蒼き炎の龍刃師“ドラグーン”   作:猫神 イリヤ 弍

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お久しぶりです。猫神 イリヤ 弐です。

申し訳ございませんでした。いろいろ、事情がありまして、かなり投稿が遅れました。
今後も、このような事があるかもしれませんが。よろしくお願いします。

では、第五話《龍刃師通学制度》をどうぞ。


Ⅴ.《龍刃師通学制度》

西暦二〇六四年–––異世界《アンリアル》–––

 

–––嗚呼。この世界の命は、なんと美味なのだろう–––

 

–––これだから止められない。この《銀の血》は–––

 

–––人間界の命は、どんな味なのだろうか–––

 

–––気になる–––

 

–––そうか。《アンリアル》と人間界の命を融合させよう–––

 

「ククク………………」

異世界《アンリアル》の王–––《ディバル》は、黒き城–––《ラグリンカル城》の屋根の上で静かな“嗤い”を溢した。それが何の“嗤い”なのかは、ディバルにしか分からない。ただ、ひたすら嗤いを溢し続けている。

嗤いが少し停止した後、ディバルはゆっくりと口を開き出した。

「我が名はディバル‼︎生死の狭間の世界…………《アンリアル》の王なり………‼︎憐れな猿共よ………龍の前に膝間付くといい……‼︎さぁ、楽しい遊戯“ショー”を始める‼︎」

 

 

–––ディバルのその叫び声は人間の心に作用し、人間を《アンリアル》の住民、龍人へと変化させた。これが、のちに《龍人化現象》と呼ばれるものである。

運命の歯車が音を立て出すのは、三〇〇年後の人間界である。

 

 

Ⅴ.《龍刃師通学制度》

 

西暦二三六四年 五月 十一日《ヴァンドラ》

 

俺と鏡音さんは何故か龍ヶ崎さんに呼び出され、《ヴァンドラ》の地下三九階の廊下を歩いている。俺が初めて《ヴァンドラ》に来た時以来だ。

「失礼します‼︎」

俺はそう言って組織長室の扉をくぐり、それに続いて、鏡音さんも扉をくぐった。

鏡音さんが扉をくぐったのを確認すると、龍ヶ崎さんは口を開き出した–––そして、閉じた。

正直–––何も言わんのかい‼︎–––とは思ったが、もちろん口には出さない。しかし、鏡音さんはすでに半分笑いかけている。ある意味勇者だ。

龍ヶ崎さんは、ノーリアクションの俺を見るとつまらなそうな顔をして、やっと話し出した。

「いきなりで済まなかった。君達二人を呼んだのは、新しく出来た《制度》の“テスト龍刃師”になってもらう為だ」

「テスト………龍刃師?あの龍ヶ崎さん、テスト龍刃師って何ですか?」

「そうか、薫君は分からないんだな。テスト龍刃師と言うのは、簡単に言えば実験体だよ」

俺は背筋を凍らせた。

–––実験体–––

「ナンカ、コワインデスケド………」

思わず言葉が片言になってしまった。しかし、怖いのだから仕方がない。

龍ヶ崎さんは、今度こそ俺の表情を見て“喜んでいた”。龍ヶ崎さんは笑いながら言う。

「すまない、言い過ぎた。そこまで硬くならなくても良いよ。今度は真面目に説明するね。テスト龍刃師と言うのは、ゲームで言う“テストプレイヤー”とほぼ同じものだ。つまり、君達には新しい《制度》のテストプレイヤーになってもらい“結果”を収集したいんだ」

「龍ヶ崎さんの言いたい事は、分かりました……や、やらせてください」

「あたしも、やらせてください」

俺と鏡音さんがそう言って軽く頭を下げると、龍ヶ崎さんは、口を開いた。

「君達にテストしてもらう新しい《制度》、それは………《龍刃師通学制度》と言う……」

聞くからに怪しいその制度は、学業課程を修了していない龍刃師達の為につくられた制度なのだと言う。

しかし、学業を行う事で龍刃師としての能力が低下してしまわないか。その結果を収集する為に、今回俺達がテスト龍刃師に立候補されたという訳だ。

翌朝、俺達が通う事になる高校へと向かった。

–––なのに–––

「何で、ここなんだよーーーー‼︎‼︎‼︎‼︎」

俺達の眼前にあるものが信じられなかった、同時に龍ヶ崎さんへの信頼度が減った。

俺達が通う事になった学校、それはなぜか“世界立凛花高等学校”だったからだ。

「だから、ギリギリまで教えてくれなかったのか……。仲の良い奴、ほぼいないのに………」

「まぁ、良いじゃないですか……。あたしは、中学三年で龍刃師になったので、制度のルールに従って高校一年生からなんですよ?もう、十七歳なのに……」

何が悲しくて二人で落ち込んでんだよ……。

俺達は、同時にそう思った。

「ま、まぁ、仕事ですから。行きましょうか、鏡音さん………」

「そうですね……。あっ、そう言えば組織長が、あたしの事は『雫』って呼べって言ってました」

「はぁ?」

「学校で『さん』付けはおかしいから、お互いに下の名前で呼べだそうです」

あの人は………。何を考えてるんだか。

「あのー、俺は良いんですけど、鏡音さんは良いんですか?」

「はい」

即答だった。というか、むしろ眼がキラキラしていた。逃げられなくなってしまった。

「…………分かりました、分かりましたよ……。し、し、しし………雫……」

「良いですねー、下の名前で呼び合うの‼︎あたし、下の名前で呼ばれたの初めてです、嬉しいです」

なるほど。かが……雫の眼がキラキラしていた理由がやっと分かった……。

俺はそう思い、ふと腕時計に眼を落とした。

「…………アァァァァアア‼︎‼︎‼︎‼︎か、鏡音さんヤバイです。時間が‼︎」

俺は雫にそう言うと思い切り走り出した。そしてその後を雫が、追いかけて来た。

「薫くん、待ってください–––。後、鏡音さんじゃなくて、雫ですから–––‼︎」

 

