「いやーイヤー急に皆ばったり倒れましたなぁ(((‥ )( ‥)))
「流石に疲れた。うん疲れた」
時間にして一時間くらいか?それくらいずっと乱入で入ってくるやつをちぎっては投げちぎっては磨り潰してしてたら突入部隊がやってくれたみたいで全員急にその場に倒れた。
デュエルディスクに入っていたデッキからは光の粒子が次々と空に上がっていく。同時に倒れている人たちが付けていた白いローブが消えていく。
『間違いなくイズモが倒されたのだろう。力の中心だったイズモが超獣世界に戻ったからその力に引っ張られてこちらに来たクリーチャーたちも無効に強制的に戻されていくのだろう』
『目覚めた時には今回の事件に関することは全て忘れているようにこちらでも動こう。なに、我らゼニスに水属性と光属性、闇属性がその気になれば世界ひとつの記憶くらい造作もないさ』
さらっと怖いこと言ってるんじゃない。どうするの俺ら君らに攻められたら終わりって宣言されちゃったじゃん怖。
『そんなことはしない。そのために我らがいる、無効では弟の鬼丸率いるゴールデンエイジにカツドンたちチームエグザイル、ナイトにサムライまで全員でそういうのをさせないために動いている。それに我らのリーダーにその気がない。絶対にそうはならんさ』
まじか。そのリーダーさんの機嫌損ねないようにしないといけないな。それは別としてそのリーダーには是非お礼と感謝しないとな。なんたって俺たちのためにこんなにも協力してくた皆をこっちに送ってくれたんだ。それくらいはしないと。
『だそうだぞ?リーダー』
え?ボルシャックサン?
『ん・・・まぁ俺がそのリーダーなのだ。それに今回はこちらの不手際によるものだ。気にしないでくれ』
ア・・・ハイ!ワタシコレカラコウセイシテモットイイオトナニナリマス!!
『気を使わないでくれ!!大丈夫だ!!絶対に攻め込んだりしない!!いつもの主に戻ってくれ!!その方が俺も嬉しい!!』
「( ^ω^)おっ?兄ちゃんなしたし?おろおろしてるよ(・・?)」
「ナンデモナイデスヨ・・・・・ホントウニナンデモナイデスヨ?」
「( ´_ゝ`)フーンまぁ疲れたから今度聞き出すわ」
『彼女には見えていないのだな』
『そのようだ。彼女の近くにはまだ誰もついていないようだ。だが・・・・もしつくとしたらアイツだろうな』
『それは間違いない。あいつが彼女のような人間につかないわけがない』
怖いよ!!誰!?
『聞かないほうがいい』
『着いた時に諦めて聞くがよい。その方が愉快だ』
酷い!!
「せんせー!!私勝った!!!」
「・・・・俺も勝った」
元気に戻ってきたのはメイとケンシロウだ。二人共ケロっとして戻ってくると俺を見てこちらに駆け足でやってきた。可愛い奴らめ。お前らが癒しかも知れない。
「褒めてやれ、その二人は相当頑張ってたんだ」
「ホント、将来が怖いくらいにね」
二人に遅れてくるように石島と鏡原が歩いてきた。二人もさほど疲れていないようでその足取りは軽かった。
「おー頑張ったな!さすが俺の可愛い生徒たちだよ」
「やー!!褒められたよケンくん!!」
「・・・・当然」
ぷいっと顔をそらすが感情は隠せていないケンシロウ。子供特有の可愛らしさが俺の疲れを吹っ飛ばしてくれるよ。
「おー!!(^O^)/カワイコちゃんたち!!お姉ちゃんにも来てもいいのよ?(/ω・\)チラチラ」
「「・・・・・・・や!!」」
俺の縦にして後ろに隠れるようふたり。この純粋さはコイツにかなり効くんではないか?
