とある魔術の原点越え R   作:会話5

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皆さんこんにちは。今日も今日とで面倒続きの作者です。
ああ...何回連続で広島に行くんだよもう.....。


一回転すれば戻れるだろう?

「....ホント、人間じゃねえんだな、お前」

 

 

その呆れも混じった声は、瓦礫の海で大の字になっている聖人、神裂火織に向けられたものである。

 

 

特大の弾丸を脳天に喰らって尚生きる彼女は『ヒトを超越した者』聖人。

 

世界にも十数名しかいない、天上の者に似た魔術記号等を持ち生まれ落ちた『特例』。その能力は身体能力は勿論、思考・五感・魔力・魔術...その総てがヒトを超越している。

 

しかし、その中でも弾丸を頭に喰らって生きている者は少ないだろう。

 

 

自分が聖人の中でも上位にいる存在だという事は、神裂自身も自負していた。

 

 

鍛錬を怠ったことはない。

 

その鍛錬も、かなりハードな物を続けている。

 

『唯閃』という奥義も開発し、自身の力は更に高まった。

 

 

今の自分なら、誰にだって負けはしない。

 

 

 

 

 

─────そう思っていた

 

 

 

 

 

 

聖人、神裂火織

 

 

彼女は、聖人としての力とその類稀なる才能で、幼くして『一流』と呼ばれるまでの魔術師となり、目の前に立ちはだかる敵を次々と打ち倒し、その名を魔術界に轟かした。

 

誰もが彼女と戦う事を避け、誰もが彼女の実力を評価した。

 

 

 

正に負け無し。

 

 

 

そんな彼女が、初めて敗北した。

 

 

相手は自分より2歳年下の少年。

 

 

最初会った時の感想は『無し』。

 

戦場ではよく見る子供の魔術師。

 

自分の様に、才能がある魔術師。

 

 

ただそれだけだと思っていた。

いつも通り勝てると思っていた。

それが当たり前だと、思っていた。

 

 

だが、現実は違った。

 

 

自分の技は全て見切られ

 

相手の攻撃が延々と自分を痛めつける。

 

 

拳を出せばいつの間にか視点がひっくり返り、地面に叩きつけられる。

 

足を出せば自分は上を向いている。

 

 

それなのに相手の少年の拳は自分より鋭く、顔面を、腹を、脇を完璧に仕留め、足は自分よりしなやかに、喉を、脚を、関節を完全に抉った。

 

 

そして気がつけば自分は真っ白な天井を見上げていた。

 

 

そして理解した。

 

 

自分は敗けたのだと。

 

 

 

─────『自分』に────

 

 

少しでも慢心する心があったから、自分は負けた。

 

少しでも慢心する心があったから、自分に負けた。

 

自分は最初から、強くなんかなかったのだ。

 

自分は最初から、負けていたのだ。

 

「総てに』

 

 

 

 

 

 

それを悟らせた男が、自分を見下ろしている。

 

()()()よりも強くなって。

 

 

 

「おーおー、ド派手に回ったなァ神裂。ま、気が向いたから言っとくぜ?いいか?お前はヒーローじゃあねェし、むしろ悪の側に付く人間だ。だからお前じゃ俺を倒す事は出来ねェ」

 

 

彼は自分を悪だと言う。

 

そして私も悪だと言う。

 

何故だろうか?

 

確かに自分は山ほど人を殺してきたし、何度も何度も人を泣かせてきた。

 

でもそれは、全部人の幸せを願ってしてきた事だ。

 

 

 

 

────『救われぬ者に救いの手を』────

 

 

 

 

それが私の信念なのに.....

 

 

 

そんな私の考えを示したように、彼が私に()()を浴びせる。

 

 

 

「前も言ったろ?救われねェのは、テメェらのおめでたい頭だってよ」

 

「........」

 

「わかるか?ホラ、切嗣さん言ってたじゃん?誰かを救うってことは、誰かを救わねえ事だって。誰かを救うには、その誰かを脅かすナニカをぶち壊す事以外に無い。襲われてる誰かを完璧に救うには、襲ってる誰かを完璧に殺す以外に無い。でも、それは本当に救われねえやつを救えたのか?」

 

「....なに...を...」

 

「救う為に誰かをぶっ殺すって、救われねえ誰かを増やす事になる....とは思わねェか?なァ、神裂」

 

 

そう言って彼は少し、哀しそうな顔をした。

何故そんな顔をするのだろうか?

