とある魔術の原点越え R   作:会話5

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皆さんこんにちは。寝転んだままくしゃみをして肋骨にヒビが入った作者です。

二話を一話にまとめて投稿。かなり早めの決着となります。


仇討ち-決着へ

 

 

誰もいない筈の裏路地を、4人の少女達が走り抜ける。その誰もかれもが全身に臓物と血の臭いを纏った非一般人である。

 

 

「クソが...!なんだよ...なんなんだよあいつは?!!」

 

 

「わたしたちが逃げるしかないなんてありえない訳よ!!」

 

 

「ごめんねむぎの...役に立てなくって....」

 

 

「.....クソッ!!...絹旗...傷はどうだ」

 

 

「超...申し訳ありません麦野...。ただのガキだと、油断しすぎてました....まさか、右腕を持って行かれるとは.....」

 

 

後ろを走っている少女、絹旗最愛に目を向ける。

彼女の先が無くなった右肩を見て、麦野はぎりりと奥歯を噛んで、『クソッタレ』と洩らした。

 

 

麦野は心の中で先の出来事を思い返す。

麦野達『アイテム』は、自分たちの情報を聞きまわっている少年がいるとの報告を受け、その少年を始末しに出た。相手はLevel4。いつも通りのつまらない仕事。すぐに片付くかと思った。

 

だが、標的の少年は想像の遥か斜め上を行く強さだった。

 

 

滝壺の『能力追跡(AIMストーカー)』に異常数値を出させ。

 

窒素装甲(オフェンスアーマー)』を持つ絹旗の右腕を宙に舞わせ。

 

フレンダのミサイルをおうむ返しにして。

 

挙げ句の果てには麦野の超能力『原子崩し(メルトダウナー)』を完璧に躱して見せた。

 

 

「クソ....!!覚えてろ...間宮識城!お前はこの──」

 

 

その怨み込もりの意思表示を言い終わらないうちに、目の前で爆発が起こる。

 

砂塵が舞い上がり、細かいコンクリートの破片が辺りに飛び散る。

 

 

「て、テメェ....!!!」

 

 

「───言われなくても、忘れないさ」

 

 

未だ晴れない砂埃の中から聴こえてくる声は、紛れもなく自分達が必死に逃げているはずの敵...

 

 

「どうやって追ってきた!!」

 

 

『間宮識城』その本人であった。

 

 

「関係無いね。俺はお前らを殺す。ただそれだけだ」

 

 

「殺す?なんでだよ?正義の味方(ヒーロー)ごっこがしたい歳でもねえだろ?なんで私達を狙う?」

 

 

「....復讐さ」

 

 

「復讐?私達にかい?」

 

 

「あァそうさ。俺は........姉の仇を、取りに来たのさ」

 

 

「!!」

 

 

「手前ェらみたいな闇や殺しなんて、全く関係無い、ただの一般人だった姉を、お前らは殺した。いや、正確にはお前か...学園都市Level5序列第4位『原子崩し(メルトダウナー)』麦野沈理」

 

 

そう言って麦野を指差す識城の目は、これ以上に無い程の復讐の色に染まっていた。その目を見た麦野の顔は識城とは正反対に、嬉々に染まり始まる。

 

 

「...いい──ねェ...その反抗的な顔...ゾクゾクするよ」

 

 

「悪趣味だな」

 

 

「Level5だからねェ...ちと悪趣味なのは他も同じさ」

 

 

「....ンなこたァねェさ。あっくんも同じLevel5だが、お前ほどじゃあない」

 

「さっきから気になってたが、その『あっくん』とやらは誰なんだい?Level5と仲がいいなんて珍しい」

 

 

──珍しい。それは本心だった。Level5ともなれば、自然と周りの人間は離れていく。そんな中で、この少年は如何にも仲良さげに『あっくん』と口にする。

ハッタリかもしれないが、もし本当なら、そのLevel5と戦闘になった時に、人質として役に立つかもしれない。

 

───そう、思っていた

 

 

───だが

 

 

少年の口から出たのは、あまりにも意外すぎる人物の名だった───

 

 

「どうせここで殺すんだ...いいだろォ、教えてやる。あっくんってのァ、俺の大親友、俺が世界で最も愛する男!!Level5序列第1位『一方通行(アクセラレータ)』その人さ!」

 

 

「!?」

 

 

「一方通行だとォ?!」

 

 

「それって...結構ヤバい奴な訳じゃん...?」

 

 

 

─────一方通行

 

学園都市最強のLevel5

 

他の能力者とは全く次元の違う、比べるのすら馬鹿馬鹿しく思える程の、正真正銘の『化け物』────

 

そんな奴と親友?

