もしドラ~もしもドライグが早く目覚めていたら~ 作:ショウゴ
ひとまず、本編をどうぞ。
奇襲をかけてきたライザーチームの
『ライザー・フェニックス様の「
確定リタイヤを通達するグレイフィアさんの校内アナウンスが流れたのだ。
俺と小猫ちゃん、部長とアーシアはそれぞれ移動中で、朱乃さんは相手
これで人数差は9対6。まだ人数的には不利ではあるが、それでも確実に相手チームの戦力は減らす事ができているので、油断せずに一人ずつ倒していくとしよう。
ガッ!!
そんな事を考えながら運動場の隅にある体育用具を収める小屋の近くに差し掛かると、小屋の陰から伸びてきた手が俺と小猫ちゃんの腕を掴んで引き寄せてきた。
「っ、このっ!!」
「っ!!」
ここは相手チームの領域なので、俺も小猫ちゃんも大急ぎでその手を振り払い、即座に反撃できるよう身構える。
「二人とも、僕だよ」
敵からの奇襲と思ったのだが、俺達の腕を掴んできたのは相変わらずの爽やかスマイルを浮かべた木場だった。
「お前なぁ、驚かせるんじゃねえよ」
「敵だと思って、殴るところでした」
合流の方法がいささか強引過ぎるので、俺も小猫ちゃんもその事に対する愚痴を漏らしてしまったとしても文句はないはずだ。
「驚かせた事は謝るよ。ただ、この先は運動場方面を指揮している向こうのチームメンバーの警戒網の範囲内だから、突入前に相手の情報を共有しておくべきだと思ったんだ」
「わかった。そういう事なら、運動場に残ってる相手チームのメンバーについて教えてくれ」
「よろしくお願いします、祐斗先輩」
木場の言う事はもっともなので、しばらくの間は素直に聞き役に徹するとしよう。
「うん。まず、ここを仕切っているのは『
「そのけしかけられた兵士3人を返り討ちにしたのが、さっきのリタイヤアナウンスってわけか」
「その通り。幸い、兵士達を一網打尽にした時も手の内を見せずに済んだから、向こうのチームに僕の情報は漏れていないはずだよ」
「つまり、俺達のチームで確実に情報が漏れているのは
汎用性のある木場の
「それを言うなら、部長と一緒に行動しているアーシア先輩が非戦闘要員である事もバレていると考えた方が良いです、イッセー先輩」
「それもそうか。新校舎への侵入ルートも実質的に1つだけだから相手チームの残りメンバーも確実に増援に来るだろうし、今運動場に居る3人は手早く無力化したいところだな。木場はどう動くべきだと思う?」
盲点があってはいけないので、木場にも意見を求めておく。
「僕の考えかい? 今イッセー君が言っていた事と同じだから、異論はないよ」
「うし。それなら早くここを出て、相手を倒しに行くか。いつまでもここに居たら、相手の
「そうだね」
「はい」
目先の方針も決まったので小屋の陰から出ようとしたところ、ここからでも見渡す事が出来る野球用グラウンドの中央に人影が見えたので、手を上げて二人を押しとどめる。
「私はライザー様に仕える『
西洋風の甲冑を纏った女性騎士が、堂々とした態度と小屋まで聞こえるほどの大声で叫びながらこちらを挑発してきた。
俺達から狙い撃ちされる可能性を考慮していないわけではないのだろうが、それでも挑発してきた豪胆さは中学時代に『挑まれる』側に立っていた身としては共感したくなる部分もあった。
「名乗られてしまったら、『騎士』として、剣士として、隠れてるわけにもいかないか」
挑発を聞いた木場も部長の『騎士』としての矜持に触れるものがあったのか、口元に笑みを浮かべながらそう呟くと、野球用グラウンドへ向かっていった。
「ああされたら、出ていくしかありませんね。行きましょう、先輩」
「だな。ブーストスタート」
小猫ちゃんもどこか呆れながらグラウンドへ向かっていったので、俺も先程使い切った力を再び増幅させながら後に続く。
「僕はリアス・グレモリーの眷属、『
「俺は『
「『
盛大に挑発してきた女性騎士に相対した俺達は、それぞれ名乗る。
「正々堂々と現れてくれた事に敬意を表し、改めて名乗ろう。私はライザー様に仕える『騎士』カーラマイン。リアス・グレモリーの眷属悪魔にお前達のような戦士が居た事をうれしく思うぞ」
カーラマインさんは口の端を吊り上げながらそう言うと、剣を鞘から抜き放った。
