とある魔術の原点越え R   作:会話5

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皆さんこんにちは。筋肉痛が酷すぎてヤバい作者です。足を曲げることすら苦痛です。横になる瞬間、プチプチと嫌な音がしました。というか今も力を入れたら筋繊維が切れます。きついです。


錠前の魔術師と『間宮識城』という魔術

 

 

──────魔術結界

 

 

「ここは?!」

 

「チィ....!やはり、敵に回すととことん面倒な相手だなアイツは....!!」

 

 

必要悪の教会(ネサリウス)の天才魔術師ステイル=マグヌスは、心底忌々しそうに毒づいた。

 

今、彼らの周りの風景は、異様な世界に変貌していた。地面や壁、建物には大量の新聞紙が張り付き、その文字に上書きをするようにマークや記号がついている。空には三日月が出ており、鉛筆で描いた落書きの様な千切れ雲が月の周りを漂っていた。

 

新聞の写真は映画の様に動いており、兵隊が行進しているものもあれば、可愛らしいウサギが草原で呑気に眠っているものまで様々だった。

 

そして、その空間で最も注目を浴びているのは『それぞれ違う武器を持って隊列を組んでいる間宮識城』だった。

 

 

「嘘だろ...?!...同じやつが何人も....!!」

 

「『同じやつ』とは酷い言い様ですね...組織は違えど、ちょっと前は逃走を手伝いあった仲じゃないですか」

 

「!」

 

 

驚いている上条に語りかける識城。

 

 

「し、知り合いなのか....?」

 

「....はい?....あー、ステイル?彼はいつから記憶喪失ごっこなんて悪趣味な遊びを?」

 

「........」

 

「....はぁ.....」

 

 

下を向いて黙り込むステイルを見て、やれやれと言わんばかりに首を振る。そして上条の方に向き直り、おどけた口調で自己紹介をする。

 

 

「アァ、はじめまして...ワタクシ間宮識城と申す者でございます。認識の識にお城の城で識城....以後お見知りおきを」

 

「え?あ、あぁ...上条当麻...です?」

 

 

上条も戸惑いながらも自分の名前を口にする。

 

 

「あぁさてさて....ワタシの魔術ですが....ワタシは人格や性格が同時に多数存在するのです。精神科医の男性は確か...そう『並列多元人格』なんて言ってましたね。ここはワタシの精神世界の一角で、あそこで並んでるのは全て『性格の違うワタシ』なのですよ」

 

「性格の....違う...?」

 

「例えば彼」

 

識城が指を差したのは、大鎌を持った目付きの悪い『一人』。

 

「彼はつい....一週間ほど前ですかね?あなたと喋っていた時のワタシの『性格』です。あんな風に、ワタシの性格・人格の一人一人を具現化し共に戦える...というのが、ワタシの魔術なのです」

 

「.....!!!」

 

 

その説明にただただ驚愕の色を浮かべている上条。そんな彼など気にも留めずはしゃいでいる五和と他の天草式メンバー。

 

 

「久しぶりに見ましたよ!間宮さんの魔術!!」

 

「本当に久々ですね、これを使うのは......ふむ、今思えば、その右手はこの魔術の天敵みたいなものでしたね....色々と面倒なので封じさせていただきます」

 

 

そう言って識城が手をかざすと、銀色に輝く手袋が上条の『幻想殺し』を包み込む。

 

 

「な、なんだこれ...ッ!外れない...!!」

 

「なんだと?!見せろ!」

 

 

慌てて手袋を外そうとする二人だったが、その手袋はいくら力を込めても全く動かない。それを見た識城はクスクスと笑っていた。

 

 

「それは魔術でも能力でもありませんよ。ただの鉄の手袋です。まあ、取り付けには『金属操作』を使いましたけどね」

 

 

「くそっ!これじゃあ右手が...!!」

 

「ああもう!!本当に面倒な相手だね君は!」

 

「いえいえ、それほどでもありませんよ」

 

「褒めてない!...ああ...クソッ!!調子が狂う!」

 

「ふふふ.....まあ、そろそろこちらのダメージも笑えるものじゃなくなってきましたので、終わりにさせていただきます...」

 

「クソッ!皆構えろ!来るぞ!!」

 

「敵対する者共を殲滅しなさい!徹底的に!もう二度と立ち上がれぬ程に!!」

 

 

識城が命令すると、隊列を組んでいた『間宮識城』が一斉に駆け出す。それに対抗する252人のシスター達。

 

 

「あくまで目的はオルソラ=アクィナスだ!錠前のカマ野郎とは出来るだけ交戦するな!」

 

 

その指示を受け進路を変更するアニェーゼ部隊。しかし、そもそもローマ正教を本元の標的にしている間宮部隊(仮名)がそれを許すわけもなく、みるみるうちにシスター達を叩きのめしてゆく。

 

 

「クソ!何故にテメェは邪魔をするんでい錠前のカマ野郎!!」

 

「ぐ...ワタシはソッチの人じゃありませんよ...そして、何故邪魔をするか?それは貴女達が『吹き飛ばしてもいい奴ら』だからですよ...ッ...五和、治癒を頼めますか?」