 

わけがわからない

 

得体が知れない

 

底が知れない

 

 

彼女達は、目の前の少年がだれなのか、分からなくなっていた

 

 

「...さァ、話は終わりだ」

 

 

「ッ!!」

 

 

 

「精々憎たらしく死ねやクソ共ォォォォオオオ!!!!」

 

 

「舐めるなよクソ餓鬼ィィィイイ!!!!」

 

 

駆け出すのは同時だった

 

 

「ゼルダの伝説って知ってるかァ?!」

 

 

識城は『金属操作』で二本の鎖を作り出し『後ろ』に向けて先端を放った。

 

 

『金属操作』で速度が割増された鎖はコンクリートの壁に突き刺さり、識城の身体を簡単に持ち上げた

 

驚愕する麦野達を他所に、彼は行動を続行する。

ポケットから空き缶サイズの黒い筒を出し、それを地面に叩きつける。小さな破裂音と共に、周囲一帯に大量のアルミ箔が舞い上がる。

 

 

「チャフグレネード...殺傷能力は無いが、この能力(チカラ)があれば有効な攻撃方法になる!!」

 

瞬間、バラ撒かれたアルミ箔が小さな点程に圧縮される。

 

 

「『量子変速(シンクロトロン)』!!!」

 

 

識城が能力名を叫ぶと同時に、全ての点が大爆発を起こした

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ッ─ハァァアアアッ!!!!」

 

 

瓦礫の山を能力で吹き飛ばし、第4位『麦野沈理』が姿を現わす。服は所々破け、全身が粉まみれになっている。

 

その姿を興味無さげに見つめる識城。

 

 

「......必死に生きようとするなよ....普通の人間っぽくてツマラネェだろ」

 

 

「.....誰が、テメェなんぞに...!」

 

そう言って麦野は、鎖を手放し地面に降り立った識城を睨みつける。

 

しかしその足取りは覚束ない。『量子変速(シンクロトロン)』による爆発によりダメージを受けたのだろう。よく見れば、体のいたるところに血が滲んでいる。

 

そんな彼女を見た識城の目は、一瞬で嬉々炯々としたものに変わった。そして、右手に作り出した大剣を持ち、麦野沈利に近づいて行く。

 

そして、一気に走り出した識城は、既に満身創痍の麦野に向かって容赦無く右手の大剣を振るい、その右腕と右脚を根元から切断する。身体を支えるものが一気に二つもなくなり、地面に倒れる麦野。

 

 

「────っ!ぁ───っ──ひ─ぐ───!?」

 

 

その顔は苦痛に歪み、声は一瞬で枯れ果て、目は何かを探すかのように見開かれ、息をする度彼女の脳は尚一層痛みを斬り口に送り続ける。

 

 

「これで!これで...!!オシマイだァァァアアアアア!!!!」

 

 

地面に向けて突き下ろされた大剣は恐ろしい程正確に、確実に、痛みにのたうちまわる『人間』麦野沈理の腹部を捉え、深々と突き刺さった。

 

 

「──────!!!!!」

 

 

声でも文字でも表わす事の出来ない断末魔を上げる麦野。

 

目は大きく見開かれ、腹部に刺さった剣を残った左手で抑えながら、ごぼりと濃血を吐き出す。その光景を、ある者は絶望したかのような目で、またある者は恍惚とした表情で見つめていた。

 

識城がその手に持つ大剣を引き抜くと同時に、麦野の左手が崩れ堕ちる。シンとした空気の中、だたただ一人の青年だけが嗤い続けていた。

 

 

「....ふ、ふふふ、ふふ...ひひひ....やっと....やっとだ。やっと仇を討てた...あァ、姉さん...見ていてくれたかい?ここまで、本当に、本当に長い道のりだった....姉さんを生き返らせることは出来ないけど...せめて、せめて仇くらいは討ってやれたよ....」

