東方渡世抄 〜現実と幻想の境界〜 【更新停止】   作:小鳥戦士

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第10話 図書館と俺の魔術?

今俺は紅魔館の魔女が管理する大図書館の前にいる。

 

まぁいきなり何があったのかはみんな気になると思うのでざっと説明する。

 

レミリアに許して貰えた後、紅魔館のメンバー全員に会いたいという意思を伝えた所、上機嫌なレミリアは軽く了承してくれた。その最初に来たのが大図書館なのだ。

 

ただし、この大図書館には注意しなければならない事がある。

それはこの大図書館の主であり、原作キャラでもあるパチュリー=ノーレッジの使い魔、小悪魔こと通称こぁについてだ。

 

彼女に関してはマジでわからない。

 

創作系では優しい雰囲気のドジっ子...という設定が多い彼女ではあるが、本来の原作では確かあまり喋っていなかった筈。つまりどんな性格なのか、どんな関わりをすればいいのかマジでわからない。

 

しかも小悪魔の性質は確か淫魔。男性の精を吸い生きる人ならざるもの。下手したら全精力を持っていかれて死にかねない。

 

結果、俺はビビり過ぎて入れずにいる。

 

「(まずはどうやって性格を見抜くか....とりあえず当たり障りない感じで接して行けばいいのだろうけども.......いや、そもそも................ってまたか......)」

 

 

どうもこの世界に来てからというものの、やはり深い思考に囚われ過ぎている節がある。別に悪い事ではないのだが性に合わない。簡単に言うと気持ち悪いのだ。なにかに支配されている様に感じて。

 

「よし、もうちょっとフランクに行こう。警戒は忘れずとも本能的に動いても問題ないだろうし」

 

そっとドアに触れ、図書館に入ろうとドアを押した、瞬間

 

 

ドシャァァァァァァァァン‼︎

 

きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎

 

 

なにかが倒れる音と、ドア越しにも響く女性の悲鳴が立て続けに聞こえてきた。

 

 

「な、何事⁉︎」

 

俺は訳も分からずドアを強引に開けた。

そこで見た光景は凄まじいの一言で、恐らく大量の本が敷き詰められていたであろう本棚や、ステンドガラスの様なものまで所狭しと散乱していた。

いやもう本当に凄まじい。散らかってるとかそんなレベルじゃない。まるでそう、弾幕ごっこが繰り広げられているかのような.......

 

「こんのぉ....!本くらい貸してくれたっていいだろぉ⁉︎」

 

「貴女の場合それは度が過ぎてるのよ.......!」

 

少し考察していると俺の近くで凄まじい音を立て、まだ無事だった本棚を薙ぎ倒しながら二人の女性が激しく争いながら弾幕を撃ち合っている光景が広がっていた。二人は何やら本の貸し借りについて弾幕ごっこで揉めているようだ。というか、本の貸し借りで騒ぐのって俺が知ってる中で二人しかいない......

 

「ま、魔理沙⁉︎あいつ紅魔館に来てたのか!....あっ、あの紫っぽい奴は.......パチュリー?...........あぁなるほど、お決まりのパターンか.......」

 

そう、この2人しかいない。紅魔館の図書館での出来事の一つに、お決まりとしてイベントがある。それはパチュリーの本を借りに(盗みに)くる魔理沙をパチュリーが迎撃する......というものがある。今まさにその最中真っ只中なのだ。

 

「お〜....すげぇ、この光景生で見れるなんて.....そうだ、スマホで動画撮っとこっと」

 

とりあえず記念に動画を撮る。一つ気付いた事なのだが、四次元ポーチに物を入れると、その入れた物は一番いい状態にリセットされるみたいなのだ。スマホの場合は充電が100%になったり傷が無くなったり、撮った画像等は消えずにリセットされる。つまりスマホはポーチに入れとけば永遠に使い続けれるという事だ。

つくづく、チートアイテムである。

 

「ほー.......パチュリーってやっぱり魔法使いって感じがするなぁ.......「ぅぅ....」えっ?何だ?どっから聞こえた?」

 

そのまま5分程動画を撮っていると、足元から何やら声が聞こえた気がした。ふと、ここに入る前に悲鳴を聞いた事を思い出し、それが魔理沙やパチュリーではない事に行き着く。

 

するといきなりズボォッ!、と散らかった本の中から腕が伸びて来た。俺はうぎゃっ!、と短く悲鳴を上げ、その腕の正体を確認する。

 

「す....すみません....誰かは分かりませんが助けて..........」

 

