観測者が異世界に乱入したそうですよ?   作:ササミかつ

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ようこそ『箱庭』の世界へ!

「まず間違いないだろうけど、一応確認しておくぞ。

もしかしてお前たちにも変な手紙は?」

 

「そうよ。」

 

「ああ。」

 

こくり、と耀が頷くことで十六夜の質問を肯定する。あれは明らかに人外からの贈り物だったが、呼び出されたというのに一向に四人が呼び出した本人が姿を見せようとしない。呼び出されたまま何のアクションもないということは、このまま自由行動に移ってもいいのだろうか?それとも、物陰に隠れて姿を見せない主催者を待ったほうがいいのか?………神力を持ったダレからしいが、まだ全然磨き足りないな。と言うことは、若いのか?

 

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれてた箱にはとかいうモノについて説明する人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうだな。とりあえず世界の果てっぽいところに行きたいかな、俺は」

 

「それいいな!行こうぜ千夜!!」

 

 

上空で見た世界の果て……、を思わせる断崖絶壁。

大きな川が流れていたが、絶壁から落ちた水は何処に行っているのだろう。そもそも、ならこの世界には海が無いのか?ならば、流れる水は何処から湧いているのだろうか。世界が違うということは土地の……世界の巡廻の仕方も違うのか。あの、断崖絶壁から落ちたら今度こそ俺は死ねる(・・・)のか?

 

 

「なんでこの状況で落ち着いていていられるの……。」

 

「この状況に対して落ち着きすぎもどうかと思うけど……。」

 

「……。それは貴方もでしょう?春日部さん」

 

「うん」

 

 

(まったくです)

 

心の中で突っ込みを入れるのは黒ウサギ

問題児の前に姿を現す勇気がなく出方をうかがっている小心者だ

 

(まぁ、悩んでいても仕方がないのデス。これ以上不満が噴出する前に腹をくくりますか)

 

 

 

 

 

「__________________しかたねぇな。こうなったらそこに隠れている奴にでも聞くか?」

 

 

 

十六夜が、ちらりと物陰を見ながら言った。

ドキリッ、と驚きと焦りの色が目に映った(・・・・・)

四人の眼が物陰の黒ウサギに集まる。

 

 

「なんだ。貴方も気づいていたの?」

 

「当然、かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの二人も気づいてたんだろ?」

 

「まぁね」

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる。」

 

「………へぇ。面白いなお前。」

 

 

軽薄そうに笑ってはいるが視線が黒ウサギから離れる事もなく、なによりも目が全く笑っていない。千夜を除く三人は殺気のこもった目線を黒ウサギに向ける。三人から向けられる重圧に黒ウサギはややひるむ。

 

 

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいな鋭い目つきで見られると黒ウサギは死んでしまいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵であります。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じて此処は穏便にお話を聞いてくれたらうれしいでございますョ?」

 

 

「断る」

 

「却下」

 

「ヤダ」

 

「無理」

 

 

「あはは、取りつくシマもないですね♪」

 

 

バンザーイと降参のポーズをとりながらも黒ウサギは冷戦に四人を値踏みする。

 

(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝気は買いです。まぁ、扱いにくいのは難点ですが………。)

 

黒ウサギは冷静に四人にどう接するべきかを思考する。そんな黒ウサギを見て一歩一歩と千夜は黒ウサギに近づい

ていく。

自分の名前を黒ウサギと言った少女。先ほど感じた通り神力を持っているらしい。歳は………見た目的には17辺りだろうが、言動から見てこれは当てにしないほうがいいかもしれない。俺と同じ部類か、あるいは……。それにしても扇姓情的なミニスカートとガーターソックスってコイツの趣味なのか?ミニスカートの限界領域のギリギリ加減が絶妙だな。その恰好が似合ってるのがなんとも…………。

 

 

横に立ち、黒いうさ耳を根っこから鷲掴み______________________

 

 

 

「えい!」

 

「フギャ!!」

 

 

どうやら春日部も同じことを考えていたみたいだ。

自分とは反対側のうさ耳を引っ張っている。

 

 

「ちょっと、お待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、初対面で遠慮無量に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはどういう了見ですか!!」

 

 

「「好奇心のなせる業」」

 

「自由にも程があります!」

 

「へぇ。このうさ耳って本物なのか?」

 

 

今度は十六夜が俺の方から引っ張る。

 

 

「じゃぁ、私も……。」

 

「ちょっと待___________________________!!」

 

 

今度は飛鳥と十六夜に両耳を引っ張られ黒ウサギは言葉にならない悲鳴を出しその絶叫は近隣に木霊した。

 

