蒼き炎の龍刃師“ドラグーン”   作:猫神 イリヤ 弍

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どーもです。猫神 イリヤ 弐です。

今回もまた、短めになりましたが許してください(T ^ T)

早速ですが、第七話『鬼の援軍《キル・パーティ》』をどーぞ。


VII.鬼の援軍《キル・パーティ》

VII.鬼の援軍《キル・パーティ》

 

side:雫

 

全く、組織長はいつもくだらない事であたしを呼び出す。いい加減にして欲しい。

組織長の呼び出しの要件は、自分の代わりに会議に出て欲しいとの事だった。その理由は、面倒くさいから、だそうだ。

「あーあ、薫くん一人で大丈夫かな?」

「どーしたの、雫ちゃん。薫君のことがそんなに心配かい?」

悠大さんが、意味ありげな表情でそう言ってきた。

「心配ですけど、何か?」

あたしは、本音を言ったまでだ。なのに、何でこの人はニヤニヤしているのだろうか。

「へぇ、そっかそっか。良い事聞いちやったなー」

「何がですか?」

「何でもないよ〜〜」

悠大さんは相変わらず元気な人で、今日はいつにも増して機嫌が良い。なぜだろう。

そんな事を考えていると、通信機に連絡が入った。

「はい。こちら、雫=ヴェル=鏡音です」

「おぉ、しーちゃん……‼︎僕だよ、ミミちゃんだよ。良い情報と悪い情報があるんだけど、どっちから聞きたい?」

通信機から聞こえるその声は、キーの高い女の子の声だった。

「ミミさんですか。いきなりで驚いてしまいました。では、良い情報をお願いします」

「“例の彼”が、《凛花ブロック第二エリア》の街中で戦ってるよ」

「………⁉︎」

あたしは、嫌な予感を感じて

「悪い情報は‼︎‼︎?」

と慌てて言った。

「彼が危ない………」

それを聞いた瞬間、あたしの意識は“ただ走る事”それだけに集中した。

 

〜☆〜★〜☆〜

 

side:薫

 

「……雫………。きて、くれ……」

来てくれ。来てくれ。来てくれ。来てくれ。来てくれ。

「……雫……、お願いだから–––」

助けてくれ‼︎

その時、俺の視界を黒い風が斬り裂いた。

この動きは………雫?

「薫くん、大丈夫ですか‼︎?」

「はは、なんとか……ね」

「薫くん、こいつ何?龍人“黒鬼型”にしては大きいみたいですけど」

「龍人“黒鬼型”なら、今の俺でも倒せたと思う。けど、そいつは龍人じゃないんだ………‼︎」

「龍人じゃない?」

「そいつは龍人じゃない、鬼人なんだ。鬼人“大黒型”なんだ……‼︎」

俺がそう言うと、雫の頭上には「?」マークが出たが、すぐに情報を把握したらしく、立ち上がった。

「薫くん、これを飲んでください」

雫は、そう言ってカプセル状の薬品を俺に渡した。

「これは?」

「それは《リフドキシンβ+02》。回復力を瞬時に高める薬……。薫くんも戦ってください‼︎」

「分かった」

俺はそう言って《リフドキシンβ+02》–––回復力即時上昇薬を、口に放り込んだ。

驚いた。みるみるうちに力が溢れてくる。

「いける。雫……ありがとう、行こう‼︎‼︎」

「うん‼︎」

俺たちは同時に走り出した。

side:雫

 

あたしは、ひとまず薫くんが無事だった事に安心した。

薫くんに《リフドキシンβ+02》を渡して、現在戦おうとしている訳だが、薫くんが言うには今回の敵は龍人ではないらしい。

確かに龍人“黒鬼型”に姿はそっくりなものの、体つきが全く違う。

見た所、大きさは龍人“黒鬼型”の三倍といったところだろう。侮る事は出来ない。

「はっ………‼︎‼︎」

あたしは、お腹の底から空気を無理矢理吐き出して、ゆったりと走り出した。

「雫‼︎‼︎そいつ速いから、そんなスピードじゃ勝てないよ‼︎」

「大丈夫ですよ」

あたしはそう言うと、さらにスピードを落とした。薫くんの心配は嬉しいのだが、これは鬼人“大黒型”の力を見るための作戦だ。

あたしがスピードを落としたのを見た“大黒型”は、案の定猛スピードで拳を振ってきた。予想以上の速さだった。あまりに速過ぎた。

あと数mmで、あたしの顔に直撃する–––。

 

side:薫

 

今のは、何だ?