「ガーン(゚д゚lll)アイエエエ!!?ナンデ!?」
「あんなのデュエルだけどデュエルじゃないもん!!」
「・・・・・やられたな泣くと思う・・・・俺」
ケンシロウ。俺も泣く。だから気にするな。でもメイ?お前もそのデュエルじゃないデュエルに片足突っ込んでるからね?できたらお兄さん的には反面教師にしてそうならないように育って欲しい。
「おーい!皆さん!!ご無事ですか!!」
続いてやってきたのは権現坂くんと勇雄くん。その大きな背中に勇雄くんを背負っている姿は兄弟に見えないこともない。
「おい権現坂降ろせ!いい加減自分で歩く!!」
「怪我をしているのだ!!この漢権現坂これくらいせねば気が収まらん!!」
「なら余計に降ろせ!!恥ずかしい!!!」
恥ずかしがる弟にお節介を焼く兄というのがぴったりなのではないかこの光景は
俺たちの所に来ると勇雄くんは無理やり背中から降りた。顔が真っ赤なところを見ると相当恥ずかしかったんだろう。
「そうだ皆さん聞いていただけるか!勇雄は敵のバラモンと名乗る将を見事討ち取ったのだ!」
「俺だけで倒したような言い方をするな馬鹿が!!お前だってともに戦っただろうが!」
「いいや!俺は足を引っ張っていた!助けてもらってばかりだった!己の未熟さがここまで顕著だとは思わなかったのだ!!」
「ちっ!!ならお前がいたから俺は戦えたとでも思っておけ!!雑魚が!!!」
「勇雄・・・!!!!漢権現坂!!今猛烈に感動しているぞォォおおお!!!!」
「引っ付くな!!!泣くな!!!あ!貴様俺で涙を拭くな!!!!!」
どうやらデュエル中にこの二人は二人なりの友情を築けた様だ。これならきっと未来でも勇雄くんはあんなドロドロした性格の青年には成長しないだろうな。俺も出来る限り見ていかないと。
「ってことはここにいない恵と雪乃と零児が親玉倒したのか?」
「恐らくそうだろうさ。このチャンピオン石島が信じたデュエリストだ。そうでなくては困る」
「何を言ってるんだか、さっきまでずっと『この程度では足りん!!足りんぞぉ!』なんて吠えて上に上がりたそうにしてたくせに」
「鏡原!それを言うんじゃない!!決まらんだろうが!!」
「でもチャンプずっと私たちのこと守ってくれてた!!!」
「・・・・かっこよかった」
子供達二人の好感度は右肩上がりのようだ。よかったなチャンピオン。
「・・・・・・・・私も・・・・・変なムキムキ倒してきた」
「おうっ!?びっくりしたぁ・・・恵か、お疲れ様」
「ん」
「「・・・・見えない(よ)?」」
下の子供達二人の目隠しをそっとした鏡原と呆れている石島。権現坂くんと勇雄くんはさっきのやり取りをまだやっているので気づいてない。
恵は俺の方にそっと頭を差し出していた。いや、うん。何をして欲しいかはわかるけどさ?そんな年じゃないじゃん?
「・・・・・・・・・・メイとケンシロウにはしてた。これは正当な報酬」
ぐいぐい近づいてくる恵。いや待て待て!!こういう時の望佳が一番やばいんだった!!そう思って望佳の方を見てみると
「ぐぅーぐーー( ‐ω‐)b」
某機械生命体の最後のシーンよろしく指を立てながら器用に寝てた。あれは多分マジで寝てる。じゃなかったら鼻ちょうちん出しながら寝るなんてしないはずだ。
となると・・・うん。さっきからすごくいい匂いがする恵に離れてもらうには撫でた方が住むのではないか?
「あら恵、一番の功労者を差し置いてそんなご褒美もらおうなんておこがましいんじゃないかしら?」
「・・・・・おかえり雪乃。けどタイミング悪い」
「戻ってきたら軽い修羅場になっているのだが?」
「おかえり零児、雪乃もお疲れ様」
「零児くんが先なのが納得いかないけどまぁいいわ。先生手、借りるわよ」
「は?ナンデ?」
気づけば許可出したわけではないのに勝手に空いていた右手を持ち上げて自分の胸元まで持っていきそのまま押し付けたではありませんか。
「・・・・・何してんの?え?お兄さん状況が読めないよ?」
手のひらに柔らかい感触がありますよ。絶対に動かさんぞ。動かしたら最後外堀を大人二人と社長に埋められてそのまま式場に送り込まれかねん!いや、嫌なわけじゃないよ?ただほら?年齢的にまだアウトじゃん?世間一般の終えもあるし。
「・・・・・策士。そうしれば良かった」
そう言って恵まで同じように手を勝手にとって頬ですりすりし始めた。え?なにこれ?これもある意味羞恥プレイなんですが?右はマシュマロ左はプリン。天国と牢獄が一緒にやってきてるんだけど。
「先生が童貞ならこのまま弄れたのに残念」
やっぱりそれ狙いか!けど俺は大人。顔が赤いのは突っ込まん。それくらいの紳士的対応はしてみせる。やわかいなぁ畜生。
「・・・・・雪乃。顔真っ赤」
「気のせいよ。疲れてるから赤いのよ」
さすが恵さん。躊躇いなく突っ込みましたね。余計に顔を赤くしてますね雪乃さん。
「それ以上に俺のSAN値ガリガリ削れてるんだけど?状況が読めないよ?俺鈍感じゃないけどごめんこの状況は理解できない」
「「疲れからくる唐突な行動(よ)もう少しこのままで」」
あっかーん。俺このままおまわりさんに見つかったらアウトじゃない?