「うひぃ⁉︎腕が!腕が喋ったぁぁぁ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、その腕を引っ張って声の主を助け出した。

えっ?さっき?シラナイナー。

 

「えと......助けていただきありがとうございます。ちょっとあの弾幕ごっこに巻き込まれてしまって.......」

 

「あー.......お疲れ様です。大丈夫ですか?」

 

「はい....これくらい慣れっこなので.......」

 

本に埋もれていたのは赤みがかかったピンクの髪をした女性だった。いや、悲鳴を聞いた時点で女性であるのはわかっていたけれども........まさか小悪魔だとは思わなかった。それに分かる訳無い。だって東方のキャラは声がないのだから。しかも小悪魔は喋ってすらないし。

 

「というより....その、驚かれないのですか?私の姿に」

 

「え?何をイマサラ。空飛ぶ巫女に魔法使い、闇に紛れる見えない妖怪に時間を止めるメイドさん。極めつけは吸血鬼ときたもんだ。今更悪魔如きで驚く蒼刃さんではないありません」

 

「な...なるほどー.......」

(それはそれで傷つきます........〕

 

若干小悪魔が顔を引き攣っていたが、近くに流れ弾が着弾すると「きゃっ‼︎」と大人しめではあるが可愛らしい悲鳴を出した。今のは可愛い、可愛いのだが......そろそろうぜぇー

 

「........さて、いい加減うるさいな...どうしたもんかな」

 

「あのぅすみません。私にはどうすることも.......」

 

「ん〜.......墜とすか」

 

「........へ?」

 

俺は四次元ポーチから白紙のスペルカードを取り出した。さっき作った夢幻蹴夢でもいいけど、せっかくだからもう一枚作ろうか。それも、鬼畜モノを。

 

「やっぱイメージはアーチャーだな。あれなら弾幕ごっこでも有効だろうし...............出来た。よーし、別世界の弾幕をくらえ!弓符『赤い弓兵の剣矢』‼︎」

 

俺はフェイトシリーズから無限の剣を投影する赤いアーチャーをイメージし、スペルカードとして再現した。

その名の通り、アーチャーが得意とした投影した剣を弓矢として放つという荒技である。しかもタチの悪い事にーー

 

 

「ーーんなぁ⁉︎け、剣が降ってきたぁ⁉︎」

 

「ーーなんっ、なんてタチの悪い........‼︎」

 

このスペカ、東方原作ではありえない降水型使用なのだ。

俺は弓を持ってないから彼女らの頭上から降り注ぐよう設定、スペルカードを展開する。

何もなかった空間から数え切れない程の剣が現れ、2人の頭上から剣が降り注いだ。不意打ちと体験したこともないであろう弾幕に2人は少しは避けるも、雨に等しい剣矢に撃墜されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんつー攻撃だよお前.......あれ避けれるのか?反則級だぜあれは」

 

「同感ね。魔理沙と同じ意見なのはいけ好かないけど」

 

「なんだとぉ⁉︎」

 

「まぁまぁ落ち着きなさんな、お二人方。まずは現状を直視してからにしてくんないかなマジで」

 

先ほどのスペカについて抗議に入られ、なぜか喧嘩に発展した2人を宥めつつも、暴れられた結果出来上がった本棚の惨劇を修復にかかる。ちなみにあれでも対処方法はある事にはある。それはもちろん発動した瞬間に逃げる事。簡単だね。

 

「えぇー、掃除とか嫌だぁー」

 

「文句言うんじゃねーよ、お前らがやった事だろうが。いいからちゃっちゃと動く動く!」

 

「はぁー....これがここで、この本が.....面倒くせー」

 

魔理沙は一応渋々といった様子で整理整頓を始めた。こちらも巻き込まれたとはいえ当事者ではある。本当に不本意だが。

そうだ、これ名前聞いたって言う口実作るチャンスじゃね?

 

「というかさ、魔理沙はともかくあんたらの名前知らないだよね。そっちの羽のお姉さんは大体予想付くけど......あんた魔女だろ?いや、ウィザード⁇」

 

さりげなーく、さりげなーく。勘が鋭い程度に誤解してほしいな。

 

「そうね、でも先に貴方から名乗るのが礼儀ではなくて?」

「あ、ごめん。俺から名乗んなきゃな。....気を取り直して、望月蒼刃だ。こんなちんちくりんなガキんちょの成りでも歳は16、気がついたらこうなってた不思議少年だ」

 

「そう。私はパチュリー=ノーレッジ。貴方の言う通り魔女よ。そしてこの子が......」

 

「パチュリー様の使い魔、小悪魔です。先程は色々ありがとうございました」

 

