機皇帝ワイゼル∞インフィニティ・ストラトス   作:王・オブ・王

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第二話 波乱の幕開け、クラス代表推薦!

 IS学園に入学してから一日。

 俺はこの学園に来てはじめての朝飯にありついていたわけだが、突如俺の正面の先へと座るアンノウン。

 まぁ問題はないから、軽く『おはよう』と挨拶をすると目の前の二人、織斑一夏と篠ノ之箒は挨拶を返してきた。

 少し不機嫌そうな篠ノ之箒が気になるが、一夏を見れば苦笑するのみだ。

 一夏が食事をして話かけるが、無視をしている。

 あたりから聞こえる声は一夏への過度な期待。

 ただ男で扱えるだけならそこまでの期待はなかったのであろうけれど、彼の姉、織斑千冬は最強のIS操縦者とまで言われる女性だ。期待もされるだろう。

 

「そ、そういえばイリアステル……お前は、姉のところにいたと聞いたが……」

 

 おや、ようやく仕掛けてきたな。

 

「事実だ。俺は篠ノ之束と共にいた」

 

「そ、そうか……」

 

 それだけ聞くと黙ってしまう。

 

『なんだ、どういうことだ?』

 

 ―――人には色々な事情があるのだプラシド。

 そう言うが、なぜプラシドは理解してくれないのだろう。

 まぁ家族のいなかったプラシドにはわからないと思うが……一夏も篠ノ之箒も、姉には苦労するようである。

 俺は再び黙々と食事を続けるが、一夏は箒に『名前で呼ぶな』と言われて少し気まずそうにした。

 

「織斑君、隣良いかな?」

 

 そう言って立っていたのは俺たちと同じ一組の三人組。

 

「ん、ああ、良いけど」

 

 その三人組が一夏の隣に座る。

 女心が理解できない奴だな、そっち方面では本当にダメダメなやつだ織斑一夏。

 ちなみにその三人組、一夏の隣から夜竹さゆか、谷本癒子、布仏本音だ。

 ―――プラシド、好みの子とかいないのか?

 

『俺がその程度の小娘に惚れると思うなよ。アイツの方が最高……忘れろ』

 

 恥ずかしがってやがる。が、あまりへたに突っ込むと余計なことになるのが明白だな。

 

「あっ、織斑君もだけどイリアステル君も沢山食べるんだね」

 

 俺の方に話が飛んでくるとは意外だ。

 まぁ男の子だからな……。

 先の一夏のように無粋なことは聞かんぞ。

 

「私は先に行くぞ……」

 

 篠ノ之箒はそう言うと去っていってしまった。

 俺もさっさと食べなければな……。

 四人が話をしている内に食事を続ける。

 すぐに二回、手を叩く音が聞こえた。

 

「いつまで食べてる。食事は迅速に効率よく取れ!」

 

 ほらな? こうなると思っていたよ。

 

『かつての世界を思い出すな』

 

 まぁ、戦争中だったらしいからな、当然といえば当然か……。

 ここも訓練校みたいなもんだからそうだよな。

 まったく、シリアスな雰囲気のプラシドなんて柄じゃなかろうに……お前はリアル腹筋崩壊している姿が一番だ。

 

『貴様ァッ!』

 

 やべ、また洩れてた……。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 教室にて、織斑千冬先生はクラス代表の話をした。

 他薦自薦は問わないこれだが、俺の“記憶”が正しければ一夏だけで無く、俺まで推薦されると思う。

 絶対嫌だ、俺はならんぞクラス代表なんぞ……面倒事が多すぎる。

 俺は大人しく、慎ましくしていたい。

 

『なぜ自薦しない』

 

 ―――プラシド、良く考えてみろ……バイク、D・ホイールに乗れる時間が少なくなるぞ。

 

『そういうことか、ふん、ならば良い』

 

 おそらく下っ端時代にリーダーに憧れたんだろう……。

 

『貴様……剣のサビにされたいか?』

 

 また洩れていたようだ。というより俺を剣のサビにすればお前ももろともだぞ、よいのかプラシド。

 まぁプラシドのことは一旦置いておいても、ここから先が問題だ。

 

「織斑君を推薦します!」

 

 一人の女子生徒が手を挙げて言った。

 まぁこれは“俺”の知っている流れだが……。

 

「私はイリアステル君を推薦しま~す!」

 

 こいつ間違いなく布仏だろ。

 声でわかる。

 クラス代表なんて面倒だ。本当に面倒で仕方がない。

 

「他には居ないのか? いないなら無投票当選だぞ」

 

 抗議しようとする俺の前にいる一夏が立ち上がった。

 いや、お前はなれよ。絶対になれよ?

