蒼き炎の龍刃師“ドラグーン”   作:猫神 イリヤ 弍

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しばらく休載していた、猫神 イリヤ弐です。

私情の方も片付きそうなので投稿を再開します。
今までより投稿の間があくとおもいますがよろしくお願いします。

それでは、第二章第二話『単眼の龍刃師②』をどうぞ。


II.単眼の龍刃師②

Ⅱ.単眼の龍刃師②

 

『ハハァァァァ!!?』

あれから時間が経ち夜になった。リリィが寝たのを確認すると、俺はみんなを呼び出しあの件について話した。まぁ、これが当然の反応である。なぜなら明日、俺とリリィはデートをするのだから。

「ちょ、ちょっと!何でよりによってリリちゃんなの!?」

澪が身を乗り出して、俺に聞いてくる。まぁ、嘘をつくことの程のものでもないから、俺は正直に言うことにした。

「今日な、リリィの顔を“近くで”見てふと思ったんだ。リリィ、髪で変に顔隠して下を向いてるだろ?だからさ、『下ばっかり向くな、前を見ろ、俺も手伝うから』って言ってやったんだ。ならリリィが『うん』って言うから、まず最初に何しようかな?って考えた結果、『俺とデートしよ!』ってなった訳」

「どういう訳よ!」

納得がいかないのか澪はさらに身を乗り出してそう言った。

「まぁまぁ、澪も落ち着いて」

澪の暴走を悠大がなんとか宥める中、カノンさんと雫の頭上にも『?』マークが浮かんでいた。

二人とも、何でリリィとデートをするのか不思議なのだろう。

澪を宥めてくれたのは良いのだけど、なぜか次は、悠大が暴走を始めた。

「で、どうするんだい?デートプラン」

悠大はノリノリでそう聞いてくる。

「それが、全然決まらなくて。俺も初デートなんだよ」

「だったら、僕に任せなさい。明日の朝までに完璧なデートプランを立ててあげるからな。ははははは」

暴走した悠大は澪を連れて、部屋に颯爽と戻っていった。

リビングに残った、俺、雫、カノンさんは、そんな悠大を口を開けて目で追いかけた。

なんて、スピード感のある人なんだろう。

リビングに残ったメンバーは、なんだか珍しい組み合わせになってしまった。いい機会かもしれない。

「あの、カノンさんって、リリィと長い付き合いなんですよね」

俺はカノンさんにそう聞いた。

「そうだが。五、六年一緒にいるからな」

カノンさんも当然のように答える。

「リリィって何色が好きなんですか?」

「なぜ、教えないといけないのです?」

カノンさんの無駄に口の硬い部分は、正直なところ、直して欲しい。

俺も負けじと、カノンさんに言い返した。

「良いですから!」

「あたしも気になります」

雫と俺は興味津々で、カノンさんに質問し続けた。

 

〜☆〜★〜☆〜

 

翌日、俺は早めに起きて部屋を出ると、リビングへ行った。

そこには悠大がいた。目が合うと悠大は「キマってるね、かっこいいぜ」何て言ってきた。

「おはよう、悠大。まだ何も、キマッてないけどね」

「おう、おはよう、薫くん。でさでさ」

悠大が、タッタッタ、と俺に近づいてきて耳打ちをした。

「デートプランできてるよ。二つあるんだけど、右と左どっちが良い?」

「え、じゃ、左で」

俺は何も考えずそう答えた。

「ふふふ、本当に左で良いのか?左手に持っているのは、大人なデートプランだぞ〜」

「じゃ、右で」

「左にしようよ〜」

「………………左で。三ヶ月くらい一緒に暮らしてるんだぞ?右を選ばせようとしているのが、バレバレだよ」

ササッ

ん?

俺は、悠大の手元をジト目で見る。

「な、何だい?」

「今、左と右のデートプラン、入れ替えたよね」

「………………ごめんなさい」

「素直でよろしい」

「だって、僕は薫くんに大人の男になって欲しくて」

「ならないよ!!」

「え………!?じ、じゃあ一生………………………チェリー君?」

「やめろーーーーーーーーー!!!!!?」

全力で抗ってやった。っていうか普通、朝っぱらから『チェリー君』とか言うか?言わねぇだろ!?

「ったく、朝からうるさいわね」

「ん?」

振り向くと、そこには不機嫌そうな澪がいた。澪は深くため息をつくと、トコトコ俺の前に歩いてきた。

『チェリー君』の部分、聞かれてないかな?

そう思いながら、澪に聞いた。

「おはよう、澪。いつからいたの?」

「ん?悠兄様が『かっこいいぜ』って、言ってた時から」

最初の最初からじゃねぇーーかーーーー!!!!?