パチュリーは素っ気なく、小悪魔は礼儀正しく自己紹介してくれた。

パチュリーはなんか思っていたよりも大人しい感じがする。ま、こんなもんなのだろうな。

小悪魔に関してはへーとしか言えない。なんども言うが原作で性格はわからず、ゆっくりではばらばらな性格だったのだから無理もない。

 

「それで....?貴方はこの図書館に何か用かしら?見た所だと貴方も魔理沙みたいに本を盗みに来た訳じゃ無さそうだけど......」

 

「盗むんじゃない、借りに来てるんだぜ?」

 

魔理沙がひょこっと顔を出し、にんまりとした顔を残し次の作業に入った。

 

「借りたら借りたで死ぬまで返さないんだろ?いやそれはさて置き、俺はただ単に挨拶に来ただけだ。まぁ、いざ図書館に入ったら本は散らかり本棚は崩壊、極め付けは弾幕ごっこ勃発っつー惨劇が広がってた所為でそれどころじゃなくなったけどな」

 

「.......悪かったわね。お詫びと言ってはなんだけども、お茶を用意するわ。咲夜、お願い」

 

パチュリーが指を鳴らした瞬間、カン!と時間が飛ばされた様な音がなった気がした。すると、今まで本が散らかっていた図書館全域の風景が変わった。

 

「.......んなっ⁉︎元に戻ってる⁉︎」

 

「えぇ、咲夜にやって貰ったわ。彼女は紅魔館全域に対して指示の声が全て聞こえるのよ。まぁ私が魔法で聞こえる様にしているのだけど.......ま、お茶でも飲んで話しましょう」

 

いつの間にかテーブルが用意されており、パチュリーが当たり前の様に座った。テーブルの上にはマグカップが置かれており、淹れたての紅茶の香りが漂ってきた。

 

 

「若干メイドさんに頼り切ってる節はあるけど、紅魔館ってやっぱえげつないんだな」

 

「まぁ住民がほぼ人外だからかしらね。普通の人間には体験した事の無い時間なのでは無いかしら?」

 

 

「うーん...流石にここまでの環境で過ごした経験は無いなぁ......吸血鬼だろ?魔女に悪魔に時を止めるメイド......ラインナップが豊富なこった」

 

「あら、そんな事を言っていたらこの幻想郷では生きていけないわよ?ここには妖怪を筆頭に不死身や半妖、幽霊に半霊.......終いには鬼や神様だっているわよ」

 

「あっはっはっはっは......あーまいっちまうよ本当。なんでこの世界に来ちまったんだよちくしょう」

 

少し気が滅入りながらも、咲夜が淹れてくれたという紅茶に一口つける。口につけた瞬間、紅茶独特の香りが鼻腔をくすぐる。

 

「..................美味しい」

 

「当たり前よ。レミィが大好きな紅茶ですもの。ああ見えて舌はいいのよ彼女は。.........ふぅ、因みに血は入って無いから安心しなさい」

 

彼女も紅茶に口をつけ、ほんの少し懸念していた事について聞きたかった事を言ってくれた。

 

「それにしても.......凄いなここ。俺が今まで見てきた図書館でもここまで広いの見た事ねー。というか紅魔館とサイズ合ってなくない?」

 

「えぇ、もちろんサイズは合っていないわ。でもそこは咲夜の能力で空間ごと広げて貰ったのよ」

 

「メイドさんぱねぇな⁉︎」

 

それについては俺も知らなかった事実だ。

 

「じゃなくてさ...ここってどんな本があるんだ?漫画とかあるの?」

 

「まんが?とやらはわからないけど、本については様々よ。私が読むのは小説や魔導書だけど.......貴方は魔導書は無理かしらね。なにか好みの小説は無い?」

 

「うーん.....いや小説もいいんだけどな?魔導書って読んでみたいんだよね。いやね?やっぱこういう世界に来たなら魔法なり魔術なり使ってみたいって言うか......なんかロマンを感じる」

 

「無理じゃないかしら」

 

「....はい?」

 

パチュリーは俺が魔法を使いたいと言うと無理とバッサリ斬られた。何故だ。

 

「何故と言われても仕方ない事なのよ。この世界にとって魔法とは個人の能力、『〜程度の能力』と同等の存在なのよ。幻想郷でも魔法を使えるのは片手で数えれる程度しかいないわ。そもそも、魔法を使う為には何が必要だと思うのかしら?」

 

「うーん?..........なるほど、魔力の有無か」

 

