私はそのユニットを見上げる……
それは私が以前、謎の暗闇の中へ落ちた時に私を導いてくれた竜と酷似していた。
彼…で良いのだろうか。
彼の体に浮かぶ二つの星は青く輝いている。
「行こう…ハーモニクス・メサイア!!」
これが私のGユニット……私の新しい力!!
ダメージは3vs3……ハーモニクス・メサイアはファイトの流れを変えてくれるのか……
「ブラスター・ダーク・撃退者をコール!!ドリンのスキルでダメージを1枚表に…」
『あ!…ダメージを表にする動作を今期からカウンターチャージ……CCと呼ぶことになりました』
「ドリンのスキルでカウンターチャージ!!ダークのスキルでヘスぺリスを退却!!」
ブラスター・ダークが地面に剣を突き刺すと、衝撃波が発生し、ヘスペリスを消し去った。
今、ハーモニクス・メサイアは“幽幻の撃退者 モルドレッド・ファントム”の名前を得ている…故に撃退者名称を指定するブラスター・ダーク・撃退者のスキルも発動するのだ。
「行くよ!!グロンのスキルandブースト!!ハーモニクス・メサイアでヴァンガードにアタック!!」
フィールドから光の粒子が溢れだす…
パワー合計は37000、これはもう受けるしか…
「クインテットウォール……アクリス、エイル、ノルン、ヘスペリス、ヘスペリス……さらにシードルをコール……2枚貫通です」
そう簡単には通して貰えないか…
「トリプルドライブチェック……first、ダーク・撃退者“Abyss”…second、暗黒の撃退者 マクリール…third、撃退者 エアレイド・ドラゴン!ゲットクリティカル!効果はダークに与える!!」
トリプルドライブだとしても……出ないものは出ない……かな。
メサイアの放った光の渦を、アンジェリカは“神器”で振り払う。
私はダークでヴァンガードに攻撃を仕掛ける……結果はノーガード…ダメージはオーダインオウルとヒールトリガーであった。
「ターンエンド……」
ストライドは解除され、ハーモニクス・メサイアはモルドレッドの姿へと戻っていった。
ダメージ点数は私が3点、カグヤさんが4点……このターン完全ガードを引けたのは大きいかもしれない。
ダメージが4点ということはアンジェリカのブレイクライドが発動するということだ。
カグヤさんのデッキ…いやジェネシスはソウルチャージという特性から長期戦は不利……デッキが切れる前に仕掛けてくる筈……
「スタンドし、ドロー…」
カグヤさんが手札からカードを抜くと、アンジェリカの周りに光の柱が出現していく。
光の柱はやがてアンジェリカの姿を覆い尽くし……
「解き放たれしは全知がもたらす創世の閃光…」
新たな女神が舞い降りる。
「クロスブレイクライド、全知の神器 ミネルヴァ」
独特の輝きを放つ蒼い瞳の女神…ミネルヴァ。
美しいブロンドヘアー、露出した肌が美しい。
間違いなくジェネシスでもトップクラスの性能を持つユニットが私の前に立ちふさがる。
「ブレイクライドスキル…ソウルブラスト3…ヘスペリス、ヘスペリス、ノルン……排出されたことによりスキル発動…ミネルヴァにパワー+5000、アタックヒット時に相手のリアガードを2体破壊します」
ミネルヴァの純白の翼の輝きが増す。
「2枚ドロー…ミネルヴァにパワー+10000……ヘメラをコールし、スキルでドロップゾーンからノルン2体とアクリスをソウルへ」
「コロハをソウルへ、ミネルヴァにパワー+3000」
「オーダイン・オウルをコール…スキル発動、ドロップゾーンのアンジェリカをデッキボトムへ…ミネルヴァにパワー+5000」
「ミネルヴァをコール…」
ミネルヴァの槍に深紅のオーラが宿る。
見るものを圧倒する何かが、そこにはあった。
「リアガードのミネルヴァでヴァンガードにアタック」
「インターセプトだよ!!ダーク!!」
ミネルヴァの攻撃をダークがその剣でいなす。
「ならばヴァンガードのミネルヴァ…ヴァンガードにアタック……」
<36000>
強烈な威力だ……完全ガードなら確実に防ぐことができるだろう……だけど…
「ノーガード…で行くよ」
モルドレッド・ファントムは剣を構え直す。
ミネルヴァはこちらに向かって移動しつつあった。
「…………ドライブチェック……ゲット、クリティカルトリガー……効果は全てヴァンガードに…」
ミネルヴァの振るう槍が“2度”モルドレッドの体を切り裂いた。