「え?じゃあ、あ、アレは?聞いた?」

「大丈夫。薫が聞かれたくないようなものは、聞いてないつもりよ。“チェリー君”」

聞いてんじゃねぇーーかーーーーー!!!!!?

俺はそう叫んだ。もちろん心の中で。

「ゔぅ、くそ………」

澪は、俺にとどめを刺した。

「別にいいじゃん、チェリー君」

「やめろよーーーー!!!!」(本日二回目)

 

朝から体力を使ってしまった。

昨日は緊張で全然眠れなかったのに、朝にまた体力を使う俺って、自分で言うのもなんだが、正直かわいそう。

「薫、着替えた?」

「うん、着替えたよ」

俺はあの後部屋に戻り、澪のコーディネートした服に着替えていた。チェリーネタを引っ張られるのを心配していたが、意外と早めに飽きてくれたらしい。

部屋の扉を開き、澪と目があった。なぜか、澪は驚き顏をしている。

「ど、どうした?」

「………………」

口を開けて棒立ちしている。

「おーい、澪〜〜?」

澪の顔の前で手を振ってみるものの、なんの反応もない。なので、俺はここぞとばかりに顔を近づけ。

「おーーーーい!!」

叫んだ。そして目を瞑る。

いつもなら、そこでグーパンチが飛んでくるはずだが、なかなか痛みを感じない。ゆっくり目を開けると、真っ赤になった、澪の顔があった。

澪だって女の子なのだ。こんなに顔を近づけられると、さすがに恥じらいの方が大きいのだろう。

そう思った俺は、急いで顔を離し「ごめん」と、一言言った。

澪はさらに顔を赤く染めアタフタした後、深呼吸をして、バッ!っと顔を上げた。そして、ニヤリとした後言った。

「さっすが、アタシ!最高の出来だわ」

そう言うので、俺は自分の姿を再び見た。そして、思った事を口にする。

「デニムとTシャツに上着をうまく合わせただけだけどな」

「それで良いの。シンプル・イズ・ベスト!」

少し不機嫌そうに澪は言った。

 

〜☆〜★〜☆〜

 

凛花ブロック第四エリア、南駅ホーム前。

俺は今、そこでリリィを待っている。龍刃師になって、もうすぐ三ヶ月。制服を着ていないのに対し、結構、違和感がある。念の為と思いビルドRDGを持って行こうとしたのだが、澪たちに没収されてしまった。

「もうすぐ……だよな」

俺の手元の時計の針は、そろそろ十二時を指そうとしている。それが、約束の時間なのだが来る気配が一向にない。心配になってきてしまった。

《ヴァンドラ》のある第一エリアと、この第四エリアはそこまで離れていないため、そこまで時間がかかるものではないのだ。

でも、今日はデートだ。

心配でもこの場を離れるわけにはいかない。何かあれば、連絡をくれるはずだ。

 

「あの人まだいるよ」「捨てられたか?」「フフフフ」

まだか、リリィ?

あれからすでに一時間経過しようとしている。周りの人からは、馬鹿にされたような言葉をかけられて逆に困ってしまう。

いきなりデート誘った俺が悪いのかもしれない。帰った方がいいのだろうか?

そう思った時、通信機に連絡が入った。リリィからだ。俺は急いで出た。

「り、リリィ?俺だけど」

『あの、薫くん。どこにいるの?一時間、待っても来ないんだけど、どこにいるの?』

「え?いや、俺も駅前で一時間待ってるんだけど」

『アタシ、駅前の時計の所にいる』

「………俺も。もしかして」

俺は時計の柱の裏を覗き込んだ。

「………こんにちは、リリィ……」

「………薫くん、こんにちは」

そこにはリリィがいた。

俺たちは、お互いに背を向けあって一時間ほど立ち尽くしていたようだ。

恥ずかしいような、申し訳ないような、そんな気持ちでお互いにモジモジした末にリリィが声をかけてくれた。

「か………カノンちゃんが、このワンピース用意してくれたの」

リリィは漆黒の長髪によく似合う純白のワンピースを纏っていた。下を向く癖は仕方ないとして、とにかくその姿はーー。

「………うん。可愛いと思うよ」

「…………!?ほ、本当?」

「本当だよ、俺お世辞とか上手くないし」

「よかった………」

「じゃ、行こっか」

「う、うん」

 

一時間遅れで、俺とリリィの初デートはスタートした。

 

【まずは昼食だよね。腹が減っては戦はできぬ!】

雄大仕込みのデートプランの一つ目にはそう書いていた。実際お腹も空いてきたし、丁度いいだろう。

「リリィ、早速だけど昼食にしない?」

「そう、だね。お腹、空いたしね」

昨日カノンさんと話している時に、好きな食べ物を聞いたはずだ。えっと、確かーー。

「そば!よし、そばを食べに行こうか。リリィ、好きなんでしょ?」

「何で、知ってる?」

「フッフッフッ、内緒だ」

「教えてよ……」

「内緒だってば」

「薫くん、教えてってば………」

そんなやり取りを数回繰り返して、目的のそば屋へ着いた。

そば専門店か………、いい感じの店だな。

「あ、この間、来た、ところ」

「えっ……、うそ?」

ミスったーーーー!!

