ラブライブ!~オタク女子と九人の女神の奮闘記~【完結】   作:鍵のすけ

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これで最終話となります!

長い間応援いただき、本当にありがとうございました。
最後の最後までどうかお付き合いください!


最終話 オタク女子と九人の女神の奮闘記

 春夏秋冬を巡り、再びやってきたこの季節には二つの出来事が皆の前にやってくる。

 一つは新たな出会い、そしてもう一つは――別れ。

 思穂は現在、体育館でその準備を行っていた。

 

「思穂せんぱーい、この装飾ってどこでしたっけ?」

「あ、それは上に登って、あそこの手すりからあっちの手すりにまで掛ける奴だよ」

「ありがとうございます!」

 

 書類ファイルを小脇に抱えながら、思穂は卒業式準備の陣頭指揮を執っていた。穂乃果達は穂乃果達で相応の準備があるので、ヒフミトリオを始めとする有志達に手伝ってもらっての作業である。

 

「思穂ちゃん、この看板はどこだっけ?」

「あ、それ? 渡した紙に書いてある場所に置いておいて! それは卒業式が終わったらすぐに使えるようにするから!」

 

 フミコは片手を上げ、それに了承した仕草を見せてまた作業に戻っていった。その一連のやり取りを見ていたミカが思穂のところまでやってきた。意地悪そう笑みを浮かべつつ。

 

「いいの? これ下手すれば後で怒られるかもだよ? ていうか良くラブライブの本選があったのに練習する暇あったよね」

「うん、そこはまあ頑張ってもらったよ! ……これだけは、どうしてもやりたくってさ」

 

 言いながら、思穂はスマートフォンの画像フォルダからとある写真を一枚選択した。

 それは部室内で撮った記念写真。中央には『ラブライブ優勝』と書かれた大きな旗、そしてトロフィーを持っている穂乃果を中心に思穂を含めたμ'sメンバーが写ったものである。皆、とても清々しい笑顔で、喜びをこれでもかというほどに表現していた。

 

 ――『ラブライブ』優勝。

 

 これが、彼女達の輝きの集大成。あの日、彼女達は確かに伝説になれたのだ。会場を圧倒し、魅了したその結果、こうして今、思穂の携帯の画像ギャラリーの一員となっている。

 時計を見ると、卒業式まであと一時間ほど。スタッフが優秀なのもあり、すでに九割方の準備は出来ていた。

 

(まあ、卒業式だけの準備ならとっくに終わってたんだけどね)

 

 そう、思穂は自分の我が儘に皆を付き合わせていたのだ。事情を話すと、皆が二つ返事で快諾してくれたのも大きい。周りの優しさを噛み締めながら、彼女は自信をもって声を張り上げられた。

 

「しっほちゃーん!」

「おお、穂乃果ちゃん。お疲れ様です!」

 

 穂乃果を先頭に、海未とことりがやってきた。来て早々、海未は会場を見回し、色々と察した様子であった。

 

「気合、入っているようですね?」

「うん! ……皆には、せっかくあのラストライブで完全燃焼してもらって悪いんだけどね」

「それは言いっこなしですよ」

 

 海未の言葉をことりが引き継いだ。

 

「そうだよ思穂ちゃん、ちゃんと皆もやりたいって言ってたんだから大丈夫っ!」

「ことりちゃん……君はなんて天使な子なんや……!」

 

 彼女の笑みが大天使の微笑に見えた思穂は、一瞬手を合わせそうになったが、そうすれば完全に変な人扱いされてしまうので、とりあえず抱き着いておいた。それはもう、大天使コトリエルの抱き心地は最高であった。

 

「さぁて……私はちょいと席を外させてもらうね」

「どこ行くの?」

「野暮用ー!」

 

 そう言いながら、思穂は体育館を後にした。

 廊下を駆けている最中、ふと中庭を見ると、探していた人物一人目に出会えたので、思穂はすぐに向かった。

 

「やあ希ちゃん。今日はいつも以上に大人っぽい髪形で思穂ちゃん正直メロメロだよ」

「思穂ちゃん……」

 

 屈んで花を眺めていた希が立ち上がると、一つに纏められ、左側に垂らされた三つ編みのおさげが揺れた。いつもの二つおさげも良かっただけに、更なるギャップを感じる。ギャップ萌え、そんな言葉が、思穂の脳裏をよぎった。

