もしドラ~もしもドライグが早く目覚めていたら~ 作:ショウゴ
作品管理の簡略化の為に、もしドラもこちらに移す事にしました。
投稿理由とこちらの投稿頻度に関してはあとがきで語らせてもらいますので、まずは本編をどうぞ。
兵藤一誠――俺の名前だ。両親、及び親しい人間からはイッセーと呼ばれている。……もっとも、そう呼ぶ人物は数えるほどしかいない。
私立駒王学園に通う高校生2年生で、現在青春真っ盛り。当然エロい事にだって興味はあるし彼女も欲しいと思っているが、地元で彼女を作るのはまず不可能だろう。
理由は簡単。個人的には異性との出会いを望んでいるにも拘らず、俺は悪い意味で有名すぎた。
誰が呼び始めたのか
中学3年の時に当時のクラス内で結構な人数が所属しているグループが当時仲の良かったクラスメイトひとりに対してかなり陰湿なイジメを教師陣にバレないように行っており、そいつから相談を受ける形でイジメの存在を知った俺はそのグループに対してイジメをやめるように話し合いを求めたものの、そいつに対するイジメは一向に終わる気配がなく、最終的には首謀者数名を力ずくでぶちのめした事で解決した俺に対する嫌がらせとして当時の首謀者一同からつけられ、昨今の情報拡散の速さを悪用して大量の尾ひれをつけた上で盛大に広められてしまったこの悪名のせいで同学区の内外を問わず腕っ節が強そうな同性からは喧嘩をふっかけられ、異性からは距離を置かれ、大人である先生方からは目をつけられていることもあって出会いの類は絶無といっていい。
第一志望だったこの駒王学園に入ることができたのも奇跡のようなもので、今もって先生方から目をつけられてはいるものの悪名を払拭するために必死になって勉強していたおかげで1年生の間に行われた各学期の中間・期末試験は赤点一つ出したことはないし、高校に入学してからは問題行動も起こしていないので担任を含めた一部の先生からの受けはある程度改善されている。
ただ、進級して新学期が始まったばかりだというのに異性との出会いもなく、悪名高い俺を倒してハクを付けようとする不良共を脅して逃げ帰らせるか、極稀にいる問答無用で襲いかかってくるヤツを諌める寂しい1年を送ることになるかと思うと、気が滅入るどころの話ではない。
今日は日直なのでいつもより早めに登校していると、通学路の只中でヒソヒソと新1年生らしき生徒達が男女を問わずに俺の方を見て内緒話を始める姿が目に映る。
初めて俺を見る生徒の反応としてはいつも通りの物ではあるのだが、未だに悪評を払拭しきれていない事に内心で気を落としながら出会いの無さを嘆いていると、頭の中に声が響いてくる。
《はっはっは!! また気にしているのか、相棒。心配せずとも女など向こうからやってくる。なにせこの俺を宿しているのだからな》
(……うるせーよ、ドライグ。今まで何度言ったか忘れたが、野郎共との喧嘩しか演出してない以上は眉唾にしか思えねーっての)
歩きながら心の中で話しかけてきた存在に対して返事をする。
俺が悪名を轟かせることになった事件の時からの付き合いで、名前はドライグ。
本人
どうもドライグの封じられている武器というのは『
何の因果かそのとんでもない武器は俺が生まれた時に身体に宿ったらしく、前述の事件の最終盤である首謀者数名への物理的制裁直前に覚醒。首謀者達をぶちのめした後のゴタゴタに巻き込まれる中で何度もアドバイスを受けた手前無視するわけにもいかず、話をする為に幾度となく接触する内に気に入られ、いつの間にかドライグから話しかけてくるようになり、今に至る。
《だが、あの時はお前もああするのが正しいと思ったのだろう? 少しばかり力を強く使いすぎただけではないか》
(ぐっ…仕方ねーだろ。高々20秒待つだけで人一人血まみれにする力が出るなんて思わねーっつーの!!)
