東方 混純録〜月の希望の章〜illusion raid(イリュージョン レイド)   作:秘幻

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第7話《変化との戦い》

智里と夜月は現れた一体の甲機を見る。

体格や姿は他とあまり変わらない。変わるとすれば目が一つで槍のような物を持っている事だろう。

 

 

 

智里「さっきまであんなやついたか?」

 

 

 

夜月「いや、いなかったな。恐らく援軍か何かだ。」

 

 

 

すると、ベルギアスと名乗った甲機の出現に辺りの甲機達が雄叫びを上げる。暗黒兵の女はありえない物を見るようにベルギアスを見ていた。

 

 

 

『さぁ!再誕祭と行こうか!!』

 

 

 

そう言うとベルギアスの姿が視界がボヤけたと同時にいなくなる。智里と夜月は慌てて辺りを見渡す。

すると、妹紅の部下の数人が爆発により吹き飛ぶ。そちらを確認した時には反対側の味方が吹き飛ばされる。

 

 

 

夜月「どうなってる!?」

 

 

 

智里「まさか、ワープの類か?」

 

 

 

ワープの類の能力なら今の攻撃も頷ける。しかし、そうとなればあの甲機は厄介な敵である。夜月は弾幕を周りに張るが、当たる気配は無い。

 

 

 

『貴様ら全員地獄に落としてやる!!』

 

 

 

そう聞こえたと同時に夜月と智里は何かで殴られたかのような感触と共に吹き飛び、地面に倒れる。

 

 

 

智里(どうする……?このままじゃやられるのがオチだ。)

 

 

 

智里は必死になって頭をフル回転させる。

敵は最初よりは減ったものの……このまま戦ってもただ消耗戦に持ち込まれて終わりだ。

すると、いきなり自分の体が宙に浮く感覚に陥る。実際には担がれていることを知る。

 

 

 

智里「……はい!?」

 

 

 

横を見ると夜月も同じことになっていた。

すると、自分達を担いでいる人物の声が聞こえる。

 

 

 

祭「時間がないから単刀直入に言うよ。今から逃げるから。」

 

 

 

智里・夜月「……はい?」

 

 

 

二人はいきなり言われたことに動揺する。だが、祭は淡々と言う。

 

 

 

祭「いや、だから逃げるんだよ。」

 

 

 

夜月「……お前は?」

 

 

 

夜月がそう聞くと祭は走りながら答える。

 

 

 

祭「祭だ。安心しろ。幻想郷側だ。」

 

 

 

智里「お、おう。」

 

 

 

いきなりの仲間に驚いていたが、夜月はある事に気付く。

 

 

 

夜月「しまった!妹紅!!」

 

 

 

夜月は祭の肩から飛び降りると再び戦闘に戻っていく。

祭はそんな夜月を追うかどうか悩んでいたが、再び智里を担いで走り出す。

 

 

 

智里「……これ外から見たらカッコ悪いよな?」

 

 

 

祭「安心してくれ、お前の勇姿は知ってるから。」

 

 

 

智里はそうブツブツという。男子ならカッコよくいたいと言う欲望が出てしまう。

だが、次の瞬間、智里も祭の肩から飛び降りる事になる。

 

 

 

智里「……!あいつ、なにやって……!?」

 

 

 

智里は自分の視界に暗黒兵の女が分かれた場所にまだいた事を見つけ、呆れたがその近くに甲機が二体現れたのに焦りを感じる。

すると、祭が反論する。

 

 

 

祭「……一人であの二体を相手するのはキツイぞ?」

 

 

 

智里「だからって置いてくわけにはいかないだろ!?」

 

 

 

祭「……敵なのにか?」

 

 

 

智里「それは…………っ!」

 

 

 

確かに祭の言う事も一理ある。あの女は敵の兵士だ。もし助けに行って自分だけが怪我するならまだしも……今は祭もいる。それに、下手に戦えば周りの幻想郷軍を巻き込むかもしれない。

分かってる。だが、それでも…………。

 

 

 

智里「『後悔したくないんだ』。頼む、行かせてくれ……。」

 

 

 

祭の顔を見てそう言う。

祭は少しの間無言で智里の顔を見た後、フッっと笑うと髪の色が金色に変わり、鬼の角のようなものが生えてくる。

 

 

 

祭「誰が行くなって言った?俺も混ぜろって事だ。」

 

 

 

祭は獣のような瞳で智里を見ながらそう言う。そして「それに……」と言葉を続ける。

 

 

 

祭「さっきすっ飛んで行っちまった奴もどうにかしなきゃいけないしな。面倒事は嫌いなんだが……今回はそうもいかないしな!」

 

 

 

智里はそれを聞くとニッっと笑う。

 

 

 

智里「助かる!」

 

 

 

そう言うと二人は暗黒兵の女の所まで走っていく。

 

 

 

智里「だけど、どうやって事を収拾する気だ?」

 

 

 

智里は走りながら祭に聞く。周りに戦火が広がっている、行動の間違えが死を呼ぶ可能性は大だ。

 

 

 

祭「まずあの犬耳(?)の女を回収したらさっきの奴だ。とは言え、相手はベルギアス率いる軍団、絶対計画通りにはいかないだろう。その時は……」

 

 

 

智里「その時は……?」

 

 

