もしドラ~もしもドライグが早く目覚めていたら~   作:ショウゴ

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お待たせしました。最新話が出来上がったので、投稿させていただきます。

今回は話の都合で途中で3人称視点に切り替わる場面があります。

3人称視点の文はあまり書いた事がないのでおかしいところがあるかもしれませんが、ご容赦いただけるとうれしいです。

それでは、本編をどうぞ。


20 レーティングゲーム その4 不死鳥打倒

部長の手を引いたまま3人でライザーが待ち受けているであろう生徒会室の近くまで到着すると、部長が自分から手を離した。

 

「手を引いてくれてありがとう、イッセー。でも、ここから先は1人で歩かせて。これ以上、中継映像を見ているであろうお父様達に無様な姿を見せるわけにはいかないもの」

 

どこか動揺した声色のまま、部長はそう言って先頭に立とうとしていた。

 

「――わかりました」

 

それを言われてしまうと、俺としても了承せざるを得ない。

 

「それじゃあ行きましょう。イッセー、アーシア」

「はい。アーシアは大丈夫か?」

「は、はい。怖いですけど、頑張ります」

「あと少しで終わるはずだから我慢してちょうだい、アーシア」

 

部長は緊張したままのアーシアにねぎらいの言葉をかけてから生徒会室へ向かい、扉を勢い良く開け放つ。

 

「決着をつけに来たわよ、ライザー!!」

「リアスと『僧侶(ビショップ)』、それに赤龍帝の小僧か」

 

勇ましげな声で入室した部長に対して、生徒会長用の椅子に座っていたライザーは物憂げな声色でそう呟いた。

 

「まさかこの俺がゲーム初心者にここまで追い詰められるとはな。正直言って予想外だよ、リアス。ここまで良く戦った」

 

ライザーなりの誠意の表れなのか、優しげな声色で驚くほど素直に部長を称えた。

 

「だからこそ、キミを勝たせるわけにはいかない。その力は、しかるべき地位の(もと)で振るわれるべき物だ。そちらの最大戦力である赤龍帝を打ち倒し、今後の悪魔社会の為にも今回の縁談は成立させてもらう」

 

だが、席を立ちながら発せられた言葉はあまりに傲慢なものであり、部長の思いを知っている身としては到底認めるわけにはいかなかった。

 

「絶対にいやよ。私は、私が良いと思った者を伴侶にしてみせる。その為に、このゲームは負けられないのよ、イッセー!!」

 

本物の部室での剣呑な話し合いの時と同じ言葉を発しながら、部長はライザーの言葉に異を唱えながら俺の名前を呼んだ。

 

「ええ。この不死鳥はぶっ倒しますよ、部長」

 

部長達に手を出させない意思表示を兼ねて、返事をしながら前に出る。

 

「俺の下僕達に対して、随分と好き勝手やってくれたみたいだな?」

 

洋服崩壊(ドレス・ブレイク)を使って眷属女子を裸に剥きまくった事を根に持っているらしく、ライザーは一層強い怒りを込めながらそう言ってきた。

 

「ああ、おかげで綺麗な裸体を大量に拝ませてもらった。そこは素直に感謝しとくよ、ライザー・フェニックス」

「そうか。それなら下僕達の裸の無断見物料として、俺の炎をたっぷり味わってもらうとしよう」

 

相手の冷静さを奪う為に煽ってみたが、それまでと態度を変えずに炎翼を展開して戦闘体勢に移行した姿を見る限り、さほど効果はないようだ。

 

「そいつは勘弁してもらいたいんで、あんたをボコって見物料は踏み倒させてもらいたいところだが、その前に場所を変えないか? ここで戦闘を始めると、お互いの攻撃の余波で建物を崩落させて部長を巻き込みかねない。それはあんたにとっても本位じゃないだろう?」

「確かに貴様の言うとおりだな。――いいだろう、場所を移そう。お互い後腐れがないよう、遮蔽物のない運動場で決着をつけようじゃないか」

 

部長とアーシアの安全確保をする為に提案してみたところ、ライザーも部長を過度に傷つけない為か、あっさりと頷いて炎翼の展開を解除しながら場所を指定してきた。

 

「ああ、それでいいぜ」

「では、移動するとしよう」

 

