とある魔術の原点越え R   作:会話5

21 / 37
皆さんこんにちは。先日ピンポンダッシュ小僧を本気で捕まえに行った作者です。
今回は題名の通り、御坂の敗者復活戦です。


Revenge of Misaka

─────木原研究所

 

 

「うおおォおラァァァアアアア!!当ァたれェェええええええ!!!」

 

 

怒声と共に眩く光る電撃の槍が飛んでくる。それを『金属操作』で作った避雷針と『一方通行』で回避し、御坂が死なない程度の地味な反撃を繰り返し行う。

もはや作業と化したこの一連の動作を、もう何セットこなしたのだろうか....。

 

ついさっき、御坂を弄った。

 

演算パターンを頂戴し、適当に弄り、それが終わると木原さんは速攻で御坂を上に渡した。

 

すると何故か意識を取り戻した御坂がこっちに突撃してきた。木原さんは『試したい事あるから暫く足止めしろ』なんて言って何処かへ行ってしまった。

 

全く、そんな事を言われたらワクワクしてしょうがないじゃないか。

 

 

しかし.......

 

 

「ギャーコラギャーコラ五月蝿えよ!つーかさっさとくたばれ!しぶといンだよ!ゴキブリか手前ェは!!」

 

 

煩い。余りにも五月蝿すぎる

 

 

「黙れェ!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れェェェええええ!!!」

 

 

ああ、そういえばこの無駄な煽りも、ただ鬱陶しいだけの返答を聞くのも、両手では数え切れない程に繰り返したな。正直言って面倒臭い。

 

木原さんの言う『試したい事』を見てみたいが、それと同じくらいに、目の前のバカを殴り倒したい。

というか、このまま延長を続けると延滞料金がかかりそうだ。

 

 

「...延滞料金の領収書には上の名前が書いてあって、一緒に自動問題発生装置上条当麻も同梱されてんだろうなぁ.....こんだけ働いて、貰える金は無し!とんだブラック企業だ!闇だけに!!」

 

「何をごちゃごちゃとッ!アンタは!アンタだけは絶対に!!」

 

「何だよ!」

 

「絶対に許さない!!」

 

 

雷撃が更に激しくなる。

 

しかし、大半の雷が役割を強化された避雷針に軌道を逸らされ、残ったのは『一方通行』の前に呆気なく散る。

 

 

「許さない!キリィッ...あひゃ────」

 

「ふッ.....ざけるなァァァアアアアアア!!!」

 

「五月蝿ェ!いちいち叫ぶな!」

 

 

叫び声がいい加減にムカついてきたので『一方通行』のベクトル操作で作り上げた空気の塊を御坂の鳩尾に叩きつける。

実験で空気の反射を練習した時に覚えた中々有効な技だ。あとはこの空気の塊を爆弾に出来たら完璧なのだが....。

 

 

「ご.....ふッ.......」

 

「あら、痛かった?」

 

 

空気弾を喰らった御坂が腹を抑えてうずくまる。ギリギリと歯を食いしばって呻いているが、木原さんの『実験』は間に合うのだろうか?

 

そんなことを考えながら御坂との距離を詰める。頭を蹴り上げ、少しでも演算を乱すために。

 

しかし、それが失敗だった。

 

 

「く....ふ、ふ.....あひ、ひひひ.....」

 

「....なに笑っ─────」

 

 

御坂の腕が紫電を纏う。

 

 

──────瞬間─────

 

 

御坂の指が、()()()()()()()()()

 

 

「はッ?!」

 

「ぉおおオオおおおああアあアアあああアアアあアあああアアアアアア!!!!!!!!」

 

 

喉を潰さん程の雄叫びを上げながら、御坂がその右腕を振るう。

 

古い壁紙の様にあっさりと剥がれた床だったモノが、超スピードで迫ってくる。

 

 

─────回避は─────

 

 

「ッガァッ.......!」

 

 

─────不可能だった。

 

 

 

学園都市において生徒が発現させる能力の中でも、比較的オーソドックスな発電能力。

 

その能力を持つ御坂美琴が『第3位』である所以。

 

それは、精密機械のハッキングから身体の強化にまで及ぶ、応用範囲の圧倒的広さである事を忘れていた。

 

 

「.....あら、痛かった?」

 

「.....テ....メェ.....」

 

 

立場の逆転──────。

 

先程まではこっちが見下す側だったのに、今はどうだ?御坂に見下されている。

 

ああ、嫌だな。

 

 

「さ、どうしてやろうかしら?今まで散々馬鹿にしてくれたわよねェ......そうだ....」

 

 

ポンと手を打って、御坂がポケットから小さな鋏を取り出す。

 

 

「アンタの髪ってさぁ....綺麗よね。真黒で、細くて、艶があって....ホント、ムカつくくらい綺麗.....」

 

「......何が言いたい」

 

「私はね、他の子達ほど美容に気を使ったりしないの。ま、常盤台は外出時にも指定の制服を着てないといけないから、そんなにオシャレの幅も広くないってのもあるんだけど」

 

 

今までまともに喋れなかったからなのか、御坂は段々と能弁になっていった。

 

 

「私ってね、いつも皆に『お姉さま』って呼ばれてるでしょ?なんでかわかる?」

 

「.....気が強いから」

 

「そ、私って相手が誰でも気に食わなかったら言い返す方だから、気の弱いお嬢様〜って感じの子から憧れを持たれてるの。別に、自意識過剰って訳じゃなくて、実際に私が見て感じて確信を得た上で言ってるのよ。.....んで、私はね、それが嫌なの」

 

「.......」

 

「私はね、女の子でいたいのよ。『お姉さま』でも『ビリビリ』でも『超電磁砲(レールガン)』でもない。確かに、この能力(チカラ)には誇りを持ってる。でもね、私は御坂美琴という、一人の女の子でいたいのよ」

