もしドラ~もしもドライグが早く目覚めていたら~   作:ショウゴ

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連続更新第9弾です。お楽しみください。


10 トレーニングとホームステイ

目が覚めると眼前に憧れの女性のおっぱいがあった。

 

字として表現するとそうなるのだが、はっきり言ってワケがわからない。だが、体調不良で保健室のベッドを利用させてもらっている俺の目の前には憧れの女性であり、悪魔としての俺の主、リアス・グレモリーが一糸纏わぬ姿で俺の頭を抱きかかえながら熟睡していた。

 

(えっと……どういう状況?)

 

あまりに現実離れした光景ゆえに鼻先にあたる乳房の感触すら信じられず、頭を動かすことすらできない状況で俺は困惑するしかなかった。

 

「……あら、イッセー。ふぁぁぁ」

 

そうこうしている内に部長の目が静かに開き、あくびをしながら挨拶をしてくる。

 

「あの……部長。この状況は、なんなんでしょう?」

 

自分の心音をやけにうるさく感じながら質問すると、部長は俺の頭を抱きかかえたまま髪を撫でながら返事をしてくる。

 

「ちょっとだけ気だるくなってしまったの。それで保健室で仮眠をしようと思って入ったらちょうどイッセーが寝ていたから、お邪魔させてもらったの。……ダメだった?」

「えっと……俺から言いたい事があるとすれば、仮眠で全裸はやりすぎな気がするんですが……」

 

色々と丸見えになっているので非常に眼福ではあるのだが、無防備すぎるだろう。

 

「私は裸じゃないと眠れないの。それと寝ながら抱ける枕やぬいぐるみがあれば完璧ね」

「……そういうことならある程度は納得しますけど、異性を抱き枕代わりにするのはマズイと思いますよ? 俺も男ですから、間近で裸の部長を見せられたら我慢できません」

 

現にこのまま部長の身体を隅々まで触りたい衝動に駆られそうになっているし、他の男子生徒に同じ事をしようものならそれ以上を望んでもおかしくない。

 

「大丈夫よ、イッセーを信じてるもの。……それとも、本当に襲いかかってくる?」

 

部長は俺の顔をまじまじと見ながら冗談混じりにそう問いかけてきた。

 

「襲いかかる気は最初からありませんけど、正直に言えば色々と触りたいです。加えて言わせてもらえば、安易に他人に肌をさらすのはどうかと思っただけですよ」

 

これは偽らざる俺の気持ちだ。部長が安っぽい女だと思われるのは我慢ならない。

 

「心配してくれるのね。……でも大丈夫、そういった相手はしっかり選んでるから安心してちょうだい」

 

俺の返事を聞き、部長は小悪魔的な微笑を見せる。

 

「今のところ、その対象はイッセーだけよ。……私の胸、触ってみる?」

 

そのまま俺の耳元へ顔を近づけて非常に魅力的な提案をしてきた。

 

「えっと……いいんですか?」

「ええ。契約もしっかり取ってくれているし、始めたばかりのトレーニングもしっかりこなしているからそのご褒美よ」

 

そう言って部長は俺の左手を掴むと自分の胸のあたりに持っていこうとする。

 

《あー、相棒。昨日の事を夢で思い出しているところすまんがそろそろ時間だ、起きろ》

 

俺の手が部長のおっぱいに触れる1センチ手前でドライグの声が頭に響き、同時にそれまで見えていた部長の姿やベッドの感覚が一瞬で消失。その代わりにドライグ本来の姿である巨大な赤龍が現れ、それまで見ていたモノが夢である事を認識しながら目覚めの感覚に従うのだった。

 

 

 

 

 

―○●○―

 

 

 

 

 

PIPIPIPI!! PIPIPIPI!! PIPIPIPI!!