遮蔽物のない場所での戦いは望むところなのでライザーの提案を了承し、運動場へ移動する為に4人で生徒会室を出る。

 

「ライザー様!!」

 

すると服のところどころが裂け、少なくない傷を負ったライザーチームの女王(クイーン)、ユーベルーナさんがこちらに駆け寄ろうとしてきていた。

 

「ユーベルーナか。随分と手ひどくやられたようだな」

「申し訳ありません。しかし、どちらに向かわれているのですか?」

「リアスにいらぬ傷を負わせるわけにもいかんからな。業腹ではあるが、赤龍帝の小僧の提案に乗って外で決着をつけようとしたところだ。付いてくるか?」

「無論です」

「わかった」

 

そう言ってライザーは運動場全体を見渡せる位置の窓を開け放つと、再び背中に炎翼を展開した。

 

「小僧、リアス。俺はユーベルーナと共に先に行っているぞ。待たせるなよ?」

 

ライザーはそれだけ言うと、ユーベルーナさんをお姫様抱っこで抱えて窓から飛び出していった。

 

「二人はまだ飛べないから、私達は歩いていきましょうか」

 

部長が言うとおり、ゲーム前に行った合宿では基礎能力の向上とゲームに備えた修行で手一杯で、自前の翼を使って飛ぶ訓練までは手が回らなかったのだ。

 

「はい」

「ええ。ただ、今後の事を考えると練習はした方がよさそうですね。部長、また時間がある時に翼を使った飛び方を教えてもらって良いですか?」

「構わないわ。それじゃあ、行きましょう」

 

部長の了承を得ながら、俺達は歩いて運動場へ向かった。

 

「部長、アーシア。運動場に着いたら、危ないんで俺達から離れていてください」

 

運動場に出て新校舎から飛び去っていったライザー達の姿が視界に写ったところで一度立ち止まり、部長とアーシアに退避を促しておく。

 

「わかったわ」

「気をつけてくださいね、イッセーさん」

 

部長達も炎翼を展開しっぱなしでユーベルーナさんから離れた場所にいるライザーの姿を見て、素直に頷いてくれた。

 

「ありがとうございます。カウントスタート」

 

 

『Count Down!!』

 

 

これ以上近寄ったらすぐにでも戦闘が始まりそうなので、今の内に禁手化(バランス・ブレイク)のカウントを開始しておく。

 

「待たせるなと言った筈だが――まあいい。どうやらリアスに相当可愛がられているようだな、小僧。ここで貴様を潰せば、リアスを痛めつけずに投了させる事が出来そうだ」

 

5メートルほどの距離をとって相対すると、どこか安心した表情でライザーがそう呟いた。

 

「やれるもんならやってみろ、焼き鳥野郎。とっととテメエを潰して、このゲームもお終いにしてやるよ」

 

落ち着き払ったライザーの冷静さを奪う為に、初めて会った時からずっと言いたかった蔑称で再び煽ってみる。

 

「火の鳥と鳳凰、そして不死鳥フェニックスと称えられた我が一族を侮辱するか!! ならば貴様が侮るフェニックスの炎に焼かれて燃え尽きろ、小僧!!」

 

どうやら上手い具合に怒りのツボを突けたらしく、自らの身を火炎に包んでライザーが突撃してきた。

 

 

『Welsh Dragon Balance breaker!!』

 

 

それとほぼ同じタイミングでカウントも終わったので、俺も鎧を纏いながらキャパシティの都合で使えなかった3つ分の駒の力を上乗せする。

 

「テメエなんぞのチンケな炎で燃え尽きるほど、俺は柔じゃねえんだよ!!」

 

その状態で背部魔力噴射口から魔力を噴かせて俺からもライザーとの距離を詰めながら、今から始まる殴り合いに備えて奥歯を噛み締めておく。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

炎を纏ったライザーの拳が鎧の頬の部分を打ち据え、衝撃と共に高熱が襲い掛かってくる。

 

その熱量は敢えて防御力を強化しなかったとはいえ鎧越しでも伝わってくるほどに熱く、生身で受けたら奴の言うとおり燃え尽きる事になったとしてもおかしくない。

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 

「おらぁ!!」

 

そんな攻撃を貰いっぱなしで済ませるわけにはいかないので、即座に打撃力を最大まで増幅させてライザーが拳を引く瞬間を狙い、カウンターの右ストレートを奴の顔面に放つ。

 

 

バガンッ!!