俺に宿った神器、『
つまり、10秒待てば1の力は2になり、20秒待てば倍加された力がさらに倍加して4になる計算であり、待てば待つほど力を上げることができるため、計算上はとんでもないパワーを引き出すことも可能な代物だ。
ただし、パワーを増幅しすぎるとそのパワーに身体の方が耐えられず自滅する可能性が高い上に、人間の肉体というのは天使や悪魔といった人外の存在と比較すると相当脆いらしく、2段階上げたパワーでも当時の俺にとっては増幅に耐えられるギリギリの所だった。
もっとも、増幅率が低い状態だろうと力が上がることは変わらないし、殴りかかった対象は悪魔などの人外の存在と比較した場合、肉体的強度がさして高くない人間の中でも成長途上と言っていい同年代の男子だったので、『
その事を知らなかった俺は初めてこの力を振るった時にいじめを行なっていた首謀者全員にブースト状態で拳を振るった結果、そいつら全員をフルボッコにした上で思いきり返り血を浴びる事になり、今の悪名がつく遠因になってしまった。
それから高校入試が本格化するまでは精神的にかなり荒れていた事もあり、俺の悪名を聞いて喧嘩をふっかけてきた奴らを相手に嬉々として喧嘩をしていたのだが、そう言った輩を相手取る時は1段階のパワーアップで済ませるようにしていた。
ドライグからは今なら最大で5段階ほどの強化にも耐えられると言われているが、初めて使った時の威力を考えると2段階の強化ですら喧嘩で使うにはオーバーキルの領域に足を突っ込んでいるし、3段階目以降は本当に殴り殺してしまう可能性がある以上使う気にもならない。
もっとも駒王学園に入学してからはそういった輩もめっきり減ったし、努力して改善した先生方の評価を落とすのも馬鹿らしいので、たまに挑んでくる奴に関しては脅しで済ませて退散させている。
(そうやって考えるとかなり難儀な力だよなぁ、コレは)
普通なら誰かと殴り合いで戦うなんて今の日本ではまず起こらないので、『赤龍帝の籠手』の扱いは細心の注意を払うしかない。
悪名高くなってしまった事で戦闘行為そのものにウンザリしているので、正直言って本当に存在するかもわからない『白龍皇』と戦う気は今のところ全くない。むしろ積極的な講和を求めたいところだ。
(あー……戦いばっかじゃなくて、少しは異性との出会いも演出しろってんだ、クソッ!!)
ドライグが言うには『ドラゴンには己の下に力を集め、周囲の者を魅了する』という習性があるらしいので、それを封じた神器保有者である俺には放っておいても異性が寄ってくるらしいが、今のところ前者の御利益にしかあやかった事がないので眉唾ものだ。
《こればかりは俺にもコントロールできん。まあ、いずれはいい女も現れるだろうさ》
(無責任な発言どーもアリガトウ、相棒。……はぁ、真面目に彼女欲しいなぁ…)
そんな風に歩きながらドライグと話をしているといつの間にか校門の近くまで来ており、俺の姿を見て萎縮していた周囲の生徒達が一斉にざわつき始める。
(……ああ、そういや『二大お姉さま』の片割れっていつもこれくらいに登校してたっけな)
腕時計で現在時刻を確認すると、二人いる中学時代からの悪友兼クラスメイトから教えてもらった時間が近いことを思い出す。
足を止めてざわつきの中心に視線を送ると、案の定そこには極上という言葉すら
人間離れした美貌に透き通るような碧眼とストロベリーブロンドよりもなお赤い紅の長髪をなびかせ、特徴的な駒王学園の制服の上からでもわかる高校生離れしたプロポーションをした上級生、リアス・グレモリー先輩。
北欧の出身ということになっている最上級生の3年生で、よく一緒にいて行動を共にしている姫島朱乃先輩――こちらも高校生離れしたプロポーションを持つリアス先輩クラスの超絶美少女――と共に学年の男女を問わず人気集める学園の顔と言える生徒で、誰が呼び始めたのか『学園の二大お姉さま』。
密かに俺も憧れている二大お姉さまの片割れは、校門近くで他の生徒と一緒になって先輩の姿を視ている俺を見つけると早足で近づいてくる。
「おはよう、兵藤くん。この時間に登校しているという事は、今日は日直かしら?」
「ええ。さすがに今日ばかりはいつもみたいな事は出来ませんからね」
リアス先輩が俺に話しかけてくる姿を見た1年生の一部が驚愕の視線を俺に向け、同級生と上級生の先輩方がいつものように嫉妬の
「確かに日直が予鈴ギリギリなのは感心できないものね」
そう言ってリアス先輩は軽く微笑む。自分が悪名高い事は自覚しているので、学園入学当初から日直でない時は出来る限り周囲の生徒を無闇に刺激しない為に予鈴ギリギリの登校を心がけている。