 

 

自身の内側からだけでなく、目覚まし時計の無機質なアラームを部屋中に鳴り響かせる事で確実に目を覚まさせる。

 

(もう時間か。……慣れってのは恐ろしいな。ドライグ、助かった)

《気にするな相棒。お前が禁手(バランス・ブレイカー)へ至った事で体から発せられるドラゴンの力は以前より強くなった。それに惹かれていつ白いのや他の強者が現れてもおかしくない。トレーニングをしておくに越した事はないだろう》

 

ドライグに起こしてくれた礼を言いながら目覚まし時計に表示されている時間を確認すると、現在4時15分。少し前なら確実に寝ていた時間だったが、最近はそうでもない。何故ならここ10日程はこの時間に起床し、基礎体力向上を目的とした早朝訓練を行なっているからだ。

 

ジャージに着替えながら、夢の内容を思い出す。

 

部長とああいった話を昨日したのは事実であり、現実でも部長の胸を触る直前にアーシアが俺の見舞いに来てご褒美を貰えなかった微妙に悔しい思い出だ。

 

(あの後アーシアに事情を説明して、一応納得はしてもらえたのは不幸中の幸いだったな)

 

そうでなければ、アーシアは俺と部長の関係を盛大に勘違いしていただろう。

 

それにドライグの言葉が事実なら、白龍皇を筆頭にしたとんでもない強さを持つ者が現れたとしても何らおかしくはない。

 

出来る事ならそういった連中には禁手化(バランス・ブレイク)可能時間が十分に伸びてから現れて欲しいが、こればかりは相手の出方次第なので地道に鍛錬を続けて少しずつ強くなっていくしかない。

 

そんな事を考えながら着替えを終えると、両親を起こさないように注意しながら玄関へ向かい、外に出る。

 

「おはよう、イッセー」

「おはようございます、部長。今日もよろしくお願いします」

 

それと同時にタイミング良く部長が自転車で我が家の前にやってくるので挨拶を交わし、まだ日が登りきらない住宅街の中を二人で走り出すのだった。

 

 

 

 

 

夜に実力を発揮する悪魔である俺が日が出る前から訓練を行なっている理由はかなりシンプルだ。

 

悪魔は日光に本能的な嫌悪感を持っている為、朝日が照らし始める前のこの時間から訓練を開始する事で肉体面だけでなく精神的にも強くなる事が可能らしい。

 

部長はトレーニングの類をする時は一切妥協をしない性格らしく、俺の為に組んでくれたトレーニングメニューは悪魔になって上昇した身体能力をもってしてもハードな代物になっている。

 

具体的には制限時間を設けた上で自宅から30キロ以上町内を走り回りながら学園近くの公園へ向かう。

 

公園到着後はダッシュを100本以上こなすが、ダッシュ1本にも制限時間が設けられており、それをオーバーしたら追加ダッシュをしなければならない。

 

それを終えてから各種筋トレをかなりの回数こなし、最後に疲労抜きのジョギングとして自宅まで向かうのが早朝メニューだ。おかげで毎日筋肉痛に悩まされているが、効果は着実に現れている。

 

昨日体育の時間に短距離や長距離のタイムを図ったのだが、短距離は以前と比べるまでもなくタイムが短くなっていたし、長距離もそれほど疲労を感じなかったので多少なりとも体力は増えているのが実感できた。

 

もっとも、その後すぐに体調不良を起こして保健室に担ぎ込まれてしまったので色々な意味で駄目すぎるが。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

そんな事を考えている内にゴールである公園へ到着したので敷地内へ入り、いつもダッシュをしている辺りまで歩きながら呼吸を整える。

 

「お疲れ様、イッセー。…さあ、ダッシュをやるわよ」

「了解です」

 

後ろで自転車を漕いでいた部長も俺が呼吸を整えている間に公園の入口近くにある駐輪場に自分の自転車を停めて合流したので、そこからダッシュを開始する。

 

それを終えると広場の一角で各種筋トレを始めるのだが、訓練メニューの中でこれが一番キツイ。

 

「イッセー。あなたの能力は高ければ高いほど意味がある。理由は説明するまでもないわね?」

 

腹筋と背筋は回数が多いだけなのでそこまで(つら)い訳ではないのだが、腕立て伏せはある意味で地獄だ。何故なら負荷を増やす為に部長が俺の背中に乗った状態で行う事になっており、女性一人の体重を両腕で支えきるのはかなりキツイ。

 

「うっす。……65…66…」

 

しかも腕立て伏せを行いながら部長の言葉に返答をする必要があるのだが、あまりに喋りすぎると集中していないと判断されて回数を追加される可能性があるし、正確なフォームで行わないと回数をカウントしない事になっているので、筋トレの中では一番キツいものになっているのだ。

 

正直に言えば部長のお尻の感触を心いくまで味わっていたいが、訓練中なので自制して腕立て伏せを続ける。

 

「うーん、そろそろ来てもおかしくないんだけれど……」

「108…誰か……109…来るんですか?」

 

しばらくそうしていると部長が疑問を口にしたので質問をしてみる。

 

「部長さーん、イッセーさーん、遅れてすいませーん……はぅっ!!」

 

 

ドタン!!