モルドレッドは苦悶の表情を浮かべる。
「……ゲット、スタンドトリガー…ミネルヴァをスタンド……パワーはヴァンガードに」
私のダメージゾーンにモルドレッドとマナが落ちる…これでダメージは5……もう1点も受けることはできないだろう。
「ミネルヴァのスキル発動……リアガードのドリン、グロンを退却」
ミネルヴァが槍から放った光の衝撃波が、リアガードとして構えていたドリン達に直撃する。
一気にリアガードがいなくなってしまった。
「ミネルヴァのリミットブレイク…CB1、ソウルブラスト3…手札からシャイニー・エンジェル、オーダイン・オウル、ロットエンジェルをドロップ……」
攻撃を終えて、自陣へと戻っていたミネルヴァが振り返り、こちらを睨む。
「ミネルヴァはスタンド……パワー+5000…排出されたノルンとアクリスのスキルで更に+15000」
先程よりも……更にパワーが上昇している。
これは…危険すぎる。
「リアガードのミネルヴァでヴァンガードに」
「マスカレードでガード!!」
モルドレッドを庇い、マスカレードがミネルヴァの槍によって貫かれる。
「ヴァンガードのミネルヴァ……アタック」
私はミネルヴァのパワーを確認する。
<66000☆2>
青葉クンでのファイトで見せたパワーよりは劣るが十分凶悪なパワーだ。
クインテットウォールでは防ぐことができないといえばその恐ろしさも伝わるだろう。
だけど……このためにとっておいたんだ……
「マクリール…完全ガード!!!」
ファントム“Abyss”をドロップし、マクリールのスキルを発動する。
マクリールの屈強な体がとても頼もしい。
「ドライブチェック…フランボワーズ、ミネルヴァ……トリガーはありません………リアガードのオーダイン・オウル、ヘメラでアタック」
「ダーク“Abyss”でガード!!」
「……ターンエンド」
強力な攻撃を受け、ダメージは5点になった……だけどカグヤさんのダメージも変わらず4点……
私は直前のドライブチェックを思い出す。
苺の魔女……フランボワーズ。
先程クインテットウォールを使用していたことを考えると、どうやらこのデッキは完ガとクインテットの両方を採用してるってことか……
どの道、もう私に余裕は無い……ここで決めなければ…こちらがやられてしまう。
道が見えないのなら、切り開くしかない!!
「私のターン……スタンドandドロー…そして」
モルドレッドが私の方を見る。
きっと私の瞳は、彼と同じ緋色に染まっているのだろう。
「魅せるよ……ファイナルターン!!!」
そして私はそのユニットに思いを託す。
「真なる奈落で影と影…深淵で見た魂の光が彼らを繋ぎ、強くする!!ブレイクライドレギオン!! 」
モルドレッドは奈落竜としての姿に戻っていく。
「CB1…ヴァンガードにパワー+10000、山札から督戦の撃退者 ドリンをパワー+5000しスペリオルコール!」
漆黒のオーラが場を包む…唯一つ確認できるのは緋色に輝く瞳のみ。
そして闇が晴れた時…そこにいるのは……
「撃退者 ファントム・ブラスター“Abyss”!!そしてブラスター・ダーク・撃退者“Abyss”!!」
ブレイクライドからのシークメイト…これがブレイクライドレギオン……
「カグヤさん……行くよ」
「…………」
私は続けてユニットをコールする。
「コール・THE・リアガードだよ!!詭計の撃退者 マナ!!」
「スキルでコール!撃退者 ダークボンド・トランペッター!!」
「スキルでコール!魁の撃退者 クローダス!!」
「スキルでコール!ブラスター・ダーク・撃退者!」
1枚のカードから一気に場を展開していく…ドリンによるCCもあり、“Abyssのスキル”を打つ分のカウンターブラストは残っている。
デッキが後押ししてくれる…私の…勝利への道を!
今、私と共に戦ってくれるのは2体のヴァンガード…ドリンとダーク…マナとだったん…そして。
「氷結の撃退者をコール!」
準備は整った……行くよカグヤさん!!
「だったんのブーストしたマナでリアガードのヘメラにアタック!!」
「…ノーガード」
マナがヘメラに回し蹴りを浴びせ、後退させる。
「氷結の撃退者のブースト……Abyssでヴァンガードにアタック!!!」
ブラスター・ダークが奈落竜の背に乗り、戦場を駆け抜ける。
パワーは37000……この攻撃をどう防ぐ?
