それでわ3話 どうぞ
「やっとついた…のか?」
あれからトキが紫に対し愚痴愚痴言っている間に真っ直ぐだった道も終わり、大きな神社が目の前に建っていた。
「とりあえず神社に来たというなら…鐘とお賽銭だな!作法とかしらないけど」
見よう見まねで鐘を鳴らしお賽銭を入れる。
「あれ?小銭ないや…まあ、この先幻想郷での無事を祈って…」
と、千円札を取り出す。
「そういや、このお金は使えないんだったか?どうせなら諭吉さんだな」
と、トキが一万円を入れ、幻想郷での成功を祈りつつ、近づいてくる気配を感じていた。
「お賽銭!!!あなた、誰だか知らないけどお賽銭入れてくれたわね?」
「え、ええ…」
「いやーホント助かったわーささ、お茶ぐらい出すから上がって上がって」
「え?ちょ…」
トキが全く分からないままいきなり出てきた赤と白で施された巫女服のようなものをきた女性に流されるまま、自己紹介もなしに神社の中へと入っていった。
「これは…外の一番高額なお金ね、後で紫に変えて貰えばしばらくは生活できるわ…外来人のようだけど…?」
「えっと…紫さんから聞いてるかもしれないが、如月トキだ…です」
「ああ、あなたが外で能力使い回ってるって人ね、後敬語は特に使わなくていいわよー」
めんどいし、と体勢を崩す。
「とりあえず、幻想郷へようこそ。私は博麗霊夢、霊夢でいいわ。一応あなたが能力を操れるまでの衣食住とサポートをすることになってるから、暫くはよろしくね?」
「ああ、よろしく霊夢」
軽く握手を交わし、霊夢は立ち上がる。
「とりあえず、紫から最低限しか聞いてないから、あなたについて教えてくれる?
「ああ、まずは…」
「なるほど、不幸を周りに振りかざす能力ねぇ…」
暫くトキが今までのことを霊夢に話し、霊夢は顔を歪めた。
「それ、能力操れない限りは私と紫以外はなるべく関わらないほうがいいわね。話聞く限りじゃあんたの意思関係ないみたいだし。
それに、と付け足す。
「あんたが今無自覚って限り、能力が『幸運を操る程度の能力』とは限らないのよねー。能力名はあくまで本人自ら自然と覚えるようなものだもの。もしかしたら『他人の不幸を操る』かもしれないってこともあり得るのよ」
「俺は…もう俺のせいで人が不幸になるのは嫌なんだ。もしそうなる運命だとしても、操ることが出来る可能性が少しでもあるなら俺は諦めたくない」
「そう…いいわ、わたしもあなたに当分の食費も貰ったことだし、協力するわ」
「とりあえず、修行は明日からだから今日はもう休みなさい。私は夕飯の支度をするから」
「あ、住まわしてもらう以上、俺が作るよ」
「え?あんた料理できるの?」
「出来ない人よりはできるさ」
よいしょ、とトキが腕を捲る。
意外なことに、トキは料理が得意中の得意だった。
それに加え、一人暮らしが長いため、家事全般ならお手の物だった。
「なにこれ!?こんな美味しい肉じゃが初めて!」
「このお米もなんで私が炊いたのとこんな違うの!?」
「お味噌汁…あったまるわぁ…」
「ホントにおいしいわ…悔しいけどうちの藍より上だわ…」
「それはどうも。で、紫さんなんでいるんだ?」
出来上がった料理をつついていると、いつの間にかスキマから紫が顔を出しており、味噌汁をすすっていた。
「いい匂いがしたからよ。どのみち明日からの修行について説明もあるのですから」
よいしょ、と座布団に正座し、トキのほうに向く。その顔は先ほどまでゆったりとした顔で味噌汁をすすっていた『八雲紫』ではなく、幻想郷を守る賢者『八雲紫』としての顔であり、トキもそれに気づいたのか姿勢を正した。
「まずは、幻想郷へようこそ」
「ども」
「ま、こっちに連れてきていうことではないことのほうが多いんですけどね…この幻想郷では先ほど申した通りに妖怪など多種多様に存在しますわ。一応スペルカードルールといった決まりごとはありますが、中にはその決まりを守らずに人を襲う妖怪だっているもの。だからあなたがもし妖怪に襲われて殺されたとしても恨みっこなし。死にたくないなら能力を扱えるようになってくださいな」
「あ、紫はこう言ってるけど、私はあんたが能力扱えるようになるまでは死なせないように協力するわ…あんたの料理美味しいし」
「本音そっちなのな…あ、紫さん」
「なにかしら?」
トキが思い出したように、口を開く。その口調は、普段敬語が苦手なトキにしては改まった内容でもあった。
「もし俺の能力が暴走したり、そんなつもりはありませんが能力を扱って周りの人を不幸にするようなことがあったら…迷わず俺を殺してください。それか、紫さんができる方法をとってください。お願いします」
そういって、頭を下げる。初対面から敬語をほとんど使わないとかえでから聞いていた上、実際顔を合わしたトキにも敬語ではなかったため、あってから少ししか経っていないが紫は少し感心していた。
「わかりました。じゃあこうしましょう!」
そういって、自分の横にスキマを開く。
「わたしはかえでからの頼みで、わたしは手を掛けられないの。だからスキマに閉じ込め、それでもダメだとわたしとかえでが判断すれば…」
『かえでの手で殺してもらいますわ…あの子の望みでもありますので…ね?』
「…わかりました」
「そう考え込まなくても大丈夫よ、安心しなさいな」
「先生は…一体何者なんだ…?」
「それは本人から聞きなさい。あなたが普通に修行して、普通に幻想郷で生活をしていたらそのうち会えるわ」
そういって、紫はいまだ顔をあげないトキに、優しく肩に手を置く。その横で霊夢は『じゃがいもうまー』行って場違いではあるが、気のせいだろう…うん。
「じゃ、おやすみトキ」
「ああ、おやすみ霊夢」
話がひと段落し、急にこんな話をしたから疲れているだろうと、霊夢が片付けを引き受け、トキを先に客室に通した。トキの今後の寝室となる部屋だが、布団が一枚敷かれているだけの殺風景な部屋だった。
「なんもないな…まあ、部屋貸してくれるだけ文句言えないけど」
そういって、布団に腰掛ける。
「今日は色々ありすぎた…本当に妖怪とかっていたんだな…」
そういい、ため息を吐く。このたった1日で自分に起こっている事、周りに対すること、唯一この能力というものがほとんど効果を表さなかった園崎先生の真実。本来ならトキはまだ17歳の高校生であり、現実離れした話や場所、存在などを1日に、それも一度に認めざるおえない状況に、ため息を吐きたくなるのも気持ちはわかる。
「明日から、頑張らないとな」
…だが、この男は強い。
今までどんな困難や悲しいことにも耐えてきたトキは、今回も『どうにかなる』と信じて疑わない、そんな男だった。
「明日のために、もう寝よう」
まだ、物語は始まったばかりなのだから…
「あ、そういえば修行について説明してなかったですわ」
「うわぁあっっ!!!ちょ、いきなり目の前に現れんな!」
「明日はお昼頃から、まずはあなたに能力とはどのようなものなのかを実感していただかないと。能力云々はそれからですわ」
「人の話を…もういいや、わかった…」
「じゃ、また明日ねトキ」
「はい…」
…修行の前にトキが別の死因で死ぬ可能性も、あるかもしれない
次は修行…とおもいきやまさかの展開…とおもいきや…(以後無限ループ)
あ、お気に入り10件超えてました。このような作品を気に入ってもらえて何よりです
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