最悪なミスをしてしまった。最近来た場所を選ぶなんて、俺センスねぇ!

がくりを肩を落とし落ち込む俺に、リリィは「ここのそば屋さん、おいしんだよ?薫くんも、つれてきたかったから、丁度いい」と、優しく言ってくれました。

「あ、ありがとう」

俺は、慰められる自分が恥ずかしくなってしまい、俯いたまま、そう言った。

プランその一………失敗。

 

【ベタだけど、映画は外せないよねぇ】

なるほど、映画か………。

「り、リリィ?映画なんてどう?」

「映画……」

「いやいや、いやなら別にーー」

「良い……」

「え?」

「映画……良い、ね」

リリィの方は意外とノリノリだった。

リリィに楽しんでもらえるなら良いかな。

ここで壁にぶつかってしまった。

「これかな」

「これが良い」

意見が分かれてしまった。

俺はデートと言えば恋愛ジャンルの映画だろうと思い指差したのだが、リリィが指を指したのは。

「薫くん、この、ロボット……かっこいい」

ロボットバトル映画だった。

意外すぎる!!!!!?

今日の俺はリリィの意外な一面を見つけすぎている気がする。

二時間後。

「しゅ、主人公が、死んじゃった…………」

リリィは落ち込み気味で下を向き、そう言った。

 

プランその二……大失敗。

 

【謝辞】

………………………謝辞?

【ごめんなさい、薫くん。これは、今日この日の朝に書いています。昨日、大人なプランの考えすぎで、普通のプランを立てている途中に寝てしまいました。という訳で、後半戦は頑張ってください。テヘペロ☆】

「テヘペロじゃ、ネェヨーーーーー!!!?」

思わず叫んでしまった。

しかし仕方のないことだ。自分でプランを考えられなかったのは悪かったけど、さすがに立ててくれるといった張本人がそれを放置したのだから、怒って当然だ。

どうしたものか。

「リリィ、どこか行きたい場所ある?」

「え、あ、魚………見たい」

「うーん、じゃ水族館に行こうか?」

「うん。任せて、おいて」

………何を?

 

〜☆〜★〜☆〜

「ふぁ………魚が、生きてる」

リリィは元気に泳ぐ魚達を見て、そう口から漏らした。

八年前に海が真っ赤に染まり、海に生息する魚は全て死んだ。一匹たりとも残らずに。

しかし、この世界には世界中の海の生き物を保護している場所がある。それが、水族館だ。

《第二次龍人大戦》以降、水族館を始め、動物園や植物園、博物館も貴重なものとなった。

今では、青い海を取り戻す計画まで進んでいる。様々な命を預かる場所を守るのも龍刃師の仕事なのである。

「ねぇねぇ薫くん?」

「な、なに?」

「私たち、周りから見て、あんな、感じ?」

リリィが指を指した方向には、イチャイチャしているカップルがいた。

「いや、どちらかと言うと–––」

初デートに躓いて、気まずくなっているカップルのような。

「–––いや、なんでもない」

リリィが楽しんでくれているんだ。周りの目なんでどうでもいい。今のリリィは確かに今朝より明るくなっている。やっぱりデートに誘ってよかった。

デートから帰った時は、真剣に過去の克服に付き合おう。

そう思い、リリィに伝えようとした時だった。

ブレイカーが落ちたのか、明かりが一切消えた。

「薫くん!?」

「リリィ、大丈夫。そこから動かないで」

「うん」

【緊急事態です。館内に龍人と思われる者が出現しました。直ちに、非常口から館外へと出てください。繰り返します。館内に–––グシャッ!!】

緊急の放送が流れた。おそらく最後の鈍い音は放送室に龍人がいる証拠だろう。

辺りは混乱し、大騒ぎになっていた。

「薫くん………」

リリィが、そっと俺の手を握ってきた。

「リリィ、俺たちでなんとかするんだ」

なんとかするんだ。

 

考えろ–––!!!




えぇ、ご観覧ありがとうござます。

薫とリリィのデートの途中でまさかの龍人が現れてしまいました。
薫はなんとかしてこの場を乗り切るつもりのようですが、どんな手を使うのか、僕にも分かりません。
–––と言う訳で、その辺を考えながら次話の制作に入りたいと思います。

それでは、また今度。
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