東方 混純録〜月の希望の章〜illusion raid(イリュージョン レイド)   作:秘幻

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第5話《集まり始める闇》

想鵐「……本当に行くのか?」

 

 

 

夜明け、智里は想鵐とテュワナに見送られていた。

智里はしばらく幻想郷側の陣営の中にいたが、このままでは自分の呪いが解ける前にやられてしまうと思い、思い切って自分で戦いに出る事にしたのだ。

 

 

 

智里「あぁ、想鵐はそこに残ってた方が良い。現状で下手に動く理由はお前には無いだろ?」

 

 

 

想鵐「……。」

 

 

 

確かにそうである。智里には問題があり、それを解決する為に動くが、想鵐には元の世界に戻る為の方法を探すと言う目的がある。ここで下手に個人で動くよりも幻想郷側で何か手ががりを見つけた方が効率的だろう。

智里を助けたい気持ちも山々だが、あまり人数が多いと動けない可能性などが見えてくるのである。

 

 

 

想鵐「……そうか、処で……。」

 

 

 

想鵐はそう言いながら智里の横を見る。

智里の横では暗黒兵の女が智里の手に繋がれた首輪の鎖を壊そうと必死になってる。

 

 

 

想鵐「この先大丈夫か?心配なんだが……。」

 

 

 

???「外せ!何でお前に飼われてるんだ私は!」

 

 

 

智里「知るか!起きたらこうなってたんだから仕方ねーだろーが!」

 

 

 

朝、智里が目を覚ました時手首に異変を感じ、自分の手首を見るとよく分からない輪っかが付けられていた。

何事かと輪っかに付いている鎖を目で辿ると、暗黒兵の女の首に繋がっていたのである。

 

 

 

智里「もしかして想鵐、お前のせい?」

 

 

 

想鵐「そんな訳無いだろ?」

 

 

 

智里「じゃあ誰が付けたんだ?」

 

 

 

智里がそう聞くと、想鵐は頬をポリポリとかき、言いにくそうに言う。

 

 

 

想鵐「……エメラードが付けてった。」

 

 

 

智里(あのカマキリ野郎!!)

 

 

 

智里の脳内では、こちらを向いて親指を立てているエメラードの姿が浮かぶ。

 

 

 

智里「あいつ呼んでくれないか?シバくから。」

 

 

 

想鵐「あ、無理だね。」

 

 

 

智里「は!?なんで!?」

 

 

 

想鵐「今日、智里よりも早く起きて『あいつに見つかる前にオサラバだ、あーっはっはっは!』って。」

 

 

 

智里「とことんムカつく野郎だな!!」

 

 

 

智里は地団駄を踏みながらそう言う。完全にあいつの戦略勝ちである。

智里はこの暗黒兵の女を連れて行くとは言ったが、こうしろとは一言も言ってはいない。

 

 

 

智里「あの野郎、次会ったら覚えてろよ……。」

 

 

 

想鵐「あ、それとそのリード(鎖)貸してくれたのは咲夜だった。」

 

 

 

智里「何で関係ない奴が首突っ込んでるの!?」

 

 

 

想鵐「エメラードが使い用途説明したら快く貸してくれた。」

 

 

 

智里「昨日はパンチラでシバく奴とシバかれてる奴の関係だったのに人を弄るとなった瞬間に共犯かよこの野郎!!」

 

 

 

智里は「ハァ」とため息をつく。

隣の女は相変わらず外せと言ってくるし……頭痛い。

 

 

 

テュワナ「飼い慣らせば……ちょろい。」

 

 

 

智里「それ、状況悪化してるだろーが。」

 

 

 

▽△▽△○△▽△▽

 

 

 

想鵐達と別れ、しばらく歩くこと2時間、最初いた場所は何とも無かったが、歩いて行くうちに気温が下がり、ついには雪が降り始めてきた。

 

 

 

智里「どうなってんだ?まだ歩いて2時間ちょいだろ?」

 

 

 

智里が疑問に思っていると後ろから声が聞こえてくる。

 

 

 

???「幻想郷の民のくせにここの事も知らないの?」

 

 

 

智里「幻想郷の民って言っても俺は外の住民だからな……。」

 

 

 

???「……外?」

 

 

 

智里「あ、いや……気にするな。」

 

 

 