「フランボワーズで完全ガード……ミネルヴァをドロップ」
そう、それは予測済……まずは1枚…貰ったよ!!
苺の魔女 フランボワーズはミネルヴァに体を寄せるとその手に持った苺をミネルヴァの口に含ませた。
ミネルヴァの周囲を魔力のバリアーが覆う。
ダーク達は強引にバリアーを破壊しようとするも、びくともしない。
「ドライブチェック…first、厳格なる撃退者!!効果は全てヴァンガードに!!…second、鋭峰の撃退者 シャドウランサー!!」
バリアーを破れなかったダーク達は一旦後退しつつ、ミネルヴァの周りを旋回する。
「Abyssのレギオンスキル発動!!CB2…マナ、だったん、氷結の撃退者!!私に力を貸して!!!」
だったん達は光の塊となり、私の右手に宿る。
そしてその手で…ダーク達に更なる力を与える!!
「魂と魂を繋げ!エターナル・アビス!!!Abyssはスタンド!!そしてアタック!!」
ダーク達が再びミネルヴァに特攻する。
パワーは同じ37000…届けっ……!!
「フランボワーズで完全ガード」
再び現れたフランボワーズはその苺を自身の口に放りこんだ。
新たなバリアーに攻撃が阻まれる。
「……これでお仕舞いです」
「いや…まだ希望はある!ドライブチェック!」
私はトリガーに全てを賭ける、もう“力”は使えない…自身の天運を信じるしかない。
「first……撃退者 エアレイド・ドラゴン!!クリティカルトリガー!!効果は全てダーク・撃退者に!」
リアガードのブラスター・ダーク・撃退者…その剣が輝きを放つ。
「second………っ!!厳格なる撃退者!!クリティカルトリガー!!効果は同じくっ!!」
「……!」
ブラスター・ダーク・撃退者…そしてドリンに大きな力が宿っていく…。
最後の……一撃だっ!!
「ドリンのブースト…ブラスター・ダーク・撃退者でヴァンガードにアタック!!!」
<31000☆3>
渾身の一撃……戦場を駆けるブラスター・ダークを奈落竜が見守る。
「ガード」
クリア・エンジェルとアクリスの二人(一人と一匹)がダークの刃を身を呈して止める……
刃は……ミネルヴァに届かなかった。
クロスライドの硬さ故に、ガード値は普通より少なくて済んでいる。
私はカグヤさんを見る……その手札は後1枚…後1枚だった……だが、私にはもう、その壁を破壊する術が残っていない。
手札はこちらの方がある。
だけど……
「……ターンエンド」
最大のチャンスで倒しきることが出来なかった。
「ヒカリさん……」
「……カグヤさん?」
「ヴァンガードは…楽しいですか?」
以前、同じ人から聞いた、同じセリフ……だがこの状況ではまるで籠められられた思いが違う。
まさしく勝者が敗者に言うセリフ……
何だけど……
「カグヤさん……」
「…?」
「そのセリフは……自分への問いかけ…なの?」
「……どうしてそのように…」
「だって今のカグヤさん…………辛そう」
ファイトの状況の性ではない…今日、ここにいる間ずっとだ…………カグヤさん…あなたは……
「…………私のターンです、スタンドしドロー」
ミネルヴァ達はカグヤさんを守るようにその陣形を変えた……
…それが、カグヤさんとジェネシスの“つながり”の形……何となく分かった気がする。
両想いだけが“つながり”じゃない……片想いも強い想いなら届くんだね……
ファイターがカードを選ぶんじゃない…カードがファイターを選んだんだ。
「シャイニー・エンジェルをコール…ドロップゾーンのノルン3体をソウルへ……オーダイン・オウルのスキルでミネルヴァ、アンジェリカをデッキボトムに…ミネルヴァにパワー+10000」
ミネルヴァのパワーが上昇する……
「ヴァンガードのミネルヴァでヴァンガードにアタック」
<23000>
決意に満ちた表情でミネルヴァは舞う。
紅き槍を片手に。
「クリティカルトリガー2枚……ダークでインターセプト」
これで完全ガードになる筈だ。
「……ドライブチェック…ゲット、クリティカルトリガー…☆はヴァンガード、パワーはリアガードのミネルヴァに…そして……ゲット、クリティカルトリガー……効果は全てリアガードへ……」
私のコールしたガーディアンを次々と切り裂いていくミネルヴァ、その槍を止めたのはブラスター・ダーク・撃退者だった。
「ミネルヴァのリミットブレイク……CB1…ソウルブラスト3……手札を全て捨てます……」
消え行くブラスター・ダークの剣を紙一重でかわしたミネルヴァは体制を立て直す。
「ミネルヴァはスタンド…パワー+5000…排出されたノルン達のスキルで更にパワー+15000」
ミネルヴァは全ての力をその槍に集めている様だ。
深紅の槍は凄まじい輝きを放っている。
「再びミネルヴァでアタック」
<43000☆2>
私は手札を見つめる……私は……