「その通り。魔法を使う為には魔力を必ず消費するの。そもそも魔法とは何かを犠牲に魔法を使用する対価交換の仕組みなのよ。だから魔法使いは魔力を使って魔法を使うの」

 

「なるほどな........つまり俺は魔法を使うのは無理か」

 

「いえ、言ったでしょう、無理じゃないかしらって。魔力が無いなら何かを犠牲にすればいいのよ。その場合魔術になってしまうけれど、例えば体の一部とかね。他人を損ねて使う事も出来ない事も無いけど、そこまで行くともう呪術の域だけど。」

 

「いや流石にそこまでして使いたくないわー。他人使って魔法使うのも論外だし」

 

正直言って魔法使えないのはショックだ。でもよく考えてみると無理なのは納得はいく。俺はただの人間だ。なんの力も持たないただの人間。魔理沙だって魔法を使えるようになったのは師匠のおかげだって言うし。

 

「....ま、とりあえず魔力があるかどうか調べてみましょうか。別にまだ魔力がないなんて決まった訳じゃないのだし」

 

そう言ってパチュリーは立ち上がり、俺の額に手を伸ばして目を瞑って瞑想のような形に入った。そのまま暫く経った頃、調べ終わったのか手を離し、何故か考え込むように座り込み紅茶を啜った。まずパチュリーは「おかしいわね.....」と独り言を零し、信じられないものを見たように俺を見て語りだした。

 

「まず、貴方には魔力があるわ」

 

「.......へぇ」

 

「あまり驚かないのね。とりあえず、最初は調べるまでは気づかなかったけど調べた途端魔力が溢れて来たわ。まるで、炭酸を振って蓋を開けたら噴き出すみたいに」

 

「なんだその例え.......とりあえず魔力があるならあるで嬉しいんだけど何がおかしいんだ?ひょっとして何か不味い事に?」

 

たまにあるのだ。隠された力的な物が発現すると大変な事になる漫画やゲームが。もしや今まさにその状況なのではとかなり心配になってきた。しかしパチュリーは大丈夫と口にし、俺は少し安心した。

 

「何がおかしいかと言うと、本来魔力は悪魔と契約する事で与えられる力なの。だから何も契約していない貴方が魔力を持っているというのは前提からひっくり返している様な物。つまりイレギュラーね。いやでも......その理論は幻想郷のみの理論なのだから別世界からきた蒼刃には適用されない?それならこの魔力について強引には納得できるけれど.......」

 

..............ちょっと待て。

 

「待て.......幻想郷の魔法理論はわかった。だけどなんでパチュリーが俺の正体知ってるんだ?まだこの事についてなんにも言ってないぞ⁉︎」

 

そう、俺はまだがこの東方の世界に転生した事を誰にも言っていない。だから誰も知らない筈なのだ。元々はもう少し慣れてきたら告白するつもりだったのに、パチュリーはなんて言った?別世界から来た蒼刃には適用されない?

 

「わからない?ってあぁ、教えていなかったわね。レミリア=スカーレットは『運命を操る程度の能力』を持っているという事を」

 

「...................しまった、全部見られたか」

 

あぁしまった。失念していた。忘れていた。レミリアのあの恐ろしい能力について、完全に忘れていた。

レミリアの能力、『運命を操る程度の能力』はその名の通り自分や他人の運命を操作、改変するほぼ無敵のチート能力だ。彼女はその力を使い、周りの人や自分に何が起きるのか運命を見る事が出来るのだ。つまり、紅魔館に俺が来る事も筒抜けであり、その事を住人に伝えていたのだろう。なら咲夜が待ち伏せていた事も頷ける。

 

「それでも貴方が幻想郷に別世界から来た、そして貴方はかなりの実力者という事しか分からなかったみたいね。でも実力者という点に惹かれ、レミィは貴方を紅魔館に受け入れた」

 

「.......実力者って言われてもな。俺ってばただの人間だぜ?」

 

「仮面を被っても無駄よ。ただの人間がここまで魔力を持ち合わせている訳がないし、そもそも貴方の気配は普通じゃないわよ?気付いてる?貴方の一つ一つの動きは油断がないのよ?」

 

「確かに、俺はいつも警戒してるぜ?だってよく知らない世界に叩き込まれて無警戒にヘマするなんて馬鹿な事はしないだろ?つまりそういうこった」

 

「いいえ違うわ。例え警戒を怠っていないにしても、貴方周りを見過ぎよ。客人である以上は危害を加える訳が無いのに、さっきから罠が無いか警戒しすぎ。こういうのには慣れている様ね」

 

「........そうかよ」

 