「カーラマイン、君の相手は僕がしよう。個人的には尋常じゃない斬り合いを演じたいものだね」
木場もそれに応じるように鞘から剣を抜き放ちながら、生き生きとした笑みを浮かべた。
「よく言った、リアス・グレモリーの『
カーラマインさんのその言葉と共に二人同時に駆け出し、非強化状態では消えたとしか思えないとんでもないスピードでの剣撃戦が始まった。
「お前達二人はヒマそうだな」
「頭の中まで剣で塗りつぶされた者同士の戦いなど、泥臭くて堪りませんわ。カーラマインったら『兵士』達を
おまけに顔の半分ほどを仮面で隠した女性と、ドレスを着た金髪縦ロールの美少女――事前調査によれば、『戦車』と『僧侶』だ――まで現れた。
木場と戦闘を始めた『騎士』のカーラマインさんを含めれば、『元から運動場に配置されていた相手戦力』が全員集まった事になる。
「先輩。『戦車』は私が受け持つので、『僧侶』の相手をお願いします」
「ああ。よろしく頼む、小猫ちゃん」
体育館を消し飛ばした直後に譲渡した分は殆ど消費されていないはずなので、仮面を被った戦車さんの相手は小猫ちゃんに任せておくとしよう。
「あら、私は戦いませんわよ? イザベラ、この二人の相手を頼みますわ。……それにしても、リアス様も殿方の趣味が悪いですわね。こちらの兵士さんを可愛がっているようですが、そこまで庇護欲はそそられませんわ」
もっとも、俺の相手となるはずの『僧侶』の美少女さんは俺を一瞥して部長への批判を口にしながら炎の翼を広げると、野球用グラウンドから新校舎へ向かう小道のあたりまで身を引き、そこから俺達の様子を見守りだした。
「元よりそのつもり。さあ、『兵士』と『戦車』よ、思い切り戦い合おう」
名前を呼ばれた『戦車』のイザベラさんも『僧侶』の頼みをあっさりと了承すると、2対1の自身が不利なはずの戦いにやる気を滾らせていた。
「1つ教えてください。あの『僧侶』、やる気が全く感じられませんでした。どうしてそんな仲間の言う事を聞くんですか?」
それは小猫ちゃんも疑問に感じたらしく、訝しげな表情でイザベラさんに理由を問いかけた。
「気にしないでくれ、といっても無理な話か。彼女は――いや、あの方はレイヴェル・フェニックス。特別な方法でライザー様の眷属悪魔とされているが、ライザー様の実の妹君だよ。そういう訳で、今回の戦いも殆ど観戦しているだけだ」
どうやら根はかなり優しい人らしく、イザベラさんは苦笑しながら『僧侶』の身の上を紹介してくれた。
「なっ!?」
「うへぇ……」
その説明を聞いて俺も小猫ちゃんも驚きを隠しきれず、思わず声を漏らしてしまうが、抱いた感想は間違いなく別のものだろう。
「ライザー様いわく、『妹をハーレムに入れる事は世間的にも意義がある。禁忌とされる近親相姦に憧れたり、羨む者は多い。まあ、俺は妹萌えじゃないからカタチとしての眷属悪魔って事で』だそうだ」
どこか淡々とした口調でライザーが実妹を眷属にしている理由を教えてくれるイザベラさん。
当のレイヴェル嬢も俺達が驚きの表情を浮かべている姿を遠目から見て自分の出自を知られた事を悟ったらしく、暢気に手を振ってきた。
一介の女好きとしてはライザーの言い分に頷きたい部分があるのは確かだが、それ以上に自分のエゴの為だけに妹の一生に関係するであろう事柄を若い内から決めさせたライザーの強欲さに対する嫌悪感の方が強かった。
「最低。――イッセー先輩。先程も言いましたが、この人は私が受け持つので、先に進んでとっとと不死鳥を倒してきてください」
小猫ちゃんもイザベラさんの説明を聞いて心の琴線に触れるものがあったのか、怒りと不快感が混ざった声色でそう呟きながら、俺とイザベラさんの間に割り込んだ。
「生憎だが、それはさせられんな。赤龍帝はここで倒すか、少なくとも体力を限界まで消耗させておけとライザー様から命令を受けている。貴様達には――」
「そちらの都合を聞く気はありません」
小猫ちゃんはそう言いながらイザベラさんに肉薄し、譲渡で増幅した悪魔としての身体能力と持ち前の短躯を駆使して一瞬で腕拉ぎ十字固めを極めた。
「――ぐうっ!?」
「今のうちに行って下さい、先輩」
「わかった!! 木場もやられんじゃねえぞ!!」