 

「つまり?」

 

「つまりね」

 

 

数瞬の沈黙。

 

そして、御坂が口を開く。

 

 

「アンタが気に食わないの」

 

「......」

 

「ずっと、ずっと『女の子』に憧れてる私の前に、アンタは現れた。私よりも綺麗な顔で、私よりも綺麗な身体で、私よりも綺麗な髪で!アンタは私の前に現れた!!!切る!切り刻んでやる!!!」

 

 

.......嫉妬........なのか?これは。

 

まあ、確かに『少しでも姉に近づきたい』という意思で、昔から、そう、親父達が死んでも、姉が死んでも尚、俺は見た目に気を使って来た。幸い、顔は姉似だったから頭髪と体型のみだったが.....。

 

しかし、男に嫉妬か....しかも容姿で。

これはこれで珍しい光景だな。

 

....さて、しかし.....どうしたものか。

先程鉄塊で殴られた時のダメージがまだまだ残っている。その証拠に、これだけ時間が経過した今もまともに動けない。しかし、このまま呑気に寝そべっていれば、何をされるかわからない。では、ここで俺が取るべき行動は.....。

 

 

「ッ!?なに!?なんで?!なんで立てるのよ!!?」

 

 

起き上がる事。

 

 

「答える必要は無いヨ。俺ちゃん『こーゆーの』の種明かしは負けフラグだって知ってるから」

 

 

.....『金属操作』で、衣服ではなく、直接体に金属粒子を纏い、その粒子を操ることで無理矢理身体を動かす。

木原さんの言った通りだな.....人間、興味があればどこまでも行けるモンだ。

 

 

「...さて、立ち上がっては見たものの、こっからどーしよーかねぇ....よし!木原さんを待つか!」

 

「木原....?まさか、テレスティーナ?!」

 

「うーん?違うよ?アイツは鉄と肉の画期的な化合物にしたからサ、全く関係無いわ」

 

「.....ふざけてる?」

 

「いんや?今喋ってんのは『白燐操蟲(ジュークボックス)』を保存してる性格サ。『金属操作』の方は個性が薄いからねぇ....困った子なのよ」

 

「.....」

 

「あーらやだ、そんなバケモノを見るような目をしないでくださいな。ウチ、意外と傷つきやすいんよ?まァ、いっか。んでよォ、どーしたのサ?かかって来なよ、Jealousy like a fool little girl (嫉妬好きの馬鹿幼女ちゃん)?」

 

「へーぇ.....そんなに調子に乗って大丈夫?後で泣いても知らない、わ.....よ?」

 

 

突然、御坂がすっとぼけた様な顔をして止まった。何だろうと見ていると、廊下のスピーカーから聞きなれた声が流れ出した。

 

 

『よォ、識城。大変だな』

 

 

 

「木原さん!何やってたんです?待ちくたびれましたよ!」

 

『ウルセエよ、そこの第3位が手当たり次第に配線焼き尽くしてくれやがってよォ....二階の東棟が盛大なグリルパーティ会場になってやがったぞ』

 

「ワオ、そいつはクールですね」

 

『ああそーだな、BJよりもクールに燃えてやがる』

 

「誰?!一体何をしたの?!」

 

 

このやり取りが気に入らなかったのか、御坂が食い気味に怒鳴る。しかし、その問いに帰ってきたのは────。

 

 

『だーれが教えるか、バーカ。じゃーな、上手くやれよ』

 

 

完全に馬鹿にした答えと、スピーカーの電源を切る音だった。

 

 

「...そ、そんな....がはッ?!」

 

「オラァ!意気消沈してる暇なんざ無ェぜ!!」

 

 

絶望の二文字の張り付いた御坂の顔面を、もはや鉄の塊と化したブーツで蹴り飛ばし、更に追撃を加えていく。

 

水月を抉り、突き飛ばして後ろ回し蹴り、返す脚でハイキックを喰らわせ、そのままスケート選手の様に飛び、全体重を乗せた振り下ろす拳。そして、決め手は低くした体制から繰り出す、全身のバネと能力をフル活用した左アッパー。

 

格闘ゲームの様な連続技を浴びせ、今度こそ、御坂の意識を完全に深く沈める。

 

 

「ちょーっとズルしちゃったけど、俺の勝ちだ。残念だったな、御坂」

 

 

地面に倒れ伏した御坂を見ていると、一週間ほど前の光景を思い出す。

 

そう、天草式の教会で、上条当麻を殴り倒した時だ。あの時の性格は.....そうそう、少し丁寧な感じだったか。

 

 

「おーおー、女にも容赦ねーなぁお前は」

 

 

そんな事を考えていると、背後から声をかけられる。

 

 

「男女平等....俺の好きな言葉です」

 

「わーお、怖い怖い。んじゃ、行こーぜ、お偉いさんに荷物を届けなきゃな」

 

「はーい」

 

 

いつかと同じように、御坂をクーラーボックスに詰めてロックをかける。

 

さて、次こそはちゃーんとお届けしなければ。配達員でもない俺が延滞金を払うなんて、笑い話にもならない。

 

 

 

「おや、木原さんも来てくれるんですか?」

 

「上に来いって言われたんだよ」

 

「人気者でいいじゃないですか。サインあげたら喜んでくれると思いますよ」

 

「言ってろ」

 

 

 

 




次回予告『わー、タコ!これは?これはね、もろみ油って言うんだよ。なるほど、これがかの有名な弁当箱のなる木ですね?違う違う、畳は茹でずに食べるものだよ。だから卵は使わないんだ。だから蛇口は懐中電灯にならないんですね!勉強になりました!』

......ごめんなさい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。