 

「ちょっと待った、俺はそんなの―――」

 

「納得がいきませんわ!」

 

 そんな声が聞こえた瞬間、織斑千冬はわずかに笑みを浮かべた。

 なるほど、そういうことを求めていたと……実に弟思いの姉だな。

 俺は声のした方を向く。

 セシリア・オルコットが、立ち上がって講義していた。

 

「そのような選出は認められません!」

 

『またあの女かッ!』

 

 ―――もしかしてプラシドはオルコットのこと嫌いか?

 

『気づくのがおせーよ』

 

 結構、不機嫌そうにいうプラシドだが、やはり偉そうなのは嫌いなのだろう。

 かつての敵チームの偉そうな彼には『死に損ないが!』なんて言われていたものな。

 しょうがないっちゃしょうがないが、昨日みたいに無意味に喧嘩を売るのはやめてくれ、マジで。

 

『なんだ貴様はああいう女が良いのか?』

 

 ―――セシリア・オルコットじゃなきゃダメってわけじゃないが……可愛いじゃないか……。

 

『外見か』

 

 ―――いや、外見は大事だぞ?

 そんなことを行ってみるが、プラシドは興味無さげに返事をしてくる。

 結構可愛いと思うんだがな、セシリア・オルコット。

 その他にも可愛い子は山ほどいるが……。

 

「男がクラス代表など良い恥さらしですわ! このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえと仰るのですか!?」

 

『俺がリーダーで恥さらしだと?』

 

 ―――いや、俺たちだから落ち着けプラシド。

 マジで勘弁してくれ、これ以上プラシドを煽ればやがて大変なことになる。マジだぞ?

 だが、セシリア・オルコットが止まることはなく。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、耐え難い苦痛で……」

 

『あの女、不動遊星を生み出したこの国を馬鹿にするというのか!』

 

 ―――好きなのか嫌いなのかどっちかにしろよプラシド。

 

『不動遊星はいずれ俺が殺す!』

 

 もう好きに言っててくれ、そのぶんその時は俺も安心できるからさ。

 一夏はイギリスのメシマズに関して突っ込んでもれなくセシリア・オルコットの反感をかっている。

 相変わらず織斑先生は笑ってるし、まったくどうしろというのか……。

 

「決闘ですわ!」

 

決闘(デュエル)だと!?』

 

 ―――プラシドうるさい。

 

「あぁ良いぜ、四の五の言うよりわかりやすい!」

 

 売り言葉に買い言葉、俺カンケイナイ。

 黙って机に両肘を付き、手を組んでその手を額に当てる。

 なんでもない風にしている俺と一夏は代表候補生でエリートたるセシリア・オルコットに『どれぐらいハンデをつける?』と聞く。

 素晴らしい挑発、いや、ここまでくるとジョーク扱いか、だが男としてそれは正しい選択だ。

 この世界でなければな……。

 大爆笑で包まれる教室。

 

「男が女より強かったのってISができるまでの話だよ?」

 

 笑う女子生徒たちは、純粋に男を見下しているように感じる。

 黙っていようと思った俺だが、そうもいかないようだった。

 

「見下すのもいい加減にしろよ」

 

 立ち上がったのは俺ではなく、“プラシド”である。

 

「男が女より強かったのはISが使えるからだ……織斑一夏と俺というイレギュラーが居る状況、これから先に男がISを使えるようになればどうなることか、わかっているのだろうな?」

 

 あぁ、怒ってらっしゃるよプラシド。

 こうなったら俺のどうにかなる場合ではない。

 プラシドは自分が見下されるのにかなり過剰に反応する。

 この年頃の男はそういうものだ。俺にも覚えがある……。

 

「女、貴様もあまり調子に乗るなよ。貴様など牛尾哲にすら劣る!」

 

 なぜお前はその名を憶えている……とは突っ込まないでおこう。

 

「な、なにを言ってますの?」

 

 わけがわからないという表情のセシリア・オルコットに同意する俺。

 だが馬鹿にされているということはわかってか、怒りを表情に表す。

 