まるで見えなかった。あのスピードは尋常じゃない。まさに、“光速だ”。

俺が今、何に驚いているのか。それは、鬼人“大黒型”の“音速”パンチではない。雫の光速ステップだ。

無駄な動きが全くなく、たったの二歩で“大黒型”の拳を躱して見せた。

あの距離から躱すのは、容易な事ではない。

「あはは、危なかったですね」

「雫が、見えなかった。ってか、あまり危ない事はしないでくれよ‼︎」

「ごめんなさい。でも、あたしなら勝てます」

雫は、自信ありげにそう言うと《第四フェーズ》を発動させた。何度見てもあの“赤い眼”には、慣れない。

雫の周りの空気が全て、眼に見えて逆回転する。白い靄がかかり、静寂が訪れる。もちろん“大黒型”には、待つなどの選択肢はない。

「ウグゥゥル‼︎」

“大黒型”は背中にかけていた巨大な金棒を、雫に向かって勢いよく振り下ろした。

しかし、今の雫は《第四フェーズ》に突入した最強の龍刃師。そんな攻撃は読んでいた。

「ふぅっ」

雫は一瞬で息を吐き出し、“大黒型”の背後に回り込んだ。そして、“大黒型”の大きな背中に、十発の突きを一瞬で入れた。

“風属性基本近距離スキル”–––《龍刃風ノ太刀》である。

“大黒型”は怒り出し、金棒を乱暴に振り出した。俺ではあの中に切り込む実力がない。しかし、雫はゆらりゆらりと風に身を任せるかのように暴れる金棒の間をすり抜けていった。そして完全に金棒を避け終わると、常人ではまずあり得ない高さまで一っ飛びした。雫は、その体勢を崩し“大黒型”を睨むとRDGの形を“変形”させた。

《第四フェーズ》になると、専用DGをカスタマイズする事が出来るので、戦闘中に変形させる事は容易い事なのだ。

雫は、RDGを《片手剣型》から《弓型》へと変形させた。そして、光の矢を“大黒型”に向かって、数発同時に撃ち放った。

雫の“オリジナル遠距離スキル”–––《煌時雨》“こうしぐれ”だ。

雫の放った《煌時雨》は、綺麗に円を描きながら“大黒型”を包み込んだ。

「薫くん、今です‼︎」

「うん。ハァァア‼︎‼︎」

俺は叫びながら、訓練用RDGを前に突き出した。すると、青光の刃は勢いよく伸びて“大黒型”の心臓部へと真っ直ぐに突き刺さった。

訓練中に雫からこっそり教えてもらった、俺の唯一の技“水属性基本中距離スキル”–––《龍刃水遁棒》である。

ネーミングセンスはないが、それと技の威力は関係ない。

「グルオォォォオ‼︎‼︎‼︎?」

雄叫びを上げて“大黒型”の影は消え、俺の初陣は終わった。

 

 

パチパチ、パチパチ、パチパチ。

 

小さな拍手が、ビルの影から聞こえた。

ついさっき俺の助けた金髪メガネの少女が、こちらへ歩きてきた。

「やぁ〜。さすがは、しーちゃんだね‼︎」

「あっ⁉︎ミミさん、そこにいたんですか⁉︎」

俺は、二人の声を眼で追いかけていた。

「あ、あのー。雫、知り合いなの?」

「もちろんですよ。薫くんは初めてでしたね」

背は少学生ほど、白い肌で整った子供な顔つきをしていて、艶やかな金髪ロングの下に白縁のメガネをしているこの少女は、かばんから取り出した白衣を着ると、俺に言った。

「やぁ、初めまして。暁月 薫くんだったね、話はしーちゃんから聞いてるよ。僕は《ヴァンドラ》で研究長を務める、《ミルラ=ミルビス》、『ミミさん』って呼びな。よろしく頼むよ‼︎」