今まであらん限りの悪行を犯してきた彼が、自分の愛する者以外の総てを軽々と切り捨てた彼が、何故悪と呼ぶ私に語りかけ、何故そんな、今にも泣きそうな顔をするのだろうか?

 

そして何故私は、そんな彼を見て心が痛むのだろう。

 

 

「やっぱりなァ神裂...みーんな救うなんてのは無理なんだよ。俺はお前みたいに、千も百も救おうとなんてした事は無ェ。俺はいつから頭がぶっ壊れたのか、身近な人間が死んでも哀しいとか全然思わない性分でな」

 

「っ......」

 

「友人が死んだ時、俺は何も思わなかった。松本人志の曲で笑えるくらいの余裕があった。葬式が終わったらあくびが出た。まあ、そういう事さ。だから俺は愛する者にのみ感情を向けて生きて来たんだがな、そこで気付いたんだ」

 

 

 

 

「不思議な事だよな。守るために殺したら、更に殺す数が増えるんだ」

 

 

 

そうか。

 

 

わかった。

分かった。

解った。

判った。

 

 

でも。

 

 

 

「....認めない....私のしてきた事は、無駄なんかじゃない!」

 

 

 

彼が言いたい事はわかる。

 

もしかしたら正しい事なのかもしれない。

 

でも、それでも認めない。

 

認めたくない。

 

 

だって

 

それを認めてしまったら

 

 

 

「私が今まで殺してきた人はッ......」

 

 

 

『意味』が無くなってしまう。

 

彼等を、彼女等を殺してきた意味が!!

 

 

 

「.....はぁ......」

 

 

 

何故だ。

 

何故溜息をつく。

 

何故そんな顔をする。

 

 

彼が口を開く。

 

 

「やっぱお前────」

 

 

やめろ

 

 

聞きたくない

 

 

「馬鹿だな」

 

 

 

ぶちり

 

 

 

と、私の中でナニカが切れる音がした

 

 

 

「ッ黙れぇぇぇえええええ!!!!」

 

 

 

気がつけば、私はただがむしゃらに彼へ突貫していた。

当然、返り討ちにあう。

 

それでもすぐに立ち上がり、拳を突き出す。

 

 

 

「ちゃんと気付いてンなら否定すんなよ」

 

 

また、投げ飛ばされる。

 

あの頃の様に。

 

 

「千も百も救おうとしたら万失うのがオチなんだよ」

 

 

黙れ

 

 

「色んな事情があってもよ、結局自分から人を助ける要素には『自分』が付くもんさ」

 

 

煩い

 

 

「自分の愛する者、自分の家族、自分の友人自分の知り合い自分のお眼鏡に叶う『自分が助けようと思う』人間!!」

 

 

黙れ

 

 

「無差別に救う?救われぬ者にのみ差し伸べる救いの手?それは『自分が』救って心地の良い境遇の人間を選別する決まり文句に過ぎねェンだよ!!!!」

 

 

私は変わったんだ

 

 

「お前は腹を空かせた子供のために狩りをする狼と!そんな狼に食べられそうな兎!どっちを助ける?!それが自然の摂理だと言って兎をそのまま放っておくか?!おかないだろうな!!お前は!兎は弱き者だと言って狼を飢え死にさせる!何せ、お前の言う救われぬ者ってのは『自分が救って心地の良い境遇を持っていると判断した』人間だもんなァァ!!!!」

 

 

 

あの頃とは違う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの頃』って?

 

 

 

 

 

 

 

 

変わったって、何が?

 

 

 

心の中の自分が、小さく呟いた。

 

 

その声はとても小さく、しかし全身に突き刺さる。

 

 

 

 

煩い

 

 

自分に言い聞かせる。

 

 

 

黙れ

 

 

 

自分を無理矢理抑え込む。

 

 

 

 

 

黙れ

 

 

 

 

 

黙れ

 

 

 

 

黙れ

 

 

 

 

黙れ

 

 

 

 

黙れ

 

 

 

 

黙れ

 

 

 

 

 

 

 

 

「黙れぇぇぇええぇえええええぇぇぇええええええええええ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

「人が一番怒る時ってのは!」

 

 

 

伸ばした手は届く事なく

 

 

 

「本当の事言われた時が多いんだ!覚えときな!!」

 

 

 

手に握りしめていた筈の()()は、夢のあとの靄に過ぎなかった──────

 

 

 

 

 

 




今回は、作者の実体験と神裂視点、そして台本形式を外しての投稿でした。
台本形式と今回の...なんと言うか、鉤括弧の前に名前が付いてないやつではどちらが見易かったでしょうか?

感想、意見、お待ちしております。
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