 

「どうだった、三年間は?」

「ふふ、言わなくても分かってくせに」

「愚問だったね」

 

 空を見上げながら、希は言う。

 

「本当に奇跡だった……。エリちに会えて、μ'sの皆に会えて、そして思穂ちゃんに会えたのが。ウチ、本当に楽しかったんよ? いつまでもあの中で笑っていたいって本気でそう思えた」

「うん、私もだ! だから卒業なんてなくなればいいのにね!」

「あはは! それじゃあ思穂ちゃんはいつまでも二年生のままやよ?」

「うわあ! それは嫌だなぁ! なんかこう……頼れるお姉さんキャラを維持するためには三年生っていうポジションはぜひとも欲しいところだね!」

 

 一瞬の沈黙。言葉ではなく、心で通じ合っている。思穂は無言で右手を差し出した。

 

「卒業、おめでとう!」

「……ありがとう、思穂ちゃん!」

 

 希と言葉を交わし、思穂は“二人目”の元まで歩いていた。何となく、どこにいるかというのは分かっていたのだ。

 

「お、何となく来てみたらやはりいたね!」

「思穂、どうしたの?」

 

 生徒会室にはやはりいた。鉄血にして堅物であった“生徒会長”から“一人の女子生徒”に戻れた、あの絢瀬絵里が。言葉こそ疑問形であったが、その表情はどこか“来る”と確信めいたもので。

 

「いやぁ、ちょっとばかり話をしたいなってね」

「穂乃果も似たような用事でさっき来たわよ~?」

「ほわっちゃ。流石、考えることが似ているね!」

 

 絵里の隣に行き、窓の外を見る。そこには桜が舞う中、各々の時を過ごしている卒業生と在校生がいた。

 

「……私はね、正直今でもこれが夢なんじゃないかって思っているの」

「へぇ、絵里ちゃんともあろうものが珍しい。理由を聞かせてもらってもいい?」

「もし穂乃果達と出会っていなかったら、私はこんなに清々しい気持ちでここを卒業できなかったと思うの。だって、廃校阻止よ? 普通なら、成し遂げられることじゃないわ」

「うん、そうだね。誰か一人が欠けていても駄目だったんだ。全員がいたから、この奇跡が起きた」

「もう何度も言ったと思うけど、改めて言わせて思穂。あの時……ううん、その前からずっとずっと私と向き合ってくれて本当にありがとう」

 

 そう言って、絵里はすっと手を差し出した。

 思穂は口を開こうとしたが、今喋れば確実に“我慢できない”と感じ、ただ無言でその手を取り、そして抱き着いた。

 

「何を言ってるのさ、絵里ちゃん。こっちこそ、ずっと私の事を怒ってくれてありがとう」

 

 ――次に思穂が向かったのはアイドル研究部の部室。

 最後の一人、思穂が誰よりも、何よりも尊敬する人物。自分よりも小さいのに、背中がとても大きな偉大な先輩。

 

「にこにこに~」

「私の持ちネタ適当に使うんじゃないわよ! 何よ、そのテンションの低さは!?」

 

 花陽辺りがいると思っていたらなんと、部室にはにこが一人いた。

 ある意味、好都合。この偶然は単なる偶然じゃない。そう思いつつ、思穂はにこの隣に座った。

 

「いやぁ卒業だね! 良く卒業出来たね!」

「あんたって奴は最後の最後まで私に喧嘩を売ってくるのね……」

「それが私だから何言ってんの!?」

「何で半ギレ気味なのよ!」

 

 一通り言った後で思穂は少しばかり雰囲気を変えた。言いたいことを言うために。

 

「……よく頑張ったよねーにこちゃんは! 本当に!」

「ふん! 宇宙ナンバーワンアイドルのこの矢澤にこがいるのよ。当然よ、とーぜん!」

「うん! 私はずっとにこちゃんなら出来るって思ってたよ!」

「な、何で素直に返してくんのよ……」

「だってさ、にこちゃんがμ'sに入ってくれたからこそ、今の私達があるんだよ!」

「……実際ね、感謝してんのよ。ほんと、あんた達には」

 

 頬杖をつきながら、にこは言う。少しばかり不機嫌に、少しばかり嬉しそうに。

 

