機皇帝ワイゼル∞インフィニティ・ストラトス 作:王・オブ・王
第零話 ノーフューチャー
インフィニット・ストラトス……それは一人の天才により進化した兵器。
それに搭乗し、仕様するできるものたちは女性だけ、しかしその“常識”を打ち破った男二人。
ISで戦い、人々を助け、守ることに命をかける者たち。
人々は彼らを
◇◇◇◇◇◇
IS……通称インフィニット・ストラトス。
一人の天才によって作られたその“機体”は一つの事件により世界を震撼させた……。
日本に建設された特殊国立の高等学校。それがIS学園。
ISと呼ばれる“機体”の操縦訓練が主な授業である。
学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されないという国際規約。
こんなありえない学園ができたのも全てISがこの世界にできたからだ。
ISの細かいことは、入学生に配られる資料にすべて乗っている。
ISとは女性にしか使えないこともあり、女尊男卑になった世の中。
これがこの世界の常識。
つまりIS学園の生徒は全て女性だった。そう“だった”のだ。
この世の中で、ただ二人だけISを使える男性がいる。
「織斑一夏……」
彼は誰にも聞かれぬほどの小さな声で、ふと名前をつぶやいた。
ここはIS学園一年一組。
そして美しい白髪をした彼はその“織斑一夏”の背後の席に座っている。
赤い瞳を輝かせながら彼はその背中を見つめた。
◇◇◇◇◇◇
俺、織斑一夏がISを動かせてしまい、このIS学園に来ることになった時……正直憂鬱だった。
自分以外が全員女、これは退学まで俺の神経が持つかどうかと思ったが、今は少し安心している。
今、俺が付いている席、教卓の真ん前のこの席の背後には間違いなく男が座っていたからだ。
テレビでも新聞でも、ISに乗れる男は俺だけど公表していたはずなのに男がいる。
そんな疑問はどうでも良い、とりあえず男がいるのだから良い。
クラス中の女子生徒は俺ともうひとりの男子生徒に視線を注いでいる。
そんなことを考えていたら担任の『山田真耶』に呼ばれていたことに気づく。
◇◇◇◇◇◇
前の席の男、織斑一夏はずいぶん焦っているように思える。
おそらく考え事でもしていたんだろう。
仕方ない、この学園で男は俺とお前だけ、それはそれは考え事ぐらいする。
今も数多の視線が俺と一夏を釘付けにしているが、思った以上にこれは……恥ずい。
『フン、どいつもこいつもただの小娘にすぎないだろう』
頭に響く声に、溜息を飲み込む俺。
―――お前がそう思っても俺はそう思えないんだよ。なんたって思春期なんだから……。
『思春期だと? 貴様、仮りにとは言えお前はイリアステル三皇帝の一人なんだぞ』
―――今は一人だけど?
『なぜオレがこんな目に……』
いやはや、俺の“中の人”には完全同意である。
俺がなぜこんな目にあったか……なんてものは些細な世界の意地悪。
まぁ意地悪などで済ましていいことではないのかもしれないが、その程度のもの。
最大の問題は一人の天才。そいつの気まぐれと心意気と興味本位とかその他もろもろにより俺と“中の人”は“一人まとめて”こんな学園へと放り投げられたわけだ。
「……君!」
ハッ、意識をはっきりさせると俺は教師、山田真耶の声を聞く。
いつの間にやら自己紹介は俺の番まで回ってきていたようで、そのとなりにいつの間にやら立っている黒いスーツを着た女性は俺を睨んでいる。
危うくダイレクトアタックを受けるところだったと焦りながらも、中の人が煩いので外見に出さぬように立ち上がった。
◇◇◇◇◇◇
俺、織斑一夏は背後を向いてその男子生徒を見る。
女尊男卑の世界になってからは珍しいタイプの男で、女性にまったく恐れも何も抱いていないという様子……悠然と立つ姿は男の俺でもカッコイイと思わされた。
ツンツンとした白い髪、赤い目、長い足とその長身。
俺の学校にもらったそのままの制服と違い、許可されている制服改造をしたのだとすぐわかるほどに長い制服のすそ。
白く長い上着は実に似合っている。
そしてなによりも、彼の強さを象徴するのはその腰に携えた剣……ん、剣?
