東方 混純録〜月の希望の章〜illusion raid(イリュージョン レイド)   作:秘幻

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注意:この物語はフィクションです。また、一部の作品を除くコラボ作品との物語の関係は一切ありません。


プロローグ♢覆水盆に返らず

紫「私達、幻想郷に住む者全ては、これより、戦いに入ります。」

 

 

 

彼女のこの一言によって全てが始まった。

止めようにも止まることはない、どちらかが勝つまで……終わる事は無い戦いの火蓋が……。

やがて、この戦いの火の粉はこの世界からはみ出し、ありとあらゆる世界へと飛び火をしていった……。

 

 

 

▽△▽△▽△○△▽△▽△▽

 

 

 

暗樹の地……ここではその戦いの一部が始まっていたのだ。

二人が、ある一人の怪物の様な姿をした生き物と対峙している。

 

 

 

???「我の許可無しに最強を語る気か?」

 

 

 

一人の男が宙に浮きながらそう言う。

彼の名はバベル、神々の中でも強い力を持つ一人だ。

バベルがそう聞くと、怪物が話し始める。

 

 

 

『時代は変わる。お前は既に歴史の中の神だ。』

 

 

 

静かに話しているのに周りに響くその声は、まるで全てを受け入れているかのようだった。

 

 

 

バベル「歴史の中の神だと?我がそうならば……お前もまた、歴史の中の怪物だ。」

 

 

 

『俺は違う。誰にも止められはしない。永遠の闇(とわのやみ)だ。』

 

 

 

バベル「…………。」

 

 

 

バベルが黙ると二人の中の一人が話し始める。

 

 

 

???「うるせーな、俺はな、チマチマした奴は嫌いなんだよ。だから……」

 

 

 

そう言うとその男は刀を構えると怪物に向かって弾幕を放つ。

すると怪物はそれを手をそちらに向けて、人差し指を出す。すると飛んで来ていた弾幕が全て弾けて消えた。

 

 

 

バベル「止めておけ……リアとやら。お前の弾幕が奴に通用すると思うな。」

 

 

 

リア「あ!?あんなのチートだろーが!つーかあいつ歯茎むき出しで笑ってるのムカつくな!」

 

 

 

リアと呼ばれた彼は混沌の化け猫、紫色の髪に獣の耳が生えているのである。

彼の紅い目が怪物を睨む。

 

 

 

『どうした?通らないのだろう?新しいのを試してみろ』

 

 

 

怪物はむき出しの歯茎を見せながら笑う。

怪物の特徴はボロボロのローブの様なものを着ている。

むき出しの歯茎に、怪物の頭に皮膚と言うものは無く、顔は怪物の骨の真ん中にギョロリとした一つの目玉が怪しくグルグルと動く。

 

 

 

『持っている技が少ない奴には興味は無い。』

 

 

 

そう言うと怪物は人差し指をリアに向ける。

すると人差し指から閃光が走る。

 

 

 

リア「なっ!?」

 

 

 

人差し指から飛んで来た弾幕らしき物はまっすぐ、物凄い速さでリアの方へ飛んで行く。

リアはとっさに首を横にする、するとリアの横をヒュッっと言う風の切る音がなり、リアの頬に切り傷が出来たかと思うと、遥か後ろの地面が直径600㎞が蒸発する。

 

 

 

リア(避けるので精一杯だった!?)

 

 

 

リアは冷や汗をかく。

すると今度はバベルが無数の弾幕を放つ。

 

 

 

バベル「くだらん力などには限度がある。それを暴いてやろう。」

 

 

 

バベルが放った弾幕は細胞分裂かの様に増えていき、怪物の上空を弾幕で染める。

 

 

 

『何を言うかと思えば何とも古い言い訳だ。』

 

 

 

怪物は人差し指を今度は上に向けてまるで円を描くように動かすと、バベルの空を覆うほどの弾幕が全て爆発する。

 

 

 

『フッフッフッ……天下の邪神、バベル様もここまでか?』

 

 

 

バベル「一つ教えておこう、戦いとは、一つの事を見すぎていると……。」

 

 

 

『……なっ!?』

 

 

 

怪物は気づき、下を向く。

すると下から怪物を狙う光か3つ。

 

 

 

(まさか!?あの大掛かりな弾幕は!)

 

 

 

バベル「囮だ、戦いにおいては巨大なダメージよりも、確実に狙うダメージの方が大きい時がある。」

 

 

 

バベルがそう言い切ると怪物を中心に爆発する。

それを見て、バベルは鼻で笑う。

 

 

 

バベル「貴様の方こそ、ここまでの様だった……とは、流石にいかないか……。」

 

 

 

爆煙が晴れると、怪物はまだ笑っていた。

 

 

 

『実に良い誘導だ。だが、弾のスピードは遅いな。』

 

 

 

バベル「我にレクチャーするつもりか?」

 

 

 

表情に変化は無いが、バベルの殺気が増える。リアはバベル以上の殺気を放っていた。

 

 

 

『お前達が俺を邪魔をするのは俺が全てを無に返すのを恐れているからだろう?』

 

 

 