 

 

「がはあっ!?」

 

本当に目に見えないガラスを殴り壊したような感触の直後に慣れ親しんだ生身の身体を殴った感触が拳に伝わり、それと共にライザーのうめき声が聞こえてくるが、ぶん殴った奴の頬の周辺が俺から魔力を使ったわけでもないのに炎に包まれていた。

 

「ぐっ……、なんて馬鹿力だ。たかが下級悪魔にこれほどの力を与えるとはな。伝説にうたわれたドラゴンの力、伊達ではないか」

 

謎の炎の様子を見る為にバックステップして一度距離をとると数秒で炎が治まり、どこか堪えた様子でライザーがそう呟いた。

 

《どうやらあの炎は奴の不死鳥としての力の顕現のようだな》

(つまり、あの炎を灯らなくなれば、奴の精神が相当疲弊している証拠になるわけか)

《だろうな。相棒、攻撃と防御への力の振り分けとペース配分を間違えるなよ? そこさえ間違わなければ、独力で奴を倒す事も不可能ではないはずだ》

(了解)

 

それを見たドライグの意見に同意しながら、方針を再確認しておく。

 

ライザーは受けたダメージの大きさに驚いてはいるようだが、まだ精神的な余裕があるのが見て取れるので、とにかく殴り続けてダメージを与えて少しでも奴の精神を疲弊させるとしよう。

 

「ああ。今からそのドラゴンの力、嫌ってほど叩き込んでやるよ、焼き鳥野郎」

「貴様、まだ愚弄するか!!」

 

 

『BoostBoostBoostBoost!!』

 

 

ライザーが再び怒りを滾らせながら炎翼を羽ばたかせて突撃してくるので、少しでもダメージを減らす為に鎧の防御力を上昇させる。

 

 

ガンッ!

 

 

その勢いをつけた打撃が再び鎧を打ち据えるが、防御力を上げておいたので伝わってくる熱と衝撃の量は明らかに減っていた。

 

「何っ!?」

 

おまけに殴った時の感触も違うらしく、ライザーの表情が驚愕に染まった。

 

「お返しだ!!」

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 

僅かとはいえ動揺している隙に再び打撃力を最大まで引き上げながら、ボディブローを叩き込む。

 

「ごぼっ!?」

 

それだけでライザーは苦悶の表情を浮かべながら口から大量の血を吐いた。

 

この様子を見る限りだと、今の状態で打撃力を最大まで強化すれば、相当量のダメージが入る見てよさそうだ。

 

「まだまだぁ!!」

 

拳を捻ってダメージを追加した後、間髪入れずに追撃の左フックを顔面に放り込む。

 

「ぐうっ!? 舐めるなぁ!!」

 

だが、ライザーも伊達に公式レーティングゲームに出場しているわけではなく、即座にカウンターとしてお得意の炎熱を伴った打撃を放ってくる。

 

「っづ!?」

 

攻撃直後のタイミングを狙われたので防御力の上昇が間に合わず、先程と同様に鎧越しとはいえ頬にかなりの衝撃と熱が直に伝わり、そのダメージで思わずうめき声をもらしてしまう。

 

「なるほど。先程殴った時はやけに鎧が硬かったが、身に宿しているドラゴンの力を防御に回したのか。だが、攻撃にも力を使う以上、自分から負担を増やしているも同然!! その様な力の使い方で、いつまで保つかな!?」

 

おまけに倍化の仕様も今までのやり取りで見抜いたらしく、手足に炎を灯した状態でそう言いながらラッシュをかけてきた。

 

「はっ、テメエを倒すまでに決まってんだろうが!!」

 

もっとも、禁手化して駒8つ分の力をフルに使えるだけでなく、女王(クイーン)昇格(プロモーション)した事で合宿の時以上に反応速度が上昇しているので、ラッシュも個々の攻撃をしっかりと認識できている為、ライザーに反論しながら炎を纏っていない部分を見極めて触れる事で全ての攻撃をいなす。

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 

その後、三度打撃力を最大まで強化して反撃の心臓打ち(ハートブレイクショット)を叩き込む。

 

