機皇帝ワイゼル∞インフィニティ・ストラトス   作:王・オブ・王

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第五話 第二のD・ホイール 変わりゆく日常

 さて、どこから説明しようか……まずはISの実施授業なわけだが、俺たちは今現在空を飛んでいる。

 ISを動かすときは基本的にプラシド本人が動かすはずだが、現在は“俺”が飛んでいた。

 授業のように命令されISを動かすのは嫌いらしい。

 まぁ、らしいっちゃらしいよな。

 それにしても、一夏もかなり綺麗に飛ぶ。やはり二度の実戦はいい刺激になったようだ。

 通信にて、織斑先生の方から新たな支持が下る。

 俺の横に並んで飛ぶ一夏とセシリア。

 

「急停止、できないとおそらく織斑先生から鉄槌がくだる」

 

 そんなつぶやきに、横の二人は生唾を飲む。

 頷いたセシリアが俺と一夏を見る。

 

「では、行きましょう!」

 

 俺と視線を会わせて頷くセシリア。

 なるほど一緒にというわけか、あまり“綺麗”な戦い方などをしてこなかった俺からすれば一緒に降りれば雑さが目立つのでごめん被りたいが、そうも言っていられないだろう。

 体を傾けて地上へと向かうセシリアに、少し遅れて俺も続く。

 

 地上すれすれで体勢を整えるセシリアは華麗に着地するが、それに対して“プラシド”はかなり雑な着地だった。

 地面に刃を突き刺して無理矢理止まる。

 

「プラシドさん!?」

 

 突然の行動に驚くセシリアが“俺”を見るが、今のその俺の目つきだけですぐわかった。

 今の俺は俺では無く“プラシド”である。

 じゃなければ、こんな無理矢理な着地をするはずがない。

 

「ふん、実戦でそのようなものなど当てになるか、止まればいい!」

 

「そうでもないからやってるんだ」

 

 ―――痛ッ!

 プラシドのせいで痛いのは俺、というより寸前でチェンジしやがったなアイツ……。

 あぁ、痛い損だ。頭押さえてる間に一夏は少し離れた場所に巨大なクレーター作ってるし。

 着地失敗とか目も当てられないな。

 なんか知らないが、セシリアは一夏に駆け寄っていかない……おかしいな。

 

「急停止か、まぁ実戦でもやったりするし大丈夫だろう」

 

 つぶやくと、一夏の方を向いて頷く。

 あいつも俺も似た者同士、戦闘にて本領を発揮し、戦闘でしかそういうことはできない。

 お互い刃を交じあわせた同士だし、昨日から妙に一夏が馴れ馴れしい―――という言い方は良くないが、くっついてくる。

 やはりあいつは……いや、そんなことは無い。無いはずだ。

 

「プラシド!」

 

 ほら、また来た。ドデカいクレーターを作って織斑先生に怒られたのだろう。

 まぁIS学園に二人の男、仲良くなりたいというのは正しいのだからしょうがない。

 俺だって一夏とは仲良くやっていきたいと思ってる……けど、いささか近くないか?

 

「そういやさ、お前のISスーツってISスーツっぽくないよな」

 

「そうですわね」

 

 一夏の言葉に、セシリアがやってくる。

 そりゃそうだ。

 俺のISスーツなんてほぼ服みたいなものである。

 なんたって、今俺が着ているこのISスーツの外見はかつてプラシドが着ていたイリアステルとしての服そのものなのだからな。

 こんな服でもワイゼルを装備すればだいぶ大人しくなる。

 問題はないのだが、なんでまた束はこう面倒なことを……。

 

「さて、後で一夏とプラシドはクレーターを埋めておけ」

 

 織斑先生の言葉だが、非常に不本意である。

 まぁ付き合ってやろう。こいつには色々と覚えてもらわなければいけないこともある。

 放課後に訓練をつけてやろうと思ったが、今日は一夏が代表就任のパーティーだったか、ならば明日だな。

 

『待っていろ、織斑一夏!』

 

 ―――それは俺のセリフだよ。

 パーティーか、まぁたまにはそういうのも良いだろう。

 もうすぐクラス代表戦もあるしな、少しは息抜きも必要だ。

 そのあとは覚悟してもらうがなぁ……一夏?