ただ、理由は不明ながら去年リアス先輩が1度だけ予鈴ギリギリに登校してきた日に会って少し話をした時以来、日直として早めに登校してきた時に時間が合えば話をする程度には仲良くなった。
「君の周囲へ配慮が出来る点は良い事だと思うけど、あまり自分を卑下し過ぎないようにした方がいいわ」
「それに関しては善処しますよ」
「そうしておきなさい」
そうして会話が一段落するとリアス先輩は昇降口へ向かおうとする。
「そうそう。前から言おうと思っていたのだけど、君なら試験なしでいつでも入部させてあげるから、その気になったら旧校舎へいらっしゃい」
去り際にリアス先輩が小さな声でそう呟いてくるので、俺は微苦笑しながら先輩を見送るしかなかった。
試験というのはリアス先輩が所属する部活動、オカルト研究部の入部試験のことだ。その名の通り世間一般では
ただ、その内の一人が活動している姿を誰も見た事がない幽霊部員なので実質的には4名しか部員がいない部活動だが、その4人が全員駒王学園の中では人気上位の生徒ばかりだったりする。
学園の二大お姉さまことリアス先輩と姫島先輩。学園内の男子で最も人気があるのが予想される同級生の木場祐斗。一部の男子から人気がある1年生のマスコット的女子生徒たる塔城小猫ちゃんの4名で構成されたオカルト研究部は所属部員の豪華さ故に学園内から入部希望者が多数いるため、部長であるリアス先輩の意向によって入部試験が設けられている。
現在の所属部員の少なさはオカルト研究部の入部試験の厳しさを物語っており、所属部員への興味本位で入部を希望している人たちをふるい落とし、オカルトが好きかどうかを確認するためにやっているようだが、本当のところはおそらく違うのだろう。
(入部試験なしで、ね。……ドライグ、やっぱリアス先輩って俺とお前の事に気付いてるのか?)
リアス先輩を見送ったあと、俺はドライグに話しかける。
《その可能性は高いだろうな。オカルト研究部と言ったか? そこと生徒会とかいう組織は全て悪魔によって構成されている。大方リアス・グレモリーの目的は相棒を自分の眷属にする事だろう》
(眷属、ねぇ。……どーして俺の周りには戦いの火種になりそうな物がゴロゴロ転がってるんだ? しまいにゃ泣くぞ)
俺自身、駒王学園に入学した後ドライグの指摘を受けてはじめて気づいたのだが、この学園には多数の悪魔が人間に混じって生活している。
駒王学園がこんな事になっていると知った時にドライグから教えてもらったのだが、天使・堕天使・悪魔の三勢力は数百年前に起こした三つ巴の戦争でその数を大幅に減らしてしまったが、自然回復を待ちきれなかった悪魔の皆さんは戦争終結後に失った数を補填する為に他の種族を悪魔に生まれ変わらせる技術を造り出したそうだ。
何を思ったのかは知らないが、ドライグと同じくらいの力を持ったドラゴンがその技術を使って悪魔に転生している――なんでも俺より何十代も前の宿主さんを通じて会ったことがあるとの事――らしく、リアス先輩や生徒会役員の誰かは悪魔に転生させる意義があるだけの能力を持つ将来有望そうな人物を探し出し、自分の眷属にする為にこの学園を利用しているのではないかとドライグは考えているようだ。
俺もその事を聞かされた直後はかなり驚かされたし、『神器』なんて物騒極まりない物を宿している事で襲われないか心配してもいたが、リアス先輩を始めとした悪魔の人たちに関係した荒事に巻き込まれた経験もないので、最近は比較的安心して普段の生活を送ることができている。
まあ、俺に『赤龍帝の籠手』が宿っている事を知っている人物はいない――両親にはドライグの存在を含めた神器関係の事柄は一切話してないし、喧嘩している姿を見られた事がある悪友達には適当な理由でごまかしておいた――ので、周囲の人物から俺が神器保有者であることがバレる可能性はかなり低いし、俺自身のことをよほど注意深く
なにせ『赤龍帝の籠手』最大の特徴である多段階のパワーアップをした事は初起動の時一度きり。あとは1段階のパワーアップで済ませていたので、『赤龍帝の籠手』の下位神器として認識されている可能性も十分にありうる。
《確かにそうだが、気をつけるに越したことはない。過激な連中というのはいつ現れてもおかしくないのだからな》
俺とドライグの意識はある程度リンクしているので、俺の考えていたことを読み取ったドライグが忠告してくる。
(程度の差はあるだろうけど、それは対人で経験してるっつーの。ただ、悪魔や天使、堕天使が来たら教えてくれよ? 見た目は普通の人間なんだろ?)