 

 

と、様々な感情が入り混じった独り言を呻きながら空を見上げ嗤い続ける彼を、恨み半分恐怖半分で睨みつける少女が一人。

 

 

「......」

 

 

窒素装甲(オフェンスアーマー)』絹旗最愛である。

 

 

「あれ?生きてたのかい?でも、僕はもう君達とやり合うつもりはないよ」

 

 

口調の変わった識城の顔は、とても晴れやか。といった表情だった。目は輝きを失い、笑みは直視出来ないほどに歪で、誰が見ても、『どうかしている』ということが分かるほどだった。

 

 

「あ!」

 

 

「!!」

 

 

「そうだそうだ!忘れてたよ!」

 

 

突然ポンと手を打ち、嬉々とした表情で歩き出す。

 

 

「あの金髪の子はどこかな~?」

 

 

迎撃の構えをとる絹旗を他所に、何かを探し始める識城。

 

その探し物は───

 

 

「見っけ!」

 

「ひぃ?!」

 

 

金髪碧眼の、どこか西洋人形を彷彿とさせる少女───フレンダ=セイヴェルンだった

 

 

「あのね!さっきの能力ってなに?」

 

「ふぇ?」

 

 

先程の刺々しい雰囲気とは打って変わって、子供に喋り掛ける様な口調の識城に驚くフレンダだったが、それを無視して識城は喋り続ける

 

「やっぱりアポート?う~ん、けど、それだとわざわざスカートから出す必要が無いんだよねぇ....」

 

 

「ひ...や、ワタシ...は」

 

 

「どーでもいっか!聞かなくても『奪えば』いいんだし」

 

 

識城が手を伸ばそうとした瞬間、背後から即死級の一撃が繰り出されるが、それを躱して振り返る。

 

 

「させると思いますか?」

 

 

攻撃の主は『窒素装甲(オフェンスアーマー)』。随分とギラついた目をしているが、第4位に何か執着でもあったのだろうか。

 

 

「ん~?させるも何も、ただやるだけだし。それに身を以て知ったでしょ?僕の攻撃は....手前ェの防御を切り裂く」

 

 

急に声のトーンが低くなり、目つきが鋭くなる。識城が手をかざすと、コンクリートの地面から鎖が飛び出し、絹旗の四肢....否、三肢を拘束する。

 

 

「鎖の『縛る』という役割を『強化』したから。もう君は動けないよ」

 

 

「ッ!だから、私はテメェに勝てないって言ってンのかァ!?舐めてンじゃねェぞ!この三下がァァアアア!!!」

 

 

「あっくんの...モノマネか?」

 

 

「違ェよ!私は『暗闇の五月計画』の被験者!!能力強化の為に一方通行の演算パターンを植え付けられてンのさ!!!」

 

「なにそれ超怖~い」

 

「私のモノマネなンざしてンじゃあねェ!!」

 

 

「ははははは!怒りっぽいところもそっくりだ!」

 

 

心底愉快といった声を挙げる識城の態度に、絹旗の怒りは更にヒートアップしていく。

 

 

「ヘラヘラしやがって...テメェェ!ぶっ殺す!!」

 

「あーあ、怖い怖い。残念ながら、君にはそこで留まっててもらうよ。さ、本命本命っと」

 

急に冷めた顔になった識城は、絹旗に背を向け『本命』に向かって真っ直ぐ歩いて行く。

 

 

「な、ナニをするつもり?!」

 

 

「あァ...残念、俺、ロリコンじゃないんだわ」

 

 

どこかで、誰かがくしゃみをした気がした

 

 

「う~ん...変なの混じってたら面倒だし、Level4のアポートだけ選別して『奪わせてもらう』よ」

 

 

「やめ───」

 

 

「残念無念、また来世」

 

 

───某所、とある廃ビル

 

誰も居ない筈だった『裏側』に、少女の悲鳴が木霊する。これは、学園都市に潜む、 の崩壊音───

 

 

 




仮面ライダーチェイサー...うーん、なんだかなあ...。

次回、無事16歳となった主人公の話と設定です。
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