観測者が異世界に乱入したそうですよ?   作:ササミかつ

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YES!ウサギが呼びました!
異世界での個性的な自己紹介


『悩み多し少年少女に告げる。

 

その異才(ギフト)を試すことを望むのならば、

 

己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 

我らの"箱庭”に来られたし』

 

 

________

____________

_________________

 

 

「わっ」

 

「きゃ!」

 

「おおっ!」

 

 

急転直下とはまさにこのこと。

手紙を開けた直後、地上4,000メートル程に投げ出されたのだ。落下に伴う重力、風圧に苦しみながらも、四人は同等の感情を抱き、同様の言葉を口にした。

 

「ど………何処だここ!?」

 

眼前には見たことのない風景が。

視線の先に広がる地平線は、世界の果てを沸騰させる断崖絶壁。眼下には縮尺を間違うほどの巨大な天幕に覆われた未知の都市。

 

 

彼らの前に広がる世界は_________完全無欠に異世界だった

 

 

いや、何処、と言うよりもここが手紙に書いてあった"我らが箱庭"なのだろう。

アイツから話は聞いていたが………

 

 

「ククククッ、これは想像以上だ!」

 

 

語られる話は御伽噺のようで、アイツにとってそれが過去の懐かしむことであっても俺にとっては滑稽な夢物語でしかなかった。が、だがどうだ!?目の前に広がる世界は!呼び出した瞬間ここが異世界だと知らしめるために上空に放り出した、この世界の住人は!?

期待してもいいかもしれない。長年願い続きてきた夢がかなう事を!

 

 

だが、まずは異世界に召還した挙句に問答無用で投げ出した馬鹿に挨拶しないとな_______。

 

 

 

 

 

 

ボチャン

 

 

 

 

 

幾つかの緩衝材のような水幕を通ったので勢いは落ちたもののびしょ濡れだ。

人間ではその程度で済むが、猫にはそうはいかないらしい。四人のうちの一人。髪の短い少女の猫であろう三毛猫が溺れそうになっているところを救出されている。

 

それを横目に千夜は陸に上がった。

他の二人もさっさと陸に上がって罵詈雑言を吐き捨てる。

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「同感」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出されたほうがまだ親切だ」

 

「………。いえ、石の中に呼び出されたら動けないでしょ?」

 

「俺は問題ない。」

 

「俺も問題は無いかなぁ」

 

「……そう。貴方たちに常識は通用しないのね。」

 

「失礼だねぇ。規格外なだけで常識は通用するさ。アイツがどうかは知らないけどね」

 

「あら。そこの"アイツ"は青筋立ててるけどいいのかしら?」

 

「まぁ。"アイツ"も何も言ってないからいいんじゃないか?あぁ、何時までも"アイツ"って呼ぶのもかわいそうだから自己紹介でもしようか?"アイツ"くん」

 

「そうね。何時までも"アイツ"呼ばわりはどうかと思うからいいんじゃないかしら。」

 

「テメェら……」

 

 

微妙にずれたかみ合ってない会話。目線だけの合図で互いの意図を理解し、ヘッドフォンの少年をからかいに入るいかにもお嬢様の雰囲気を醸し出す少女と千夜。静かに、だが確かに怒りの炎を燃やすヘッドフォンの少年。だが、それをあえて無視をして話を進めるお嬢様。そして、もう一人の少女は完全に傍観を決めている。

 

「で、貴方の名前は何かしら?」

 

「人に名前を聞くときは自分からって習わなかったか?」

 

「あら。それもそうね、正論だわ。_____私は久遠飛鳥。そこの猫を抱きかかえている貴方は?」

 

「………春日部耀。」

 

「そう。よろしく、春日部さん。で、野蛮で凶暴そうな貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま、野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗悪で凶悪で快楽主義と三拍子そろったダメ人間なので、用法と用量を守った上で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけお嬢様。」

 

「………」

 

 

(逆廻 十六夜?)

 

ひっそりと眉を顰める千夜。珍しい名前だ。絶対に漢字変換なんかで出なさそうな。………じゃなくて、コイツは本当に逆廻十六夜(・・・・・)なのか?本人は嘘をついていない。なら………誰かが"親"から貰った名をすり替えた?

 

 

「で?そこのお前は誰なんだ?」

 

「ん、ああ。俺のことか……。

俺は不知火千夜。そこの十六夜と違って普通で平凡で凡人な只の、とは言わないが人間だ。

宜しくしてくれや。」

 

 

仰々しく恭しい礼をし、ニコリと微笑む。

 

 

「……貴方の方が信用できそうだわ。よろしく、不知火君」

 

「そりゃねぇだろ、お嬢様。

ま、いつかこの礼はきっちり返すけどな、千夜」

 

「………。」

 

 

心からケラケラ笑う逆廻十六夜。

 

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

 

我関せず無関心を装う春日部耀。

 

難しい顔をしながら黙り込んだ不知火千夜。

 

 

 

そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。

 

(うわぁ。………なんか問題児ばっかりみたいですねぇ………。じゃなくて!!招待状は三枚しか送っていないはず!あと一人の殿様方は誰なのでしょう。)と。

 

 

 

 

 




主人公の不知火 千夜(しらぬい せんや)君
男です
飄々としてるけど、ちょっぴり悲しい子

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