《ああ、そこは任せておけ。お前のように俺の力に溺れず、積極的に話しかけてくる宿主は珍しいからな》
(……そいつはどーも)
ドライグの意識を封じた神器『赤龍帝の籠手』は持ち主の力を増幅する能力を持っている関係で歴代の保有者達は手に入れた力に溺れる傾向にあるようだし、数少ない力に溺れなかった者もドライグを道具のように扱ったり軽く見たりする人が多かったようだ。
俺のようにドライグと積極的なコミュニケーションを取る保有者というのは相当珍しいようで、ドライグからはかなり気に入られている。
「「イッセ~」」
リアス先輩が去っていった事で静けさを取り戻した校門前でドライグとの話し合いを終えると、恨めしそうに俺を呼ぶ声が背後から聞こえてくる。
(この声は……あいつらか)
俺に対して気軽に話しかけてくる奴は少ないし、あまりにも聞き覚えのある声だったので振り向くと、そこにいたのは予想どおり中学時代からの悪友二人組、松田と元浜だった。
「よう、松田、元浜。朝から随分シケた面してるな」
「悪友が学園の顔ともいえる『二大お姉さま』の一人と気軽に話をしている姿を見れば気分も悪くなる」
「どうすればあんな美味しい目に会えるか教えやがれ、コンチクショー!!」
ずれたメガネを押し上げながら淡々とした口調で元浜がそう言うと、俺がリアス先輩と話をしたことをよく思っていない松田がヘッドロックをかけながら質問をしてくる。
「離しやがれ!! 単に去年ちょっと話をした時に妙に気に入られて、それ以降は日直の時に登校時間が合えば話をするのが習慣化してるだけだっつーの!! 今まで何度も説明しただろーが!!」
リアス先輩と話をするたびに松田と元浜からはこういった事をされているので、正直言って鬱陶しい。
「それでも羨ましいんだよ!!」
「何故お前だけがそうまで美味しい目に会える!! 不公平だ!!」
「知るか!! いい加減離せっつーの!!」
こいつらの言う美味しい目――具体的には時折リアス先輩と話をしている事――に会っている理由は大方ドライグを宿している事とリアス先輩の出自が原因だろうが、それ以上に喧嘩をふっかけられる事が多いので良し悪しだ。
「とにかく、今後今日のような事があったら俺達の事も紹介するように」
「あの『二大お姉さま』と話ができる機会なんてそうそうないからな。忘れんなよ、イッセー」
元浜がそう言うと松田もヘッドロックを解くので、首の調子を確かめながら二人に返事をしておく。
「ヘイヘイ、なるべく覚えておくよ。それじゃあ、また教室で会おうぜ」
生徒用玄関まで3人で移動し、俺は日誌を受け取るために一度職員室へ向かう。
「おう」
「日直頑張れよー」
松田も元浜も特に用事がない限り自発的に職員室へ行くことはないので、一人別行動を取る。
担任に話しかけて日誌を受け取り、教室に向かって日直の業務をこなす。
そのあとは普通に授業を受け、休み時間には日直の業務を行いながら空いている時間を松田や元浜と馬鹿な話をしながら過ごし、放課後には日誌を提出して帰宅する比較的いつも通りの日常。
ただ、この日は少しばかりいつもと違っていた。
(さて、帰ってゲームの続きでもやるかな)
このあとの予定を考えながら通学路を歩いていると、初めて見る制服の女子がこちらにやってきていた。
「あ、あの……駒王学園の兵藤一誠君、ですよね?」
「ええ、そうですけど……どういった要件でしょう?」
見覚えのない学校の制服を纏った女子生徒。俺の名前を知ってる事から近隣学区の高校生だろうが、異性から話しかけられるのは久しぶりだった。
(しかも結構可愛い系。俺に何の用だろう?)
リアス先輩や姫島先輩といった超絶系とはまた違ったベクトルの美少女が、悪名高い俺に何の用だろうか?
