未来の海賊王も異世界から来るそうですよ   作:スギの中のスギ

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前回の続きです


明かされた真実part2

 変な男は不覚にも………本当に不覚にも、ジンの知ったものの声だった。ジンは顔を顰めて返事をする。

 

「僕らのコミュニティは『ノーネーム』です。『フォレス・ガロ』のガルド=ガスパー」

 

「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ――――そう思わないかい、3人様方」

 

ガルドと呼ばれた巨躯のピチピチタキシードは4人が座るテーブルの空席に勢いよく腰を下ろした。飛鳥と耀とルフィに愛想笑いを向けるが、相手の失礼な態度に3人は冷ややかな態度で返す。

 

「失礼ですけど、同席を求めるならまず指名を名乗ったのちに一言添えるのが礼儀ではないかしら?」

 

「そうだぞ!一緒に座りたいなら肉の1つでも持って来るのが礼儀だろ。オレもうお腹ペコペコなんだぞ」

 

「おっと失礼。そこの店員さん。こちらの方たちが頼んだ品を早急に持って来てくれ」

 

そう言うと1分もせずにティーセット3つに骨付き肉にネコマンマが運ばれてきた。

 

「お、来た来た」

 

運ばれてくるやいなや、すぐさま肉に食らいつくルフィ。

 

「うめぇーー!」

 

「そうですか、それはなによりです。それより、私は箱庭上層に陣取るコミュニティ『六百六十六の獣』の傘下である」

 

「烏合の衆の」

 

「おかわりーー!」

 

「コミュニティのリーダをしている、ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!!あと、そこの店員、骨付き肉を追加で10個持ってこいや!」

 

ジンに横槍を入れられて、ルフィに話の邪魔をされたガルドは店員に追加で骨付き肉を大量に注文し、その顔は怒鳴り声とともに激変する。口は耳元まで大きく裂け、肉食獣のような牙とギョロリと剝かれた瞳が激しい怒りとともにジンに向けられる。

 

「口慎めや小僧ォ……紳士で通っている俺にも聞き逃せねえ言葉はあるんだぜ………?」

 

「森の守護者だったころの貴方なら相応に礼儀で返していたでしょうが、今の貴方はこの二一〇五三八〇外門付近を荒らす獣にしか見えません」

 

「ハッ、そういう貴様は過去の栄華に縋る亡霊と変わらんだろうがッ。自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できてんのかい?」

 

「ハイ、ちょっとストップ」

 

険悪な2人を遮るように手を上げたのは飛鳥だった。

 

「事情はよくわからないけど、貴方達2人の仲が悪いことは承知したわ。それを踏まえたうえで質問したいのだけど―――」

 

飛鳥が鋭く睨む。しかし睨む相手はガルド=ガスパーではなく。

 

「ねえ、ジン君。ガルドさんが指摘している、私達のコミュニティが置かれている状況………というものを説明していただける?」

 

「そ、それは」

 

ジンは言葉に詰まった。すると、ルフィも。

 

「そうだぞ、もう肉無くなっちまったじゃねえか」

 

「店員さん、骨付き肉を追加で20個」

 

ルフィを黙らせるためにさらに骨付き肉を追加するジン。同時に自分は大きな失敗を犯してしまったことに気づく。それは黒ウサギと口裏を合わせて隠していたことだった。飛鳥はその動揺を逃さず畳み掛ける。

 

「貴方は自分のことをコミュニティのリーダーだと名乗ったわ。なら黒ウサギと同様に、新たな同士として呼び出した私達にコミュニティとはどういうものなのか説明する義務があるはずよ。違うかしら?」

 

追及する声は静か、されどナイフのような切れ味でジンを責める。それを見ていたガルド=ガスパーは獣の顔を人に戻し、含みのある笑顔と上品ぶった声音で。

 

「レディ、貴女の言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士に箱庭の世界のルールを教えるのは当然の義務。しかし彼はそれをしたがらないでしょう。よろしければ『フォレス・ガロ』のリーダーである私が、コミュニティの重要性と小僧―――ではなく、ジン=ラッセル率いる『ノーネーム』のコミュニティを客観的に説明させていただきますが」

 

飛鳥は訝しげな顔で一度だけジンを見る。ジンは俯いて黙り込んだままだ。

 

「………そうね。お願いするわ」

 

承りました。そう言うと、ガルドはコミュニティの重要性とジン率いる『ノーネーム』の現在の状況を説明し始めた。

 

まず、コミュニティには活動するうえで『名』と『旗印』を申告する必要がある。特に『旗印』はコミュニティの縄張りを主張する大事なもので、自分のコミュニティを大きくしたければ、コミュニティに対して両者合意の上での『ギフトゲーム』を挑み奪えばいい。ガルドのコミュニティは実際にそうやって大きくなった。

 

次に、ジンのコミュニティは数年前までは東区画最大手のコミュニティだったのだが、箱庭に蔓延る唯一最大にして最悪の天災―――俗に『魔王』と呼ばれる者達によって滅ぼされ、『名』と『旗印』を奪われた。

 

そして、『名』も『旗印』もないコミュニティは信用度を失い、とても苦しい生活を過ごすこととなる。つまり、それが今の『ノーネーム』の現状である。

 

ジン=ラッセル率いる『ノーネーム』は現在、路頭に迷っている最底辺コミュニティだったのだ。




今回はいつもより少し長くなってしまいましたね。さてさて、そろそろあの和服ロリが登場しますぞー
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