 

祭「自分を信じろ!以上だ。来るぞ!!」

 

 

 

目の前から甲機が一体、こちらに向かって撃ってくる。

智里はそれを避けるが、祭は高くジャンプする。

 

 

 

祭「うらあぁぁぁ!!」

 

 

 

祭はそこから甲機の脳天にかかと落としを落とす。甲機は祭の力に負けて顔から地面にズズン!と衝突する。

走っていた智里は倒れた甲機を足場にして高飛びする。

 

 

 

智里( 流石鬼(?)。鉄に躊躇いなくかかと落としか……。)

 

 

 

祭の力には驚かされるが……このままでいる訳にはいかない。

智里は高飛びした所から目の前に現れたもう一体の甲機に斬りかかる。

 

 

 

智里「邪魔だぁぁぁ!!」

 

 

 

思いっきり刀を甲機の首元の横に振り、甲機を押し倒す。すると、離れの場所にいた他の甲機が気づき、こちらに攻撃を始めてくる。

甲機から放たれた銃弾が着地した智里を狙い、智里の周りの地面を抉る。

 

 

 

智里「グッ……!」

 

 

 

これでは迂闊に近づけない!

すると、離れから撃っていた甲機の一体の首が吹き飛ぶ。

 

 

 

祭「モタモタするな!急げぇ!!」

 

 

 

智里「助かる!!」

 

 

 

祭が離れの敵を攻撃してくれている。今しかない。

智里は雪で滑りやすくなっている道を走っていく。女との距離は残り僅か。しかし、目の前に何かが雪と土を宙に吹き飛ばしながらワープしてくる。

 

 

 

『お遊びはここまでだ!!』

 

 

 

智里「チッ!!」

 

 

 

目の前に現れたベルギアスは智里に向かって槍を投げつけてくる。それをバックステップで避けるが、ベルギアスの槍は地面に刺さると同時に広範囲に衝撃を放った。

衝撃波に打たれた智里は吹き飛び、近くの家の残骸を破壊しながら衝突する。

ベルギアスは投げた槍を回収すると再び智里に向けて投げつける。投げられた槍は智里の衝突した家を丸ごと吹き飛ばす。

 

 

 

『フン、終わったな。』

 

 

 

そう呟き、槍を取りに来たベルギアスはある事に気づく。周りには濃い霧が何故か自分を中心として渦巻いている事だ。

そして次の瞬間、その霧が集まって一つになったかと思えば、人の形を形成し、ベルギアスの顔面を殴りつける。

ガン!と言う音を立ててベルギアスは倒れる。

 

 

 

『ウグゥ!?』

 

 

 

やがてその霧は誰かが分かるぐらいに固まり、原型を取り戻す。

 

 

 

 

智里「ハァ……ハァ……」

 

 

 

 

智里の能力の一つに、霧化である。対象が攻撃を受けた際に起こるらしい。

 

 

 

『このガキ!』

 

 

 

ベルギアスが槍を振り回す。それを智里は宙で避ける。

 

 

 

『何の為に戦う!!貴様は逃げれれば逃げれた筈だ。』

 

 

 

智里「……わからない!」

 

 

 

 

『……わからないだぁ!?ふざけているのか!』

 

 

 

ベルギアスは体を翻し、智里を蹴り飛ばす。智里はそのキックにより吹き飛び、地面に衝突する。

 

 

 

 

『生物が何かを守るのは己に利益がある時だけフグァ!?』

 

 

 

 

語っていたベルギアスがガキンと言う音を立てて宙に吹き飛び、地面に落ちる。

立ち上がろうとする所に智里の刀が振り下ろされ、それを避ける。

 

 

 

 

智里「違う!」

 

 

 

 

『違いはしない!貴様もそうだ!自分の為に戦っているのだろう!』

 

 

 

 

ベルギアスの振り下ろされる槍を刀で防ぐ。

 

 

 

 

智里「確かにそうだった……今までも……何処かで自分の為にとなる様な戦いをしてたかもしれない、だけど……!」

 

 

 

 

智里が顔を上げる。すると、眼帯をつけている方の目が眼帯越しに赤く光る。

 

 

 

 

智里「今だけははっきり言える!『誰かを救おうとしてる』と!!」

 

 

 

 

『ほざけ!!』

 

 

 

 

ベルギアスは距離を取り、槍を向ける。すると、槍の先から無数のビームらしきものが飛び出る。狙いは智里だが……。

 

 

 

 

智里「ウオオオオ!」

 

 

 

 

『血迷ったか?』

 

 

 

 

智里は構わず突っ込んでくる。ビームも智里との距離をグングンと短くしていく。しかし、ビームは突然、霧散した。

 

 

 

『……!?』

 

 

 

際「モタモタするな!打ち込めぇ!!」

 

 

 

ベルギアスが放ったビームは際によって消されていた。

 

 

 

 

智里「これで……終わりだぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

『……ぐっ!!』

 

 

 

智里は渾身の力を入れ、刀をベルギアスに振り下ろす。

すると、地面が揺れ、智里の振り下ろした刀を中心とした爆発により大量の土が宙へと出される。

 

 

 

際「……あれはまた……派手にやったなぁ。」

 

 

 

後ろで結果を見ていた際は智里の攻撃にポカンとしていた。




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