「え、あ、はい……。って、え?けけけ、研究長⁉︎」

「二ヒィ」

ミミさん?は子供のように笑うと、さらに続けて言う。

「そ、訳があって若返ってるけど二六歳だ。悪いんだけど君の事は“かーくん”って呼ばせてもらうよ。早速だけど、かーくんには専用RDGを持たせようと思う」

「ミミさん、それは早すぎるのでは?」

そう言ったのは、雫である。まぁ、確かに早すぎるのは事実だ。

実際、専用DGは正式隊員になってから造られるものであり、それ相応に持ち主の実力がないと、専用DGの機能をほとんど使い切れないのだ。

しかし、ミミさんは言った。

「いや、かーくんの成長は遅くも早くも確実に伸びてる。多分だけど、少し先の未来にも期待できるはずだよ」

「なるほど……」

雫は少し唸りながら、頷いた。

「そ、それはつまり、僕の実力は地球一になる可能性が……」

と、俺が言いかけたところで

「ほぼゼロだよ」

「不可能に近いですね」

ダブルパンチを食らってしまった。

そろそろ、俺の心も折れてしまいそうだ。

「そこまで言わなくても、良いじゃないかー………」

俺が落ち込みつつもそう言うと、二人は口を揃えて「一〇〇%不可能って言ったわけじゃない」と言った。

嬉しいのか嬉しくないのか、正直分からない。

「かーくん、専用RDGを持つ覚悟があるかい?」

ミミさんが突然真剣な眼差しでそう聞いてきた。思わず口ごもってしまったが、心の中では決めていた–––。

「じゃあ、言い方を変えよう。かーくんは、困った人々を救う覚悟はあるかい?」

そんなものは、とっくの前に決まってる–––。

「もちろんです………」

俺は精一杯、真剣に答えた。いや、どこか当然のようも答えた。

俺の答えを聞いたミミさんは、ニコリと笑うと黒いケースを取り出し、俺の胸へと押し当てた。

「これは、僕からのプレゼントだよ。開けてみな」

俺はそのケースを手に取りボーッと眺めた後、腰を下ろして開けた。その中には、黒色基本のDG–––俺の専用RDGが入っていた。

「これが、俺の“専用RDG”………」

「あぁ、違う違う」

ミミさんがそう言った。一体何が違うのか、恐る恐る聞いてみた。

「えっ……と、何が違うんです、か?」

「だから、それは専用RDGじゃないって言ってるんだよ」

「………………?」

「良いかい、専用DGを造るにはそれ相応の龍刃師の情報が必要になるんだ。訓練生になってから数ヶ月のかーくんの能力情報は、まだ完全に集まってないから、専用DGはまだ造れない………」

「でも、俺は少しでも早く!」

「僕の話を最後まで聞きなって。今はまだ造れない。だから、今かーくんの持ってる“訓練生用ビルドRDG”を造ったんだよ。全ては集まってない、だから今あるだけの情報を使って、現段階で造れる最高のDGを造ったんだ」

「……そう、なんですか」

俺はそう言うとビルドRDGを起動させた。すると、青光の刃がグンと伸びて強い光を放った。俺はそれを確認すると、ビルドRDGを素振りした。俺の身体の一部のように感じた。振るたびに心臓の鼓動と同じリズムに近づいていて、よりビルドRDGとのリンクの強さを感じたところで、俺は納得してミミさんに礼を言った。

「ありがとうございます。助かりました」

「いやいや、助けてもらったのはこっちの方だよ、ありがと。借りは今度返すからね」

「はい」

「薫くん……」

突然、雫に話しかけられた。しかも、血相を変えて。

「何、雫?」

「いやな、気配がします。何だか、何かの大群のような………」

 

「グルオォォォ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

「オオオオオオォ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

かすかにそう聞こえた。俺も悪寒を感じた。いやな予感がプンプン匂っている。

俺は、背後に伸びていた電柱の天辺まで登り、あたりを見回し確認した。

「何だ………これは⁉︎」

俺の視界に入ったものそれは–––

《鬼の援軍》–––《キル・パーティ》。




今回は、新キャラの《ミルラ=ミルビス》こと、ミミさんが出てきました。今後深く関わるキャラクターの一人ですが、ここではあまり詳しい話は致しません。

まぁ、六話と八話の繋ぎの回だったので、まぁまぁな出来だったと思いますが、今後ともよろしくお願いします。

あの、今後の活動の為にコメントも必要になると思うので、お願いします。

それではまた………。
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