「ぐほぁっ!?」

 

制限時間以外の仕様がバレてしまった以上、持久戦に持ち込まれたらこちらが不利なので、体力消費は半ば無視して短期決戦に臨むしかない。

 

「まだまだぁ!!」

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

『Transfer!!』

 

 

僅かに拳を引いてから開き、魔力を収束させてほぼゼロ距離で最大強化したドラゴンショットを放ち、ライザーの胸部中心から頭部にかけてを文字通り吹き飛ばすと、魔力の放射を終えると同時に消し飛ばした箇所が炎に包まれて人の形を作り上げ、炎が解けるとライザーの胸部から頭部が服ごと再生していた。

 

どうやら致命傷レベルの攻撃に対しては、完全再生に多少の時間がかかるらしい。

 

「きっ、さまぁ……。わかっているのか? 今回の縁談は、種の存続の危機に瀕している悪魔達の未来の為に必要で、大事な物なのだぞ!? それを潰す事がどれほど罪深いか、理解しているのか!!」

 

ほぼ一方的に攻撃され続けているからか、肉体の再生を終えたライザーは明らかに疲弊した様子でそう叫んだ。

 

「んな事知ったこっちゃねーよ。そもそも人間界の部室で部長に『ゲームで自分に勝ったら好きにしろ』って言ったのはテメエだろうが。なら、部長が勝った時の権利を使って縁談を破談にしても文句は言えねーと思うがな?」

 

この男に本音を伝える機会など早々ない事は初めて会った時の部室でのやり取りで思い知らされているので、個人的意見を正直に述べさせてもらう。

 

「それに、脈がない事は今までの部長の態度で理解できるだろうが。それを無視して我を通し続けたツケだ。今まで自分が部長に与えていた精神的ストレスがまとめて物理で帰ってきたと思って、素直に受けとけ、焼き鳥野郎!!」

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 

それだけ言ってから背部魔力噴射口から魔力を噴かせて一瞬でライザーに肉薄し、都合五度目の打撃力最大強化を施したボディブローを放つ。

 

 

ドゴン!!

 

 

「ごぼぉっ!?」

 

俺の拳が再びライザーの腹に叩き込まれると、ライザーは再び血反吐を吐きながらおぼつかない足取りで数歩後ずさった。

 

「ド、ドラゴンなんぞに……、この、俺が……」

 

受け入れがたい現実を拒むようにそう呟いた精神状態を表すかのごとくライザーは床へ後ろ向きに倒れると、今まで退場していった面々と同じように全身を青白い光に包まれ、砕け散るように消えていった。

 

『ライザー・フェニックス様、戦闘不能。「(キング)」が撃破されましたので、ゲーム終了です。このゲーム、リアス・グレモリー様の勝利となります』

 

先程までと全く変わらない淡々とした声色でグレイフィアさんからのリタイヤアナウンスと共に、部長の勝利通達が入った。

 

どうやら、無事に部長を勝たせる事が出来たようだ。

 

その事を認識しながら鎧を解除すると、無意識下での緊張も一緒になって解けてしまい、思わずその場にへたり込んでしまった。

 

《おいおい。勝者がそんな様子でどうする、相棒》

(これくらい勘弁しろ。勝ちは勝ちだ)

《……まあいい。俺も多少は溜飲が下がった》

(そりゃなによりで)

 

そんな感じでドライグと内面で話しつつ、こちらに近づいてくる部長達に手を上げて無事を知らせながら、俺は初めてのゲームでの勝利の余韻に浸るのだった。

 

 

 

 

 

―○●○―

 

 

 

 

 

主にグレモリー家とフェニックス家の関係者が集まる観戦ルームは、思わぬゲーム結果に唖然とした空気に包まれていた。

 

なにせ、両家共に『正真正銘のゲーム初心者』であるリアスが勝つ可能性など毛頭考えておらず、彼女が勝った時の段取りは全く決められていなかったからだ。

 

「ふははははっ!!」

 

そんな観戦ルームの空気を打ち破るように、心の底から楽しそうな笑い声が部屋中に響き渡る。

 

「サ、サーゼクス様。如何なされました!?」

 