何故バベルとリアが戦っているかと言うと、奴が全てを無に返すのを阻止する為である。

 

 

 

『安心しろ、俺は絶対に全てを無に返す…………!これは?』

 

 

 

笑いながら言っていた怪物の足元に次元の狭間が現れ、怪物がその中に吸い込まれる。

 

 

 

バベル「……邪魔が、入った。」

 

 

 

▽△▽△○△▽△▽

 

 

 

『……何の真似だ?次元神なのか?』

 

 

 

ユグドラシル「私はユグドラシルと言うの。悪いけど、消えて貰うわ『暗黒』。全ての世界の為に。」

 

 

 

暗黒が連れ込まれたのはユグドラシルが作り出した次元。

ユグドラシルがそう言うと容赦無く攻撃する。

ユグドラシルの攻撃について行けずに暗黒は攻撃を全て受ける。

しかし……。

 

 

 

ユグドラシル「やっぱり、これじゃあダメージにならないか。」

 

 

 

ユグドラシルの攻撃……つまり、神の攻撃を受けたにも関わらず、暗黒はまだ笑っていたのだ。

 

 

 

『ユグドラシル……次元を作ると言う神か?まぁいい、殺らなければ殺られるに変わりは無い。』

 

 

 

そう言うと暗黒は動き出す。

ユグドラシルは躊躇い無く攻撃する。ユグドラシルの作り出した場所が弾幕で覆われていく。

 

 

 

『大した弾幕だ、避ける隙が無い。だが……。』

 

 

 

暗黒は歯茎むき出しの口を大きく開き、雄叫びをあげる。

すると空間が振動し、放たれた全て弾幕が消滅する。

 

 

 

ユグドラシル「……。」

 

 

 

『消してしまえば問題無い。』

 

 

 

暗黒はニヤリと笑う。

ユグドラシルは少し険しい顔をする。

 

 

 

『そして、お前も消してしまえば問題無い。』

 

 

 

すると暗黒の姿が消える。

 

 

 

ユグドラシル「……!」

 

 

 

ユグドラシルは手をクロスにする。

すると目の前に暗黒が現れ、暗黒の拳がユグドラシルの腕に当たり、風を巻き起こす。

 

 

 

ユグドラシル「グッ……。」

 

 

 

『虚しいな、己が作り出した次元を侵される気分はどうだ?干渉出来ないと踏んでいたようだが……その膨大すぎる力が凶と出たな。』

 

 

 

ユグドラシルの持つ力は膨大すぎる。

そこらのゴロツキが束になってかかっても指一本でねじ伏せられる程だ。

だが、その膨大な力が故、力が漏れることがある。例えるならば巨大なコップになみなみと入れた水だろう。その量は普通のコップよりも多い。

しかし、その為、揺らした際に少し水が溢れたりする。

暗黒はその溢れた水……力を見落とさず、それを逆手に取って使う事でユグドラシルの次元に干渉したのだ。

 

 

 

 

ユグドラシル「プライベートを侵された気分!」

 

 

 

そう言いながらユグドラシルは暗黒の顔面に拳をお見舞いする。

干渉とは言え、膨大な力で作られた次元をお溢れの力で制御するのは不可能だが、使い方によってはそのお溢れの力も侮れない力になる。

 

 

 

ユグドラシル(……まさか、能力制御されるとは。)

 

 

 

ユグドラシルは今、暗黒から力の軽減を受けている。

しかし、さっきも言った通りお溢れの力では完全に支配するのは無理だ。

ユグドラシルが力を使えなくなっているのと同じで、暗黒もまた、充分な力は出せない。

 

 

 

『フフフ……さぁ、ユグドラシル。止めてみろ。俺を描いた神はお前らを『殺す』つもりで俺を作ったぞ。』

 

 

 

ユグドラシル「……馬鹿にされたモノね!」

 

 

 

そう言うとユグドラシルは暗黒に向かって飛んで行く。

暗黒もニヤリと笑うと向かって来るユグドラシルを待ち構える。

 

 

 

『さぁ!さぁさぁさぁ!!』

 

 

 

ユグドラシルの蹴りが暗黒の顔に飛ぶが、暗黒はそれを腕で受け止める。そして、ユグドラシルの足を弾くと拳をユグドラシルの溝に向けて振る。

 

 

 

ユグドラシル「当たるか!そんな物が!」

 

 

 

ユグドラシルは暗黒を蹴る事で暗黒から距離を取り、暗黒の拳を避けるが……。

 

 

 

『good night。』

 

 

 

ユグドラシル「なっ!?」

 

 

 

暗黒は力制御をされている筈なのに、手のひらからビームを放った。

 

 

 

▽△▽△○△▽△▽

 

 

 

ユグドラシル「………………。」

 

 

 

ユグドラシルと暗黒との長き戦いが終わり、二人は無縁塚にいた。

とは言っても、戦況は良くなかった。

 

 

 

『残念だったなユグドラシル。ボコボコになった気分はどうだ?』

 

 

 