 

「どうした一夏?」

 

「いや、一瞬寒気が……」

 

 おや、感はするどいようだ。

 こいつは戦闘につかえるな、うん。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 パーティー会場は食堂。

 まぁそうだろうなぁ、この段階での“未来を知っている”俺は大体察していたがな。

 現在、このパーティーの主役である一夏の右に座る俺、一夏の左には篠ノ之箒。

 俺の隣にセシリアが座っているが、良いのだろうか?

 

「セシリア、チェンジするか?」

 

「えっ、いえ今回の主役は実質お二方なんですから」

 

 初対面のころよりなんだか控えめになったが、うん、人あたりがいい感じで好きだぞ。

 無意識に一度頷くと、セシリアは不思議そうに俺を見てくる。

 さて“俺”の記憶が正しければ今頃、寮の部屋にはいるのだろうか?

 二組の専用機持ち……。

 

「ん、プラシドどうした?」

 

 一夏のことばに、我に返る。

 

「あぁ、悪い……さて、せっかくの一夏クラス代表就任パーティーだ。乾杯!」

 

「乾杯」

 

 俺と一夏は自らのグラスを持ち上げてぶつけあう。

 やたらカメラのライトがカシャカシャ光っているが、余計なことを突っ込まない方が賢明だろ。

 明日の校内新聞は一面は一夏と……俺のことばかりだろう。

 

「あの、プラシドさん?」

 

 隣のセシリアの声に、俺はそちらを向く。

 なんだか話しにくそうにしているが、まぁこんな感じの娘だった気が……しないでもない。

 俺と視線を合わせるのか合わせないのか、チラチラと俺と目を合わせてくる。

 

「どうした?」

 

「わ、私とまた戦ってくださる?」

 

 データを集める気なのか、なんなのか? まぁとりあえずは良いだろう。

 俺自身も戦ってみたいという本音があるからな。

 

「是非も無しだ。そしたら今度は……」

 

「ホセさんと戦いたいのですが!」

 

 ―――うぉっ、ものっそい勢いでっ!?

 悪い気はしないが、ホセ()なら勝てると思われているとしたら、なんかテンション下がる。

 まったく嬉しくない。

 

『貴様の考えていることなど手に取るようにわかる』

 

 ―――長年の付き合いだもんな……。

 

『ただたんにわかりやすい』

 

 ―――くたばり損ないのくせに。

 

『貴様ァッ!』

 

 たまには俺だって堂々と反撃ぐらいする。

 まぁ、それでもお互い本気で怒ったりはしないんだがな、でもたまに俺が取っておいたデザートがなくなるのはなぜだ。

 冷蔵庫にあるプリンはさっさと食べてしまおうと思う。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 その夜、なぜか俺―――いや、俺たちは篠ノ之束に呼び出された。

 妙になつかれているが、あんなにも露骨な好意を不意にするのはモテない男代表の俺には無理だ。

 まぁ現在はプラシドという外見のおかげで結構な好意を受けているようだが、どうにも“その手”の好意を受けることはないようである。

 せいぜい好奇心程度だろう。

 

『何を考えているか知らんが、もうすぐ着くぞ』

 

 ―――おう、よろしく頼むぞ。

 現在外側に出てるのは“プラシド”の方だ。

 俺たちのバイク、否、D・ホイールであるT・666(テリブル・オーメン)を駆り、IS学園から街へと伸びる高速道路を走っていた。

 時刻は深夜一時過ぎ、この時間ならばこの高速道路を使う人間なんて居ないので、速度制限をぶっちぎってプラシドは走る。

 まぁ、そういう時のライディングがどれだけ気持ちいいから俺も知っているから余計なことを言うつもりはないがな。

 

「ところで、あの女はどこを指定したんだ?」

 

 ―――場所のことはわからないが、とりあえず街に出てくれだそうだ。

 

