一通りの説明を聞いた飛鳥はガロウにある質問をした。
「………そう。事情は分かったわ。それで、ガルドさんは、どうして私達にそんな話を丁寧にしてくれるのかしら?」
飛鳥は含みのある声で問う。ガルドもそれを察して笑う。
「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」
「な、何を言い出すんですガルド=ガスパー!?」
ジン=ラッセルは怒りのあまりテーブルを叩いて抗議する。しかしガルド=ガスパーは獰猛な瞳でジンを睨み返す。
「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めていれば最低限の人材はコミュニティに残っていたはずだろうが。それを貴様の我が儘でコミュニティを追い込んでおきながら、どの顔で異世界から人材を呼び出した」
「そ………それは」
「何も知らない相手なら騙しとおせるとでも思ったのか?その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら………こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねえ仁義があるぜ」
先ほどと同じ獣に似た鋭利な輝きに貫かれて、ジンは僅かに怯む。しかしガルドの言葉以上に、飛鳥達に対する後ろめたさと申し訳なさがジンの胸の中で濁りだす。それほどジンのコミュニティは崖っぷちにあるのだ。
「………で、どうですか皆さん?返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴方達には箱庭で30日間の自由が約束されています。1度、自分たちを呼び出したコミュニティと私達『フォレス・ガロ』のコミュニティを視察し、十分に検討してから―――」
「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」
は?とジンとガルドは飛鳥の顔を窺う。彼女は何事もなかったようにティーカップの紅茶を飲み干すと、耀に笑顔で話しかける。
「春日部さんは今の話をどう思う?」
「別にどっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの」
「あら、意外。じゃあ私が友達1号に立候補していいかしら?私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」
飛鳥は自分の髪を触りながら耀に問う。口にしときながら気恥ずかしかったのだろう。耀は無言でしばしば考えた後、小さく笑って頷いた。
「………うん。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」
『よかったなお嬢………お嬢に友達ができてワシも涙が出るほど嬉しいわ』
ホロリと泣く三毛猫。恥ずかしさをごまかすように飛鳥はルフィにも話を振った。
「当然ルフィさんも春日部さんの友達になってくれますよね?」
ルフィは遂に100個目の骨付き肉を手にしながら答える。
「ん、ああいいぞ。動物と会話できるなんてまるでチョッパーみたいだしな」
自分を置いて勝手に盛り上がる飛鳥達。ガルドは全く相手にされなかったことに顔をひきつらせ、それでも取り繕うように大きく咳払いをして3人に問う。
「失礼ですが理由を教えてもらっても?」
「だから、間に合ってるのよ。春日部さんは聞いての通り友達を作りに来ただけだから、ジン君でもガルドさんでもどちらでも構わない。そうよね?」
「うん」
「それにルフィさんは………まだ答えを聞いてなかったわね。ルフィさんはどっちのコミュニティに入りたい?」
「うーん。別にオレは修行に来ただけだしなー。まあ、じゃあオレは小っちゃいやつの方かな。このオッサン何か見た目変だし」
笑いながらガルドを指さすルフィ。
「だそうよ」
口に手を当てながら言う飛鳥。
「そして私、久遠飛鳥は―――裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ。それを小さな小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われて魅力的に感じるとでも思ったのかしら。だとしたら自身の身の丈を知った上で出直してほしいものね、このエセ虎紳士」
今回はまだ和服ロリは出ませんでしたね。おそらく次の次くらいには登場するかな