「なんだ?生徒に手出しといて責任取らんのか浅原」
「ダウト!!洒落でもそれはいっしゃあかんぜチャンプ!!」
こいつ・・!!ニヤニヤして楽しんでやがる!!さては前に負けたことなんだかんだ気にしてやがるなこんちきしょう!!
「いい加減にしなさいよそこの女の子二人」
鏡原さん!アンタが今一番頼れるってわかった!ありがとう!このままなんとかして!!
「男の人を落とすならムードと時間で攻めなさい。こんなムードじゃ落ちるものも落ないわよ?」
「そうね・・・なら時間を改めましょうか」
「・・・・・・・同意」
先送りにされただけかもしれないけど助かったことに変わりなし!解放された両手だけど、さっきの感触と感覚がほんのり残っている。ぷにぷにだった。
「さて、黒幕はぶっ倒したんだろ?これでこの事件は解決か?」
「おそらくそうでしょう。彼らの話だとこれで全ては元に戻るはずです」
「彼ら?誰か協力者がいたのか?」
いかん忘れてた。俺と零児に雪乃の三人以外には超獣は見えていないんだった。
「あ、いえ、黒幕の人物が言っていたのです」
「それを信用したのか赤羽零児」
「ええ、私と藤原雪乃は常識では考えられない現象の元黒幕であった人物と戦いました。現状では彼らの言葉を信じ行動する以外には打つ手がないと判断します」
「それについては私も同意見よ。あの戦いは常識が一切通じないものだったわ」
黒幕、多分イズモと戦ったふたりの意見だ。多分信用してくれると思うんだけど。
「それについては俺と権現坂も同意だ」
「勝鬨くん?」
ようやくさっきのやり取りが終わったようで二人もこちらに来て話をしてくれた。敵将であり自らを神官バラモンと名乗ったそいつとのデュエルは普通ではなかったという。まるでダメージが現実化したようだった。精神を奪われるような奇妙な感覚はあったという。更にデュエル開始と同時に空間が崩れ去り宇宙空間のような場所でデュエルしたらしい。
これ間違いなくアニメのE3でデュエマしてた場所のことだよな。だとすれば負けたら下手すれば死んでしまっていたのかもしれない。
「それほど危険なデュエルをしたのか・・・・お前たちのような子供が」
「ふん、勝負に大人子供などない。そこにいるのはデュエリストのみだ。馬鹿にするな」
「馬鹿にしたわけではない。心配しただけだ。怪我はないのか?」
「この雑魚現坂は知らんが俺は梁山泊塾の塾生だ。この程度ケガとは言わない」
「言いたいことはあるがこの漢権現坂もかすり傷程度だ!」
「アホどもが。悪いが浅原。先に退散させてもらうぞ。この阿呆どもが隠してる怪我の処置をしてくる。何かあれば後日また呼べ」
「は・・・離せ!この程度で処置などいらん!」
「勝鬨よ。こういう時は好意に甘え恩を感じるのも漢には必要だと思うぞ。ではチャンプ!この権現坂!その好意を全力で受けさせて頂く!では浅原どの!また!!」
「いいから黙って来い」
石島が勇雄の首根っこを掴み病院がある方へ、それに続いて権現坂くんも一緒に歩いて行った。傍から見れば怪我したきかん坊と素直についてくる息子ふたりを連れて行く父親のようにも見える。
「さて、無事に終わったみたいだし私も退散させてもらおうかしら。流石にちょっと疲れたわ」
「そうですか。鏡原さん。協力に感謝します。いずれまた元に戻った時にトーナメントで会いましょう」
「そうね。その時は赤羽くん。あなたにも味わってもらうわよ?抜け出せない迷宮の味を。それから浅原智樹、貴方ともいずれデュエルしてみたいわ。じゃ、またね」
そう言って鏡原さん帰っていった。そう言えば彼女がデュエルしているところを実は見たことがなかった。まぁ次の機会の楽しみにさせてもらうとしよう。
さて、俺たちも帰るか。ボルシャック達の話では、皆寝て起きたら今日のことは夢の出来事だったと思い込むはずだ。
いろいろ思うことも言いたいこともあるけど無事に終わって何よりだ。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・マダ・・・・チカラハミチヌ・・・・」
消えゆく搭の一室で発せられたその言葉の主を見たものはまだ。誰もいない。
やっと次回から本編突入します