「チッ、また面倒事をさせられる気がするぜ、あの女のボディーガードはかなり骨が折れたな」

 

 ―――危うくまた腹筋崩壊するところだったな。

 

「ふん」

 

 そこは否定しないあたり、そのぐらい大変だったことを物語っている。

 律儀にヘルメットをつけてしっかりとD・ホイールを走らせるプラシドだが、街までは結構長い。

 まったく、束もよく俺とプラシドの口での説明程度で“D・ホイール”を完成なんてさせれる。

 天才さまさまだよ。

 そんな借りがあるからこそ、プラシドも束に必要以上は逆らわない。こいつなりに恩義を感じているのだ。

 高速道路が入り組んだ場所にやってくる。

 下にも上にも高速道路だらけ。

 

「まったく、篠ノ之束のことだ、すぐにでもそこらへんから出て―――」

 

「束さんは応援してくれる子供達の期待を決して裏切らない!」

 

 ―――マジか……。

 現れたのは我らが篠ノ之束さん。

 高速道路を走っていたら上に走る高速道路から篠ノ之束が落ちてきた! なにを言ってるかわからねぇと思うが俺もわからねぇ。

 しかもそのD・ホイールは、まさか……。

 

「そう、プラシド君から6年間聴き続けた情報を下に作った第二のD・ホイール! それがこれ、ホイール・オブ・フォーチュン!」

 

「なにぃ!?」

 

 あの『無職王』『ごくつぶし』『キング(笑)』で有名であったジャック・アトラスのD・ホイール。

 俺たちが話したことだけを頼りに作ったというのか?

 嬉しそうに満面の笑みを浮かべながらこちらを見てくる束。

 

「ぶい!」

 

 さすが、と言わざるを得ないな。

 よもや二機目ということはD・ホイールに内蔵されている“小型モーメント”の二つ目を開発したということなのだから……。

 たった一人で、しかもこれと並行で第四世代ISについても研究しているのだろうし、天災以外に贈る言葉が見当たらない。

 こんなものを簡単にいくつもつくってしまうのだ。天災に違いない。

 

「そういえばなんだけどね、プラシド君。君を呼び出したのはほかでもないんだけどぉ……」

 

 ホイール・オブ・フォーチュンにまたがる束は思った以上に違和感がない。

 ただヘルメットをつけないと髪の毛がホイールに巻き込まれそうで怖いのだが……。

 まぁそんなことはともかくとして、なんなのだろう。

 

「私、なんか追われてるんだよねぇ」

 

「なに?」

 

 疑問符を浮かべそう聞くプラシド。

 直後に上空に影が浮かぶ。

 視線を上げれば、そこには巨大なISもどき。

 

「面倒ごとを振りまく女だ!」

 

「あははは~! 頑張ってね。応援してるよぉ~!」

 

 そう言うと束はホイール・オブ・フォーチュンで先を走っていく。

 おのれ束、このデカいISもどきはどっからつれてきた!

 だが、考えている暇は無い。

 さっさと片付けて帰らなければ朝になってしまう。

 

「ちっ……行くぞ」

 

 プラシドは間違いなく俺に語りかけている。

 終わったならば、プラシドが束に怒鳴り散らすことだろう。

 まぁなにを行っても無駄なのだろうけれど……今は目の前の脅威を排除するだけだ。

 ―――ああ、やろうプラシド!

 

「ライディングデュエル、アクセラレーション!」

 

 そんな馴染みの掛け声と共に、未知の敵との戦闘が開始される。

 ―――こういう風に戦うのは久しぶりだが、やるしかあいまいな。

 このホセ()の戦い、ぞんぶんに堪能していただこうかッ!!

 

 

 

 

 

 




あとがき

今回は話はあまり進まなかったでござるな。
とりあえずはアクセラレーションということで、次回はライディングデュエル(仮)となります。
どんな戦闘になるかはともかくとして、戦闘パートに過度な期待は禁物でござるよ!
束との絡みも次回は結構あるにて、では次回をお楽しみにしていただけたなら、まさに僥倖ッ!!
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