 

 

その直後に聞き覚えのある声が周囲に響き、その直後に何かが地面に倒れる音が聞こえてきた。

 

(アーシア、かな? ノルマが終わったら確認しておくか)

 

声だけで誰が来て何が起こったのか容易に想像できた。地面に倒れているであろうアーシアには悪いが、気兼ねなく話をするために腕立てのノルマをこなし終えるのを優先させてもらうことにした。

 

 

 

 

 

「イッセーさん、お茶です」

「ありがとなアーシア。助かるよ」

 

腕立てのノルマを終えると水筒持参で公園にやって来て俺のトレーニングを見てたアーシアからお茶を受け取り、それを飲みながら一息つく。

 

悪魔である事を前提として組まれたトレーニングメニューだけに一通りこなすと全身に軽い痛みが頻繁に襲いかかってくる。そうなるとアーシアの持つ神器・聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)による癒しを受けたくなるが、今感じている痛みそのものが筋肉の成長している証なので自重する。

 

「そういえばアーシア、どうしてここに来たんだ?」

「昨日、イッセーさんが部長さんと一緒にここでトレーニングをしているって教えてくれたじゃないですか。それで、私もイッセーさんのお力になりたいと思ったんです。今日はお茶くらいしか用意できませんでしたけど、今後は私にもお手伝いできることがあったら言ってくださいね」

 

アーシアはそう言いながら微笑みかけてくる。その言葉を聞くと俺としてもやる気が出てくるが、今日残っているトレーニングは疲労抜きを兼ねたジョギングだけなので、ほとんど終わっているのも同然なのだ。

 

「わかった、何かあったら言わせてもらうよ。その代わりってわけじゃないけど、アーシアも普段の生活で何か困った事があったら言ってくれ。俺でよければ可能な限り力になる」

「わかりました。本当に困った事が起きたらそうさせてもらいますね、イッセーさん」

 

そんな感じにアーシアと話をしながら部長の方を見てみると、アーシアから受け取ったお茶を飲みながら何か考え事をしているようだった。

 

「部長、どうかしたんですか?」

「……いえ、なんでもないわ。それより、ちょうどいいわね。今日にしようと思っていたから、このまま3人でイッセーのお家へ行きましょうか。もう荷物も届いているだろうしね」

(荷物? 一体何のことだ?)

 

部長の言葉を怪訝に思っている間に二人は移動を開始したので俺もあとに続くが、その疑問はすぐに解消されることになった。

 

 

 

 

 

―○●○―

 

 

 

 

 

疲労抜きのジョギングをしながら帰宅すると、玄関前に送り主の名前すらない真新しい無地のダンボール箱が積み置かれていた。

 

「これは、一体……」

「さあイッセー、これを部屋に運んでおあげなさい」

「このダンボール、部長が送ったんですか? 運び入れてもいいですけど、中に何が入っているかだけ教えてもらえませんか?」

 

家の中に運ぶのは筋トレ代わりになるので問題ないのだが、可能性が低いとはいえ危険物が入っている可能性もあるので送り主らしい部長に中身が何か質問しておく。

 

「アーシアの荷物よ。危険な物は一切入っていないから安心しなさい」

「アーシアの!?」

 

アーシアの荷物と聞いて驚きを隠しきれない俺をよそに、部長は追討ちの一言を告げてくる。

 

「そうよ。今日からアーシアはあなたの家に住むの」

「よ、よろしくお願いします、イッセーさん」

 

部長の一言の後におどおどしながら一礼してくるアーシアを見ながら、俺は突然の出来事に驚くことしかできなかった。

 

 

 

 

 

アーシアの件は俺の一存で決める事は不可能なため、両親を交えた家族会議が朝早くから開かれることになった。

 