そう言いながら歩いて行くと智里の右目が反応する。

数は……恐らく20近くはいる。

マズイな……。俺は何ともないがこっちの女は命がかかってる。部下に見つかるだけでもアウトかどうかは分からないが、合わせない方が良いのだろう。

 

 

 

智里「お前のお仲間さんが20ちょいいるな……。どうするか……。」

 

 

 

???「倒せるの?」

 

 

 

智里「最低限、無力化は出来るな。だが……」

 

 

 

そう言いながら智里は雪が積もり始めた地面で何か探し始める。

ここらは村があったのか、あちこちに残骸が転がっている。そんな中で智里は何かの大きな布切れを見つけると暗黒兵の女と自分にそれを被せる。

 

 

 

???「やり過ごそうってつもり?」

 

 

 

智里「あぁ、この状態で戦うのは厳しい。」

 

 

 

???「じゃあこれ外せば良いじゃない。」

 

 

 

暗黒兵の女は鎖を持ちながらそう言う。

 

 

 

智里「……外せてたらもう外してるよ。」

 

 

 

???「……へ?」

 

 

 

智里「知らないんだよ、これの外し方。」

 

 

 

???「……ちょっと!どうするのよ!!」

 

 

 

智里「だから俺はあのカマキリ野郎をシバきたかったんだよ!」

 

 

 

暗黒兵の女が半泣きで訴えかけていると右目の反応が大きくなる。俺らは息を潜める。するとガシャン、ガシャンとまるでロボットの足音の様なものが幾つも聞こえてくる。

智里は隠れている布から少しだけ顔を出して辺りを見る。するとその音の持ち主が向こう側の丘から現れた。

まさにロボットと言って良いだろう。体長2mはある巨人ロボットが数体現れる。かなり高度な技術が使われているらしく、複雑な作りになっていた。

 

 

 

智里(デカ!?何なんだありゃ?)

 

 

 

???(……あれは……月にいたクレビアス艦隊の兵士?何故ここに?)

 

 

 

智里(クレビアス……?何だそれ?)

 

 

 

???(あいつら『甲機』と呼ばれる機械人達の戦艦の事よ。)

 

 

 

女性の説明曰く、クレビアス艦隊と呼ばれる宇宙戦艦隊が月周辺にいて、一度ここに攻めて来た事があったが艦隊の司令、ベルギアスが戦死した為、今は動きを見せていなかったと言う。

 

 

 

智里(司令官が戦死したのに動いてるって事は新しい司令でも来たのか?)

 

 

 

???(知らないわよ、私はあそこの兵士じゃないし。むしろ嫌いよ!)

 

 

 

智里(……嫌い?)

 

 

 

???(あいつらは気が荒いのよ。)

 

 

 

智里(あぁ、なるほど。)

 

 

 

そうヒソヒソ言い合っていた次の瞬間、一体の甲機の頭に何かが着弾し、ズシンと音を立てながら倒れる。

 

 

 

智里「……!?何が起きた?」

 

 

 

智里は何が起きたのか知ろうと周りを見る。

すると、甲機達がある一点に手を武器に変換し、集中砲火していた。どうやら攻撃を受けているらしい。

しめた、この隙に逃げようと思い、足を動かすがそれと同時に被っていた布が風に飛ばされる。

 

 

 

智里「しまった!」

 

 

 

しかも、何とも運が悪いのだろう。丁度布が飛ばされ、姿が丸見えな所を見られた。

 

 

 

智里「走れ!!」

 

 

 

???「え!?ちょっと!」

 

 

 

迷っている暇も無く、智里は暗黒兵の女の手を掴むと走り出す。

雪が積もっているせいで走りにくい。しかし、向こうも雪で足が取られているのか、走ってくるのも遅いし、安定しない足場からの射撃のせいか、甲機達の弾丸(ビーム弾みたいに見えるが……)は大きく的を外す。その為、智里達が走っていく横や前後で地面が土を巻き上げながら爆ぜる。

 

 

 

智里「クソ!何なんだよ!!」

 

 

 

智里はチラリと後ろを振り返る。

すると追ってきていた甲機が数発攻撃を受けて倒れこむ。そして、ついに甲機に攻撃をしていた人物の顔を拝む事になった。

 

 

 

夜月「助太刀する。」

 

 

 

智里「……!?何者だ?」

 

 

 

夜月「何者……か、そうだなぁ……。」

 

 

 

