「なるほど。心の欠片を集めるのに効率がいいから悩み相談をしている、か」
「はい。因幡さんも椎葉さんもそうやってオカ研に集まった経緯もあります」
「椎葉はそれもあって俺を此処に連れてきたんだろうな」
「でしょうね」
寧々と笑いあって、お茶を啜る。週の中ごろになるころにはすっかりオカ研に解け込んでおり、紬の提案もあって春秋はオカ研の一員となっていた。
数日前にあったごたごたは事情を知らないめぐるには貧血と説明し、たまに意識を失うほどひどいのが起こるとまで伝えてある。
今はこうして、放課後にはオカ研に集まって主に男子生徒への対応として柊史と春秋が備えている。
「しかし、結構疲れた」
「お、お疲れ様です」
春秋が倒れてから早数日、オカ研への相談事は非常に多かった。そのどれもが女子生徒からの相談だったが、春秋が同席していることが知られると、余計に来客が増えたのであ
った。
その答えは至極簡単で、どうやら校内で春秋を狙う女子生徒が非常に多いらしい。春秋を見た女子生徒はその場の空気も何も考えず告白する者までおり、その都度春秋はしっか
り断ってきた。しかしその数は片手で数えるには足りなすぎて、日が経つ毎にその数は増していた。
「まあ、もう少しすれば落ち着くだろ。こんな冴えないヤサグレ男のことなんてすぐ飽きられるさ」
「海道がすごくうらやましがってたけどな」
クラスメイトであり、転入してから柊史と共によく行動する海道秀明もまた、春秋のそんな現状を知ってか知らずかよく騒いでいるのが目に付く。
お疲れ様と、紬が少し遅れてやってくる。だがその表情は少しだけむくれている。誰がどうみても、不機嫌である。
そんな彼女は春秋を見つけると、途端にジト目になる。
「じー……」
「?」
「……」
じーっと春秋を見たあと、ぷい、とそっぽを向いてしまう。
「おーい、椎葉?」
「つーん」
何だこの可愛い生物は。思わず指で頬を突いてしまう。
「ひゃうっ」
「可愛いなぁおい!」
思わず抱きしめそうになるのをぐっと堪え、明らかに不満な表情の紬の頭を撫でて事態の解決を試みる。
「い、いきなり何っ!?」
「いや、やけに不機嫌だなーって思って。どうした?」
「……知らない」
紬の態度にどうすればいいか悩む春秋であったが、後ろにいた寧々はその光景を微笑ましく見ていた。
それがどういった意味かは決して教えずに、そして思い出したように。
「そうだ。椎葉さんと四ノ月くんに頼みたいことがあったんです」
「頼みごと?」
「ええ。明日の放課後なんですが、お二人でモールに行ってほしいんです」
「モールってあそこだよね。駅前の」
「はい」
「どうしてまた。備品が足りないのか?」
それならばわざわざ名指しなどしなくていいだろうと考える。
すると寧々は嬉しそうに、だが少し困った表情で。
「実は、因幡さん経由できた相談ごとなんです。デートプランを試してほしいと」
「「デートっ!?」」
二人の声が、教室に木霊した。