「……厳格なる撃退者3体!!暗黒医術の撃退者でガード!!」
これで2枚貫通…だがもうガードできる手札はほとんど残っていない。
ミネルヴァは全ての力を乗せた槍を構え、そして。
「ドライブチェック…林檎の魔女 シードル……トリガー無し……そして…」
カグヤさんのデッキの残り枚数はもう1桁台に入ろうとしている。
「ゲット、クリティカルトリガー……効果は全て、リアガードのミネルヴァへ」
ミネルヴァは槍を放ち、ガーディアンはそれを受け止める。
その隙に、影が一つ、奈落竜の懐に飛び込んだ。
「……」
「最後の攻撃です……リアガードのミネルヴァでヴァンガードにアタック」
パワー33000、クリティカル3……私はその攻撃をノーガードする…いや、ノーガードしか出来なかった。
「……カグヤさん」
「…………」
「あなたはヴァンガードが…好きですか」
「……私は」
奈落竜の懐に飛び込んだミネルヴァはその槍を庇おうとしたダーク“Abyss”もろとも奈落竜の体へ突き刺した。
「私はヴァンガードが嫌いです」
ミネルヴァは後退し、奈落竜の様子を見つめる。
「ダメージチェック……モルドレッド…」
槍の輝きが増し、奈落竜は苦しそうに呻く。
次が6点目……
「second…
奈落竜の瞳に一筋の光が宿る。
自ら槍を引き抜くとそれを投げ捨て、ミネルヴァと相対する。
倒れたダークは動かない。
「third……暗黒の撃退者 マクリール……」
だが、6点目のダメージは入ってしまった。
奈落竜は最後の力で立ち上がったものの、ゆっくりと消滅していった。
「負けちゃった……か…」
拍手の音が聞こえる……それは誰への賛辞か、誰への同情か……
モルドレッド達の敗北した姿を衆目に晒してしまった…ヴァンガードファイターとしてこれは情けない。
「……カグヤさ……あっ」
カグヤさんに話しかけようと思った時、私のインカムは取り上げられてしまった。
私はカグヤさんに話を聞くためギアースパネルの上を歩き出す。
「戻ってください」
カグヤさんの元へ行こうとした私を係員の人が止める。
「行かせて…ください……」
「戻ってください」
係員の力に負け、私は引き下がるしかなかった。
ヴァンガードが嫌いだということは別に構わない、ただ、それでもファイトをしている理由が知りたかった。
油断すると涙が頬を伝う様な状態で、何故彼女はファイトを続けているのか……
「ヒカリさん…」
その声に私は後ろを振り返る。
「舞原クン……ごめん負けちゃった…」
「そうっすねー…がっかりっす」
「あはは……」
舞原クンは銀の髪を揺らしながら歩き出す。
「…僕は勝つっすよ…誰が相手でも……」
「舞原クン……」
私はその後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
* * * * *
「ヒカリさん!こっちこっち!」
天乃原さんが呼ぶ。
「皆…ごめん」
「いいのよ、私たちも負けてるし」
「だな…今はジュリアンのファイトに集中だ」
「……うん」
私はパイプ椅子に座り、ファイトを眺める体勢を整える。
「……?」
私は天乃原さんがデッキを持っていることに気がついた。
「天乃原さん……?そのデッキ…どうしたの?」
「ああ……これね……返したのよ」
「返す?」
天乃原さんは舞原クンの方を見つめる。
「あいつに借りっぱなしだったカードを、ね」
* * * * *
『チームシックザールも最後の一人……少しは楽しませてくれるのでしょうか?』
美空社長が煽る。
「よく煽るっすねー…後でその発言、後悔しないで欲しいっす」
『ハハハハハハ…面白いことを…先行はウルドが貰うわ』
「お好きにどうぞっす」
僕は山札からカードを引く……手札の交換も行う…やはりデッキの中はグレード3で溢れていた。
この場合、最も厄介なことはこの手札が相手にとっては公開状態に等しい上にガード値が0ということ。
それではライドしたとしても敗北は目に見えている。
だったらそのグレード3…有効活用させてもらう。
『スタンドアップ…』
「ヴァンガード!!」
「ヴァンガード。」
互いのファーストヴァンガードが姿を見せる。
カグヤさんは…戦巫女 アメホノアカリ
そして僕は……
* * * * *
「星輝兵 ワールドライン・ドラゴン……」
舞原クンのFV……確かあのユニットは…
「そう…手札のЯユニットを捨てることで山札の上の5枚を見てリンクジョーカーを1枚ドローできるユニット…しかもグレード3になるまで毎ターン使えるカードよ…」
天乃原さんの言葉に青葉クンがあることに気づいた。
「Яユニットということはつまり」
「全てグレード3だよ……これが舞原クンの作戦か…」
私たちはファイトを見つめる。
「……あれ?」
美空社長がカグヤさんに何かの合図を出している……これは?