「あの、えっと……兵藤君って、今付き合ってる人とかっています?」
「いないよ。けど――」
「よかったぁ。……私と、付き合っていただけませんか?」
「――っ!?」
見知らぬ女子生徒からの告白は俺を驚かせるには十分すぎた。
「……どうしてそう思ったか、聞かせてもらっていいか? ここらへんに住んでるなら俺が悪名高い事は知ってると思うけど?」
「えっと……その噂は知ってますけど、あれ、嘘ですよね? 駒王学園にいる友達から兵藤君の事を聞きましたけど、授業はしっかり受けてるし、他の男の方と喧嘩をしている所は見た事がないって聞きました。……私もはじめに噂を聞いた時は怖かったけど、友達からその事を教えられて兵藤君が優しい人だって思ったんです。……だから、私と、付き合ってください!!」
そう言ってその女子生徒は大げさに頭を下げてきた。どうやら日々マジメに過ごしていたのは無駄ではなかったようだ。
「……俺の方からもお願いするよ。名前、聞かせてもらっていいかな?」
俺がそう答えると彼女は頭を上げて喜色満面の笑みを浮かべてこう言った。
「天野夕麻です。よろしく、兵藤君」
「イッセーでいいよ。こちらこそよろしくね、夕麻ちゃん」
自己紹介を済ませるとお互いに緊張しながらケータイのアドレスを交換し、それぞれの家への分岐点まで一緒に帰る。
若干名残惜しかったが、これからは会おうと思えばいつでも会えるので帰宅する足取りも軽くなり、自然とテンションも上がる。
《相棒。喜んでいるところ悪いが、できたばかりのお前の彼女について話がある》
(……なんだよドライグ、やけに真剣じゃないか。どうしたんだ?)
あがりっぱなしのテンションに水を差すように真面目な声色でドライグが話しかけてくるので、気を引き締めて夕麻ちゃんに関する事を聞く。
《あの天野夕麻という女、僅かだが光の力を感じた。相棒に関係する何かしらの事情で地上に降りてきた天使か、お前の力を利用しようとする堕天使の可能性が高い》
(へぇ、天使って滅多に地上には降りてこないのか。俺に接触してきたって事は、何かしらの目的があって近づいてきたんだよな? どういった理由だと思う?)
《そこまではわからん。だが、覚えておくに越したことはないだろう》
俺の質問に対してわずかな間を開けて返事をしてくるドライグ。
(わかった。ただ、お前の事を夕麻ちゃんに教えるつもりはないからな)
夕麻ちゃんが人間以外の存在だろうと関係ない。せっかくできた彼女なんだから、大切にしよう。
《それでいい。……初めての女なんだ、大事にしてやれ》
(言われるまでもないさ)
俺の返事を聞くとドライグは何も言わずに引っ込んでいった。
(ドライグのやつ、いつも以上に真面目な口ぶりだったけど、どうしたんだ?)
いつになく真剣な雰囲気だったので、どうしても気になってしまう。
(まあ、ドライグが人間以外の存在を警戒してるのはいつもの事だし、気にしないでおくか。……それより問題なのは松田と元浜だな)
ドライグの緊張はなんとなく理由がわかったので、松田と元浜への対策を考えることにする。
あいつらに夕麻ちゃんの事を教えたら間違いなく荒れるだろうし、セクハラぶちかますのは目に見えている。教えるのは控えておこう。
(しかし、彼女かぁ……。うん、今度の休みにデートに誘おう。しっかりプランも練らないとな)
俺は浮かれた気分のまま家に着き、テンションの高いまま一日を過ごした。
思えばこれが人間としての俺の終わりのカウントダウンであり、赤龍帝として多くの戦いを駆け抜ける事になる始まりの鐘でもあった。
だが、この時の俺はそんな事など微塵も感じず、出来たばかりの彼女とどう付き合うか考えるだけだった。
あとがきまで読んでいただき、ありがとうございます。
この作品を投稿したのは、私が投稿しているもう一つの作品のモチベーションが維持できなくなり、このままでは二次創作活動そのものを放棄してしまう可能性が濃厚になってきたので、気分転換を兼ねています。
あちらもモチベーションが回復したら引き続き書くつもりですが、二次創作活動そのものへのモチベーション回復の為、しばらくはこちらに専念させてください。
次にこちらの投稿頻度に関してですが、現状でストックが13話分あるので、それが切れるまでは毎日更新が可能ですが、ストックがなくなったらリアルの事情も絡んで更新頻度が落ちます。
途中までは原作の焼き直しに近い描写が多くなるとは思いますが、その点はご容赦いただけるとありがたいです。