観戦ルーム内にいる男性悪魔の1人が、突如として笑い声を上げた悪魔・サーゼクスの安否を気遣う。

 

年齢だけならば自分より年下の悪魔であるが、今笑っているのは自分達の(おさ)たる魔王の内の1人なのだ。その重要人物の態度が豹変した事に、男性悪魔は驚きを隠しきれない。

 

「おっと、失礼しました。フェニックス卿。予想を大きく外れるゲーム展開に、我慢が出来なかったものでして」

 

そんな気遣いをしてきた男性悪魔・フェニックス家の現当主に対して、魔王サーゼクス・ルシファーは自らの気持ちを素直に吐露する。

 

「しかしこうなると、縁談の破談は認めざるを得ないでしょうな。如何なされるおつもりですかな、グレモリー卿?」

 

血の繋がった『妹』の言いそうな事にアタリをつけながら、試すような口調でサーゼクスは紅髪の男性悪魔に話題を振る。

 

事実、中継が続けられているゲーム空間では勝者のリアスが今回の縁談の破談を求めて大声を上げていた。

 

「……どうもこうも、認めるしかないでしょうな。ライザー君を通して、『ゲームに勝ったら好きにさせる』事は我々も認めたのだ。それを反故にしたとあっては、悪魔としての名が(すた)る。フェニックス卿。今回の婚約、このような形になってしまい、大変申し訳ない。無礼承知で悪いのだが、今回の件は――」

「みなまで言わないでください、グレモリー卿。純血の悪魔同士、いい縁談でしたが、どうやらお互いに欲が強すぎたようだ。私のところもあなたのところも、既に純血種の孫がいる。それでもなお欲したのは、悪魔ゆえの強欲さという事にしておきましょう」

「いえ、私もあの子に自分の欲を重ねすぎたのでしょう」

 

二人ともゲームの結果を受け入れ、どこか憑き物が落ちたような表情で縁談の破談を了承しあう。

 

「それを気付かせてくれた彼には、礼を言わねばなりませんな。――グレモリー卿、無礼承知でひとつお願いをして構いませんかな?」

「縁談の内容に関する物以外であれば」

「ご安心ください。お願いというのは、あなたの娘さんの眷属一同と一度話をする機会を頂きたいのです。特に、兵藤君には直接お礼を言いたい。息子に足りなかったのは正真正銘の敗北だ。アレは一族の才能を過信しすぎていた。息子にとってもいい勉強になったでしょう。フェニックスは絶対ではない。それを学ばせる機会を得る事が出来ただけでも、今回の婚約は十分でしたよ、グレモリー卿」

「フェニックス卿……」

「あなたの娘さんは良い下僕を持った。これからの冥界は退屈しないでしょうな」

「ええ。…………しかし、私もこうして実力を目にするまでは伝説を侮っていましたよ」

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)。先の戦争中に同胞を多数屠ったアレがこちら側に来て力を振るっている姿は、こうして実際目にするまで信じ難いものですな」

 

フェニックス卿のその言葉には、同じく先の三勢力戦争を経験したグレモリー卿も頷かざるを得ない。

 

「ええ。いずれと言わず、既に白い龍(バニシング・ドラゴン)が目覚めていてもおかしくないでしょう」

「赤と白が出会うのは、時間の問題と言えるでしょうな」

「彼に伝えておくべきですな。……フェニックス卿。先程申された『お願い』、承りましょう。こうなった以上、私も一度娘と腹を割って話をしておくべきだ。彼らを正式に城に招き、お互い心行くまで話をしましょう」

「よろしくお願いします、グレモリー卿」

「どうやら決まったようですな。時間ができる様なら、私もその場に同席させていただくとしましょう」

 

こうしてリアスの縁談の破談は両家に認められ、同時にリアスとその眷属達との話し合いの機会を持つ事が彼女達のあずかり知らない所で決まるのだった。




そんなわけで、今回はここまで。

レーティングゲームはこれで一区切りとなりましたが、2巻分のエピソードはまだ続きます。
次回は今回の後処理エピソードの予定です。

エピソードの内容が内容なので、3巻のエピソードになるまで確実に戦闘描写は減ると思います。

また、原作と展開が違うので更新に時間が空くかもしれませんが、そちらもご容赦いただけたら幸いです。
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