相手が立った状態で関節技をかけている以上はそう長く続けられないはずなので、このままイザベラさんの相手を小猫ちゃんに任せ、木場にも一声かけて新校舎に向けて走り出す。
「なっ!? あなた、仲間がどうなってもよろしいの!?」
その途中で一人優雅に俺達の様子を見ていたレイヴェル嬢が驚きを隠そうともせずに話しかけてくるが、それこそ見当はずれな意見だった。
今回のゲームで俺達が勝つには不死性を備えるライザーの精神を疲弊させられるだけの攻撃力が必要不可欠であり、仲間内でその条件をクリアしているのは俺だけなので、部長が意図していないところでしっかりとした役割分担が出来ていた。
倒されてはならない『
無論、情愛深い主である部長からすれば木場達3人を捨石にするつもりは欠片もないのだろうが、今回のゲームで部長が選んだ戦略でより確実に、合理的に勝利を目指すのであれば、『
「そっちこそ、仲間だけじゃなくて自分の心配をするんだな。こっちの『
そういった事情を抜きにしても、小猫ちゃんがああまでやる気を見せる姿は初めて見る。今戦っているイザベラさんを倒し終えたら、一応は戦力に数えられているレイヴェル嬢に襲い掛かってきてもなんらおかしくないだろう。
「ついでに1つ忠告しとくと、俺個人の手札の1つに俺が触れたと判断した相手の服を跡形もなく弾き飛ばす魔力がある。裸にひん剥かれたくなければ、触らない方がいいぞ」
「っ!?」
レイヴェル嬢との距離が縮まる前に彼女への牽制として
「お待ちなさい!! いくらあなたが伝説にうたわれる赤龍帝とはいえ、不死身の私達に勝てると本当に思っていますの!? 無駄な事はおよしなさいな!!」
『ドラゴンを舐めるなよ、小娘。本当に無駄かどうか、貴様の身をもって思い知らせてやってもいいのだぞ?』
彼女なりの親切心なのかこちらを気遣うような言葉を投げかけてきたが、その内容は明らかに赤龍帝を貶めるモノだったのでドライグの怒りを買い、レイヴェル嬢の横を通り過ぎる最中に籠手を展開している左手からドライグ自身の言葉と共に彼女に向かって盛大にドラゴンのプレッシャーが放たれた。
「ひっ!?」
その気配に当てられたレイヴェル嬢は声を漏らしながら慄いていたので半ば彼女を無視する形で横を通らせてもらい、僅かに聞こえてくる金属同士がぶつかる音を背にして新校舎へ向かう。
「なっ、赤龍帝だと!?」
「しかも1人だけ!?」
「イザベラ姉さん達は!?」
「3人とも落ち着きなさい!! 伝説にうたわれる者であろうと、相手は1人。4人でかかれば倒せるはずよ!!」
その途中で運動場に向かっていたと思しき『兵士』2名と『騎士』と『僧侶』各1名の合計4人と会敵したのは、予想の範囲内の出来事ではあった。
「ちっ」
もっとも、1度の戦闘で4人を同時に相手取るのはかなり骨が折れるので、手早く終わらせる為にも先程から増幅させっぱなしにしていた力でこの場を切り抜けられるかを確認する為に籠手の宝玉に視線を移してみると、かなり短い間隔で点滅を繰り返していた。
『Explosion!!』
どうやら力の貯まり具合は十分な様なので、相手への誘いも兼ねて一度足を止め、貯め込んだ力を全身に行き渡らせる。
「くっ!! だが、力が増したところで手数までは補えきれまい!!」
「1人で先行してくるなんて、自殺行為よ!!」
「倒れろ!!」
「援護するわ!!」
背中に背負っていた刀身の幅が広い大剣を抜き放った『騎士』と戦闘用とは思えない下乳と腹が丸出しのセーラー服もどきを着た猫耳獣人系の『兵士』2名は、俺の纏うオーラが増した事で能力が増大した事を察したようだが、自分達の数の有利を信じたのかそのまま突撃してきてくれた。
後衛としてその場に残った十二単のような和服を着た『僧侶』から援護として放たれる魔力攻撃と、見た目相応の重量と攻撃力がありそうな大剣による『騎士』の薙ぎ払いをそれぞれ回避し、猫耳『兵士』2名の攻撃は洋服崩壊の発動条件を満たす為にあえて受ける。
「
事前に能力全般が強化されているので、多少殴られたり蹴られたりした程度ではダメージは殆どないし、条件を満たした『兵士』二人は服の面積も少なく裸もイメージしやすい為、即座に魔力を発動させる。
ビリッ、ビリビリイッ!!
