機皇帝ワイゼル∞インフィニティ・ストラトス   作:王・オブ・王

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第十一話 脅威強襲 新たなるシグナーたち!

 クラス対抗戦。

 とうとうこの日がやってきた。

 俺、プラシド・イリアステルはこの試合の結果をスッポリと忘れている。

 理由も知らなければ原因もわからない。

 ならば俺は今になる前のようにその時を“生きる”だけだ。

 

『おい、今回は俺たちが動く必要はないんだな?』

 

 ―――暴れたかったか?

 

『退屈だ』

 

 ―――なるほど、納得の答えだ。

 

 だが、そんな退屈もすぐに終わるだろう。

 これがどう終わるか覚えていないが、シャルロット・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒが来れば闘争に身を焦がすことだって可能だ。

 あの二人は並大抵の腕では勝てない……まぁ俺とプラシドの敵で無いのは確かだがな。

 

「今回の戦いはどちらが勝つと思いますか?」

 

「当然、織斑じゃないの?」

 

 セシリアとルチアーノが楽しそうに会話しているが、それは俺にもわからないことであった。

 そもそも鈴の武装龍咆(りゅうほう)だけを警戒していればこの戦い勝てないことはない。

 近接特化の白式が接近戦で負ける確率は少ないしな。

 だが砲身斜角がほぼ制限なしで撃てるというものに見えない弾丸。厄介きわまりない。

 

「さて、今回の戦いはどちらが勝つか……」

 

 考えている間にも戦闘は始まっていて、いつのまにやら龍咆により一夏はかなりピンチだった。

 やはり龍咆は厄介で強力な武装だ。

 見えない弾丸での攻撃は一夏の判断力などを狂わせる。

 直後、ふと俺は気づく。

 

 ―――どちらが勝つにしろ、確かクラス対抗戦は中止。なぜ中止なんだ?

 

 何があった。思い出せ、一体なにがあった……。

 その理由は、やはり学園側の予期せぬ事態、それはたとえば規格外の侵入者……か?

 俺は急ぎ振返ると走った。

 後ろで驚きながらもついてくるセシリアとルチアーノ、それから山田先生の声が聞こえるがかまっている暇はない。

 轟音と共に、地が揺れた。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 プラシドとセシリアとルチアーノが出ていった後の部屋にて、山田真耶と篠ノ之箒と織斑千冬の三人がそれぞれ表情を変えた。

 先に動いたプラシド、直後に落ちてきたゴーレム。

 緊急事態だということを察して、千冬が真耶の横の席についてキーボードを高速で叩いていく。

 学園中の情報が入ってきて、わかったのは未確認のなにかがこの学園に飛来したということだ。

 しかも、バリアフィールドを―――貫通して。

 

「織斑、凰、試合は中止ただちに退避しろ!」

 

 アリーナのシャッターをしめて、アリーナには一夏、鈴、そして“所属不明のIS”だけが残る。

 さっそく動きだした所属不明のISは手始めに鈴に向かってビーム兵器を放つ。

 なんとか一夏が鈴を助けてビームを避けるが、焦りを隠しながらも顔をしかめる千冬。

 姿を現した深い灰色をしたそのIS。

 手が異常に長く、つま先よりも下まで伸びていて、全身装甲(フル・スキン)

 無機質な姿はまるで人が乗っていないのだと思わせる。

 ―――人が乗っていないIS? いや、ありえない。だが、あいつならば作れるんじゃないのか?

 千冬は脳内で思考を巡らせていく。

 

「織斑君、凰さん、今すぐアリーナから脱出してください! すぐに先生たちがISで制圧に行きま―――えっ、なにこれ!」

 

 山田真耶の動揺する声に、千冬はそちらのモニターに目をやった。

 背後から箒も覗き込むが三人そろって表情を驚愕に変える。

 冷静でポーカーフェイスであるはずの千冬も驚愕していた。

 

「これは、バリアフィールドが展開されたというのか?」

 

 独自のシステムでのバリアフィールドは“必要以上に強力”である。

 そして、一夏たちのいる場所はそのバリアフィールドに囲まれていて、誰も入れない状態になってしまった。

 そのフィールドを破るだけの対艦ミサイルや対艦刀は、このIS学園にはない。

 ―――たとえあったとしても、ここまでやった奴が簡単に取らせてくれるものかっ。

 

「同型機が緊急時用ハンガー前と生徒用ハンガー前に待機!」

 

 ―――やはりか!