「前にも言ったと思うけど、私にとっては本当に奇跡なのよ。皆に出会えたこと、そしてラブライブに優勝できたことも。全部ひっくるめて奇跡なの。だから、ありがとう」

「私はね、あの頃からにこちゃんに憧れていたよ。私ならたぶん絶対挫折しているような出来事に直面しても決して折れなかったにこちゃんが、私はすごいなって思ってた」

「ただアイドルが好きなだけよ、私は。だから折れるなんて有り得なかっただけ。でも、ま」

 

 少しばかり言葉が止まったにこ。だが、やがてするりと言葉が紡がれた。

 

「あんたが馬鹿みたいに私に絡んでくれたから、私も毎日が楽しかったわよ」

 

 ――その時の気持ちを何と表現したら良かったのだろう。

 フラッシュバックするにことの出会い、そこからの付き合い。いつもど突かれて、だけど優しくて、そんなにこの顔を見ていると、思穂は自然と涙が出ていた。

 

「ちょ、何で泣くのよあんたは!」

「う、うっさいうっさい! ちょっと目に伝伝伝が入っただけなんだから!」

「少女漫画並みの目のデカさよねそれ! あーもう!」

 

 そう言って、にこはポケットからハンカチを取り出し、思穂の涙を拭った。

 

「これから三年生になるあんたが、そんなんでどうすんのよ? シャキッとしなさいよ全く」

「……うん……、うん!」

「あんたはいつまでも私の後輩で、そして仲間よ。だから泣くんじゃないわよ」

「にこちゃん……! にごぢゃーん!!」

 

 思穂はその時、ずっとこの撫でてくれるにこの手を忘れるものかと心に誓った。

 ――いつか、自分もこんな手になれるように、そう思いながら。

 

「そういえば思穂。あんたは将来の夢って何かあるの?」

 

 部室から出ようとした時、にこからこんな質問をされた。

 

「私?」

「ええ。あんた、何でも出来るじゃない? だからちょっと気になってね」

「そうだなぁ……」

 

 色んな道が思穂の脳裏に浮かぶが、一度それを全て忘れ、そうすると一つだけ残った。

 

「将来の夢って訳じゃないけど、まずは世界を旅したいね。その後はそうだなぁ……先生になりたいかも」

「先生? あんたが?」

「うん。私の経験したことを皆に伝えていって、それで少しでも皆の“何か”になれれば、それはすごく素敵なことだと思うんだ」

「へぇ、あんたも珍しくまともなことを言うのね」

「あ、それはちょっと聞き捨てならないね! ふっふっふ。私の教師姿は刺激的だよぉ~。発禁待ったなしだよ!」

「何の教師よそれ」

「さってと、それじゃあ私はそろそろ行くね。卒業式だ!」

「ええ、またあとでね」

「うん! またあとで!」

 

 部室から飛び出した思穂は廊下を全力疾走せざるを得なかった。活力とやる気がこんなに漲っているのだ。走るしかないだろう。何せ、尊敬する先輩からとても力になる言葉を頂いたのだから――。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 粛々と開始された卒業式。卒業証書の授与も終わり、理事長が挨拶を終えると、いよいよ生徒会長からの送辞であった。

 

「送辞! 在校生代表、高坂穂乃果!」

 

 そこから始まる送辞。実は何を喋れば良いのかわからなかったこと、何度書き直したか分からなかったこと。――結果、そういうのが苦手だったこと。

 

「子供のころから、言葉より先に行動しちゃう方で、時々周りに迷惑を掛けちゃうこともありました」

 

 自分を上手く表現することが苦手で、不器用で。――だけど、そんな時に出会ったものがあったのだ。

 

「でもそんな時! 私は歌と出会いました!」

 

 気持ちを素直に伝えられる、歌うことで同じ気持ちになれる、歌うことで心が通じ合える。そんな歌と出会い、そんな歌が何よりも――好きだった。

 

「先輩、皆様方への感謝と、これからのご活躍を心からお祈りし、これを贈ります!」

 

 いつの間にか、真姫がピアノの方に移動して、座っていた。鍵盤に指を置き、旋律が流れる。

 その歌は思穂、そして穂乃果が初めて触れた真姫の声と心。全てに感謝とありがとうを伝えるのにこれ以上ふさわしい歌はなかった。

 

 ――『愛してるばんざーい!』、と。

 