目の前の男は首を傾げながらウンウンと唸っていた。

すると、さっき倒した筈の甲機が起き上がる。

 

 

 

智里「ヤバッ!?」

 

 

 

夜月「鎖こっちに出せ!今外す!妹紅!!援護!」

 

 

 

夜月がそう言うと、甲機に炎の弾幕が降り注ぐ。

甲機が燃えて慌てている間に妹紅は夜月の近くに来る。

 

 

 

妹紅「おい夜月!本当にそれ外せられるのか?」

 

 

 

夜月「出来ない事を言ったりはしない。」

 

 

 

夜月は持っていた刀を勢い良く振り下ろし、鎖を千切る。

 

 

 

妹紅「良し!残党の甲機を破壊する!手伝え!!」

 

 

 

夜月「了解。」

 

 

 

妹紅と夜月はそう言うと再び甲機に向かって走っていく。

暗黒兵の女は千切れた鎖をしばらく見つめた後、フッっと笑い、勝ち誇ったように言う。

 

 

 

???「残念だったわね、これで逃げられるわ。」

 

 

 

目の前の男はきっとまた私を捕らえようとするだろう。しかし、男の口から出た言葉は暗黒兵の女の予想を大きく外していた。

 

 

 

智里「逃げろ!ここは危険だ。」

 

 

 

そう言いながら智里は刀を持ち、低い体勢で動こうとする所を暗黒兵の女は止める。

 

 

 

???「何言ってるの?私が逃げるんだよ?いいの?」

 

 

 

捕虜がこんな事を聞く事ではないとは分かっていたが、どうしても気になってしまった。コイツの行動が訳分からなすぎる。

 

 

 

智里「……俺について来ている以上、お前の安全は俺が守らなきゃならないからだ。」

 

 

 

???「……そう言う命令なの?」

 

 

 

そう言うと、少し黙った後、首だけこちらに向けて言う。

 

 

 

智里「(マイルール)だ。」

 

 

 

そう言うと智里は走り去っていく。

取り残された暗黒兵の女はポツリと呟いた。

 

 

 

???「……何が(マイルール)よ。」

 

 

 

▽△▽△▽△○△▽△▽△▽

 

 

 

残党とは言え、地球レベルから見てもオーバーテクノロジーな甲機を相手するのは楽では無い。

 

 

 

夜月「斬符『クロスブレード』!」

 

 

 

夜月から放たれた弾幕は甲機達のあちこちに当たり、爆発する。

妹紅の方も、部下何人かと応戦している。

しかし……ここには驚いた。仲が悪かった筈の者や会う事の無い者全員が一致団結している。総大将に霊夢がいるのが影響しているのか……?

そんな事を考えながら次の甲機に攻撃を仕掛けようとした時、誰かが甲機の目を刀で破壊し、夜月の横に降り立つ。

 

 

 

智里「弱点とか無いのか?」

 

 

 

夜月「……分からない。だが、知らないからと言って勝てない相手ではないだろう。」

 

 

 

智里「そうか、なら……。」

 

 

 

片目を潰され、暴れていた甲機は二人を見つけるとその大きな手のひらを二人に向けて振り下ろす。

それを二人は避けるとお互い、甲機を挟み撃ちする様にサイドから斬る。

しかし、誤算が生じた。夜月がさっきまで戦っていた甲機達は斬れば確実なダメージを与える事が出来た。だが、この甲機はどうやら装甲が硬く、刃が通らない。

 

 

 

『貴様らのチンケな攻撃が効くと思うな!』

 

 

 

そう言うと甲機は二人をラリアットで吹き飛ばす。

 

 

 

???「……あいつら……どうするつもりよ?」

 

 

 

そう言いながら暗黒兵の女は物陰から様子を見ていた。そして、暗黒兵の女はもう一つ、ある事を見てしまった。それは……。

 

 

 

ズドォォォン!!

 

 

 

智里・夜月「「……!?」」

 

 

 

二人が巻き上げられた土を見る。するとそこからもう一体の甲機が現れる。しかも、今までの奴とは何かが違う。

 

 

 

『待たせたな、貴様ら!この俺、ベルギアス様は復活した!!』





……最近スランプ(?)に近い状態に入っています。しかも、それに追撃するかのような生活の変化…………。

本当に申し訳がないです!(>人<;)
できる限りは早く出していく予定ですが……また、かなり遅れるかもしれません…………。
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