「(あ、ちゃんと神経通っているのか。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_________あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらいために小一時間も消費てしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス。___、そこ!抜け出そうとしないでください!!」

 

 

「チッ」

 

 

 

半場本気の涙を浮かべながらも、黒ウサギは話を聞いてもらえる状況を作ることに成功した。三人は黒ウサギの前の岸辺に座り込み、彼女の話を『聞くだけ聞こう』という程度には耳を傾けている。千夜は問題児(三人)の一番後ろに腕を組み機嫌悪そうに突っ立っている。

 

黒ウサギはゴホンと咳払いをし、両手を広げる。

 

「それではいいですか、御四人様。定例文で言いますよ?言いますよ?さあ、言います!ようこそ、"箱庭"へ!我々は御四人方にギフトを与えられた者だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

意気揚々と話すうさぎをみて内心溜息を吐く。

「(嘘つき)」

明らかに見え見えの嘘。だが、本当にここがアイツが言っていたような修羅神仏が集う箱庭の世界ならば彼女は"月のうさぎ"なのだろう。仏教説話『ジャータカ』を発端とした、今昔物語などでも伝わる有名な説。

月のウサギならば、慈悲で献身的、悪意で嘘をつくはずがない。ならば………。

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は皆、普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその"恩恵"を用いて競い合う為のゲーム。そして、この箱庭の世界には強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活する為に作られたステージなのでございますよ!」

 

両手を広げアピールする黒ウサギ。

明日香は質問する為挙手をした。

 

「まず、初歩的な質問からしていい?貴方の言う"我々"とは貴方を含めた誰かなの?」

 

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある"コミュニティ"に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

「却下」

 

「属していただきます!そして、『ギフトゲーム』の勝者は"主催者(ホスト)が提示した商品をゲットできるとってもシンプルな構成になっております」

 

「……"主催者"って誰?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すために試練と称して主催されたゲームもあれば、コミュニティの力を誇示する為に独自開催するグループもございます。特徴として、前者は自由参加が多いのですが"主催者"が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なだけあって命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。"主催者"次第なのですが新たな"恩恵"を手にすることも夢ではありません。

後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらすべてが"主催者"に寄贈されるシステムです」

 

「後者は結構俗物ね………チップは何を?」

 

「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間………そして、ギフトを掛け合う事も可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトをかけた戦いに負ければ当然_____ご自分の才能も失われるのであしからず」

 

 

黒ウサギは愛嬌たっぷりの笑顔に黒い影を見せる。

挑発ともとれるその笑顔に、同じく挑発的な声音で飛鳥が問う。

 

「そう。なら最後にもう一つだけ質問させてもらっていいかしら?」

 

「どうぞどうぞ♪」

 

「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOK!店街でも、商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加して言ってくださいな。」

 

「………つまり、『ギフトゲーム』とはこの世界の法そのものと考えていいのかしら?」

 

「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解の二割間違いです。我々の世界でも強盗は窃盗は禁止ですし金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞の輩は悉く処罰します____が、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!一方の勝者だけがすべてを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能と言うことですね」

 

「そう。中々野蛮ね」

 

「ごもっとも。しかし"主催者"はすべて自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めっからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」

 

黒ウサギは一通り話し終えたのか、一枚の封書を取り出した。

 

「さて、みなさんを紹介した黒ウサギにはすべての質問に答える義務が存在いたします。が、それらをすべてを語るのには少々時間がかかりすぎるでしょう。此処からは我らのコミュニティでお話をさせていただきたいのですが……よろしいです?」

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」

 

そこで、静聴していた十六夜が威圧的な声を上げて立つ。ずっと刻まれていた軽薄な笑顔がなくなっていることに気づいた黒ウサギは、構えるように聞き返した。

 

「………どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」

 

「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねぇんだ。世界のルールを変えようとすんのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねぇ。俺が聞きたいのは………たった一つ、手紙に書いてあったことだ。

 

視線を黒ウサギから外し、巨大な天幕に覆われた都市を見つめる。

彼は何も見下すような視線で一言、

 

 

「この世界は………面白いか?」

 

 

「________」

 

 

千夜も無言で黒ウサギを見つめる。

実際には手紙を出した本人ではない(・・・・・・・・・・・・)黒ウサギに聞くのはお門違いかもしれない。

しかし、十六夜の質問は聞くに足る言葉だった。

 

 

「_______YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

 

 

 

 

 

 




中々切れるところが見つからなく、長くなってしまいました。
てか、会話文多。

説明だらけだったから次回はキャラの個性を出したい。

7月20日誤字修正
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