撃退者 デスパレート・ドラゴン”…トリガー無し」

 

 

クリティカルがここで登場しなくても、カズトが負けないためにはもう“ヒールトリガー”に頼る方法しかなかった。

 

 

「…second…………“黒衣の撃退者 タルトゥ”…トリガー無し…だけどダメージは…2点!」

 

 

 

「…ああ、ダメージチェック…一点目…!!“回想の星輝兵 テルル”!ゲット!!ヒールトリガー……だけど、ヒカリちゃんの方がダメージが多い…回復はしない…………2点目は“障壁の星輝兵 プロメチウム”…」

 

 

カズトのダメージゾーンに6枚目のカードが置かれる。

 

 

 

「俺の負けだよ、ヒカリちゃん」

 

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

 

ファイトが終わり、デッキを片付ける二人。

 

 

「…………デスパレート・ドラゴンって少し…使いにくくないですか…?」

 

「あーまぁ俺もあいつが安かったから、そのデッキに入れようと思っただけだからさ」

 

 

二人の会話を聞いていたユウトは何故、自分が兄を探していたのか思い出した。

 

「ああ、兄貴、俺このカード買うよ」

 

 

「ああ、テンペストボルトか、OK、レジに来いよ」

 

 

 

二人がレジへ向かおうとしたとき、

 

 

 

「…………あの!」

 

 

 

ヒカリが立ち上がった。

 

ヒカリはカズトに見せて貰った“撃退者 ドラグルーラー・ファントム”のユニット設定を思い出していた。

 

 

 

ーー過ちを悔いる時は過ぎたーー

 

 

 

その言葉をヒカリはまるで自分に向けられたもののように感じていた。

 

 

(それに…………今までだって…苦しかったり、辛かったわけじゃない…………思い出したくないこともあるけど…………ずっと私は…………本気でヴァンガードを楽しんでいた…)

 

 

 

 

「…………私、このデッキを青葉クンのお兄さんに直接返そうって、この店に入ったとき……考えてました…青葉クン…………受け取ってくれなかったから」

 

 

「ヒカリちゃん…そうだったのか」

 

 

「…ヒカリ」

 

 

 

ヒカリは少し深呼吸をした。

 

 

「…………それで、そうだったんですけど」

 

 

 

「「?」」

 

 

「…このデッキ、私に譲ってくれませんか!?代金は払います…今さら何をって思ったかもしれないですけど…………私は…もう一度…………」

 

 

 

「落ち着いてヒカリちゃん、ストップ、それは俺がユウトにあげたデッキ…………どうするかは、ユウト次第だ」

 

 

「そんなの最初から言っているだろ?そのデッキは君にあげるって…………ただ、」

 

 

ユウトは少しためて言った。

 

 

「これからも俺とファイトしてくれるかな?」

 

 

 

「…うん、あ、でもやっぱり代金は…」

 

 

 

 

「それなら、うちの店で他のカードを買っていってくれればいいさ」

 

 

カズトが提案する。

 

 

「…………はい!」

 

 

 

ヒカリは目を輝かせてシャドウパラディンの置かれているケースの方へと向かっていった。

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

その後、デッキに必要だと感じたカードをいくつか購入した所でヒカリは帰宅した。

 

 

 

(どうして…私…もう一度ヴァンガードを始めようなんて…………思えたのかな…)

 

 

 

 

(きっと…………あなたのせい…ね……奈落竜様)

 

 

 

(………ううん……“モルドレッド・ファントム”)

 

 

 

 

ヒカリはうれしそうに“撃退者 ドラグルーラー・ファントム”を見つめると、空を見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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