 穂乃果が歌い、やがて海未が、そしてことりが、凛が、花陽が、皆が――全てが一体となり、精いっぱい“ありがとう”と、そう歌ったのだ。

 その中には当然、思穂も加わっていた。だが、これで全部じゃない。まだあるのだ。

 片桐思穂が贈る精いっぱいの“ありがとう”が。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 卒業式が終わってから、自然とμ'sの皆は集まっていた。そこには思穂もいて。

 そして皆で色々とやることをやった。アイドル研究部の部長には花陽が就任し、副部長には真姫、リーダーには凛が。誰からも不服がない、なるべくしてなった結果。

 それからは色んなところを皆で回った。グラウンドや講堂、そしてアルパカ小屋、この学校の全てには思い出があった。いつまでも留まっていたくなってしまうのも無理はないだろう。

 だけど、まだ最後の最後に行っておきたいところがあった。そこはμ'sの全て、と言っても全く過言ではない場所で。

 

「最後はやっぱりここね」

 

 絵里の言葉に、穂乃果が頷いた。

 そこは屋上であった。最後の最後に訪れる場所として、ここほどふさわしい場所はきっとない。

 

「練習場所がなくて、ここに集まったんですよね……」

 

 海未の言葉に自然と皆が頷いた。

 そこは皆が喜び合い、時には怒り、そして哀しくなり、どこまでも――楽しかったそんな場所。

 そんな所をじっと見ていた穂乃果が、突然何かを思いついたのか、走り出し、バケツとモップを持ってきた。

 

「穂乃果ちゃん、どうするの?」

「見てて思穂ちゃん! 皆! えーい!!」

 

 穂乃果がモップを屋上に走らせると、そこには巨大な『μ's』の字が出来上がった。

 それを見て、真姫がどこか物悲しい表情を浮かべる。

 

「この天気だから、すぐ消えちゃうわよ……?」

「それで良いんだよ。それで」

 

 皆が並び、そして誰がタイミングを取ったわけでもないのに、自然と声が一つとなっていた。

 

 『ありがとうございました』。

 

 ある意味、μ'sのメンバーである屋上へ向かって、皆が心からの感謝をその一言に込めた。

 一人、また一人と出て行った。皆が屋上を出ていく中、思穂と穂乃果が立ち止まる。

 

「あったね、色々と」

「……うん」

「皆が行ったよ」

「やっぱりここはすごいね。色んな事を思い出しちゃうや」

「穂乃果ちゃん」

 

 思穂は穂乃果の隣に立ち、消えていこうとする『μ's』の文字を見つめる。そして問うた。全ての総決算たる台詞を聞きたくて。

 

「――やり遂げられた?」

 

 長いようで短い視線の交差。それ以上を言わない思穂の優しげな瞳を見て、穂乃果は頷いた。しっかりと、そして明確に、力強く、彼女は言った。

 

 

「やり遂げたよ、最後まで――!」

 

 

 そんな穂乃果の言葉を受けて、思穂はにっこりと笑顔を浮かべた。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 思穂は今、体育館の中を見てから、近くにある控室に向かっていた。

 その体育館の中には、卒業式だというのに、全校生徒、そして親御さんまでもがいた。

 これらは全て思穂が集め、そして来てくれた“観客”である。

 もしかしたら来てくれないかもしれない、そんな不安なぞ鼻で笑うぐらいの満員御礼。参加率百パーセント、否、百二十パーセントはまず間違いないだろう。

 彼女は控室の扉を開けた。

 

「おお、皆、やっぱり可愛いねー!」

 

 そこにはことり手製の衣装に身を包んだμ's全員がいた。

 

「うん! さっすがことりちゃん!」

「ありがとう穂乃果ちゃん! 私、頑張っちゃいましたっ!」

 

 一通り見回してから、思穂は体育館の中の状況を伝える。

 

「おかげさまで全員が帰らず、っていうか親御さん方まで集まってくれているよ!」

「なんだかラブライブ本選よりも緊張するわね……」

「絵里ちゃんが珍しく弱気にゃ~」

「ふふ。でもそれ以上に楽しみよ私は。何せ、思穂の一世一代の我が儘に付き合うんだから――でしょ?」

「こりゃあ一本取られちまったね!」

 

 そう、これは片桐思穂の一世一代の我が儘。μ'sのキャッチフレーズを考える際に、思穂自身が懇願したものである。

 μ'sのマネージャーとして、一人のファンとして、思穂は卒業式の日にライブを組んだ。

 