アーシアが学園に在学する約2年という長い期間のこと故に両親を説得するのはかなり難航するだろうと予想していたのだが、どうにも風向きは部長有利の状況になっていた。

 

「――。お父様、お母様、そういう事情でこのアーシア・アルジェントのホームステイをお許し下さいますか?」

 

部長は明らかにこの手の交渉事に慣れた様子でアーシアがホームステイ先として我が家を選んだ理由を説明していたのだが、その内容はアーシアが悪魔に転生する事になった先日の事件から堕天使や神器といった一般には信じがたい要素を抜いたモノだった。

 

両親は部長からの説明を聞いてアーシアをまじまじと見つめ、時折俺の方にも視線を向けながら何かを耳打ちしながら話し合っていた。

 

「アーシア……さんでいいかな?」

「はい、イッセーさんのお父様」

 

父さんから話しかけられるとアーシアは緊張した面持ちで返事をする。

 

「お、お父様……ゴ、ゴホン。家の息子が君を助けたようだが、それを理由としてホームステイ先とするにはいささか不適切ではないか? ただでさえこの時期の高校生は自己の欲求に素直だ。イッセーも例外ではない。息子を慕ってくれるのは嬉しいが、うちよりも同じ女の子がいるお宅の方がいいんじゃないかな。何かあったあとでは申し訳が立たない」

「そうよ、そうよ」

 

アーシアの言葉に一瞬頬を緩めかけた父さんだったが、言っている内容は至極真っ当なものだった。俺としても今のところアーシアを性的な対象として見ていないが、何かのはずみでそういった対象として見始めたら抑えきれるか微妙なところだ。両親としても、俺とアーシアがそういった関係になった場合を危惧しているのだろう。母さんも父さんの言葉に相槌を打っている。

 

「では、このアーシアが娘になるとしたらどう思われますか?」

 

だが、部長は両親の拒否にも動じず笑顔で意味深な言葉を発した。

 

「……どういうことかな?」

「お父様、アーシアはイッセーのことを深く信頼しております。私も同様ですわ。それに、イッセーの自らだけでなく友の為に向かってくる困難を切り開く事を目的に行動する際の冷静に思考し、前へ前へと突き進むその姿は大変勇ましいものと思っています。私もアーシアもイッセーのそのようなところに惹かれています。特にアーシアは。ねぇ? アーシア」

「は、はい!! イッセーさんは私を命懸けで助けようとしてくれました。私の命の恩人です。――」

 

父さんがその言葉に反応すると、部長は突然俺の事を褒め始め、アーシアもどれだけ自分が普段の生活で俺に助けられているかを話し始めた。

 

しかも話し方が過大評価気味なのでどうにも気恥ずかしく、両親もその話を聞いてまんざらでもない様子になっていた。

 

「少々大げさな表現になりましたが、イッセーの学園での生活を理解していただけたと思います。それに、お二人の懸念も理解できないわけではありません。仮にイッセーがそういった事柄に興味を持っていたとしても、双方の同意がない限り行為に及ぶ事はないと私もアーシアも信じております。もしこれでも納得出来ないと仰られるようでしたら、今回のホームステイは花嫁修業を兼ねて――というのはどうでしょうか?」

「「花嫁!?」」

 

その発言は予想外もいいところだったため俺も部長の方を向いてしまうが、当のアーシアは疑問符を浮かべたままだった。

 

 

ぶわっ

 

 

しかも突然親父が泣き出し、涙を拭いながら口を開いた。

 

「イッセーがこんなのだから、父さんは孫の顔を見るのがかなり遅れることを覚悟していた。最悪独り身のお前を心配しながら老後を暮らすことになるのかとも思っていたよ……」

 

突然親父殿はとてつもなく失礼な、それでいて悪魔化していなければ実現していた可能性の高い未来予想図を語りだした。

 

「母さんもね、20代の間にイッセーがお嫁さんをもらうのは諦めてたの。ここいらじゃ評判が最悪に近いし、学校では隠してるみたいだけどクローゼットの奥のプラモデルの箱の中にエッチなDVDを隠してる位のスケベだし」

 

母さんもハンカチで目元を拭っていたが、聞き捨てならない事を聞いてしまった。

 

「ちょっと待てい!! いい話だなー的雰囲気に浸ってるとこ悪いけど、俺の評判をガッツリ落とすような発言は自重してくれると嬉しいんだけど!?」

 

俺にも外面(そとづら)を気にする羞恥心くらい持ち合わせてるんだから、憧れの女性と仲がいい女友達の前で秘蔵コレクションの場所と本性を暴露するのは勘弁してくれ!!