そうこうしている内にカグヤさんがカードをドローした……そして。
「Gアシストを使用します」
「G……アシスト……?」
いきなり聞きなれない単語が登場する。
『説明しましょう…Gアシストとは、ヴァンガードが次のグレードにライドできない時に使用できる新たなルールなのですわ』
ライド事故の……回避?
『まずは手札を公開』
カグヤさんが手札を見せる。
鏡の神器 アクリス(醒)
鏡の神器 アクリス(醒)
叡智の神器 アンジェリカ(G3)
叡智の神器 アンジェリカ(G3)
吉凶の神器 ロット・エンジェル(引)
運命の神器 ノルン(G2)
確かに……このままではグレード1にライド出来ないけど……
『公開したら、山札から5枚見て、ライドに必要なグレードのカードを選択します…』
カグヤさんが手札に加えたのは“苺の魔女 フランボワーズ”
『手札に加えたら、手札のカードと、Gユニットを2枚ずつゲームから除外します』
「へー…ってGユニットなきゃ使えないじゃない…」
カグヤさんが手札からアンジェリカとロット・エンジェル…Gユニットの天空の女神 ディオネを2枚除外し、ゲームは再開した。
「…Gアシストにストライド…これが今後のヴァンガード……なんだね」
「でも、このタイミングで使ったってことは……ジュリアンのことを甘くみているのかもしれないわね」
確かに…どうもわざとG1を手札に入れないようにしていたようだ……
どこかで説明する予定だったのだろうが…あのGアシスト…カードを1枚分損している…つまり、できれば使いたくない能力だ。
「……舞原クン」
この状況を活かすも殺すも……彼しだいであった。
* * * * *
2ターン目……
「さぁ…僕のターンっす!!ドロー…そしてワールドラインのスキル発動!!」
Gアシストか何か知らないっすけど…僕は僕のやることをやるだけっすよ!!
僕はエシックスЯをドロップし、ドローする。
「そして星輝兵 ルイン・マジシャンを手札に加え……ライド!」
手札のグレード3を処理しつつ、欲しいカードを手に入れる……それがこのデッキの強さ……
ファイトは進み、手札のЯを程よく吐いていく。
「メイルЯをドロップ!!パラダイスエルクを手札に!!メビウスブレスにライド!エルクをコール!メビウスブレスでアタック!!」
「アクリスでガード」
相手のガードが激しいが、トリガーの乗りも激しく、一進一退の攻防が続く。
ダメージは2vs2……
「解き放たれしは我が手に輝く叡智…ライド、叡智の神器 アンジェリカ…アタック」
「ノーガード…ゲット!ヒール!!」
ダメージは動かない……
だが、ファイトの流れは僕に向いている。
「僕のターンっす……スタンド、ドロー…ドーントレスЯをドロップして…星輝兵 ルインマジシャンを手札に!!……そして」
僕はそのカードを見つめる。
僕は今まで、本気でこのカードに頼ることは無いと考えていた…いくらウルドが相手とはいえ、他に手はあると……だけど、残った手札のЯを処理するためには、こいつの力が必要だって…そう感じた。
……嬉しく感じる…君と共に戦えることが。
直感的に気に入ってしまった君と……
今こそ共に行こう、僕の…分身。
僕はそのカードを高く掲げ、叫ぶ。
「真の先に真有り!!真なる狂気で世界を包め!舞い上がれ、僕の分身!!」
「勅令の星輝兵 ハルシウム!!!」
黒輪の騎士は遂にその姿を見せる……銀の肌のファイターと共に……
「ノルンの……ウルド……あなたを倒して、僕は!!最強の力への更なる1歩とする!!!」
ジュリアンの偽りの碧い瞳の奥……薄く赤みを帯びた本当の瞳が美空カグヤを捉えていた。