「ラブライブがμ'sにとってのラストライブなら、今からやるライブは絵里ちゃん達音ノ木坂学院卒業生にとってのラストライブ。先生達には全力で話をして、そんでもって、皆の協力が得られたからこそ出来るようになったライブだよ」

 

 μ'sを引き連れ、思穂は体育館の出入口の扉までやってきた。ここを開け放てば、始まるのだ。

 そこで彼女は立ち止まり、振り向いた。

 

「さあ!! ここから先に待っているのは皆の最後の歌を楽しみにしている人たちばかりだよ! そしてそこに――私もいる。音ノ木坂学院スクールアイドルグループμ'sのマネージャーであり、そして一人のファンである私もいる」

 

 思穂はさらに続けた。

 

「だからさ、歌って! 喜びも悲しみも全てを込めて、私に、私達に聴かせてよ!」

「うん! やろう皆! 全部を込めて、歌い切ろう! 完全燃焼しよう!!」

 

 九人が輪になり、ピースサインを合わせた。だが、すぐに穂乃果がいつもの言葉を言わないことに首をかしげていると、彼女が思穂の方を向いて、こう言った。

 

「思穂ちゃん! 思穂ちゃんも来て!」

「……私!?」

「そうよ思穂、貴方もマネージャーなんでしょ?」

 

 そう言って絵里がウィンクをする。

 

「思穂ちゃんも早く早く! ウチの隣に来てもええよ?」

「ったく、ようやくあんたが入って点呼やるのね。いつやるのか疑問だったわよ」

 

 希が微笑み、にこが悪態をつく。

 

「しっほちゃーん、早く来るにゃー!」

「全くーいつもいつも羨ましそうに見ていたの気づかないとでも思ってたの?」

「思穂ちゃん。実は私、思穂ちゃんとこれやってみたかったの」

 

 凛が、真姫が、そして花陽がウキウキとしている。

 

「思穂、貴方もμ'sです。マネージャーという立場ではありますが、それでも私達の大切な仲間ですよ」

「思穂ちゃんがいてくれたから、私達はこうしているんだよっ?」

 

 海未とことりが空いている手を思穂へ差し出す。穂乃果も手を伸ばしていた。

 その手に引かれるように、思穂はゆっくりと穂乃果の隣に立ち、ピースサインを作った右手を伸ばした。

 一際大きな星となったのを確認すると、穂乃果から――始まった。

 

「一!」

 

 穂乃果から始まり、ことり、海未、真姫、凛、花陽とカウントはどんどん続いていく。

 

「七!」

「八!」

「九!」

「思穂ちゃん!!」

 

 穂乃果が、そして皆から背中を押されるように、思穂は高らかにそして清々しく“その言葉”を口にした。

 

 

「ほわっちゃー!!!」

 

 

 ――『それは僕たちの奇跡』。

 長い道のりだった。だが、彼女達の物語はそう大それたものではない。夢が出来、夢を追いかけ、夢を抱きしめ――そして明日を駆けることが出来た、たったそれだけの物語。

 その物語には一人のオタク女子がいた。キッカケは自分のオタクライフを守るため、だがいつの間にか彼女は九人の音楽の女神と共に奮闘するようになっていた。

 奮闘記なるものがあるとすれば、彼女達との物語はどこまでも自身を喜ばせ、時には怒らせ、たまには哀しませ、だけどどこまでも楽しくさせる――そんなストーリーだったと胸を張って答えることが出来るだろう。

 

 

 これはオタクライフを守るため、九人の女神と行動を共にしたオタク女子の何という事の無い、そしていつまでも続く物語である――。

 

 

 

 

【ラブライブ!~オタク女子と九人の女神の奮闘記~ 完】




これでラブライブ!~オタク女子と九人の女神の奮闘記~は完結となります。

一期最終話で何でも出来るけどそれでも自分はちっぽけなただの一人の人間ということを自覚した思穂がμ'sの皆と共に、最後まで駆け抜ける事が出来ました。

女オリ主のラブライブ二次は書いていて本当に楽しかったです!皆様の応援があったからこそ、こうして畳むことが出来ました!ありがとうございましたとしか言えません!

これからは番外編を充実させていこうと思いますので、まだまだ目を離さないでもらえれば嬉しいです!

ではまたいつか!
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