 

「な、いつの間に...重症じゃないですか?!」

 

 

識城は魔術を行使した事による反動を受けていた。腹部から血が滲み、右目から血涙を流していた。

 

 

「科学の街で過ごして、体の構造が変わったのですよ...ふぅ、もう大丈夫です。感謝します五和」

 

「は、はい!」

 

 

「いちゃいちゃしてんじゃねぇよカマ野郎!!」

 

痺れを切らしたアニェーゼが蓮の杖を振り上げ突進して来る。『蓮の杖』....第五大元素を操る、まあまあ有名な杖だ。

 

「だから、ワタシはソッチの人ではありません!!」

 

それに対抗し、一本の長大な鉄棒を作り上げ応戦する識城。杖と鉄棒がぶつかり合い、大きな火花と雑音を生み出す。

 

アニェーゼが杖を振るい、識城はそれを躱してカウンターを決める。一進一退の攻防だったが、魔術行使の反動で負傷した識城と、万全の状態のアニェーゼ。どちらが有利かは明白だった。

 

「これで!終わりだッ!!」

 

大きく振ったアニェーゼの杖が、識城の胴に直撃する。

 

 

「ふん!吹っ飛んじまったのは、アンタの方でしたね、カマ野郎」

 

壁に叩きつけられ、地面に倒れ伏す識城を見て呟くアニェーゼ。それを聞いた識城は苦しそうに笑う。

 

「あ?何笑ってんですか?もしかして、壁に叩きつけられた衝撃でアタマがおかしくなっちまったんですかあ?」

 

ケラケラと笑い識城に向かって歩いていくアニェーゼ。トドメを刺すつもりなのだろう。それを見た識城は笑うのを止め苦しそうに、しかし力強く言った。

 

 

「確かに、吹き飛んだのはこちらですが....負けたのは、貴女達ですよ...アニェーゼ=サンクティス....!!」

 

「はぁ?何を言って.......!!!」

 

 

彼女が振り向くと、そこには天草式のメンバーと『禁書目録』以外、誰も立ってはいなかった。アニェーゼ率いる『アニェーゼ部隊』も、『幻想殺し』上条当麻も、『天才魔術師』ステイル=マグヌスも、皆地面に倒れ伏していた。

 

 

「嘘....でしょ....?!こんな...!!」

 

「嘘ではありませんよ」

 

「!!」

 

 

いつの間にか治癒を完了し、復活した識城が先程の鉄棒を持って、アニェーゼの背後に立っていた。

 

 

「そして...」

 

「ひっ.....や、やめ...」

 

「これで、おしまい(チェックメイト)です」

 

 

識城が鉄棒を振り下ろす。

 

 

「........?」

 

 

しかし、いつまで経っても、衝撃は彼女を襲わなかった。

 

 

「あ、アンタは...なんで....!!」

 

「......『死んでも』相変わらずですね、上条」

 

 

「....」

 

 

つい先程まで彼女と敵対していた筈の上条当麻が、その身を呈して彼女を守っていたのだ。

 

 

「もう、いいだろ?この子に戦意は無いんだ。わざわざそんな物で殴らなくったっていい」

 

「....分かりませんね....事情を考えるのも聞くのも面倒ですが、これだけは聞いておきます。上条当麻、貴方は何故、そこまで偽善(クソつまらない事)を貫けるのですか?」

 

「!!」

 

「敵対していたのでしょう?なら何故助けるのです?敵対する者は徹底的に...まあ、ワタシも『相手の事情を聞いて、それに納得したなら』その場から逃がしたり、その際に支援をしたりしますが、上条当麻。貴方の『それ』は、コウモリの様に、あるいは蛇の様に人を騙し尽くしているだけです」

 

「....それでも...困っている人がいるなら、放っては置けないんだ」

 

「....助けを拒まれても?」

 

「ああ、そうだ」

 

 

そう強く返す上条を冷たい目で見る識城。その目にはありったけの軽蔑が込められている。

 

「上条当麻...貴方は...いや、貴様は、世界最上級のクソ野郎です!」

 

そう叫んで握っていた鉄棒を後ろに放り投げ、上条を殴る。上条は戸惑いながらも応戦するが、『幾多の戦場を駆け抜けた高校生』に『喧嘩慣れした高校生』が勝てる道理など無く、開始から数分で、上条はその意識を手放していた。

 

 

「........」

 

 

暫くの間、地面に倒れた上条を見ていた識城だが、すぐに目を切って教会へと帰って行く。

 

 

「ま、間宮さん、どこへ?」

 

「...教会へ。今日は疲れました。貴女もお疲れ様です、五和」

 

「! はい!」

 

「ん?このシスター達はどうするのよな?」

 

「ほっといてもいいでしょう。どうせ下品な上司が来て『おしおき』をするために連れ戻すんですから」

 

「......」

 

 

建宮とその他のメンバーは、結局シスター達を『捕虜』と言って回収していったのだった。

 

 

 




痛い

次回、なにしましょ
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