「「えっ? きゃああっ!!」」
「眼福だけど、そのまま沈んでくれ」
下乳丸見えの時点でわかっていた形のいいおっぱいなどが一瞬で晒された事に『兵士』達が驚くが、元の衣装の露出度の高さから裸のまま襲い掛かってくる可能性も否定しきれないので、がら空きのボディに拳を叩き込んでおく。
ドゴッ、ドゴン!!
「ぐうっ!?」
「ごふっ!?」
猫耳『兵士』達はダメージの重さに耐えかねたのか、殴られた腹を抱えてその場に蹲った。
「おまけだ」
そこまでやっても『兵士』達がリタイヤする気配が無いので、ダメ押しとして延髄の辺りに手刀を叩き込む。
ゴッ!!
「がっ!?」
「うっ!?」
急所に攻撃を受けた『兵士』達はうめき声を漏らしながら倒れ伏すと、体育館で見たマリオンさんの時と同じように全身が青白い光に包まれ、砕け散るように消えていった。
『ライザー・フェニックス様の「
そのままリタイヤの確定を告げるグレイフィアさんのアナウンスも入ったので、間髪入れずに遠距離から魔力を使って援護をしてくるのが
お互いの距離が離れているので、俺が使える現状唯一の魔力攻撃『ドラゴンショット』――いつまでも『ドラゴン波もどき』では格好がつかないし、発動させる際のイメージも曖昧になってしまう為、その補強も兼ねてこの魔力攻撃にも安直ながら正式名称をつけておいた――を撃つ事も考えたが、射出方向に新校舎がある関係上、増幅状態でショットを打って校舎を崩落させてしまい、部長の戦略に支障をきたしてしまう可能性を否定できないので、多少手間だが直接叩く以外に選択肢が無い。
「
そんな事情を知ってか知らずか、俺が和服『僧侶』の元へ辿り着くよりも早く『騎士』が間に入り込み、勢いよく大剣を振り下ろしてきた。
《上へ跳んで回避した後、剣先を思い切り踏め!! それでこの『騎士』は詰みだ、相棒!!》
ゲームが始まってから沈黙を保っていたドライグが突然指示を飛ばしてきた。どうやら相当な好機らしい。
(わかった!!)
ボゴオッ!!
言われるがままに跳躍回避を行うと、空振った大剣が勢いよく地面にめり込む。
「らあっ!!」
そのまま地面にめり込みかけた相手の大剣を思い切り踏みつけ、剣を地面に埋める。
「ぐっ!?」
『騎士』は自分の想定以上に剣が埋まってしまった事に焦りの表情を浮かべながら剣を持ち上げようとするが、体勢を整える隙を与えるつもりは無いので、そのまま彼女の懐に飛び込む。
「吹っ飛べ!!」
ドゴォッ!!
そのままがら空きの腹にボディブローを叩き込みながら拳を捻ってダメージを与えると同時に、『騎士』を完全に無力化させる為に彼女の裸をイメージして洋服崩壊を発動させる。
「ついでに弾けろ、
ビリビリイッ!!
この人もボディラインがわかりやすい服装をしているので裸をイメージするのは容易く、殴られた勢いで吹き飛びながら服が弾け、全裸で地面に叩きつけられた。
「シーリス!! 服を弾け飛ばすなんて、なんて破廉恥な!! しかし、その技は触れられるか自分から触れない限りは発動できない様子。近づけさせなければ勝機はあります!!」
短時間で2度同じ技を見て美南風と呼ばれた『僧侶』さんは洋服崩壊の仕様を理解したらしく、俺を近づかせない為に大量の魔力を発生させて撃ち出してきた。
『リアス・グレモリー様の「女王」一名、ライザー・フェニックス様の「騎士」、「戦車」各一名、戦闘不能』
おまけに回避行動を取り始めると同時にグレイフィアさんからのリタイヤアナウンスが入るが、その中には朱乃さんの負傷退場を示すモノも含まれていた。
どうやら運動場での戦闘は俺達のチームが勝ったようだが、女王対決に関しては相手チームが勝ったようだ。
「どうやらそちらの『
俺の動揺を誘おうとしているのか、美南風さんは魔力で弾幕を張ったままこちらを煽るような言動で挑発してくるが、その手に乗る気は毛頭ない。
そもそもギフトで能力を圧倒的に強化された朱乃さんが倒されるとすれば、強化の持続時間が切れるまで粘られる以外は無いはずだ。
戦闘開始から経過した時間を考えれば、相手チームの誰かが所持しているであろう『フェニックスの涙』の内、生き残っている相手女王が所持していた分は使用せざるを得ない状況にまで持ち込ませたと考えてよく、朱乃さんは十分な仕事をしてくれたといっていいだろう。
問題があるとすれば、このままでは運動場にいるであろう木場・小猫ちゃんも倒された後、相手女王が俺の下にまで辿り着いてしまう可能性が高くなった点だ。
そうなってしまう時間的猶予もそれほど残されていない事は容易に想像できるので、この際多少のダメージには目をつぶってこの場を切り抜ける事を優先し、新校舎内に入ってとっととプロモーションをするとしよう。
「さて、どうだろうな!!」
顔や腹などの急所になりそうな場所は守りながら一直線に弾幕の中を突き進み、最短距離で美南風さんに肉薄する。
「なんですって!?」
それまでダメージを受ける事を避けていた俺が突然方針を変更した事に驚きの表情を浮かべた直後に弾幕を抜けきり、無防備になっている彼女に猫耳兵士達が退場した時と同じようにボディブローと延髄への打撃を叩き込む。
「ぐうっ!?」
うめき声を上げると同時に彼女も青白い光に包まれて消えていったので、裸にひん剥いて実質的に無力化した大剣使いの『騎士』を放置してそのまま新校舎に向かい、裏手から校舎内に入る。
ドクン!!