 千冬は自らの指の爪を噛んだ。

 この状態でなにもできない自分が歯がゆいと……今ここに“アレ”があればと、焦る。

 だがモニターで戦いを見ていると、助けに行きたいという気持ちもあれば『戦って勝って欲しい』という気持ちもあった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 緊急時用ハンガー前に立つ黒いIS。

 恐ろしいまでの静寂の中、足音が響く。

 真っ白の髪を風に揺らして、現れるのは白い服を来た青年。

 

「貴様たちは何者だ。せっかくの決闘の場に現れやがって」

 

 赤い瞳を細めて、彼『プラシド』は腰に携えた剣を引き抜く。すべてを切り裂くその剣はプラシドの顔を映す。

 どこまでも銀色のそれを見ても黒いISが反応することはない。

 

「チッ、無視しやがって……機皇帝で踏み潰してやる!」

 

 その瞬間、輝くプラシドの体。現れるのは『機皇帝ワイゼル∞』と呼ばれしIS。

 左手のブレードを振るって飛ぶと、黒いISはようやく動き出す。

 ワイゼルを追いながらも両腕の砲口からビーム兵器を放つ黒い機体。

 

「そうだ、それで良い……」

 

 楽しそうに口元を歪めるプラシドが、その素早さをもって黒い機体のビームを避け、近づいていく。

 懐に入り、斬りかかるも黒い機体はその巨体に見合わぬスピードと反応速度をもって回避。

 だがその程度は想定済みだ。

 斬りかかる勢いのまま体を一回転させて蹴りを放つ。

 後方に下がる黒い機体は両肩に装備された連射性能の高いビームを撃つ。

 

「そうだ、踊れ死のダンスを!」

 

 その連射されるビームを回避しながら、プラシドは楽しそうに口を歪めた。

 誰だか知らないが自分がいるこのIS学園を狙ったことを後悔させるため、プラシドはその敵とのダンスを始める。

 自らの大切なものを奪った機皇帝の圧倒的な力。

 それを過剰なまでに信用している彼は笑いながら黒い機体に狙いをつけた。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 生徒用ハンガー前にて、黒い機体が肩からビームを連射していく。

 その砲口の先には青い機体ブルー・ティアーズ。それを操るセシリアは苦々しい表情をしながらその攻撃を回避していった。

 こう攻撃を回避しながらではBIT兵器すら満足に使うことができない。

 ブルー・ティアーズの本分は一体一の戦いではないはずだ。

 

「クッ、なら!」

 

 ブルー・ティアーズを操作を諦めたセシリアは敵の方に体を向けてスターライトMk3を撃つ。

 それが直撃することはなく、素早く回避され、セシリアに追撃をかけようとする。

 その巨腕からビームを放ちながら接近してくる黒い機体を見据えて、セシリアは唯一の近接武器であるインターセプターを片手に持つ。

 もう少し接近戦武器さえあれば、と歯痒くなるも仕方がない。

 

「狙いなどッ!」

 

 放たれるビームを避けながらも、狙いなどたいしてつけずに片手でライフルを撃つ。

 優雅やらなんやらいう戦いを優先するわけにもいかない。

 屈辱的だが今できることはなんでもする気で戦わなくてはならなかった。

 

「はぁっ!」

 

 ビームは当たることなく回避されるが、今は良い。

 本命はそちらでなく“接近戦”による一撃。

 急接近からのインターセプターによる切りかかりを、片手で防ぐ黒い機体。

 だがこれが防がれることすらも予想済みである。

 

「私のブルー・ティアーズは飛ばすだけが戦闘方法じゃありませんのよ!」

 

 背中のブルー・ティアーズが、本機に接続されたまま黒い機体の方を向く。

 動揺した様子もないそれを見て、セシリアは敵が人間じゃないことに気づいた。

 ブルー・ティアーズから放たれたビームは―――避けられた。

 

「なっ!?」

 

 不自然な動き、上半身が90度横に傾き、ビームは避けられる。

 人体の構造上はありえないが、機械ならばありえることだ。

 馬鹿な、と悪態をつく暇は無い。

 プラシドや一夏との戦いを通して、プラシドや一夏や箒との訓練を通して、自分は強くなったはずだと、即座に動こうとするがその巨腕はセシリアの腕を掴む。

 

「このッ!」

 