いつの間にか俺について観察されていた様だ。パチュリーの俺の警戒を見抜く観察眼は100年以上魔法に関わってきた魔女の経験の賜物か。

いづれにせよ、紅魔館勢がどこまで知っているのか分からない以上、余り迂闊に動けなくなった。今、俺について幻想郷の住人にカミングアウトされたら困る。ただでさえ怪しいチビであるし、友情も絆もクソッタレなものが無いのだ。しかも余り戦えない俺では身が危険だ。

 

「........邪魔したな。とりあえず今日は割り当てられた部屋に戻るわ。これ以上はもう無駄だろ」

 

「そう。別に私はそこまで貴方に興味があった訳ではないしね。......あぁそうだ。ついでにこの本貸してあげるわ」

 

パチュリーはすっと手を伸ばし、どこからともかく飛来した本を掴み、俺に手渡してきた。

 

「.......無関心じゃねぇのかよ」

 

「えぇ、今興味が湧いたの。後その本は貴方が使える魔術についての本よ。さっき魔力を調べた時ついでに貴方の適正魔術を調べておいたの。幸いにもそこまで難しいものじゃ無いし、魔法を使うには何十年かかるから魔術にしときなさい。せめて数ヶ月単位よ」

 

「ふーん.......ありがと」

 

「本の貸し借りについては期限は設け無いわ。その魔術は誰も使ってない魔術だし、私は使えない筈だからいらないの」

 

「あっそ。じゃあな」

 

それだけを言い残し、俺は魔理沙やパチュリー、小悪魔を置いて図書館を後にした。

 

 

 

********************

 

 

 

「なぁ、本当にあれで良かったのか?正直お前に対する蒼刃の評価は最悪に近いと思うぜ?」

 

「えぇ、わかってるわよ。そうなる様な口振りで相手したもの」

 

「ふーん.......でも何でって聞いていいか?」

 

「言ったでしょ?余り魔法の道に関わらせてはいけないって。彼は別世界から来たイレギュラー.......大方あのスペルカードも別世界の知識から来たものだろうし。ちなみにレミィは別に強くて面白い奴って事しか聞いていないわ」

 

「はぁ?じゃあなんで蒼刃が別世界の人間だって事どこで知ったんだよ」

 

「....今回の騒動について、あのスキマ妖怪から聞いたのよ」

 

「紫?あいつまたなんか企んでやがんのか?」

 

「スキマ妖怪はね、彼の潜在能力を危惧しているの」

 

「あいつの?別になんかおかしな....事は........あるな」

 

「えぇ、聞いた話では貴女と弾幕ごっこで戦った際、貴女の弾幕は“一発も当たらなかった”んでしょう?それにマスタースパークですら躱されたとか」

 

「あぁ.......一発も、不意打ちの速球ですら躱された。それによ....マスタースパークだぜ⁉︎私の得意技を簡単に躱されちまったんだよ.......能力かなんかか?」

 

「いいえ、何かしらの能力という線はほぼ無いわね。一応紫にその時の場面を時間の境界弄って見せて貰ったけど、あれは能力では無いわね。彼は幻想郷に来たばかり、それも何かしらの異能が存在する筈の無い世界の住人みたいね」

 

「............紫は黙って無いだろうなぁ」

 

「えぇ、だからこそ私たちが監視するしか無いわ。一応紅魔館の住人全員に話し通してあるからとりあえずはここは安全よ。そして魔理沙、貴女には紅魔館以外の彼の動向を気付かれない程度に報告して頂戴」

 

「わかったぜ。これは私達の幻想郷の為だもんな、協力は惜しまないぜ」

 

「ありがとう。貴女が素直な子で助かったわ。じゃあこれもって行きなさい」

 

「これは?」

 

「通信符見たいな物ね。魔力を通せば私に繋がるから、何かあったらそれで話しかけて頂戴」

 

「りょーかい」

 

 

幻想郷の裏では少数の者が動き出していた。全ては望月蒼刃が現れたから。イレギュラーが現れたから。

ここは異世界の様な物だ。いない筈の妖怪、悪魔、神。見たことのない異能。

そんな強力な力を持った者達が訳のわからないイレギュラーに何も警戒しない筈が無い。

 

今、幻想郷は蒼刃を守る者達と幻想郷から消し去ろうとする者達、二つに別れようとしていた。

 

「(しかし俺の部屋ってどこだっけ.......?)」

 

ただその中心にいる青年は呑気なものだった。




新しい挿絵が出来たので書き直したキャラ設定に追加しました。よければご観覧ください。例のいとこ作です。


訂正

協力な力を持った⇒強力な力を持った
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