「金髪ドリル、俺の機皇帝で踏み潰してやる」

 

「ッ……貴方は私が必ず倒してみせますわ!」

 

 セシリア・オルコットは“俺たち”を指差して宣言する。

 笑みを浮かべるプラシドと相反して苛立ちを見せてくるセシリア・オルコット。

 置いてかれた一夏は気の毒だが、全部プラシドのせいだ。

 

「二人まとめて、一瞬で片をつけてあげますわ!」

 

 大きな声で宣言するが、俺は若干ながらも同情の念を抱く。

 

「話はまとまったな、勝負は次の月曜と火曜と水曜……第三アリーナで行う」

 

 三日に分けたのは三人の組み合わせで戦うからだろう。

 セシリア・オルコットは俺と一夏を同時に相手にするつもりだったらしいが、大した自信だ。

 プラシドは腕を組んで笑みを浮かべるが、中の俺としては勘弁して欲しい。 

 

「織斑とオルコット、イリアステルはそれぞれ準備をしておくように」

 

 まったくもって面倒なことになってきたな。

 ―――プラシド、余計なことしちゃって……。

 

『ふん、戦うのは“俺だけ”になるだろう。お前は俺の後ろで見ていれば良い』

 

 ―――まぁそうだけどさ……。

 私生活では俺が出なきゃいけないと思うと気が重くて仕方がない。

 こんな大見得切って代表候補生を挑発して、真ん前から戦いを宣言するようなキャラを立てなかっただけに余計だ。

 金髪ドリルなどと罵倒したプラシドを恨むがそれも全て後の祭り。

 頑張ろう。うん。

 体のコントロールが俺に戻ると、静かに座って頷いた。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 その日の放課後、実に厄介なことになったと……俺は考えながら歩いていた。

 寮の部屋に戻ると、ベランダに人参が刺さっていた。

 何を言っているかわからねぇと思うが俺にもわからねぇ……嘘、わかる。

 

『とうとう来たか』

 

 戦慄するプラシド、俺もだが、人参に近寄ることを俺が拒否していた。

 いや……考えても仕方あるまい。

 鍵を開けて、窓を開く。

 その瞬間“人参型の機械”の扉も開き、その暗闇の中から一人の女が飛び出す。

 

「やぁプラシド君!」

 

 中から現れたのは紫色の髪をした巨乳の女、篠ノ之束。

 篠ノ之箒の姉であり、“俺たち”の恩人でもある。

 ボロボロだった俺たちを“直して”から、ボディーガードとして雇ってもらったりで恩はしっかりと感じている。

 

「今日はプラシド君……表に出てる君の方に用があるんだよ」

 

 俺の方とな?

 束はなんだかおもしろそうな顔をしてみてくるが……こういう時はろくなことがないのはわかっている。

 近づいてきて、俺の顔の至近距離まで寄る。

 

 ―――近い。と言いたいが、言うに言えない。

 

「うんうん、言いたいことは良くわかるよ~」

 

 なら離れて欲しいが、離れてくないのだろう。

 吐息がかかるような距離で、下手に口を動かせば重なってしまいそうで怖い。

 おそらくそんなことになれば俺の中でプラシドが大激怒するんだろう。

 あいつ、ああ見えて純情で一筋だから……。

 俺は束の両肩を持って体を離す。

 

「ところで、何の用できた?」

 

「その疑問に答えてあげよう! 理由は簡単、束さんは君に良い物をあげたいのだ!」

 

 良い物とな?

 

『覚悟しておけ、ろくなものではないはずだ』

 

 俺の中でプラシドがそう悪態をつくが、まぁそうだろうなと納得する。

 だが、絶対と言い切れないのが彼女の難しいところだ。

 たまに欲しいものをドンピシャでくれたりする。

 

 さて、見せてもらおうか……その良い物とやらをな。

 

 

 

 おおよそ一週間、プラシドの戦闘スキルを期待していないわけじゃないが、不安だ。

 

 

 

 

 




あとがき
拙者必死にて更新速度が徐々に遅くなるで候、そこらへんは申し訳ないでござる!
とりあえず次回はさっさと更新したいと思っているでござる。
次回は皆の衆待望の戦闘にて!
束などとの過去もちょくちょくと紐解かれていくでござる。

それではセシリアとの戦いである次回をお楽しみにしていただければ、まさに僥倖!
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