 いた仕方ないと、セシリアは腰部の砲身を“目の前”の敵に向ける。

 ブルー・ティアーズの隠し技といってもいいミサイル。それが放たれて至近距離で爆発を起こした。

 だがその爆発にはセシリアも巻き込まれる。

 

「ぐぅっ!」

 

 損傷をしながらも、爆煙の中から出るセシリア。

 脚から血を流しながらも、なんとか倒すことができたと安心した―――が、それが悪かった。

 爆煙の中から現れた黒い機体はところどころこげているがそれだけだ。

 爆発への耐性が高い。

 セシリアは足を掴まれ大きく持ち上げられて、地面に投げられる。

 

 蒼い雫(ブルー・ティアーズ)は地に零れ落ちた。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 一夏と鈴は黒い機体に対して有効な攻撃ができないでいた。

 話している時などもお構いなしに攻撃してくるその相手に、二人は作戦会議一つできない。

 二人はそれぞれ回避しながら攻撃。その程度しかできないし、挙句に当たっても大したダメージ一つ与えられない。

 そんな厄介な相手に、二人は苦戦を強いられる。

 

「一夏、よく狙いなさいよ!」

 

「狙ってるっつうの―――なにっ!」

 

 突如連射されるビームを回避しながらも、一夏は鈴の方をこまめに確認していく。

 黒い機体が動き出す。身に合わぬ小回りのきく動きで一夏をすり抜けて鈴の方へと進んだ。

 ―――不味いッ!

 一夏がそう思った時はすでに、鈴と黒い機体との接近戦が始まっていた。鈴の近接戦装備双天牙月は黒い機体の腕を断つことはできない。

 ぶつかり合う黒い機体の腕と鈴の双天牙月。だがそれは大きな隙でもあると、一夏は飛ぶ。

 

「落ちろぉ!」

 

 背後から切りかかろうとした一夏だったが、黒い機体の腕が真上を向いた。

 それと同時に、黒い機体の肩も一夏の方を向く。

 肩の砲口から放たれたビームが一夏をひるませ、下がらせる。

 

「ぐぁっ!」

 

「一夏!」

 

 一夏のことに気を取られた鈴が両腕を黒い機体に掴まれて、そのまま投げ捨てられ、シャッターに叩きつけられた。

 地に落ちる甲龍。

 それを見た一夏の表情が変わった。

 醜きものを、仇を見るような侮蔑する眼でその巨体を睨みつけて雪片弐型で斬りかかる。

 

「ここから出て行けー!」

 

 叫ぶ一夏だが、それも無意味な行為だ。

 黒い機体は縦の斬撃を避けて、一夏の腹部に拳を叩きつけ、ひるんだ一夏に両腕をむけてビームを撃つ。 

 その出力の攻撃を受けるわけにも行かない一夏はなんとか気力だけで痛みに耐えてそれを避ける。

 しかし至近距離で即座に肩のビームを何発も受け、落ちていく。

 

「そ、んなっ……」

 

 落ちていく白式。

 その間、感覚は妙に研ぎ澄まされて、一夏は鈴の方に視界を向けた。

 シャッターに叩きつけられ、地に落ちた鈴の甲龍は双天牙月を支えになんとか立ち上がっているが戦闘は厳しいだろう。

 ―――俺には誰も守れない。鈴も、箒も、千冬姉も……。

 

『一夏、そんな敵を倒せなくて、なにが男か!』

 

 そんな声が、アリーナのスピーカーを通して聞こえてきた。

 箒の一喝に口元を綻ばせる。

 ―――そうだよな、こんなところで負けててなにが男だってな……。

 プラシドならばきっとこの程度の相手は簡単に倒してしまうのだろう。だったら、この学園でたった二人の男の一人としてこんなところで生き恥を晒すわけにもいかない。

 なんとか地上スレスレで体勢を整えた。

 

「俺は、守る!」

 

 あの日から消えていた赤き龍の痣が、一夏の声に呼応して再び輝きを放つ。

 体が楽になってくる感覚がした。それと共に一夏は腕を振るう。

 

「俺は、アイツを止めたい。止めなきゃならないんだ! 赤き龍! 俺に力を貸せ!!」

 

