──────協会への道
路地裏で長話を終えた後、識城は建宮の転移魔術で学園都市を抜け出し、今は天草式の協会まで徒歩で向かっている。
なぜ直接協会に転移しないのかと聞くと
「──歩きながら気ままに語り合うのも、青春の一ページってヤツなのよな」
.....だそうだ。
一応、性格と口調は『天草式に居た頃』に変えている。五和を含むメンバーの者達を驚かさない為だ。
「....そう言えばさ」
「どうしたのよな、識城」
彼はふと、気になったことを聞いてみる
「
それを聞いた建宮は、信じられないといった顔になる。
「....な、何を言ってるのよな識城....そんな...」
「いや、使い方とか、効果?とかは覚えてるんだ。でも、名前が一向に思い出せないんだ」
「...あー...そういうことか。やっぱり、忘れてしまってるか...ま、それも仕方ないことなのよな」
「そりゃ、一体全体どういうことだ?」
「識城、お前が自分の魔術の名前が思い出せないのは『お前の魔術には名前が無いから』なのよな」
「........は?」
素っ頓狂な声を上げる識城。頭上には大量のクエスチョンマークが旋回している。
「ま、強いて言えば『
「...あぁ...そうか、そういうことか...ふふ、いかにも俺が思いつきそうな、厨二臭い名前だ」
「自分で言うことじゃないのよな....」
「違いない」
そんな事を喋っている内に、二人の前には大きな教会が見えていた。
「さて、着いたのよな」
「久しいな、ここも......一人称、ワタシに変えようかな?」
「はっはっは!それはいい、驚かせてやったらいいのよな」
「....変更完了.....なんだか緊張します」
「ま、まあ、あんな別れ方をすれば、な....」
口調と雰囲気が一瞬で変わった識城に小さな恐怖を覚える建宮に、協会の表に立っていた少女が声を掛ける。
「あ、教皇代理、帰って...きた....の...え?」
天草式十字凄教のメンバーの一人、五和である。
「お久しぶりです、五和。誠に勝手ながら、帰って参りました」
礼儀正しく一礼する識城を見て、目が点になる五和。暫くの間、どちらも何も喋らなかったが、一歩、二歩と後ずさりしたあと、五和の方から彼に喋り掛ける。
「ま、間宮さん....?」
「ええ、ワタシは正真正銘、間宮識城でございますよ」
「~~~~~っ!!!」
顔を赤くしてフルフルと震えだす五和。ああ、やはり怒っているのだろうか?さすがに、一年もの間姿を見せずにただいま、というのは虫がよすぎるか。
と、そんな事を考える識城。
すると突然────
「間宮さぁぁぁぁぁぁあああああん!!!!!」
「?!??!!」
『ああ、怒って罵声を浴びせてくるのだろう。もしかしたら殴られるかもしれない』そんな事を考えていた識城だったが、彼女は、彼が考える事とは全く逆の行動を取っていた。
彼の名を叫びながら抱き着いてきたのである。
「え?あの、い、五和?」
「はい!」
「そ、その...怒らないのですか?」
そう恐る恐る聞くと、五和は戸惑う様な顔をした後、すぐに彼の目を見つめ直して、自分の心情を語り始めた。
「...確かに、間宮さんが使い魔で『もう帰らない』なんて手紙だけ寄越して本当に帰ってこなくなってしまった時は、なんて勝手な人なんだと思いました」
「ッ.....」
それを聞いてバツの悪そうな顔になる識城。彼の心に、どんどんと自責の念が募ってゆく。
「女教皇様が出て行って、そして間宮さんまで居なくなってしまって.......でも」
「?」
「でも、こうして帰って来てくれました。なんだか、一人称も変わってたり、服装も変わってたりしますけど...」
「そ、それはですね....」
性格を変えてたとか言えない
「それでも、こうして帰って来てくれました。出て行ってしまった時のちょっとした怒りよりも、この喜びの方が大きいんです」
「五和....!」
「おかえりなさい、間宮さん」
「....! ただいま帰りました、五和」
ああ、なんだろう。感動して涙が出そうだ。
なんていい人なんだこの子は......
「うんうん。これが青春ってヤツなのよなぁ」
これが青春...なのか?
よく分からないが、今は『おかえりなさい』と言ってくれる人が居る。この喜びを噛み締めよう。
一番好きなライダーは残月・真で、二番目はシグルドです。シドがカッコよくて仕方ないです。
次回、主人公の魔術が明らかに....?