ユグドラシルは息を少し荒くし、あちこちボロボロになりながら地面に座っていた。

あの後、暗黒は弾幕を使ったのだ。

力制御で出せないと踏んでいたユグドラシルはまんまと食らってしまった。暗黒は力制御をちょくちょくと消す事で、弾幕を出せるタイミングを作っていたのだ。

 

 

 

ユグドラシル(……ばら撒いてる力があれば……。)

 

 

 

ユグドラシルは暗黒の手下が他の世界へ漏れ出さないように境界のあちこちに力を分散させていた。その為、力が充分に発揮する事が出来なかったのだ。

 

 

 

『例えお前が充分な力を取り戻せなかったからと言っても、勝ちは勝ちだ。』

 

 

 

暗黒のギョロギョロとした目が座っているユグドラシルを見下ろす。

ユグドラシルは「フッ」っと笑う。

 

 

 

ユグドラシル「そうね、勝ちは勝ちね。所で貴方は何に『恐れている』の?」

 

 

 

『……!』

 

 

 

暗黒の笑っていた口元が弱まる。

 

 

 

ユグドラシル「貴方は何か……いや、誰かを探しに来たのでしょ?」

 

 

 

『……そうだ、では聞こう。』

 

 

 

そう言うと暗黒の目がユグドラシルの顔に近づく。

 

 

 

『俺は『木野 智里』と言う男を探している。隠さずに全て話せ。』

 

 

 

ユグドラシル「……残念だけど知らないわ。その男は強いの?」

 

 

 

『いや、弱い。俺が潰しに行けば瞬時に片付く。』

 

 

 

ユグドラシル「なら何故、彼を恐れるのかしら?」

 

 

 

ユグドラシルがそう聞くと暗黒はニイッっと笑う。

 

 

 

『俺を消す者を言い当てる占いに奴の名が出た。』

 

 

 

ユグドラシルの表情が変わる。

 

 

 

『世界は広い、例え小さなカビも放っておけば広がって行く。奴はそれと同じだろう。』

 

 

 

ユグドラシル「つまり、彼があなたを消すと?」

 

 

 

『そういう事だ。さらに力をつける前に奴を消す。勿論……』

 

 

 

そう言うと暗黒はユグドラシルに手のひらを向ける。するとそこから、紫色の光を放つ玉が作られる。

 

 

 

『お前もな。』

 

 

 

ユグドラシル「邪魔者は容赦しないと?」

 

 

 

『そうだ。』

 

 

 

暗黒がそう言った後、ユグドラシルは静かになる。それを諦めと受け取った暗黒は笑みを浮かべ、手のひらをから玉を放とうとしたその時……。

 

 

 

??「どけぇぇぇぇ!!」

 

 

 

『んん!?』

 

 

玉を放とうとしていた暗黒の腕が斬撃によって吹き飛ぶ。暗黒の目は斬撃を放った人物を見た時には既にその人物はユグドラシルを救出していた。

 

 

 

神人「悪いな暗黒とやら、ユグドラシルは返して貰うぞ。」

 

 

 

『……貴様、面白い奴だ。』

 

 

 

神人(……まるで怪物だな……。)

 

 

 

神人は暗黒の顔を軽く頭の中で馬鹿にする。

だが、数多くの修羅場をくぐり抜けて来た神人には分かっていた。

 

 

 

こいつは危険だ…………と。

 

 

 

神人が暗黒と睨み合いをしていると、ユグドラシルが神人に言う。

 

 

 

ユグドラシル「神人、ここから脱出して。暗黒の届かない所へ。」

 

 

 

神人「わ、分かった。」

 

 

 

『逃がすとでも思ったか?』

 

 

 

ユグドラシルを抱えて飛ぼうとした神人は暗黒の威嚇弾幕によって動けなくなる。

 

 

 

神人「グッ!豊魅!!」

 

 

 

神人がそう叫ぶと暗黒の上に無数の弾幕が降り注ぐ。

 

 

 

『……!?コレは!?』

 

 

 

豊魅「悪いのう暗黒、今日はお暇させて貰うぞ。」

 

 

 

『鬼灯 豊魅……鬼の分際で邪魔をするのか?』

 

 

 

神人が呼ぶと何処から現れたのか、豊魅が参戦して来る。

鬼灯 豊魅(ほおずき とよみ)、鬼の中でも力を持つ鬼の一人だ。

 

 

 

 

豊魅「残念じゃが……今回はただの陽動なんじゃの……。」

 

 

 

『陽動だと?一体何を…………!』

 

 

 

そう言いかけた所で暗黒は気づく。

既にこの場にいるのは豊魅だけで、神人も、ユグドラシルもいなくなっていた。

 

 

 

『……ほぅ……。そういう事か。で、お前はここで死ぬ気か?』

 

 

 

暗黒がそう言うと、豊魅は笑う。

 

 

 

豊魅「残念じゃが、おさらばさせて貰うのでな!」

 

 

 

そう言うと豊魅を中心に爆煙が起きる。

暗黒が爆煙を風で払った時には既に豊魅はいなかった。

 

 

 

『……フッ、まぁいい。木野 智里さえ殺せば済む話だ。』

 

 

 

暗黒の声が、誰もいない場所に、静かに響いた。

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