 

「アーシアさん。こんな息子だけど、よろしくお願いできるかい?」

「そんな……イッセーさんはダメな方なんかじゃありません。とても素敵な方ですよ?」

 

だが、アーシアは母さんの言っていた言葉の意味を理解していなかったらしく、父さんの質問にいつものような微笑みを向けながら返事をしていた。

 

「アーシアちゃん、いい子ねぇ……」

 

母さんもアーシアの返答を聞いて嗚咽を漏らしながらそう言い、ドラマの1シーンような雰囲気になっていた。

 

「リアスさん!! アーシア・アルジェントさんを我が家でお預かりしますよ!!」

 

父さんもアーシアの優しさが気に入ったらしく、当初の否定的意見から完全に手のひらを返して快諾していた。

 

「ありがとうございます、お父様。というわけでイッセー、これからアーシアをよろしくお願いね。アーシア、これからイッセーのお家にご厄介になるのよ。失礼のないように。イッセーの親御さんとも仲良くしなさい」

 

部長は父さんの言葉を聞いて微笑みながら、俺とアーシアに一言ずつ言葉をかけてくる。

 

「本当によろしいのでしょうか? 私なんかがご厄介になるなんて……ご迷惑じゃ……」

「大丈夫だよ、アーシア。間違いなく父さんも母さんも喜んでる。っていうか、この分だと多少の迷惑くらいは喜んで引き受けると思うぞ」

 

困惑するアーシアに声をかけながら横目で両親を見るとかなり会話が飛躍しており、孫がどうのと言い始めているくらいだった。

 

「イッセーの言うとおりよ、アーシアちゃん。生活に足りないものがあったらどんどん言って。我が家と思ってゆっくり日本に慣れていってちょうだい。これから永住するかもしれないんだから」

「そうだぞ、アーシアちゃん。迷惑だなんてとんでもない。これからもイッセーと仲良くしてくれ」

 

母さんはランランと輝く笑みでアーシアにそう告げ、父さんもアーシアの懸念を解消するためにそう言う。どう考えてもアーシアを俺の嫁にさせるつもりのようだ。

 

「ほら。お父様もお母様もこういっているのだから安心なさい、アーシア」

 

アーシアはキョトンとした表情で部長の笑顔を一度見たあとに両親の方を向き、二人とも心の底から微笑んでいることを認識するとやっと笑顔を見せる。

 

「わかりました、部長さん。お話の途中でわからないところもありましたが、イッセーさん、イッセーさんのお父様、イッセーさんのお母様、不束者ですがこれからよろしくお願いします」

 

こうしてアーシアは俺の家に住むことが決まったのだった。

 

「…………花嫁、ね」

 

その立役者たる部長は少しだけ寂しげな表情を浮かべながら、本当に小さな声でそう呟く。

 

「どうかしたんですか、部長?」

「……なんでもないわ、イッセー。それより、登校の準備をしましょう。急がないと遅刻してしまうわ」

 

その表情がやけに気になって部長に声をかけるとすぐにいつもどおりの表情になった。

 

(何か花嫁に思い入れでもあるのか? んー、わからん)

 

部長が何を思っているか考えてみるが、その時になって学園生活を共に送っていたおかげで『リアス・グレモリーという個人』についてはある程度知っているものの、『悪魔としてのグレモリーの中で部長がどのような立場にいるか』を殆ど知らない事に気づく。

 

(後で朱乃さんか小猫ちゃん、木場に聞いてみるかね。あの3人なら何か知ってるだろ)

 

部長が何か困っている事のなら力になりたいので、昼休みか放課後に3人の内の誰かのもとへ向かうことに決め、俺は急いで登校準備を始めることにした。




そんなわけで、今回はここまで。

今回から原作2巻のエピソードになります。

トレーニングも地味に厳しくなってますが、これはイッセーが原作よりも成長しているからです。

次回も明日の同じ時間に更新しますので、お待ちください。
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