 その叫びと共に、赤き龍の『尻尾』の痣はさらに輝きを増す。

 それは徐々に白式を変えていく。科学や理屈では解明できないほどのことがそこでは起こる。

 白式の色は徐々に白銀へと変わり、黄色や青の部分は輝きを放つ水色へと変わっていく。

 一夏の目は金色へと変わり、そのウイングブースターは変形して機械チックなものの翼へと変わる。

 

「行くぞ!」

 

 白銀の粒子を散らして、一夏が飛び出した。

 その姿はまるで星のような輝きを放ち、美しさはその箒の目も鈴の目も釘付けにする。

 赤き龍の、シグナーの力。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 地上に落ち、割れた地面に埋まるようになっているセシリアが、苦悶に顔を歪めるも違和感を感じる。

 自らの右手に視線をやると、そこに輝くのは赤き龍の『翼』の痣。

 あの日浮かび上がった痣が輝きを放っている。

 体が徐々に楽になっていく。

 

「感じる。これは鼓動……」

 

 立ち上がったセシリアが黒い機体を視界に入れた。

 腕がセシリアに向けられ、それと共にビームがチャージされる。次の一撃で決めるつもりのようだ。

 けれど、そうはならないだろう。

 放たれるビーム。

 

「私はまだまだ動けますのよ!」

 

 そのビームを回避して、黒い機体の方へと飛ぶセシリア。

 連射される肩のビームを回避する彼女のブルーティアーズが、徐々に色を変えていく。

 それは赤。―――あの日と同じように蒼い雫(ブルー・ティアーズ)は姿を赤に変える。

 スターライトは粒子化し、ブルー・ティアーズのウイングブースターは形を変え、龍の翼のようになった。

 

赤い雫(レッド・ティアーズ)!」

 

 その姿はまさしくレッド・デーモンズ・ドラゴンを彷彿させるような姿。

 赤き翼に装備されたブルー・ティアーズ、否―――レッド・ティアーズはその機械の翼をはためかせながら飛ぶ。

 敵機の攻撃を回避しながら、その赤き流線型を描き接近していく。

 

「これが、王者の力!」

 

 黒い機体は腕の高火力ビームを放つ。

 だが、セシリアのISであるレッド・ティアーズの手に集まる赤いエネルギーによりそのビームは相殺された。

 動揺することもない機械だが、その手でビームを弾きながら黒い機体に接近していくセシリア。

 

「この程度の攻撃、レッド・ティアーズの前ではっ!」

 

 ビームを放射し続ける黒い機体へと迫っていくセシリアが行っているのは“ただ進む”という単純な行為。

 これならば他所に集中力を回そうと多少は問題無い。

 

「レッド・ティアーズ!」

 

 背中の翼から射出される四機のビットが、黒い機体を囲んで一斉にビームを放つ。

 その四本のビームは黒い機体の腕を貫き―――破壊した。

 それによりわずかに体勢を崩す黒い機体。

 だがそれで充分だ。セシリアはすでに黒い機体をその瞳でロックしている。

 

「天地鳴動、突き貫け!」

 

 赤いエネルギーの集中した腕を後ろで溜め―――。

 

「アブソリュート・パワー・フォース!」

 

 ―――放つ!

 

 赤きエネルギーは手の形をして黒い機体へと直撃し、爆発を起こす。

 その爆煙の中から落ちていく黒い機体。

 セシリアは勝ったことを確認するために地上へと降りる。

 下に落ちているのは、スクラップとかした黒い機体。

 

「私は、私の……」

 

 何を言いたかったのか、セシリアはISを解除するとその場で倒れた。

 赤き龍の痣は輝きを失い、その腕から消える。

 その場に、教員たちが来るまでそれほどの時間はかからないだろう。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 白銀の白式と黒い機体が空中に戦闘を行っている。

 雪片弐型と敵機の拳が打ち合いになるが、どちらも一歩も引かない。

 だからこそ一夏はそのさらに早くなった白式にて距離を一度取る。

 先ほどよりも圧倒的に有利な一夏。

 黒い機体が肩のビームを撃つが、一夏は無駄なくよけていく。

 

「見える!」

 

 そのビームを回避しながら、一夏は黒い機体の頭上に移動して、蹴りを放つ。

 落ちていく黒い機体相手に一夏はさに接近して片腕を切り落としてさらに蹴りを放つ。

 地上に倒れる黒い機体。

 

「信じる! 俺の成すべきと思ったことを!」

 