〜☆〜★〜☆〜

 

「何で、クラスまで前と同じなんだよ……」

「別に良いじゃないですか……あたしなんて……」

「あぁ、ごめんなさい」

「冗談ですよ。後、敬語は良いですから、本当に……」

「分かった。んじゃ俺は先に行くから」

俺はそう言って、教室の扉を開けた。そこでは、朝礼中だった。

「…………失礼しました〜〜」

俺が、教室から出ようとした瞬間–––

「こらー、薫‼︎‼︎お前は入学してすぐだと言うのに、一ヶ月間どこにいたんだ‼︎」

–––担任の《河村 学》に、叱られた。

俺は振り向き、雫を連れて教室に入った。そして、口を開いた。

「一ヶ月間、学校に来れずすみませんでした。実は………俺、龍刃師になりました……。あはは」

もちろん、この後、大騒ぎになってしまった。

「嘘をつくな‼︎」

先生はそう言ったが、俺はこう返す。

「嘘も何も、この制服を見たら分かりますよね?」

龍ヶ崎さんが言うには、学校付近で龍人が現れた時に備えて、龍刃師の制服で高校に行けとの事だった。まさか、こんなところで役に立つとは……。

「あー、そーだ。雫も挨拶しないと……」

「皆さん、初めまして。雫=ヴェル=鏡音と申します。今回、薫く……薫さんと“テスト龍刃師”としてやって来ました」

的確だ。素晴らしい挨拶だ。さすが雫だ。憧れるな。

俺が心の内でそう思っている時、このクラスの男子共は大騒ぎしていた。俺の時以上に………。

「ねぇねぇ、“雫ちゃん”……」

「あたしの事を、気軽に『雫』と呼ばないてください。“この学校”で薫くん以外に呼ばれる筋合いはありませんから………」

「何で暁月だけ……」

「あたしにとって、薫くんは大切な………」

えっ?もしかして–––いや、でもそんな事は。

「大切な、仲間ですから」

だよね。うん。なんとなく分かってた。

俺は若干落ち込みつつ、溜め息をついて口を開けた。

「って訳で……また、よろしく。あははー……」

「………………」(男子一同)

続いて雫が口を開けた。

「よろしくお願いします」

「よろしく‼︎‼︎‼︎‼︎♡♡」(男子一同)

こいつら………。

「ま、まぁ、これから学校でもよろしく……雫」

「よろしく、薫くん」

 

〜☆〜★〜☆〜

 

【カーーン カーーン】

 

放課後の鐘の音だ。

俺はその音を聞くと、サッと立ち、早歩きで階段を降り、一回の昇降口に向かった。そして、靴に履き替え、サッサと校舎から出た。

帰り道はいつも一……。

「薫くんまってください–––‼︎」

そう、帰り道はいつも一人“だった”。

今日からは、二人である。

「薫くん、何で先に行っちゃうんですか?」

「ごめん。考え事してた……」

俺は微妙な合間を作り、そして、言葉を続けた。

「なんか、不思議だよな……」

夕日に照らされた顔を覗き込ませ、雫は言った。

「何がですか?」

「俺たちが、こうして並んで歩いてる事だよ。ついこの間まで、名前とか顔も知らなかった俺たちが、こうして出逢えたんだ。運命って不思議だなって思うよ……」

「そーですね。でも、あたしは“不思議”より“嬉しい”の方が大きいですよ。龍刃師になったおかげで《ナイト・ロザリオ》と言う“家族”が出来た。それに、薫くんにも逢えました……。神様ありがとーっていつも思ってます」

「そっかー。そうだね。よし‼︎」

俺は、大きく息を吸い込むと口を大きく開け叫んだ。

「神様ありがとーーー‼︎‼︎俺、これから頑張るんで、見守っててくださーーい………‼︎‼︎ふぅ……これ、スッキリするね」

「薫くんすごいですね」

「何が??」

「だって、こんなところでそんな事言えるなんて。すごいと思いますよ」

まさか、と思い俺は辺りを見回した。

唖然とした。なぜなら、みんなの視線が俺に集まっていたからだ。

一気に俺の顔が赤く染まった。頭の上から湯気が見えそうな程に真っ赤になった。

「し、雫………カエロッカ……」

俺は下を向きながら、雫に言った。

「ふふふ……。そうですね、じゃあ帰りましょうか。我が家へ」

雫は、少し微笑みそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三〇〇年………あれから三〇〇年経った。そろそろだ……。バロン……行けるか?」

「はっ‼︎もちろんでごさいます。ディバル様‼︎」

「では、最初はお前に任せるぞ………“鬼人”使いのバロンよ‼︎‼︎」

「お任せください。この《“鬼人”使い》バロン、ディバル様のために“力”を振るわせていただきます‼︎」

「お前には、期待している………」

 

 

 




今回は短めのストーリーでしたが、とうとう二人が名前で呼び合うようになりました。
僕は、薫がボコボコにされないか心配ですw

次回は、薫の初陣になる予定ですので、ご観覧下さい。

それでは………。
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