「のわっ!」
ついつい声を上げて退いてしまった。
けれどその男子生徒はまったく気にしていないという風に口を開く。
「プラシド・イリアステルです。趣味はD・ホイ―――げふん、バイクに乗ることです」
俺を含め……クラスは騒然とした。
それもそうだろう、たった今まで悠然と立っていた男はそのギラギラとした目を少しゆるませて普通に、俺より普通に、そつなく挨拶をこなしたのだ。
その腰の剣は一体なんなのかすら聞く気がなくなるほど、優しい声音で普通に趣味はバイクなんて言った。
全員、唖然としていたが―――俺を筆頭にすぐさま拍手が起こる。
なんだか『あれで優しいってのも素敵』『バイクに乗った姿見てみたい』などなど、モテるんだなぁ。
俺もコイツみたいにモテる男になってみたい、なんてついつい思ってしまった。
―――ハハッ、無理だろ。
◇◇◇◇◇◇
よし、第一印象はこれで良いはずだ。ダメならたぶん俺の腰の剣が原因である。
危うくバイクをいい間違えそうになったが問題はない。
俺は何事も卒なくこなして、織斑一夏をサポートしたいだけだ。
『貴様、なにをヘコヘコとしている! そのようでは不動遊星に勝つのは夢のまた夢だ!』
俺の中の人がすごい文句を言ってくる。
―――不動遊星に勝たなきゃいけないわけでもないし、この世界に遊星は居ないって……。
まぁ、そんなことを言っても無駄なのは熟知しているつもりだが……言ってしまう。
『関係無い、ジジィの方がまだ風格があった!』
ものっそい怒鳴られてます。
実は俺は本体ではありません、この体……プラシドはもともと俺の“中の人”で俺はしがない普通の男でした。
ちょっとした事故が原因でプラシドの精神を押しのけてプラシドになってしまったけれど、精神は普通の男の子だ。
この世界の未来がわかるぐらいでね……。
織斑一夏の姉でありこのクラスの担任教師である織斑千冬さんが俺の隣に立って背後を向かせる。
前を向くだけならまだしも、背後を見れば前を向いていた時の倍以上の人数が視界に映るわけで……緊張した。
『まともな挨拶もできんようなら俺に体を返せ!』
―――待て待て、学園で“通常時”過ごすのは俺なんだぞ!
心の中でそう言って“中の人”をなんとかいさめる。
俺のすぐ横の織斑先生が、俺の方を向くクラス中の女子生徒プラス一名に話をはじめた。
「こいつは正真正銘の世界でISを使える男の二人目だ。今までは篠ノ之束博士の元で身を隠していたが一夏のことが露見したので姿を隠す必要が無くなったという訳だ。戸惑うかもしれんが適応しろ」
さすが、言うことと威圧感が違う。まるで海兵隊の軍曹だ。
なんてことを行った暁には名簿で俺の頭にダイレクトアタックなので黙っているとしよう。
「よろしくお願いします」
静かに一礼。
今度は間もなく拍手が巻き起こる。
静かに席に着く俺は黙って話を聞くことにした。
『ふん、これでは先が思いやられる……』
それはこちらの台詞ですプラシドさん、あの執事をやった礼儀正しい貴方はどこへ……。
とか言えばまた怒られるのは明白なので黙っているとよう。
こうして……
真の
それはきっと―――走り抜けた先に見えるはずだ。
あとがき
はじめましての皆様、久しぶりの皆様、いつもの皆様、ごきげんよう。拙者が作者のキングでござる。
故あってIS×プラシド(遊戯王)の小説がはじまったがなにぶん書き始めたばかりでござるから生温かい目で見ていただけたら僥倖で候。
戦いまではまだ少しあるでござるからな、しばしお付き合いいただければ……とは思うでござる。
では次回をお楽しみにしていただけたなら、まさに僥倖!