────
夢というものは、寝ている間に脳が記憶の処理整理をする時に見える断片的な映像だと言われている。しかし、大抵夢というものはあまりにも支離滅裂で筋が通っていなくて、まあとにかく滅茶苦茶なものが多い。
そういえば、学校で『友人』と夢について語った事があった。
◇◆◇
「.....なぁお前ら、正夢って信じるか?」
その日、4時間目の授業を終えた俺たち四人が屋上で弁当を食べていた時だ。上条の野郎が突然そんな事を言ってきた。当然、弁当の具を口に運ぶ俺を含めた3人の箸は止まる。
「どォした上条。連続の不幸が祟ってついに未来予知にまで手を出したか?」
「いや、そんなんじゃなくてな。結構真面目な話なんだ。」
「.....なんだよ」
「実は────」
上条の話を要約するとこうだ。
『なんか、この光景夢で見た気がする。』
真面目な話だというので全員黙って聞いていたが、全く大したことのない『既視感』と知り、それぞれが順番に意見を述べ始めた。
「上やん、それただのデジャヴュだと思うにゃー」
「そうだな。もし違けりゃ厨二病か....」
「わいはマミたんの意見に賛成やわ」
最早言いたい放題である。
「酷えなお前ら?!土御門はいいとして識城と青髪に至っては厨二病ってどういう了見だ?!」
「やかましいな、別に思った事を思った様に言っただけじゃねェか。それに、夢はただの予測と願望だ。それを無意識に選んだのはお前だ。ならこの光景は夢で見たんじゃなく、自分の
「うお....なんかすっげえカッコいい言葉で締めくくられた気がする....」
「まあ、俺も色々変な夢見る事なんぞいくらでもあるし気にすんな」
「お、おう」
──────
「シケた面しやがってよォ〜もうちょい再開を喜んでくれたっていーンじゃあねェのォ〜?いっつも俺だけ使わねーンだからちったぁ話してくれてもヨォ〜....」
ここは俺の夢の中。そしてこのペラペラと口の減らない奴は俺の人格の1人。なんと自分は、夢の中で自分と喋っている。
「何黙りこくってんだよォ?昔はよく喋っただろォ?
目の前で延々と喋り続ける
「その喋り方は俺の性には合わねえんだ。この夢での経験は大いに役立ったし、何度も命を救われた」
「うんうん」
「だが、それじゃあ教えを説く事が出来ねえ」
「......あ?」
「ワンマンで好き放題殺っていい状態ではなくなったのさ」
「五和か?!」
急に声を荒げる
「何だよ」
「お前....五和に惚れてんのか?」
「.............」
「.............」
「.............」
「ンな訳無えだろ」
「おい待て何だよ今の間は!!」
「離れろ.....!」
妙に食いついてくる
「テメェ!姉さんや一方通行を置いてナニ新しい女作ってんだ!!いくら自分でもブチ殺すぞ?!」
あーそうだった、コイツはちと
「やかましい!俺がゲイみてェな言い方すんな!つーか一方通行は音じゃねェ!」
「でも....!なら何で五和なんだ!五和は姉さんの代わりには──危ねェ?!」
ヒートアップした
「五和には『愛』がある。理由は不明だが確かに『愛』というものがある。だから俺は奴に刃を与えた。刃は扱いによっては自分を殺す。それは困るからな、俺は奴に刃の扱いを教えるつもりだ」
「....そうかよ...ならいいンだ」
「フン...で?もう一度聞くが、なんで俺はここにいる?ただ眠るだけじゃ
「ああそうだ。いくら長く寝ることが多くたって、普通に寝てりゃ
「何....?」
「簡単さ、お前は無理をし過ぎた。それだけだよ」
「.........」
なるほど、脳の負担を修復しようとする無意識の意識が、俺の身体と脳を深層心理の近くに届く程の眠りにつかせたのか。
「そういう事」
「......悪かったな、無理をさせて」
「いやいや、何言ってやがんだ。五和にも
「あ?そうだけど?」
「やっぱり。まあ、それでこそ俺だ。でもな」
「??」
「俺達の中にも、少なからず使用を控えてもらいたいヤツらもいる。特に『金属操作』を持ってる奴とかな」
そういや、『金属操作』の能力を保存した人格はずっと使いっぱなしだったな。
「いくら第4位をブチ殺した能力だからっつっても、お前は能力だけを引き出してるワケじゃねー事を思い出して、ちったあ考えてやれ」
「......」
「迷うな馬鹿」
「あ?」
「迷うな、俺はお前で、お前は俺達だろォが」
「......お前言ってる事矛盾し過ぎだっての。馬鹿はお前だ」
「ンなっ?!テメェこんのボケコラカスゥもう一回言ってみやがれ!!」
唐突に攻撃を仕掛けてくる
「それがお前の使用を控えたい一番の理由だよーだ!ぎゃヒャはははは!!」
瞬間、攻撃の密度が上がるが、それも右に左に身体を転がす事で避けきる。そして反撃。これをどれだけ続けたか分からなくなってきた頃に、やっと
「イロイロ溜まってて鈍ってんじゃねーかと思ったが、別にンなこともなかったみてーだな」
「まぁ、
「ふーん....お?そろそろ五和が俺が目覚めないのを心配&どさくさに紛れて人工呼吸始めようとしてる頃かな?」
「待て、何でそんな事がわかる」
「予測と願望だよ」
「......ッ?!そんな事....」
「嘘だバーカ....ギャハハハはっはァ!!!!!!!」
──────
私は五和。
そして、すぐそこのベットで眠り続けているのは私の愛する間宮さん。
私はドジをしてしまった間宮さんを連れてこの不思議な雰囲気の宿に入ったのだけど、そこはなんと連れ込み宿(今で言うラ◯ホテル)だったという。
まあ、おかげで設備
さっきの棒は間宮さんに投げ捨てられてしまったが、一体何だったんだろう。
いやいや、そんな事考えてる暇はない!今はそれより重大な事があるのだ!
「............」
間宮さんが一向に目覚める気配を見せないのだ。
どうしよう。
「..........触りたい」
いや、もう、なんか、触りたい。
いや、そういうやましい気持ちがある訳ではあるんだけど....。
「............もういいや、行っちゃえ」
忍び足で間宮さんの寝ているベットに近付く。,....起きないよね?
そして、そろりとベットの端に膝を乗せる。間宮さんが起きる様子はない。
そして、またがる。
きめの細かい白い肌。それと対照的な黒壇の様な、吸い込まれる様な、艶のある綺麗な真っ黒の髪に長いまつげ。少し薄めの唇。形の整った目。
もう、何も変わらない。昔とはもう変わってしまったと思ってたけど、全然変わってない。
「............可愛い......寝顔は......昔と一緒......」
サラリと、まぶたにかかった髪を払う。
「......」
段々、頭の中がぼうっとしてきた。
お腹の少し上の辺りがふわふわしてきた。
頬が暖かくなってきた。
どんどん込み上がってくるこの感情は──────
「..........凄い......触りたい........」
主に、唇辺りを中心に。
.....................
ゆっくり、間宮さんの無防備な顔に近付いていく。
そして、もう少しというところで─────
「......」
間宮さんが、目を開いた。
「.............」
「......ま、間宮さん...」
「.......正夢って、信じるか?」
「...はい?」
寝るの楽しいなー.....あははは.....