新校舎内に入った直後、俺の内側で『特性』が脈動した。
相手本陣周辺と言われていたので生徒会室周辺まで赴く必要があると思っていたのだが、どうやら『相手の領域』に侵入すればプロモーションは可能なようだ。
「プロモーション、『
それならば利用しない手はなく、早速盤上最強の駒である『女王』に昇格する。
「イッセー!!」
「イッセーさん!!」
その状態でライザーがいるであろう生徒会室へ向かっていると、その最中に聞きなれた声で名前を呼ばれた。
「部長、アーシア。無事でしたか」
「ええ。私達の方は敵とも会っていないから、かなり楽だったの。アーシア」
「はい。今すぐ治療しますね、イッセーさん」
「ああ、よろしく頼む」
僧侶との戦闘で少々無茶をやったので目に見える傷がある為、素直にアーシアの治療を受ける。
「イッセー1人のようだけど、祐斗と小猫はどうしたの?」
「運動場で小猫ちゃんから先に進めといわれたので、その場の戦闘を彼女に任せて先に進みました。おそらくですが、今頃朱乃さんとの戦闘を終えた相手の『女王』と戦っているはずです」
「――イッセー、ひとつ訊かせて。もしも今すぐ二人の救援に向かってと言ったら、聞き入れてくれる?」
どこか懇願するような眼差しで、部長がとんでもない質問してきた。
「申し訳ないんですが、そのお願いは聞けません。今の状態で禁手化すれば相手の『女王』も確実に倒せるでしょうが、ライザーと連戦になるので途中で体力が尽きます。そうなったら部長を勝たせられるか怪しくなるので、つらいでしょうけど二人の事は諦めてください」
部長としては木場と小猫ちゃんも助けて生き残っているメンバー全員でライザーの元に向かいたいのだろうが、そうした場合トドメを指すのを部長に任せたとしてもライザーに十分なダメージを与えられるかも怪しくなってしまうので、部長の為にもきっぱりと断らせてもらう。
「そう、よね。…………ごめんなさい、変な事を聞いて。ドライグ、今のイッセーの残り体力だと、どれくらい鎧を纏っていられるか教えてくれないかしら?」
『ダメージも殆どないから、纏うだけなら55分ってとこだな。戦闘中に使う倍率を調整すれば、現状の限界戦闘可能時間である15分フルで戦えるだろう』
どこか落胆した声色で話しかけられた部長に対して、ドライグは何も言わなかった。
『リアス・グレモリー様の「騎士」、「戦車」各一名、戦闘不能』
その直後に再びリタイヤアナウンスが発せられたが、内容は木場と小猫ちゃんの負傷退場を示すモノだった。
「っ!?………………イッセー、倒されてしまったあの子達の為にも、ライザーを倒してくれる?」
「ええ、何が何でも勝ちますよ。行きましょう、部長。アーシアもついてきてくれ」
「はい」
木場達が倒された事にショックを受けている部長の手を握りながら、俺達はライザーが待ち受けているであろう生徒会室へ向かうのだった。
そんなわけで、今回はここまで。
今回も微妙に洋服崩壊無双。ついでに戦闘のマッチングやシチュエーションなども変更してみました。
次回はライザーとの決戦になります。
また戦闘メインの回になるのでお待たせしてしまうと思いますが、ご容赦の程をお願いします。