 それは自分自身に関わる全ての人間を守るという、小さいながらも途方もなく大きな願い。

 黒い機体が残った腕でビームを放つ。高火力のそれが目の前に迫るが一夏は自らの刀にてそのビームを切り裂く。

 

「雪片弐型は伊達じゃない!」

 

 ビームを切り裂き、黒い機体はホバー移動で距離を取ろうとする。

 しかしその行動も今の一夏の前には無意味だ。

 

「行くぜ! シューティング・ソニック!」

 

 振られた雪片弐型。それと共に放たれる白銀の斬撃は黒い機体へと迫り、その上半身と下半身を泣き別れさせる。

 それが彼の必殺の一撃。シールドエネルギーも底をつき、一夏は疲労から膝をつく。

 ―――守れた。

 白銀の白式は元に戻り、赤き龍の痣も消える。

 それを気にすることもななく一夏は鈴を回収しに行こうとしたが、その瞬間新たに空から飛来してきたものが一夏の前に立つ。

 

「なっ!」

 

 今しがた倒したばかりの黒い機体が新たに自らの前に現れた。

 巨腕を片方、一夏に向ける黒い機体。

 やけにゆっくりに感じられる時間、腕からビームが放たれ、それはまっすぐと一夏へと奔る。

 

「一夏ぁぁぁっ!」

 

 その叫び声は鈴のものだ。

 せっかく助かったと思ったのに、早く自分が動いていればと後悔する鈴だが―――ビームが収まった時、一夏は元の場所に立っていた。

 鈴だけではない、一夏自身も驚いている。

 彼の前にて、そのビームを防いだのはオレンジ色の小さな機体だった。

 

「これ、は……」

 

 つぶやく一夏。

 

「はやく下がれ一夏!」

 

 その言葉と共に黒い機体に新たなオレンジ色の機体がぶつかる。

 黒い機体がひるんだ隙に、一夏はホバー移動して鈴の方へと撤退した。

 その表情に浮かぶのは驚きではなく、すでに笑みだ。

 なぜ一夏が笑っているのかわからない鈴は、混乱していた。

 

「なんで笑ってんの?」

 

「最高の助っ人が来てくれたからさ」

 

 オレンジ色の機体が黒い機体を翻弄していく。

 四機のオレンジ色の機体の他に、一機だけ動かない機体がある。

 それは間違いなく、一夏の見慣れた“親友であり師”である彼の姿だ。

 

「合体する!」

 

 そんな声はオレンジ色の機体から聞こえてきたもので、鈴は驚愕していた。 

 オレンジ色の機体である彼へと近づく四機の機体。

 彼ことホセ、グランエルである彼の∞の装飾の間が開き、黒き中に緑色の光を宿す。

 

「グランエルT(トップ)!」

 

 彼の声に呼応して、変形するグランエルは上と下に穴が開き、そこをグランエルTが貫通。

 グランエルTは赤き瞳を輝かせる。

 

「グランエルA(アタック)!」

 

 本体であるグランエルの左側に、変形し腕のように伸びたグランエルAが装備される。

 

「グランエルG(ガード)!」

 

 右に装備されるのは先ほど一夏を守った強固なる盾。

 変形したグランエルGは右腕になる。

 

「グランエルC(キャリア)!」

 

 最後にCはほかのISと違い足ではなく、その体を支える機械といったところだろうか。

 その姿はワイゼル、スキエルと同じようなデザインとフォルム。

 この世界の人間でこれを知っているのは篠ノ之束ぐらいだろう。

 

「これこそが最強の機皇帝! 機皇帝グランエル ∞ (インフィニティ)!!」

 

 その声と共に、赤い目が再び輝く。

 イリアステルの三皇帝、最後の一人にして最後の一体。

 これこそが彼の名前の由来にして彼がプラシドと対等である証。

 その名は機皇帝グランエル。

 

 ―――『地』を司る機皇帝なり。

 

 

 

 




あとがき

最近感想がもらえて嬉しいので超頑張ってスピードで書いてみたでござる。
これ誤字がないか心配……そして!

超☆展☆開!

これがやりたかった! 賛否両論山ほどあると思うけど、受け入れてくれると嬉しいでござる(キリッ
赤き龍さんったらなんというご都合主義。まぁそんなもんでござるな。
次回はようやくやってきた機皇帝グランエルの戦いでござる!
まぁ結果がどうなるかは……うむ!

えっ、一人消えた? 気のせい気のせい(

では次回もお楽しみにしてくだされ!!
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